だから俺は父を犯した その後の親子関係(終)
Added 2020-09-28 09:45:34 +0000 UTC学生は重労働だなぁ。 父親ながら息子の頑張りように感心していた。 僕も通ってきた道であるのに覚えていなかった。 社会人よりも早く帰路につけるとはいえ午前中から頭脳労働と呼べる勉強に努め、夕方頃からは肉体労働に等しい部活動に励んでいる。 心身ともに疲れさせ、帰宅すれば時間が少なすぎると嘆く姿を目にした。 大人の忙しさとは違った方面で大変そうだし、を全てこなすのは忍耐力では足りそうになかった。 今の時期は特にそうだった。 息子を見ていると慌ただしくて倒れないか心配になってしまう。 学校で授業を受けた後には部活の猛特訓。帰ってきても試験の勉強をしていた。 「アキユキなんてかっこうで寝てるんだ。起きなさい、起きなさいアキユキ。どうしてリビングでパンツだけなんだ。はしたないぞ」 ソファーで仰向けで眠りこける息子を叱るものの聞こえていなかった。着替えなさいと言っていたはずが、今日は勉強をする体力もなく脱ぎっぱなしでリビングにきて、手頃なソファーをベッド代わりにしているみたいだ。 僕と違い息子はトランクスを好んでいて、大人っぽいのがよかったらしい。 「こんなに大きくなっても子供のままなんだな。可愛いから好きだが……困ったな」 息子のアキユキは父親の僕よりも背が高い。 身長は百八十センチを超え半ばを過ぎたらしい。共働きをして構ってやれなかった鬱憤を晴らすためスポーツに明け暮れていたから、筋肉量はそのへんの格闘家にも劣っていなかった。 何がいいたいのかといえばシンプルな答えだ。 子犬体型と言われる僕には息子を運びようがない。 すまない息子よ。父親らしく抱っこでもしてやりたいが、僕は十キロの米袋を持つのもギリギリなんだ……硬くしめられた瓶の蓋に至っては、おまえがいないと器具がなければ開けられない。許しておくれよ。 「ほらアキユキ。起きなさい。風邪をひいたら生活に響くぞ」 僕の薄茶色よりも濃い、茶色い毛皮に包まれた丸い肩。 がっちりと筋肉で固められた部分を握り揺すってあげた。 今日はずいぶん眠りが深いらしく、これだけやっても寝息が止まらない。 すぴぃ~っと鼻から可愛らしい空気の音をあげ、膨らみある胸筋をガリガリ引っ掻いていた。寝顔は子供なのに仕草は大人っぽく笑いを誘われてしまう。 「ははは。アキユキ! 起きなさい」 「うぅぅんっ! もうちょっと!」 布団を剥ぎ取られ嫌がる小学生みたいに身を傾ける。 ご丁寧に眉間は深くなり、片手を振ってブンブン唸らせた。 これほど機嫌が傾いているのは久しぶりで、困ったと頭を掻いていればアキユキは寝息をあげる。だからもう一度すこし揺すってあげた。 「リビングで寝るのは駄目よくないぞ。習慣になったら悪い癖になる」 「パパァ、俺つかれてんだよぉぉ…………」 意識が戻ってきたらしいが、おはようもなく身を屈めるようにソファーで縮まった。 両腕で目を隠しライトの眩しさを防ぎ、汗臭い体をいやいや奮わせるのだから困りものだ。息子はソファーにマーキングでもしているみたいだった。部活帰りからパンツ一丁になったのだから無理もないか。後で消臭剤を使っておいてやらなくちゃ。 「じゃあ、今日はもう寝なさい」 ここで眠るよりはベッドで回復したほうがいい。 僕はアキユキを引っ張り上げようとするのだが重い上に動く意志がないみたいだ。頭に血をのぼらせながらグッと引っ張るけれど、結果はわかりきっていた。 「お風呂は明日にすればいいから」 疲れた息子を見かね妥協案を提案したところ、チラッと腕の隙間から僕を確認して逡巡しているのか数秒の間が空きました。 「パパ。いっしょにはいろ?」 口調がはっきりしていないのは疲れていて、いまも寝ぼけているせいだろう。 けれど僕の腕を引っ張る手は意外に力がこもっている。一緒なら大丈夫ということらしかった。 仕方のない息子だ。 僕は苦笑するも子供っぽさに嬉しくもある。 甘えてくれるなら応えてあげたい。そう思えばすぐ心に温かいものが込み上げてきた。 「しょうがないな。一緒に浸かろうか、だけど僕は運んでやれないから立てもらわないと無理だよ」 「わかってるよ……俺って重いし」 目をこすりながら起き上がるアキユキは本当に疲れているみたいで、普段の力強さも感じられなかった。叱られて落ち込んだみたいに足取りが鈍くて声も生気が抜けていた。 自主練のし過ぎは以前に窘めたのだが皆といっしょに体を動かすのが楽しくて気がついたら倒れそうになっているらしい。また顧問と話し合う必要があるんじゃないか、僕の心配を他所にアキユキは脱衣所の籠にトランクスを脱ぎ、端に引っ掛けるようにして落としていた。 「パパ逃げないでよ」 「どこにも逃げませんよ。さっさと行った行った。