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イチゲン
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少年ヒーローは駄肉に沈む 前編

 ひゅんっ――――  空を切り、スタイリッシュな黒コスチュームの獣人が宙空を舞う。  月夜を切り裂くように車の前へと躍り出て、まばゆいライトで照らされる。  黒い装甲車らしきものは、ブレーキを踏むどころか加速し、跳ね飛ばそうと勢い良く迫ってくる。  が、獣人が手を突き出した途端に、弾かれたように跳ね上がり横転。  彼からすれば、大したことはやっていない。せいぜい斥力を軽く発生させただけ。 「クソ!」 「何が機密情報は漏洩しないだ!」 「知られたんだから仕方ないだろうが!」  よろしくない組織から買ったのであろうテクノロジーを凝らした装甲車から這い出てきたのは、これまたガラの悪いチンピラだった。彼らは即座に銃を抜き発砲する。 「ぶっ殺せ!」 「もう自棄だ!!」  闇夜に銃声を響かせ爆ぜた火薬の光と煙を撒き散らす。彼らに出来たのは、それだけだった。  獣人が軽く手をふるえば、全員が殴られたように倒れる。 「ぐえ」  そして、呻くものと気を失うものの二つにわけられていた。  獣人は億劫げにため息つき、装甲車の周辺を目視で確認する。  全身をダイバースーツと似た、特殊スーツに身を包んでいた。その黒い繊維質のものから浮かび上がるシルエットは細身の…………ボルゾイ犬らしい優雅な背格好だった。  シャープな口元は整い、気品を感じられた。  切れ長の瞳はどこか人を寄せ付けぬ鋭さがある。  しかし、身長は百五十センチ未満と小柄で、筋肉のつき具合から思春期に差し掛かる手前であると判別できるものもいただろう。 「……また、末端か購入者か」  ぽつり、まだ垢抜けていない少年らしい声をあげる。  彼は紛れも無く少年にして、使命に燃えるヒーローの一員だ。  招集をかけられ馳せ参じたのはいいものの、今日も小物だった。  これもまた、正義のため、世のため人のためとわかってはいるが。 「ふ、ああああ」  あくびをしてしまう。  どれだけ物静かで賢く振る舞おうとも、子供っぽさは抜け切らない。  昔はこんなこともなかったのに、と仲間達に言われる回数も増えた。  かつては情熱的に、精力的に活動し決して抜けた態度は取らない人物。  いまも決して、それは変わっていないのであるが、 「毎日これじゃあ、安心して眠れない」  睡眠を楽しみのひとつにしている年頃からすれば、真夜中に犯罪者が増えるのは喜ばしくなかった。また末端をいくら潰そうとも根本にはダメージがないのでキリもなし。このままでは疲れるばかり、くたびれるばかりだ。感覚的には延々とRPGのレベル上げをしているみたいなもの。効果を感じられない。 「少しもボスに辿りつけない」  少年の名はスナップ・ドギィ。  疲れ気味ではあるものの、志を持った正義の味方のひとり。  経験値も得られないくらいのザコ敵が相手であろうと馳せ参じる、ちいさいながらもヒーローなのだ。  後日。  あれから何度も悪人を片付けているのに、次から次へと湧いてくる。  ランダムエンカウントの無限湧きを相手にしているようなもので意味が無い。  こう出番が多いと、クールが売りのスナップ・ドギィとて気が滅入ってきた。  連日の招集を受け、連日の出動となり、連日の戦闘を経験する。  今では『ダウナーが売りかな』と茶々を入れられるくらいには疲れていた。  それでも嫌がらないのは正義の味方であるプライドと、使命に燃える熱いハートがあるからだ。その証拠に、瞳の奥では悪を断ずる強さが研ぎ澄まされている。  夜の街を、常人には見えぬ速度で走るなど造作も無い。  黒いコスチュームから下がる尾を腰になびかせ、にぎった両手を振る。  雑居ビルの隙間を駆け抜けて、風を耳に目的地へと急ぐのであったが。 「…………?」  事前に本部から与えられた情報では、アジトがあるらしい場所にいた。  