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妹はペットな世界 平凡な休日編

今日は2連休の初日。定例報告の日にも当たっていないから、朝から布団の中でゆっくり出来ている。 ……が、そんな俺のリラックスした気分を、突然開け放たれた扉の音が吹き飛ばした。 バタンッ!! 「もう、お兄ちゃんいつまで寝てるの?今日は買い出しに行かなきゃいけないんだから、いい加減に起きて!」 「……あぁ……分かった。分かったから……。」 相変わらず妹はせっかちだ。意識がはっきりしない俺に構わず、あっという間にカーテンを開け、布団まで畳んでしまった。 「ほら、もうご飯も出来てるんだから!」 妹に引っ張られ、寝室を後にする。……あぁ、せめてあと1時間、横になっていたかった……。       ◇ 「いただきます!」 ニコニコ顔で手を合わせ、サラダを口に運ぶ妹。俺はまだ頭が冴えておらず、コーヒーの苦味すら今一つ脳に届いてこない。 「ねぇ、お兄ちゃん。明日はあの日なんだから、今日中に買い出しに行かなきゃいけないんだからね!」 「……?あ、あぁ……うん、分かったよ。」 明日……?明日って何かあったかな。 そんなことを考えながら、何となく朝食に手をつける。 「……ねぇ、お兄ちゃん。私、結構早起きしてご飯作ったんだけど。」 少し不満顔の妹。……この前、友花と会った時から、何となく妹の目から圧を感じるようになった。今日も少し虫の居所が悪いらしい。 「あぁ、そうだな。ゴメンゴメン。美味しいよ。」 こういうときは、下手に突っ掛からない方が良い。特に妹は気が強いから、機嫌を損ねると結構尾を引くんだ。 「……そ。」 ニンマリと笑う妹。……何と言うか、ちょっとチョロ過ぎるような気もする。 「とにかく、お兄ちゃん。パッパと食べて、パッパと準備しなきゃだよ。今日、午後から雨降るらしいから。」 「……マジか。分かった。ご飯食べ終わったら、すぐ準備するよ。」 「うん!」 ……よし、完全にご機嫌モードだ。       ◇ 俺たちはいつも、近所のスーパーで買い物をする。 実のところ、『妹』が買い物に来るのは結構珍しいんだ。何せ、常に四つん這いでいることを義務付けられてるから、荷物を持てない。  ただ、うちの場合は妹がかなり食材や日用品にこだわりを持っているから、俺だけで買い物に来る方が稀だ。 「いらっしゃいませー」 スーパーの自動ドアが開くと、室内の冷気が外に漏れ出てきた。 「さ、寒……!?」 妹は肩をすくめる。 先週まではここまでクーラーの設定温度は低くなかったんだけど、ここのところは外の気温が少し高い。今日の室内は、素っ裸の妹には少しキツいくらいの涼しさだ。 「お、お兄ちゃん。私、風邪引いちゃうよ……。早く買い物済ませて帰ろ。ね?」 「あぁ、はいはい。じゃあ、さっさと回ろうぜ。」 俺はそう言って買い物かごを手に取った。       ◇ 「……よし、これでOK。1週間は持つはず。」 妹が、満足そうな顔でパンパンになった買い物かごを見つめた。 「……あぁ、やっと終わった……。」 俺のかごを持っている方の手は、持ち手が食い込んで赤くなってしまっている。……少し妹の立場が羨ましくなってしまう。 「じゃあ、俺は会計してくるから。」 「分かった……、クチュン。」 不意に、妹がくしゃみをした。 「……お前、大丈夫か?」 「……うん。帰ったらお風呂入れるように準備してきたから。」 「……あぁ、そうなの。」 一体、いつのまに風呂掃除をしていたんだろう。妹の家事スキルは、正直俺の想像を遥かに凌駕している。 きっと、妹は俺の手から離れてもしっかり生活が出来るんだろう。……俺自身は、ちょっと厳しい気がする。 「……じゃあ、とにかくレジ行ってくる。」 俺はそう言って、鼻を赤くしている妹に背を向けた。       ◇ 「ふんふ~ん♪」 帰宅後、俺たちはすぐに風呂場へ直行した。妹の身体が冷えていた上に、天気予報の通り雨が降ってきたのだ。 「……お前、何だか上機嫌じゃないか?」 俺が聞くと、妹はニカっと笑った。 「だって、ずっと寒いの我慢してたんだもん!」 晴れ晴れとした表情。 そんな妹の首には、『妹ペット法』によっていつも装着していることが義務付けられている首輪が無い。風呂の時間。この時間だけは、衛生上の都合から首輪を外すことが許されているのだ。……もちろん、監督者の許可が必要なんだけど。 「ねぇ、お兄ちゃん。背中流したんだから、早く私も洗ってよ。」 妹が俺に背中を向けた。 いつも見ているはずの妹の裸だが、首輪が無いだけで少し印象が変わる。……普通の女の子。そんな感じだ。 「ねぇ、ちゃんと念入りに洗ってよ。」 「あぁ、分かってるよ。」 「……明日、あの日なんだから。」 「……?」 俺は、妹の言葉に少し首を傾げた。明日。明日……? 「あっ。」 俺の間抜けな声を聴いて、妹が振り向いた。 「……お兄ちゃん、まさか忘れてたわけじゃないよね。」 ……そうだ。明日は月に1度のあの日。 あぁ、しっかり洗ってやらなくては。

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