汗臭いよ」 大きな背を押し風呂場に歩かせ、服を籠に入れて水色の椅子に腰掛けた猫背のアキユキを見下ろせば、すこし居眠りしかけているのかウツラウツラしていた。普段だったら一緒に風呂といえば下の世話をしてもらう理由からで、シャンプーやボディーソープにまじりローションが置かれているのは我が家ならではだった。 親子ともに裸で、性器を隠しもせず風呂場にいた。 まさに親子で裸の付き合いをしているのだが、悪くない。 「アキユキ? ソファーよりひどい場所で寝ちゃ駄目だからな」 「んぅ、会話よりさ、眠いから早くして欲しいんだけど」 「仕方ないな。お湯かけるよ」 湯を洗面器にくみアキユキの首裏からそっとかけ、ボディソープを手で泡立て、筋張った首周りを白くさせマッサージ。毛の汚れを泡に浮かせ皮を磨くように指の腹を使い丹念にほぐしていけば、泡の白さに茶色い土色が混じっていた。体中に砂がついているみたいで洗い甲斐があった。 「かゆいところはないか?」 「全体かゆいよ」 アキユキは湯をかけ血行がよくなったからだろうか、太ももや脇腹をひっかき始めた。 がりっがりっ、爪を立てる音が聞こえ背中をこすってやり、脇腹に腋の下を泡立てればボディーソープの甘い香りに潮っぽい男臭さが混じって濡れた毛皮の匂いがしてきた。 泡で束になった毛並みを手櫛ですきながら、毛先から根本までをしっかり洗浄する。 首から肩周りに背中。尻尾を揉みダニを落とすみたいな手つきで磨けばアキユキは目が覚めてきたみたいだ。 「そこそこ、尻尾ってなんでこんなに凝るのに生えてるんだろうな」 「振りすぎて筋肉痛になった話もよく聞くから気をつけるんだぞ」 「スライディングのとき尻尾つぶしかけるから、そっちも気をつけるよ」 泡だらけになったアキユキの胸元に手を当て、こちらの汚れもとっていく。 スッカリ大きく育った背中に身を預け僕の体も泡にまみれていき、頬に頬を押し当て擦り上げる。息子の匂いがして、一日ごとに大人へ近づいていく香りに安心感がする。 「大きくなったな」 「パパがちっちゃいんだよ」 「う……それは言わないと前に約束しただろう」 「あ、ごめんうっかり口が滑ったよ」 「こいつめ」 「顔はやめてよぉ」 アキユキの顎下にあてていた手を鼻に当て、泡を塗ってやる。 情けない声をあげるのは演技で、その顔は子供みたいに笑っていた。 少しそうしていたら、アキユキは肩身を縮こまらせ手を合わせだす。 泡だらけになった胸周り、後ろから腹回りを磨いていたとき僕はアキユキの勃起に目を止めた。男に生まれたからには羨ましくなる太く長いものが、泡から逃れ天井を目指すように隆々と伸びてしまっていた。 「今日はそういうつもりじゃ、なかったんだ」 「わかってるよ」 アキユキの腕をゴシゴシやっていれば恥ずかしそうな反論を投げられる。 あんなに疲れていて今も僕にされるがまま。こんなに疲れたアキユキを見るのは滅多にないので、ただ体を洗ってもらうつもりが興奮してしまった自分を恥じているようだ。 「パパ……今日はしてもいいかな? 最近はそういうの、してなかったじゃん」 してもいい、というのは男同士の近親相姦。要するにセックスの話だった。 我が家では珍しくもなくなった、父親である僕がアキユキの性的行為をしてやること。 昔に構ってやれなかったせいで肩車や抱っこといった行為よりも、大人らしい行為を共にすることになったのは僕の責任でもある。間違っているのは百も承知であるが、アキユキがストレスなく落ち着いた日常を送れるのであれば、これくらい安いものだ。いままでの償いではなく、これからの付き合いをするためのスキンシップと前向きに受け入れていた。 「いいけど、今日は手で済ませるぞ。アキユキは疲れすぎてるし、負担になるようなことをしては今後に響いてしまう。ちゃんと回復してからだ」 体中の泡をシャワーで流してやればアキユキは身震いする。 「うぅん……わかったよ」 手でする、というのが不満だったのだろう。 見るからにがっかりして耳を下げていた。 どれだけ大きくなろうとも可愛い息子の期待に答えたくあるけど、私が父親で息子は息子…………父子という立場は二度と覆らないのだと信じている。 二人で過去を忘れ、母親にも内緒にしようと約束を取り決めていた。 もしも母親に興奮するようであれば、その分も僕が背負うと言ってある。 「ママは帰ってこないのかな?」 「連絡すれば連絡してくれるぞ」 「違うんだよ。俺は連絡してほしいの」 アキユキはここを譲る気はないらしく母親と未だに根比べをしているみたいに首を捻りあらぬ方角をみやった。何年も強い子でいようとした反動で、ずっとアキユキから連絡をしていないのは僕も知っている。だから『アキユキは心配ないのだろう』と勝手に思い込んだのがよくなかったんだ。