しかし、ここには誰もいない。オフィスらしき場所…………会議室らしい場所。あらゆるものがあり床に傷。テーブルに傷や紙切れらしきゴミが落ちているなど使われていた痕跡はあちこちにあるのだが。  空き物件さながらの静けさしかないうかがえない。  だから、ガセネタを掴んだのではないかと報告しようとした。  頭につけたバイザーの通信装置をオンにしようとしたときだ。 「ん、ああ」  気の緩みから、戦わなくていいことの安堵感からか。  ドギィはあくびをする。細い口先をめいいっぱいに広げた、大あくび。緊張感が抜けてしまっていた。 「どうしたの?」  気配がなかった……、こんなにも大柄で目立つというのに。  部屋の隅に立っていた人物は、やんわりとした優しい声色の持ち主だった。  全体的に丸っこくて、ひとなつっこい笑みに、相反して不気味に見開かれた両目が獲物を見据えているみたいだ。  やさしさの奥に邪悪なものを感じ取る。  だが、やさしいのも嘘ではないらしい。  子供らしい鋭敏な神経が、そう語りかけてきた。  なぜ丸いのか?  それは無駄なくらい贅肉を溜め込んでいるせいだった。  ほっそり引き締まったドギィとは相反して、薄紫色のコスチュームの外見は丸みを帯びていた。  大きくて張りのある、サッカーボールみたいな胸。  水風船みたいな頬も、ころころ坂を転がりそうだ。  特に目を引くのが腹回りの、どぷんと垂れ気味の脂肪。  かなりフィットするデザインなのだろう、へそ周りおよび、そのくびれに横腹の盛り上がり、重力に敗けた肉質などが浮き彫りになってしまっている。種族は、よくわからなかった。たぶんカバ……いやネコ(のようにも思える)。かなり太っているせいで原型から離れていた。 「――――!」  それでも、凶暴な野獣めいた、獲物を見据える瞳に恐ろしさを覚える。  にっこりと口をほころばせて、前かがみになる女性は、やはり不気味だ。 「さっきあくびしてたけど、眠いんじゃないの?」  太っている見た目のとおり、鈍い動きにのろい喋り方。  だったらどうした、と睨みつけるが彼女はやんわり受け止める。そして、またしてもやんわりとしたふうに微笑むのだった。たぷん、たぷん、と水枕みたいに揺れる乳房が目にうつる。  なぜか、どきん、と胸が弾んだ。  気になる女子を見たとき、女性を美人だと思ったとき。  あれを何十倍にも強くしたものが、胸の奥に発生していた。 「あ、お姉さん太っちょだから、気になる? 恥ずかしいなぁ」  言いながら、彼女は恥じらったふうに、なだらかな腹をさする。 「こんなに無駄な、お肉があるから……カッコ悪いよねぇ」  両手を胸におしつけてやれば力に従い形状を変え、離せばポヨンと弾んでしまう。腹を押せばへこみ、ふたたび丸くなるのであった。そんな不思議な動きを見ていると、口のなかから唾液があふれる。  首をかしげず、注意深く敵を睨みつけていた。  いつでも対応できるよう気を配っているとき。 「?」  甘い香りが、漂ってきている。  母親から漂う匂いと似ていて……女子や女性とすれ違ったときの、甘く魅惑的なものだった。 「う~ん、やっぱり太ってると変かなぁ?」  彼女は言いながら、自分の体を叩いたり押したりを繰り返す。  さもコンプレックスにしている素振りであるが、瞳には自信がみなぎっている。  それをするたびに、匂いが強くなっていることに気が付き……ドギィは腕を振るう。 「きゃっ!?」  斥力場を発生させて、腕の動きに合わせ対象を弾く。スナップ。  彼女は抵抗さえもせずに、いや、出来ずに? 目を閉じて壁に激突する。  ふっくらと盛大にコスチュームないの皮下脂肪で膨らんだボディが大激震。  ゼリーかプリンみたいに踊る姿に、ドギィは眉を寄せた、初めて視る光景だったせいだ。 「いたいよぉぉ……ひどいよぉぉ……おねえさん、眠いんじゃないかって、聞きたかっただけなのにぃ。太ってるからって酷いこと、しないでよぉぉ」 「…………」  立ち上がらず、床に女の子座りをしてしまう始末。  大人にぐずられる経験なんて、ドギィはなかった。  ヒーロー活動をしていればしっかりした大人が集まる。 