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第二章 第一節

▼前の記録

第一章 第三節

▼前の記録 遺失物503について これより本人認証を行います 貴方が資格保持者でない場合はシステムに検知され、██により即時拘束、しかるべき処置が施されます 承諾しますか? >はい …… … 生体・神経活動走査システム起動 スキャン開始 …… … 完了 … … セキュリティクリアランス認証開始 …… … Lv.4 承認 … … 職員ID:E...



騒ぎの顛末


 星昇高校で発生した【夜な夜な動く石膏像】騒ぎは、遺失物503の収容と共に終息した。その噂話をする生徒も日ごと一人また一人と減っていき、彼らの興味は次の新たな話題へと移っていった。


 碑文谷さんは納得がいっていないようだった。

「結局、なんでぱったり騒ぎが収まったのかよくわからないんだよね。行方不明だった生徒は見つかったらしいけど何故か転校退学してるし、誰もその詳細を知らないし…絶対おかしいよこんなの」

 喉に小骨でも引っかかっているような顔をしながらそう言っていた。

 

 彼女の怪異への好奇心は底知れない。

 私としてはこれ以上踏み込まないでもらえると助かるのだけど…。



定期検査と新たな仕事


 とある休日。

 私は機構の指定する病院で、身体と脳に関する検査を受けていた。

 この定期検査は機構職員に義務付けられているもので、肉体・精神的な異常が無いかを確認し、任務を続けられるかどうかその都度判定が下される。

 多くの職員が心身を壊し退いていくため、現場は慢性的な人手不足に陥っていた。


 ちなみに私の診断結果はというと、健康体そのものだった。


 病院から帰ろうとしたとき、1か月ぶりに上司の尼木と対面した。

 右目の経過観察で来ていたのだろうか。以前は白いガーゼを当てているだけだったが、今は黒く丈夫そうな眼帯があてがわれている。


 エレベーターの中で、新しい仕事の話をされた。


 遺失物025。通称ニコ。あどけない少年の外見に加え、頭部に光輪のようなものを持つのが特徴だという。

 それは遺失物でありながら、なんと狛ヶ丘市内の小学校に通っているとのことだった。模範的な優等生で、特にトラブルも無く生活しているという。

「遺失物が人間に紛れて生活…?収容しなくていいんですか?」

 私の問いに、尼木は頷く。

「問題ないと上は判断している。それに遺失物025に関しては、一般的な生活をさせること自体が収容方法と考えられている。頭部にある光輪も、認識阻害が働いているのか一般市民にはほとんど見えないらしい」

 あえて野放しにするほうが都合の良い遺失物が存在すると聞いたことはある。詳細は不明だが、これがまさにそのケースなのか。

「しかし害がないとはいえ、人ならざる存在だ。定期的に様子を見つつ、何か異常があれば報告して欲しい」

「わかりました」

 戦闘の必要が無いのであればなんとかなりそうだ。

 どうせ断れないのだし、私は大人しくその仕事を引き受けた。



天使の環


 翌週の放課後。

 私は遺失物025と接触すべく狛ヶ丘団地へと向かっていた―――心底不服そうな白石さんを引き連れて。

「なんであんたと一緒なのよ…」

 5月らしいぽかぽか陽気だというのに、彼女の周囲だけ空気が冷え込んでいるかのようだった。私のことを快く思っていないのは明らかだ。

 先日収容任務で協力し合った仲なのだから、もう少し心を開いてくれてもいいのに。

「えっと、これは尼木さんの指示で、私が提案したわけでは…」

「それは知ってる」

 白石さんはどうも、あの眼帯上司に対して強い信頼を寄せているらしい。彼の命令にだけは従順であることが段々わかってきた。困ったときは尼木の二文字を出せばとりあえず動いてくれるんじゃないかとさえ思う。

 性格はともかく、白石さんが傷害救護に長けていることは確かだ。任務に同行してくれるなら心強いことこの上ない。





 狛ヶ丘団地内にある小さな公園に、対象はいた。

 ぽつんと一人でブランコに腰かけているその姿は、どこからどう見ても人間にしか見えない。頭部にあると聞いていた光輪も視認できず、本当にこの少年が遺失物025なのか最初判断に困った。


 だが、変化はすぐに表れた。


 声をかけると、金髪の少年は一瞬びくっと肩を寄せ、困ったように顔を上げた。明らかにこちらを警戒している。と同時に、頭頂部にぼんやりと小さな光の環が浮かび上がるのが見えた。



 突然見知らぬ女子高生に声をかけられたら警戒もするだろう。光輪は、まるでこの少年の精神状態に呼応して出現したかのようだった。

 そして、私たちが頭上あたりを注視していることに彼は気づいていた。


「お姉さんたち、もしかして遺失物統轄機構から来た人ですか…?」



▼次の記録へ続く

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好看👍

黑茶


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