息子は連絡を心待ちにしている、親として気づいてやるべきだった。 「時差とかあるからな……メールなら来てるだろう」 「きてるよ。間違いメールを送ったらくるようになった」 僕に向けて送ったふうに装ったメールを送ったらしいのだが、未だに間違いを強調して口にするのだから、ちょっと頑固すぎる気がした。とはいえ下手な慰めはアキユキに悪いので体中の泡を洗い流し、反転する合図として肩を叩けば椅子ごとぐるっと回りだす。 如何にも立派なペニスの裏とにらめっこする格好になり、アキユキはローションを手渡してきた。いわゆるローションプレイをしてくれという御強請りらしい。あんなに眠そうだった大柄な犬獣人が餌皿を咥えたワンコみたいに可愛い目つきをしていた。 「はい、じゃあペニスを愛撫するぞ」 「パパ……チンポを手コキとか言ってくれない?」 よくわからないがちょっと下品な言葉使いをしてくれるのがアキユキの好みだ。おそらく大人の本やネット情報によるものなのだが、これを強請るときは未だに恥ずかしそうにするため、アキユキ本人も恥ずかしいものである認識が強いらしい。なぜ恥ずかしいのがよいのか僕にはわからなかった。 「言わないよ」 手にローションを垂らし、慣れてしまった冷たい粘液を解していく。掻き混ぜたりすり合わせたりしたほうが効果がある。と側面に書いてあった。 「暴れないで大人しくしてなさい」 「暴れねーってば」 などといいながら、ペニスをビクビク暴れさせているのが可愛らしい。 丸みを帯びた亀頭はくっきり形が伺えるし、初めて勃起を見たときより雁首は膨らんでいる。陰茎の形にしても大小の血管が絡みあうことで文様を形成していた。お湯で濡れているために色は普段より肉感が強まって、触れると怪我をするんじゃないか、僕はちょっと不安になるが強い子に育ったアキユキなら大丈夫と知っていた。 「触るぞ」 期待と股間を膨らませたアキユキの陰茎を握りしめる。ローションで濡れた手は心地よいのか目つきが変わったのが僕にはわかった。熱く硬くなった陰茎は脈打ち、僕の毛や皮の露出した部分でしごくたび性快がわきおこるのかアキユキの膝や尻尾が動き出し溜息までが聞こえてきた。 「痛くないか?」 「うん、気持ちいいよ」 舌を出しながら眠そうな顔をしているが、いまはウツラウツラしているわけではない。 男性的な青臭さにボディーソープの香りがする。根本を握りながらもう片手を雁首と裏筋に当てるようにして上下させた。強く握りすぎないよう意識している僕の手は、握っているというよりはそっと触れている程度の力加減だ。手とペニスの境目にはローションが流動し、全体に塗り込むような感触がアキユキに伝わっていることだろう。 「あ……うぅ…………」 アキユキの亀頭に強弱をつけもんでやれば、膝が強く浮き声は上ずっていた。 溝に指をかけながら軽く押すようにして、溝にローションを滑り込ませながら規則正しい上下運動をくりかえす。 「あ……ふっ…………ん…………あぁ…………」 アキユキは僕の手に合わせ息を弾ませるように感じてくれている。 薄くねっとりしたローションが滑る亀頭と手の境目に、指や手のひらを押しつけて刺激に強さと弱さを演出してあげるのが、アキユキは好きみたいだ。 ペニスの全体が感じるようにあてがった指を狭め握り、ついで手首を上下させる。 にゅるっとしたローションが音をあげるのがいやらしい。たまにアキユキの肉体やグロテスクな陰茎は本当に僕の血をついでいるのかと疑うほど立派で、僕を組み伏せていたときは「父さん不倫されてたんじゃないの?」と意地悪を言われてたくらいだ。そのときばかりは本気で怒り、アキユキは二度とそれを口にしなくなったが……今度は小さい小さいとペニスを手でもみくちゃにされた。 「パパ?」 「ん? なんでもないぞ」 手が止まってしまっていたのを不思議そうにするアキユキに、何食わぬ顔をする。 僕は恋愛経験が一度ではない。最初は運命の相手に巡り会えたと思っていたのだがセックスで満足させられないばかりか、体全体とペニスが小さいのを罵られてからコンプレックスにしていた。でもアキユキは僕と正反対の悩みを持ち、だから自分の腕力や大きさをいやみったらしく語っていたんだろうと思えば、やっぱり可愛くてしょうがない。もっと優しくしてあげたくなる。 「やっぱ、俺のチンポって変かな……? 着替えのときもさ、いろいろ言われて体型もバスケ選手みたいって言われるし、バスケなり格闘技に転向したらって先輩にも言われたし」 天井を見やるようにして問いかけられるが、そんなことはない。むしろ人並み外れている長所でもあった。 「僕と同じで身長や筋力に悩みでもあるんだろ。アキユキが羨ましくて意地悪を言っただろう」 「そうかな。パパも俺のこと羨ましいって思う?」 戸惑いながら照れているのがわかる、アキユキは斜め下を向き鼻にふれる癖が出ているからだ。 