「デブだから? ねえ、デブは醜いってことなのぉ?」 「いや……そういうわけじゃなくって」  だから、こんなに子供っぽい態度をされるのは対処に困った。  曲げられた足もまた、むっちむちにふとましい。曲げられた両手足はコスチュームを押し上げ、パツパツさせている。 「おねえさん、悪いことしてないよぉぉ?」  床に尻をつけ、猫背で主張される。  横幅の広い肉体をもてあまし、バストをたわませた。 「ねえ、どうしてそんなに不機嫌なの? 眠くてイライラしてるんじゃないの?」  そう訪ねてくる始末である。  さっきまで哀しそうな態度をしていたくせに、これだ。  自分が悪党なのではないかと錯覚してしまうくらいに驚いた。 「……調子が狂うな」  後頭部をかきドギィは、目を点にし硬直する。  また驚かされた。そのバストはよくよく見れば、相当にデカい巨乳だった。  それはとっくにわかっている、認識した途端に首から頭が熱していくのだ。  サッカーボールくらいの大きさだ、そう思っていたのを思い出してしまう。  肩幅から飛び出すほどのサイズであり、彼女が動くたびに、上下に左右に揺れ動く。  ゆさっ……ゆさっ…………  胸がドリブルしているみたいだった。  肉が揺れている、それだけであるのに。 「……ぁ……ん…………!」  落ち着かない、恥ずかしい気持ちだった。  ドギィはもじもじと膝をこすりつけ合わせる。  視線を合わせられず、肉体を目に入れられない。  ただ、どうしてなのか、胸を締め付けられていた。 「なん……で」  かつて、こんなふうな気持ちになったことはない。  あるとすれば、性差異を意識しはじめたころ……裸の女性を見つめられなくなったころ以来だった。 「どうしたの? もしかして、具合悪いんじゃない?」  ぎょっとした、薄紫色のコスチュームが眼前にある。それも息の掛かる距離だ。あの凶暴な猫の目をして、優しいフリして微笑んでいた。  意識を逸らした一秒にも満たぬ時間に急接近されて、胸が正面で踊っている。  ボールを弾ませたみたいに、上下に、ぱいん、ぱいん、と元気よく。 「あぅ……」  さらに恥ずかしくなる、ほっそりした少年の肉体を一歩さげさせ見上げれば、ニヤリと目を細めた悪女がそこにいた。彼女は前かがみに、胸を強調してみせた。 「これはもしかしてぇ」 「!!?」  臨戦態勢に入りかけた瞬間。  すっと頬へ触れられる。弾きも出来ず、払いも出来ず、女性の甘い匂いがして、不思議な感覚になり…………目を白黒させた。恥ずかしさが、津波のように押し寄せてくる。 「おちんちん、勃っちゃったんだ?」 「ち、違う」  即座に否定する、なぜか恥ずかしくなる。  デリケートで、どうしてか見せてはいけない場所。  そこをこんなに恥ずかしい気持ちの中で問いかけられる。  女性を見ていると、見せるべきでない場所が大きくなった。  たまに起きる知らない事情に、年頃の少年は興味と嫌悪を持っていた。  不幸にも、獣人の女性は雄の懐柔方法をしっかりと熟知しているのだ。 「ほんとう? うそついてなぁい?」  やさしくて、やわらかくて、あったかくなる口調。  幼稚園の頃に保母さんにあやされた、あの記憶が蘇った。  視線を合わせていないドギィはきづけなかった、彼女の変化に。 「こっち、くるな」 「あぁ、やっぱり、うそついてるんだぁ?」  これ以上ないくらいにつり上がった人食いの口。  肉を前にした猛獣の瞳に、どす黒い欲求を溜めていた。  そんなことは汁とも知らずに、ドギィは股間に手をやり身を反転させようとした。正義に燃える少年ヒーローは、ここまで迂闊な真似をした経験なんてこれまでになかった。  常に冷静であり熱意を持っていたのに。  愚かにも背を向け、背後から抱きついた、捕食でもするみたいに。 「ッ」 「えい♪」  大きな大きな乳房が、後頭部に押しつけられて潰れる感触。  びくんっとドギィの体には緊張が走るのに抵抗はなかった。背中から水をかけられた子犬さながらだ。 「おねえさんに、みせてみて?」  頭の上にあるイヌの耳を、落とされた囁き声でくすぐられる。  いまドギィが振り向けば甘い香りの有無にかかわらず、抵抗できたかもしれない。  裂けた猫的な口が、牙を連ねて唾液をしたたらせ、瞳をぐっと開き獲物を見下ろす。それは童話の怪物や、子供を怖がらせたチェシャ猫の笑みをより凶悪にしたものだった。  しかし、激しい抵抗が出来ないのであれば、未来は変わらない。  ドギィのちいさな頭は、豊満な胸の谷間に捕食されているからだ。  恥ずかしがった少年が胸のドキドキに目を白黒させ、困惑している。 「む、むね、むね、あた、ってる……」 「うん、おっぱいが、ぼうやの頭をぱっくん、しちゃったね?」  凶暴凶悪の口から囁かれる『おねえさんの誘惑』。  コスチュームを押し上げる恥ずかしいを手で隠していた両手は……そっと薄紫色の両手に阻まれて、バンザイをさせられてしまった。 「あららぁ?」  黒い素材をおしあげて、元気な男の子がすっかり『やる気』になっていた。  股間の血流の勢い、その硬さに跳ね具合。  どれもドギィの神経を通っている。 「あらら、あらら、これはこれは、うそつきさんの証拠だねぇ?」 「ち、ちがう、ちがうよぉお」  何が違うのか、ドギィ自身もわかっていない。  一部だけはわかっている、勃っていないのが嘘ということだ。  ただ恥ずかしくて、なぜかこみあげる罪悪感で焦り、鼻を鳴らす。  しかし、悪意ある笑みを消して、彼女は頭をよしよし擦るのだった。 「恥ずかしくないよぉ、なぁんにも悪くないよぉ。こうなるのは、男の子ならあたりまえなんだから。だいじょうぶだよぉ?」 「…………」  涙目で震えながら、手から逃れようとする。  いまのままでいたら何かされる。されないはずがない。  コスチュームを装備しているはずが、その腕力は普通の男の子並にしかなかった。変な気持ちが心中に渦巻き頭がポーッとしていく。熱い浴槽で長湯したみたいに。 「眠くて、落ち着かなくて、たいへんなんだよね? よしよし、こどもなのにヒーローなんてえらいよ、えらいねぇ……つらかったよねぇ」  また頭を撫でられる。  相手を気遣い慰めようとする慈愛に満ちていた。  この上ない安堵感に甘い匂いがして、ドギィは目を閉じ尻尾をかすかに振り始めた。それは、密着状態の彼女には、すぐ察せる心境変化。 「ねえ、ねえ、すっきりしたくなぁい? おっぱい、おしり、さわってみたくなぁい?」 「…………そ、そんなこと」  俺は正義の味方だ、おまえを倒してやるんだ。  そう、心の奥底の自分が燃え上がり、腕をふるおうとしたときだった。  すっと、ふとましい両腕に抱きしめられて……顎を頭に触れられていく。 「あ……」  母親にされたときみたいに、毒気を抜かれる。  全身が脱力していき、しかし股間は熱く痛くなった。 「つらいよね……くるしいよね……、ずっと気張って頑張って、大人たちに振り回されて嫌だよね。ほんとうはもっと、遊んでいたいよね」  言い当てられている。  思考は抜けていき脱力しているのに。  おちんちんは痛くて、硬くなるのだ。  ヒーローは、鎮められるのを望んでいた。  腕に抵抗できない、やさしく温かいから。 「だいじょうぶだよ、おねえさんにまかせてね。これは、おねえさんと、あなただけの内緒だからね? だれにも言わないって、約束してあげる。だからね、たまには大人に甘えましょうね。きっとスッキリさせてあげる」  後頭部をぽんぽん、とされた。  あやしいコスチュームを着た悪女の声が、心に染みた。  なぜか、ドギィは素直すぎるくらいにうなずき、手をひかれるがままに別の部屋まで連れ歩かれてしまった――――。  すべては、罠であるとも知らずに。  いや、頭では承知していた、倒さなくてはならないのだと。  心でもわかっていた、これは危ないやさしい怪物なのだと。  しかしドギィは拒みきれなかった、雄を悦ばせ楽しませるために膨れ上がった贅沢な肉を前に、理性はいともたやすく弾かれてしまったから。  甘くていい匂い。  優しい女性の声。  柔らかい肉質の体。  そのどれもが、ドギィを惹きつけてやまなかった。 