「大きく育って、強く育って、パパは嬉しいんだからな」 手の動きを再開する。 んっ、ふっ、とアキユキは嬉しそうに鼻をふかし、僕の手のなかにある陰茎をはずませ尻尾を立てていた。ニチュニチュ、ニッチュ、ニチュニチュ、ローションの音が激しくなったのは僕の手が素早くなったからだ。 「自慢することはないが、縮こまっているよりは堂々としてなさい」 グロテスクでありながら可愛い息子に手淫する。急所を僕にあずけ無防備になったアキユキの鼻息が頭にふりかかる。もうちょっとで限界になるのがわかり、亀頭全体を指で優しくしめあげ陰茎も同じようにした。 「スポーツをしていれば自分より小さくて凄いやつがいれば、自分より大きくて凄いやつにだって出会うんだ」 ビクンッ。 返事をするみたいに陰茎が跳ねアキユキは全身を震わせ喘ぎをあげた。それは決して不快で漏れたものではなく、快感であると主張する獣人の本能だった。まもなく、ペニスはビクビク脈動していきアキユキの足が震えだす。 ビュクンッ! ビュッ! ビュッ! 亀頭が痙攣し、陰茎が膨らみ、血流が速まっていた。 鈴口にまで一気にかけあがった精液が噴流となり僕の手のひらにぶちまけられる。 痙攣が続くたびにアキユキの射精は続き、猫背になった体が快感のせいか匂いを強くさせていた。指の隙間から雄臭さが溢れ出すばかりか、どろどろの精液が垂れはじめ僕の指が泡立つみたいにヌルっとしていた。 「ふぅ…………ふぅ……」 「疲れててもこんなに出せるものなんだな。僕の手がこんなにどろどろになってしまったよ」 両手の大半が精液を浴び、ローションでしわくちゃになった手の毛皮に白濁が付着しどろりひろがっていた。それを洗面器の湯で洗い流し、アキユキが余韻から落ち着くのを待っていたのだが。 ビクンッ。 アキユキのペニスは、少しも萎えておらず、息を整えた今も変わらない。 数分は経っているのにアキユキは湯船に浸かろうとせずにいた。だから僕は困った笑い顔になり、アキユキに冗談めかしに問いかける。 「さては最初からそのつもりだったんだろ? 悪い子だ」 「違うって。最初は本当に体だけ洗ってもらえたらいいなー程度だったんだけど、体を現れてる内に疲れが和らいだ気がして、もっと出来たらなーって思ったら収まんなくて」 きまり悪そうに反論を並べるアキユキだが勃起したままで説得力はない。 眠気はなくなっているのに色気が出てしまっている。途中から興奮してそのつもりになってしまったのはわかっているし、隠そうとしないのも気づいてもらいたいゆえと僕は気づいていた。ここは「どうしたいか?」聞くのは簡単だ。けれど、すでに知っている答えをアキユキに言わせるより僕が言ってあげたほうが喜んでもらえる。 「しょうがないな。一回だけだからな」 「うん、一回だけにする」 僕が浴槽に手をつけ、お尻を下げる格好になればアキユキの指先が肛門に触れ、具合をチェックするように優しく撫でてきた。ただそれだけであるのに、以前アキユキのペニスを連日にかけて受け続けてきた成果なのだろう、敏感に反応していた。ぐいっと穴を指でひろげられる、縦割れになっていると以前に言われ写真まで見せられたが、見たことがないのでピンとこなかった。 「パパの尻穴はきれいな色だったのに黒くなってて、俺のを飲み込みたいって強請るみたいに蠢いてるよ」 「バカなことを言うな」 まっこうから否定したのにアキユキの指はよりいやらしく穴をまさぐっていた。 指が尻穴の入り口……じゃない出口を指で揉まれるとゾワゾワ背筋が浮き上がり排泄感と違った欲求が僕の中から込み上げてくる。息子に教え込まれた肛門の快感を体が忘れようとしていなかった。 「ローションかき混ぜるね」 アキユキは洗面器に少量の湯をくみローションを注ぎ絡ませていた。 一分もしないうちに温まり適度なゆるくなったローションに浸らせた指が肛門をいじりだした。僕が怪我をしないよう奥の方まで丁寧にぬりつけ、ぐりぐりと悪戯するのも忘れていなかった。アキユキはローションを自分のペニスにも塗りたくると、僕をひっつかみもちあげてしまう。 「今日は背面座位にしよう」 後ろからぐりっと大きなペニスを肛門に擦りつけられると、僕の胸が期待に高鳴ってしまった。すでに一度してやったばかりなのに、萎えずに勃起した太く硬いペニスで中身を掻き回されるのを想像すると下腹が熱くなっていた。父親を求める息子と同様に僕も子からの愛情に飢えていたのだろう、この熱を収める上手い方法はコレ以外に思い至っていなかった。 「パパも俺が好きなんだ」 嬉しそうに、見透かしたような口調で僕を軽く抱き上げたアキユキはけらけらとした。少し押しつけられただけなのに、僕の肛門はアキユキに吸いつき蠕動しているのが自分でもわかってしまう。