「仮眠室へようこそぉ、かわいいスナップ・ドギィくん」  おいでぇ、と。  彼女はベッドで女の子座りをして、両手をひろげる。  薄紫色のコスチュームに、体毛も同色であるらしかった。  なぜ名前を、そう考えた瞬間にたぷたぷ震える体に釘付けだ。  股間をおさえながら、生唾を飲んで、彼女の側によっていた。 「キミィ・テンプッシーのそばに、いらっしゃい。気持ちよくなってぇ、すぅぅっきりさせてあげるからねぇ」  聞き覚えのある、悪党の幹部。  その悪女は、何度も男漁りをした経験があると噂されている。 「はーやぁく、はーやぁくぅ、ないしょのこと、いっしょにやろうねぇ」  だが、男漁りというワードは知っていても実態は知らなかった。  子供らしい知識量の浅さが、キミィを楽しませる時間を設けた。  これみよがしな舌なめずりに細められた両目……それでもドギィはベッドの上に這いよりキミィの肉体にもたれかかっていた。 「それじゃあ、いいこいいこ、してあげようねぇ」  言いながら赤子にお乳を飲ませるような格好で抱かれる。  ドギィの大きくなったものは、痙攣を繰り返し、キミィは先端をつついた。 「ふぁ」 「ふふふぅ、へんなこえ、もれちゃったね」  なぜ声が出たのか、膝がはねたのか、ドギィはわからなかった。  頭が燃えあがる、胸がドキドキしてキミィに甘えたくて仕方がない。  それが雄の生殖本能。ただただ子孫繁栄を成し遂げたいのだった。  まだ番いをつくる年齢でも、ましてや交尾をする年頃にも達していなくとも、キミィの色香と肉体に吸い寄せられていく。 「ねえ、この着てるものがなくならないと、おねえさんすっきりさせてあげられないんだ」 「え?」  思いもよらぬ台詞に、にんまりする口元。 「だめかな?」 「ぬ、脱がないけど……ここ、だけなら」  ドギィは腰の側面に手をやり、コスチュームの股間部をひらく。ぶるんっ、と元気よく外出する年端もいかない肉棒は、生意気にも先走りをしたたらせキミィの目を楽しませてくれた。ちいさく愛らしい、ぱっくん頬張りたくなる睾丸を舌なめずりして見下ろしているのだった。 「へんなスーツ。もしかしてぇ、おちんちん、こうするための機能かなぁ?」 「ち、ちがう。おしっこするとき、こうしないと出せないから……スーツ、汚れちゃう」  消え入るようなドギィは言う、よしよし頭をなでられる。  そしてキミィの手が、ゆっくりと接近する。このままじゃだめだ、そうドギィは何度も考えてパワーを使うべきだ、そうするべきだ、何度も頭で叫んでいた。 「だ、だめ」  弾こうとした、払おうとした、しかし震える口先から出たのは弱々しい否定だけ。きらっと光沢のある薄紫色の魅了的な魔手から逃れられず、ニギられるだけだった。  ドギィは途端に尻尾がふくらみ、目の奥で火花が飛び散ってしまう。 「はぁい、ドギィくんのおちんちん、キミィの手におさまっちゃいましたぁ」 「ん、ぁああ」  あくびでもするみたいに、喘いでしまった。  血管の浮いた、赤々としたケダモノの部分。  少年ヒーローのものとは思えないくらい、どぎついシロモノだった。  まさに将来有望『株』。これは期待できるとキミィは胸を震わせる。 「ふぅん、ういういしいけどオナニーとか、するのかな?」 「おな、にー?」  ぼんやり聞き返すドギィは潤んだ瞳でキミィを見上げる。  欲求不満をどうにか解決したくて、敵に身を委ねた哀れな子犬。  そんな彼は、問われたことの意味を心底わかっていなかった。  逆に、期待をふくらませるキミィは極上の獲物を前に『絶対に捕食する』との決意を燃やす。 「こう、おちんちんを自分で、い・じ・る・コ・ト」  薄紫色の手が、その幼い象徴をさすりあげる。  握るか握らないかの圧で、やさしく、ねっとりと。 「ふああ!?」  ドギィは溜息に近い悲鳴をあげ、膝を立ててしまう。  やわかいキミィの体はその程度の反撃に揺れることはあれども、ひるまない。まったく意に介さず、どころかドギィは甘い匂いをさらに吸い上げ、状況を悪化させてしまう。 「シコシコぉシコシコぉシーコシコぉぉ、気持ちいいねぇ」  正義のヒーロー、ドギィ・スナップ。  彼は黒いコスチュームの股間部を開け、倒すはずの悪女の前で蕩け顔……誘惑に抗おうともせず、息を切らせて何度もうなずいてしまう。ふかふかの腹肉と胸肉に身を擦り付けるのを我慢している程度だった。 「…………うん、うん」  素直な返事。キミィの胸に少しばかりの驚きがあった。  前評判では若いなりに成熟した人物像だと教わっていた。  しかし、背伸びを強いられた子供に過ぎないと確信する。  もっともっと可愛がってあげよう、優しく丁寧に、温かく柔らかく、そうキミィは自分の鼻を舐め尾をくゆらせる。今夜は最高の獲物にありつけたと、感謝しながら。 「あぁ……」  ドギィはうめく。  大事なところを悪女のコスチュームで可愛がられていた。  いまの彼は、そんなことよりも肉のやわらかさに意識を向けている。  街中で美人だと感じた人や同い年の女の子と比べ物にならない、肉。  ドギィは体のみならず、足や腕にも沈み込んでいくのを感じていた。  それが、布団に包まれるみたいな、母に抱かれたような安堵感を与えてくれた。 「きもちいかなぁ?」 「うん」  キミィの一言に、ドギィは驚くほど簡単にうなずいてしまう。  ヒーローコスチューム越しに感じる肉感に、性器は更に硬く太くなっていく。 「元気いっぱいだねぇ、えい、えぇい」 「あぁぁぁっ」  にゅぅぅ、と胸を顔に押し当てられる。  肉感たっぷりのバストに甘えながらの手コキ。  つるつるのラバー質っぽい素材は、ドギィの先走りを潤滑油にし、指の一本一本がむちむちで、手のひらはむっちりとしているのだから、少年ヒーローが耐えられるはずもない。 「きもちぃ、よぉ」  ドギィは上ずった声で腰を降り始めてしまう。  しかし、キミィの手がこっそりと、コスチュームを掴み制してしまった。 「なん、でぇ?」  鼻にかかった吐息をあげ、ドギィは問う。  キミィはゆっくり上下にスライドする手を早めようともせず、額をぺろっと舐めてやる。途端に、甘い香りをいっぱいにすってしまっただろうドギィは力ない目で、ピクンと耳をかたむけた。 「勃起おちんちん気持ちいねぇ」  全身に感じる、女性の温かさ、脂肪の柔らかさにムチムチの弾力。  スーツの密着感……股間をぬるぬるにさせる先走り。そのどれもがドギィを責め立ててていく。  性的欲求の認識すらない少年が。  艶やかな女性に五感を刺激されている。  握られただけで喉を震わせる子供が相手では、 「ンッゥゥ!?」  ドクン、と子供が射精をしてしまうのも当然だ。  ぶるぶる震えながら、ガチガチになった肉棒をキミィの手で暴れさせ、ねっとりしたものを吹き出してしまっていた。だが、匂いは強くない。せいぜい、生っぽいくらいの収穫未然の未成熟。 「あぁ、出ちゃった出ちゃったぁ」  悪女の膝の上に腰掛け、腕で身を支えられ、全身を肉で抱かれている。  倒すべき敵のコスチュームを白く汚し、おませな匂いを漂わせていた。 「んぅ……なんか、出てきた」  不安げに、切なげに、潤んだ瞳のドギィ・スナップ。  いきりたたせた幼いものを、握りしめられハアハア息を切らせるばかり。  出しきった白いものがひどくネバネバしていると気づいたあたりだった。  見下ろしているキミィと視線があう。まん丸で猫の鋭い瞳をしていた。 「まだ、おちんちんガチガチだねぇ、すっきり、たりないねぇ」  キミィは子犬の後頭部をよしよし撫でてやり、すぐに手を動かし始めた。 「ふあああ!?」  ぶちゅぶちゅ、未熟な子種が薄紫色の手で泡立ち鳴った。  沸き立つ女性の香り、自分自身の出した若いオスのにおいを嗅いだ子犬は目を白黒させて、気持ち良すぎる股間部に思考が流されていく。脂ぎった猫の肉体に、劣情をこらえきれず胸を高鳴らせ締め付けられる感覚を与えられていた。 「あぁっ! うぁあ!」  びゅちゅちゅ ぶちゅちゅ  肉の先端から飛び散った我慢汁に本気汁。  その二つがヌルりとして、敏感な亀頭部をなぞりあげていった。  また、竿の血管の凹凸が感じられるほど巧みな手つきで扱かれる。 「きもちいいよねぇ、ドギィくん。