昔は肛門の動きなんてものは排泄のときくらいで、しかもこんなに艶かしくパクパクするものではなかった。自分の変わりように驚いていれば、アキユキはふぅっと溜息ついた。 「たまにはパパから言ってほしいな。僕のアナルにアキユキのチンポほしいぞ、みたいなことをさ」 こうからかわれるのも新しい親子関係では特に変なことではない。 「はぁ、いやらしいアナルだな~。俺のパパはこっちの才能にあふれてるよ」 「変なこと言ってないで早くしなさい。お風呂が冷えちゃうだろ。んぅ……浸かるとき追い焚き、押しなさい」 親子でセックスしていようとも僕が父親で、息子の生活を整えるのが勤めだ。返事はされないけど気持ちと言葉は伝わっている。 「アナルがいやらしいよ。ファックしたくなる肉穴だ」 決して挿入することはなく、何度もぐり、ぐり、と出口をこね回される、僕の股間にも熱が行き届き勃起の予兆が感じられた。お尻をすりあげる亀頭の感触から故意に焦らしているみたいだ。実際に僕の肛門は、早く早く早く、そう強請っているのが感触でわかるし勃起しかけたものは、肩に顎を乗せたアキユキに見守られている。焦らされている体は、快感を求めるように亀頭に意識を集中させローションのぬめりさえ拾い上げ指先の神経から内蔵のいたるところにまで快楽を走らせていた。 「父さんの肛門に、ペニスを挿入してほしいな」 チンコやチンポ……アナルやケツ穴。そしてファックといった言葉は息子の手前つかいたくはない。だから要望とは異なるが内容は同じおねだりをしてあげた。するとアキユキは鼻息を荒くさせ、亀頭の先端部が僕の内側に沈んでいった。 ぬちゃり、淫らな音色をあげ肛門に挿入されていく。 無理強いはもうしない、激しくされると辛いのだと約束した。 だからアキユキは僕が辛くないようにスローペースでしてくれる。 「辛くない?」 「ああ。大丈夫だぞ」 んっ! と声こそ堪えたが肩を跳ねさせる。 「パパ感じてる。アナルがいいんだ」 父親が息子を知っているようにアキユキも僕を知っていた。 僕の肛門はアキユキを拒絶せず、求め貪欲に頬張っているのだ。 喉に堪らえようとしているのに喘ぎ声が五臓六腑から押し出される。 それを押し留めていたのに、喉に張りつき舌のつけ根をくすぐった。 肛門に先端が全て入りきったとき、僕は額までが加熱され膝が震えてしまう。亀頭を揉まれたアキユキがそうしたのと同じく、膝を震わせた。いや、そこだけではなく腰もビクンッと持ち上がってしまう。そのせいでペニスをくわえた肛門が動き粘膜に擦りつけ一瞬であるが視界に稲妻が走っていた。 「あぁっ! あおっ! んっ!」 せっかく父親としいて耐えてきたというのに。 息子の一突きで快楽に流され恥ずかしい嬌声をあげる。 心の奥底でくぶっていた情欲が燃えあがり勃起してしまう。 僕が動きたびにペニスが尻尾みたいに揺れ、なんとも恥ずかしい。 自分自身の動きで摩擦された肛門はヒクヒクとペニスの深い挿入を求め疼き、切なげな吐息まで放ってしまっていた。 「あっ! ああ! あ゛! あ゛!」 望むものを渡されたのだと快楽中枢は悦びの電気信号を出しながら、アキユキのペニスに魅了されたみたいに目を細めてしまう。まるで愛撫で絶頂した女性みたいに、僕は達してしまった。射精をしないまま、ドライというものを味わい全身を震わせている。 息子が欲しい。 僕の頭はそれでいっぱいになっている。 セックスで愛情を深めあうのが当然になった親子関係を。 もっともっと深く誰も到達できないほど深めたがっていた。 強く押しつけられるほど僕の肛門から快感がひろがっていった。 「もっと深くしてほしいな……」 失いつつある父としての尊厳をこめ、アキユキに頼んだ。 「んあ゛……! フッ!ふぅぅぅ!!」 ローションで潤った肛門に太く硬いペニスが快楽で解れた括約筋など容易に抉じ開け最奥に達する。僕の感じる、前立腺という場所に太ましい亀頭が接触しているのだから、僕のペニスがぷるぷる喜ぶみたいに根本から震えだしていた。容赦のない強い子の一撃で僕はしっかり、感じてしまっているのだった。 「パパ気持ちいいんだ。俺と同じで、こんなにさ」 亀頭を握りしめられる。大きくなったペニスはやはり敏感で、ローションで濡れた暖かな手に包まれると射精欲求が込み上げてくる。しかし息子は僕が嫌がるのを知っているから手を放す。名残惜しいと亀頭が快楽を欲し戦慄くが、こればかりは駄目だ。父親として息子にペニスを奉仕させるのだけは避けたかった。僕のコンプレックスだといい含めてあるから、アキユキが理由を追求することはない。 「あ゛! そうだ、気持ちがいいんだ。アキユキに、感じさせられている」 色気なんてものとは無縁の、男の喘ぎに父親の告白が小さく囁かれた。 息が詰まったように呼吸がしづらく、ふぅふぅふぅ、僕は何度も小刻みに鼻を鳴らす。 「パパの締めつけ凄い」 無意識のまま括約筋を締めつけ、肛門の粘膜全体をうねらせアキユキを抱きしめる。体は快感で脱力しているのに矛盾したみたいに力んで締めつけてしまった。肛門全体で育ったアキユキのサイズが、血管のおうとつさえも感じ取れるくらい僕は慣れていた。 「ううぅ! 凄い、前より締めてくる……久しぶりだからかな」 僕がドライしたなんて、アキユキに言えるわけもない。勃起しながら射精もせずに絶頂したなど、告白はしてやれない。奥までいきなり押し込まれても、いまやスンナリ受け入れてしまう穴は快感も生じやすかった。 「あぁっ!」 まだ完全に入りきっていなかった。アキユキが腰を引っ張ると結合部に力が込められ前立腺と呼ばれる箇所が圧迫され、ペニスのつけ根の裏側をぐりぐり抉られるみたいになってしまう。内側から内蔵をおしあげられ、僕は膝を持ち上げながらアキユキの胸板に背をあずけ大きく育った息子の濡れた毛並みから、鍛えた腹筋と胸筋とを背で触る。尻尾をへそあたりに当てて、両腕を後頭部へ回し撫でさすった。濡れた毛並みに、硬い筋の感触がある。身をあてがうためにした動きでさえも肛門は刺激され、ドライを経た肉体は素直すぎる反応をした、とろっと尿道からカウパーを垂れさせていたが、湯がかかっているお陰で判断しづらいようでアキユキに気づかれてはいなかった。けれど空気を嗅ぐ音がしたから、汗の臭いは気取られたみたいだ。 「パパ」 はしたなく勃起し、ドライ絶頂をした僕を両腕で掴む。 親子としての愛情を理解しあっていても欲情しきった内側を刺激されれば、こうなってしまうのは当然であるしアキユキの勃起が刺激されて興奮するのも、当然と言えた。 これまで感じないように思ってきたのに快楽を拾い、もっと得られるならばと流されてしまっていた。肉体だけでなく精神もまたセックスに酔いしれて愛に溺れてしまうみたいだ。こんなに腰を震わせているが、まだ挿入が終わっただけだ。こんなに勃起してドライに達していようとも肝心のアキユキは満足しきっていない。 ただ繋がっているだけなのに期待で熱暴走が起きそうになる。 僕の内側にアキユキがいるのを肉で感じ取り、まとわりついた。 「動くからね」 「アキユキの好きなように動かしていいからな」 激しくして欲しい、その素直な気持ちをもったいつけて認めてしまった。 アキユキは今日は許してもらえるのだと解釈したのか肩に顎を押しつけ首肯する。 背面座位の姿勢で抱え腰を引かれる、肛門を引っ張られるような感覚がたまらなく気持ちがよい。昔みたいな不快感は一切に生じず、全身が燃え神経が痺れるみたいな強烈なものが肛門から発生していった。 「んぅ、ふぅ、ふぅ、ああ゛……あ゛!」 ただ一度ひっぱられただけなのに、足が震えていた。 まだ本番は始まったばかりであるのにドライ絶頂した僕は二度目に到達しようとしている。はしたない、そんな考えに思い至ることも出来ず……勃起を振りアキユキのペニスによがってしまった。 「あくぅ! お、おぉぉ……! あ゛あ゛!」 ずるりっ。 勢いよく抜け出していったペニスが今度は深々と突き刺さっていく。 大袈裟なまでに腰を跳ねさせアキユキの首から後頭部に絡めませた腕がりきむ。 「パパのなか、今日は違う……俺のチンコに食いついてくる……」 太いものが出入りする影響で括約筋が閉じられようとする。 狭い肛門をペニスで押し広げられローションが内側で粘っていた。 アキユキが腹の中を出入りするごと、前立腺を擦り上げているのだ。 目の奥に光を浴びせられているみたいに視界が真っ白になり奥歯を齧る。嗚咽を漏らすまいと父親の忍耐を見せようとした。 「きゃっ! あうっ! きゃっ! きゃっ! きゃきゃ!」 アキユキのペニスが出入りし、奥に突き立てられるごとメスみたいに吠えてしまっていた。浅いところから深いところにまで、亀頭がつきこまれ粘膜を摩擦する。こんなにも心地よいのか、こんなにも素晴らしいのかと肉体が調子に乗ったみたいに加熱されていくのだった。次第にアキユキが引き抜こうとするたび咥えこもうとして、出るのを拒むみたいだった。 「パパ……パパ……」 息子が父親に夢中になってくれるのは心から喜ばしい。たとえこんな状況であろうとも腕を首に絡めて、足をひろげるようにして息子を肛門で受け入れていた。思い切り奥をこすりあげられ圧迫され、内蔵がパンパンにされてはへこまされる。 ずんっ! ぐりゅり! ずんっ! ぐちゅり! 太くて硬いペニスをねじ込まれては引っこ抜かれる。 自分では決して触れられない内側を、アキユキに突き入れられた。 お尻からグチュグチュはしたない音をあげ、女性みたいに粘膜をローションで濡らしている。体内をつきたてられるごと、衝動が体中に発生し目を閉じながらアキユキを感じてしまっていた。