だいじょうぶだからねぇ」  先程よりもずっとスローペースな口調。  よしよし身を抱き寄せて、心配なんてないのだと、キミィは伝えた。  正反対に、股間部はぬめりで滑って、いままで以上の速さでコスった。  ぬちゅ、ぬちゅぬちゅ、ぬちゅ、粘りのある音に男女の匂いがドギィの神経を頭ごと炙るような強い刺激。  手が往復するごとに、ドギィは切ない吠えをあげる。  しかし嫌がり押しのけようとか、能力を使うなんてこともない。  戸惑いながらも感覚を受け入れて、キミィにすべてを委ねていた。 「おにく、うごいてる……」 「ごめんねぇ、おねえさん、ふとっちょだから」  ドギィをもてあそぶ手の動き、それは胸肉をはじめあらゆる脂肪に振動を加えていた。まるでマッサージ器のなかにでもいるみたいに、リラックスしてしまっている。その動きがさらなる芳香をあげているとも知らず、囚われの身となったヒーローは甘え嬌声をあげながら、尻尾をピクピク悦んだ。  肉と肉がふれあうごとに、ぺたぺた鳴り素晴らしい感触。  ドギィが二発目を出すのは、それからあっという間だった。 「ああ!」  箱のなかで縮こまるみたいな格好で、少年ヒーローは充血しヌルヌルになったから穴からドピュっと汁を吐き出してしまう。それから裏筋を指でくすぐられるような手つきをされて、あっさり悶絶するドギィ。 「出た出た二回目ぇ。すごいねぇ、ビクビクしてるねぇ」  玩具で一緒に遊んでくれた保母さんを思い出す。  あのときは何も考えず、ただ褒められ充実した日々だった。 「はーい、うごかないでねぇ」 「……んぅ!」  穴の奥から搾り上げられる、精液の残り。  ちょっと塊のある感じはするが、子供のそれは汁気が強くヌルヌルだた。  快楽で頭を埋め尽くされ使命も正義も忘れかけ、揺れる爆乳を目にする。 「すっきり……あららぁ、まだ、足りなそうだねぇ」 「う、ん」  二度目の射精。自分の黒いコスチュームと、キミィの薄紫のコスチュームを白く染めてなお飽きたらず、痙攣をくりかえし、まだまだ暴れたりないと『おませ棒』を振り回してしまう。恥ずかしくなり、両手で顔を隠すドギィであったが、そのさいにキミィの口がつり上がっていたのを見逃してしまっていた。今までと違い、嬉しそうな態度であったことにもきづけなかった。 「それじゃあねぇ、もっときもちいいぃぃこと、してみようかぁ?」  キミィの問いかけに、どう言えばいいのかなんてドギィはわからない。  もうコレ以上は駄目だ。帰投しなくては、上からなんと言われるだろう。  そう思っていれば通信装置がコールを告げる、報告をして司令を受けなくてはならないのに、キミィは言った。 「ヒーローだから、我慢できるよね?」  そう意地悪っぽい目つきで、にこりとした。  ドギィは興奮で震える指にて、バイザーのスイッチを押した。通信をオフにしたのである。 「がまん、できない……できないよぉぉ」 「そっかぁ、もう無理かなぁ。いいよ、おいで」  キミィは言いながら四つん這いになる。  薄紫色のコスチュームの股間部にスリットが開き、お尻の穴まで丸見えになった。しかし殆どの部分は隠れてしまっていて、悪女の色合いとは裏腹にこげ茶色の、落ち着いた色合いをした地毛が顕著に見て取れた。 「ドギィくんのおちんちんをね、ここにいれるんだよ」 「い、いいの?」 「うん、ほら、甘いにおいがして、ヌルヌルで、もうおちんちんいれたいよぉって準備万端なんだよ」  言いながら、キミィは局部へ両手へ伸ばしひろげる。  尻尾のつけ根に遊び慣れているのだろう広がった肛門に、グロテスクな肉片が食み出たヴァギナが指で大口を開けてしまう。 「はい、おっきなヴィランのおしりにのしかかって、腰をふるんだよぉ」  ドギィは生唾を飲み、すぐに前かがみになる。  言われたことの意味はわからなかったが、うずきを早く解き放ちたい。  正義も使命も何もかもを忘れて興奮のおもむくままに、動きたかった。  先走りで汚れた幼いものを、遊び慣れた穴に挿入してやれば、ヌチュゥゥと唸り声みたいなものが聞こえてしまった。メス粘膜にオス粘膜が口づけをした音色だ。 