もっと悦びが欲しいと穴に意識を集中し、ずるずる雁首で中をえぐられてしまった。 「尻……すごい……チンポ気持ちいい……パパのアナルで、俺イキそう」 ドライしたての肛門がよほど気に入ったのか、動きはいっそう激しくなり、暴力的だった頃にされていたときみたいな素早さ。そして力強さを持ち出した。いや、あのときより勉学と部活に励んでいた分、こちらのほうが一段とましている。 「きゃぐっ! きゃっ! きゃうう! も、きゃっ!」 僕の尿道からカウパーがたくさん流れていた、まるで眠りこけよだれをたらすみたいだった。排泄器官である場所を息子に突き立てられ追い詰められている。穴がギュポギュポいやらしい空気を混じえ、耳まで粘つくみたいだった。 「パパのアナルで、俺イキそう、イキそうだよ。こんなの我慢できない……」 射精が近いのかアキユキに抱きしめられる。熱い男同士の体が密着し、長湯したみたいに茹だってしまう。おのれの射精を促すためアキユキの腰がいっそう速くなり、何度も奥を責め立てる。僕よりずっと立派なもので突きあげてくる。そのたびローションが卑猥に響き渡り、ますます興奮してしまう。僕も同様で、隠しきれない喘ぎを漏らしながら根本より込み上げてきているものがあった。 「きゃっ!」 僕が吠えると、穴の中身を引っ張られながら押し込まれる行為が最高潮に達する。 アキユキは無言でケダモノの呼吸をしながらグチュグチュ結合部を鳴らし、最後の一突きとばかりに奥を突きあげ停止した。その亀頭はビクビクして、もう限界なのだと肛門で察し僕はよだれを垂らす。 「パパ……!」 息子の呼び声を聞きながら、 ドピュッ! ドププ! 肛門に注がれた。 くぐもった喘ぎをあげながら、僕に精液をうちだしている。 先程に手のなかで起きた生理現象が肛門でくりかえされていた。 二度目とは信じられないほどの量がドププと肛門に出されている。 内側をみるみるうちに濃いもので満たし、注がれていると僕もぞわりと浮き上がった気がして今まで溜まっていたものを大量に溢れさせた。息子の景気がいい射精の勢いとは真逆に、それこそ涎をあふれさせるみたいに精液がドロドロ尿道を通り抜け、僕自身と椅子を汚していた。一部がアキユキの膝などに垂れて、ぷんっと若い男と大人の精液臭が風呂場を満たしていった。 「ふぅぅ全部を出し切った感じがする」 僕はアキユキに返答する余裕もなく、ぼーっとしていた。 すると洗面器をひっくり返され、前側部分をアキユキにあらわれる。 勃起に触れぬよう太ももなどを磨いてくれるあたり、気を配られていた。 僕は湯で頭が幾ばくかはっきりし、余韻に浸りながらも何とか動き出せた。二度寝をしようとしているみたいに体が覚束ないが、そこは父親としての心構えが身を突き動かしてくれる。 「大丈夫だよアキユキ。自分で出来るから湯船に入りなさい」 「うん、パパも入ってよ?」 ぬるっと引き抜かれ持ち上げられる。 アキユキに立たせてもらいながら二度目のドライ絶頂をし、先程はトコロテンのなんとも言い難い感触が股間を支配しひっくり返りそうだが浴槽に手をつけ踏ん張った。そんな僕を眺めながらもアキユキは股間を軽く洗い、ローションや精液とを拭い取ると湯船に浸かった。 「ふぅぅ良い湯だな、追い焚き押したよ」 「はいはい、じゃあ僕は体を洗ってから入るから、満足したらあがりなさい」 「やだよパパも入ってってば、すこし付き合ってよ」 浴槽に顎をあて、ぶーっと頬を膨らませる。 だから僕は可愛くなり頭を撫でてから頷いておいた。 こうしていられるのもいつかは終わってしまう。 いまのうちに、たっぷりと可愛がり甘えさせてあげよう。僕もアキユキと一緒にしたいから。 それから高校を卒業するまで、俺は父さんとセックスさせてもらった。 勉強も部活も校長で、これが親子愛の力なのかと驚きもしていた。誰かが傍にいると頑張る気が起きるってのは本当みたいだ。小中学校の頃よりもプレイがよくなったし、平均点もあがっていった。帰ったら親がいてくれるのがプレッシャーを拭い去って俺をリラックスさせてくれた。 だんだんパパと呼ぶのも恥ずかしくなり、女性と交際するようにもなっていた。 いまじゃ自分が女性にプロポーズをかんがえたり、野球選手になれるなんて想像もしておらず頭がパンクしそうだった。混乱の果てに思いついたのは、父親に相談することだ。近々に母さんも帰ってくるらしいので、父さんは機嫌がよかった。いや、俺と会ってくれるときは常に機嫌がよいから、きっとそうなのだろう。 「それでこっそり僕に会いに来たのはどういうことなんだ?」 夜散歩をしていたとき、スマートフォンで父さんを呼び出した。 近所のだれもいない公園。ブランコに腰掛け父親と会話するのは夢だった。 先輩選手からは「自分で考えろって」と一蹴されそうで言えなかったが、プロポーズの手順などを相談していた。