「あっぅぅぅ」  ドギィは溜息をつきながら目をとじる。  柔らかな肉のかたまり。ぱちぱち音のする『おしり』に身を預けてしまう。尻尾が潰れてしまおうともお構いなしに、ぐっと腰を突き立てて、二度も射精した『おませ棒』を悪女の穴に、根本まで突き立ててしまっていた。 「す、ごぉ、ぃぃ」  ドギィは口をパクパクとさせ、スマートな体をふるわせる。  尻尾はパタパタせわしなく揺れてしまい、嫌な顔ひとつしないキミィに魅了されてしまっていた。彼女が枕に頬杖つきニヤけているなど知らず、股間全体をくすぐられるような刺激に感動するばかりだ。 「アンっ! そうだよ、おねえさんもきもちいよぉぉ」 「うん、うん……」  ドギィはすっかり夢見心地。  同じ感動を共有できるのだと悦び、腰を降り始める。  おしりに全体重を乗せ背中に手をかけ、ひたすら前後し始めた。  肉穴のひだひだは一つ一つが意思を持つようにドギィの股間、その凹凸を舐めシャブリ愛液をすりつけていく。何本もの濡れ筆で愛されたみたいなくすぐったさに、唇で挟まれたみたいな吸引具合。 「きもちぃ、きもちぃいよ! おねえさん、おちんちんきもちぃぃ」  よだれを溢れさせた口を開ければ、犬の歯は糸をひいていた。  もう使命や正義感のみならず、理性も思考もかなぐり捨ててキミィの肉にかぶりつかんばかりの勢いで、必死に交尾を楽しみだす。いや、その余裕すらないほど、腰使いは荒々しく単調なものだった。この硬さを和らげたい、その本能だけが彼の胸で燃え出した。  ぬちゅぬちゅぬ ぬっちゅぅ 「アアアアッ」    膣全体が粘っこく絡みついた、キミィが意図的に締め付けただけの話。 「でちゃ、うっ!!」  百戦錬磨の少年ヒーローといえども、初めての攻撃。それも急所をこうも攻められてしまえば為す術もなかった。彼に出来たことは射精欲求をこらえず、頭を焼かれるような感覚に翻弄されながら、尿道を限界までおしひろげ――――漏らすことだけだった。 「んぅ、ドギィくんがんばったねぇ」 「しめ、しめてぅぅ」  四つん這いで頬杖ついた肥満猫のおしりに欲望を吐き出しながら、少年ヒーローは膣しめ攻撃で亀頭を舐め回され、ついに倒れてしまう。猫の背に全身を押し付けながら、繋がった上体で肩を上下させての様子は、戦いの果てに満身創痍になったみたいだ。  キミィがちょっと尻で押しのけてやれば、くたん、とベッドで仰向けになる。  虚ろな瞳。しかし股間はちょっとも休まらず、いっそう硬く充血してしまっていた。 「おちんちん、いたいぃぃ」  気持ちが良いのに、ガチガチ震えて根本までが辛かった。  黒いコスチュームは太もも全体がキミィの愛液で濡れている。  玉袋や竿にも愛液に、真っ白な精液の残りをこびりつかせていた。 「三度も出したのにねぇ、ボッキンしててつらいねぇ」  すでに三度も出した。  二度の手コキに、色を知るには早過ぎる歳での交尾。  股間は、物足りないとドギィを苦しませ悩ませてしまう。  刺激している最中に出している最中は無我夢中でわからなかったが、落ち着いて、仰向けになっていれば、反り返った感触に跳ねる刺激さえも手に取るようにわかる。 「うぅぅぅ」  ドギィはベッドのうえで涙を流し嗚咽を漏らす手前にまできていた。スッキリしたい気持ちよくなりたい、悩ましげに眉を寄せていたときだった。 「ねぇ、もっとおねえちゃんと、ないしょの遊びしてみよっか?」  四つん這いのままでいるキミィの言葉を聞き、顎をさげた。  ぱっくり開かれた毛むくじゃらのヴァギナ。その向こう側でパクパク餌を欲する魚みたいに開閉をくりかえすところから、自分の注いだ白濁が、ぶちゅる、と垂れ落ちた。 「もっと、おちんちん気持ちよくなりたいでしょ?」 「なり、たい……!」  「ザーメン出したいって、言ってみて」 「ザーメン、出したい」  ドギィは立ち膝になり、その穴を食い入る様に眺めていた。  もっともっと、ザーメンを出したい。そう言葉を心にまで刻み、欲情から悪に屈してしまったのである。


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