世代は違えども一度は父さんが通った道のりであるから、言動のひとつひとつに重みがある。 「プロ入りして一年。体は出来上がってきたか?」 たしかに高校生で野球をしていた時期より、さらによくなっていた。でも筋肉がつきすぎるのも駄目だからとコーチングされ質にこだわっている。食事にも気を配っていて少し息苦しさはある。 「うん」 「父さんが相手してやらなくても安心か?」 「うん。父さんと話せるのは嬉しいけど、彼女がいるからさ」 高校の終わりが近くなるまで毎日に顔をあわせ、何日かごとに体を重ねていた。 すると、俺は父さんに勃起せず甘えられるようになった。 それが気持ちよくて、膝枕で寝かせてもらって、気づいたらおさまっていた。 彼女を相手に勃起しなかったらどうしよう、自分がゲイじゃないかと相談したときも父さんは「心配ない。考えすぎだ」そう慰めてくれた。その御蔭で俺は彼女と初体験も済ませて、交際を経て、プロポーズに悩んでいるというわけだった。 「あんなことがあって恥ずかしかったが、嫌じゃなくなったのが不思議だ」 父さんは俺達の秘密を墓場まで持っていくと決めてくれていた。 あの頃はどうかしていたのだと思う。だけど父さんを愛していたんだ。 自分から離れないよう犯してやるんだ! なかなか拗らせていたのは紛れもない事実で俺の偽りない本心でもある。 何をしようが父さんと一緒に過ごしたかった。 いっそ部屋を檻にして閉じ込めても構わなかった。 それをしなかったのは嫌われる恐怖のせいだろうか。 俺の中にある父さんへの想いが邪念を押し留めたと信じたい。 プロ入りしてから実家に帰るタイミングは減っているし、これから先もどうなるかわからない。だからチャンスがあるうちに、父さんに聞いておかなくちゃならなかった。 「あれからも父さんがその、つきあってくれたのは俺の傍にいない負い目だった?」 ブランコを軽く漕ぎながら、父さんは俺を見つめた。 「嫌だったことに変わりはないよ」 ああ、予想通りの答えが帰ってきて、俺はガックシ顎をさげるしかなかった。異常行為を無理強いさせていたこともあるが父さんから誘ってくれたこともあるので大丈夫じゃないかと思っていた。しかし、そうではなかったらしい。 「でも子供のために何かしてやりたいって思うのが父親なんだ」 ブランコを足で止め、父さんは俺に微笑みかけてくれた。その口調は本当に優しくて俺の心を温めてくれる。 「辛いなら少しでも助けになれたらと考え直すのも、やっぱりアキユキが大事な息子で可愛いからだ。おまえが大事じゃなかったら、だれがあそこまでしてやるものか」 この歳になって、野球選手になりポロポーズの方法を質問していたのに『可愛い』と言われるのは複雑だった。そのはずなのに俺は満面の笑みになっている。筋肉の動きで俺がいまどんな幸せ面をしているのかわかってしまった。いまにもブランコを漕ぎ出したくなるがやらない。父さんの顔が見えなくなるから。 「ずっと背を向けていたから、尽くしてあげたい。親心がそう望んでいたのかも。まだアキユキの父親でいられる。放っておいた息子の親でいられるか、そう悩んでいたのもあるかもしれない」 父さんは言いながらニッコリとして、ブランコから立ち歩き出した。それを見つめ隣に並べば二メートルちょっとある俺からすれば父さんは小さかった。だけど大きく見えるのは父親だからだろうか。 「もしもの話だけど」 これも聞いておかなきゃならない。いや言っておくべきだ。 ちょっと恐る恐る、薄暗い住宅地を歩きながら父さんに問うた。 「父さんは俺が男が好きになったとしても、応援してくれた?」 「したんじゃないだろうか」 大した時間をおかずに、ほぼ即答と言えた。 そっかと俺がうなずき安心していると、父さんはさっきみたいにニッカリ笑う。 「ただし、僕以外を選んでくれるならね」 こんなに大きくなったのに、俺はぜんぜん父さんに勝てる気がしない。 いずれメジャーリーグの門を叩こうと、雑誌やテレビに褒められようと勝てる気がしなかった。 実力や財力ではおよばないものを、父さんから感じていた。 いったいこれはどこから来るのか見当もつかない。だけど近づけたら、より素晴らしい男になれて選手としても活躍できるんじゃないか。 「どうすれば父さんみたいになれるかな?」 「すぐにわかる。だって、プロポーズをしたら」 父さんは言葉を区切り、もったいつけてから俺の胸に拳をつけた。 「アキユキは『父親』になるんだぞ」 僕はおじいちゃんだ。 父さんは言いながら笑った、大声で楽しそうに、今にも走りそうな陽気さを讃え俺の背を叩き下から見上げながら言った。 「頑張れよ、お父さん」 「いい父親になるよ。妻と子に愛されるくらいにね」 将来は立派な親になると強く誓った。 隣で微笑んでくれる、俺の大事な父さんみたいに。