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トモR-18
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こちらが、「キミと同じ視線で」のベースとなります

こんにちは。 次回連載予定の「キミと同じ視線で」ですが、こちらの「姫とボクの」がベースになっております。 ご興味をお持ちいただけましたら、是非ともお目通しくださいませ。 よろしくお願いいたします。 姫とボクの 思えばずいぶんと遠くまで来た。 姫との新天地を求めて、元の王国からだいぶ離れたこの、小さな港町。 「ここにしようよ」 「森の中じゃないけど?」 「んーん。近くに森も山もあるし、それに」 「?」 「王子と一緒だから!」 そう言った姫は、パッと花が咲くように笑って。照れくさそうに、もう一度笑った。 ボクも目を閉じ微笑んで、うなずいた。そして始めた新生活。 日記の代わりにも、その暮らしをこうして書いていきたいと思う。 それにしてもまったく。 この町のはずれ、森とのさかいめあたり、格安の物件を購入して安寧な暮らしを始め。 なんだかんだと一年は経とうとしているころ。 どこから嗅ぎつけたのか、父や母から手紙がポロポロと届き始めた。 いわく、 「今ならまだ許す」 いわく、 「帰る日を心待ちにしています」 冗談じゃない。 今のボクは、いや、ボクたちは。一年は経ったとは言え、新しい暮らしに懸命で必死で、それどころじゃないってのに。 今日も届いていた手紙を、くしゃくしゃぽいして。ボクは洗濯物を庭地に設置した物干し台に、ちゃんとパンパンしてから干した。 こうしてお洗濯できるようになるまで、どれだけ姫のお世話になっただろう。 また逆に、姫にどれほどいろんなことを教えてきたことか。 風にそよそよしている姫の下着に、ボクはちょっと顔を赤らめ、 「終わったよー」 と、姫に声をかけた。姫は苦手な「火」を克服すべく、オーブン料理にここのところ挑戦し続けている。今もキッチンで、早めのお昼ごはんを作ってくれている。はずだ。 「おーじー」 なんとも情けない声。 「どしたの」 ボクもキッチンへ向かう。 「焦げた」 「あー」 ピザトーストをお願いしていたんだけど、オーブンの中にあったのは、消し炭をトッピングされた黒い何かだった。 「怖くて、取り出せなかったの」 しゅん、としてしまった姫に、ボクは、 「でも、点火することはできるようになってきたじゃない」 「うん……」 「ゆっくりでいいんだよ?」 「うん」 「ボクだって。お洗濯とかいろんな家事、なかなか覚えられなかったもん」 「ん」 姫が体重を預けるように、抱きついてきた。 「そう言ってくれる王子、大好きだ」 「うん」 姫のあたまをなでなでする。 「頑張ってる姫も、大好きだよ」 「ん」 目を閉じたままで、姫が顔を上げる。 ボクは心を込めて、その口唇にキスをした。 結局のところ、お昼ごはんはボクが作り直して。姫が作ってくれていた麦茶と一緒に、美味しくいただいたよ。 「ごちそー」 「さまでしたっ!」 姫に合わせて、ボクも言う。 ふう、おなかいっぱい。 「わたし洗うよ」 「あ、ありがとう」 ボクも、自分の食器をシンクまで運ぶ。お互いの細かいこととか、協力し合わないとね。一緒にこの先、ずっとずっと過ごすんだもん。 「洗い物は好きー」 「そろそろお水も、冷たい季節だけど?」 「うん。だからなの。身体がしゃんとするもん」 「ボクは苦手だ」 「あーね。ほら、わたし元がバケモノだから」 「そんなもの?」 「たぶんね」 話しながら、姫がぱちゃぱちゃ洗い物。ボクは終わったものを、水切りに乗せていく。 (バケモノだから、か) 気にしなくていいって、ボクはかなり言ってきたつもりだったけど。まだ姫は、引っかかってるところがあるのかな。 だけどそれがもし、姫のどこかの拠り所なのだとしたら。否定じゃなくて、肯定、認め合うことが必要だよね。言うならボクだって、力も何もないニンゲンだもん。 ふと気づくと、姫がこちらを見ている。 「悩んでる顔」 ちょこっとだけ頬を膨らませるようにして、姫が言った。 「そ、そう?」 「うん」 「言えることなら、言ってね」 今度は微笑の姫が言った。 「うん。その、さ。姫はやっぱり、バケモノってこと。気にしてるのかな。少しばかり悲しいな、って」 「あー。気にしてるわけじゃないのよ。いや、気にはなってるけど。でもそのことを忘れちゃうと、わたしワガママいっぱいの、嫌な女になっちゃいそうで」 「そんなことないよ」 ちょっと力をこめて、ボクは言う。 「んーん。生きてくってそんなものだよ? 年上おねーさんが言うんだから、信じて大丈夫だよ?」 「う、ん」 「ま、とにかくわたしはおーじが大好きだから」 「ボクも、姫のこと大好き」 もっかいキス。もちろん時々ケンカもするけど、こんな時間はすごく嬉しくなってくる。 「おーわった」 「お疲れさま」 麦茶をお揃いのマグに入れなおして、テーブルに着く。姫が首をコキコキ。 「午後はお買い物?」 「うん。市場もちょっと覗きたいし、お野菜少なくなってきたし」 「お野菜なんて……」 「草と一緒?」 ずっと前に姫が言ってたこと。お野菜は草であって、食べ物ではないと言うのが姫の認識なんだよね。 「わかってるのに食べさせるなんて」 「ダメです。栄養が偏りまくります」 「うー」 「この季節だから、カボチャとか美味しいよ? 甘く煮付けたの作るよ」 「むー。おーじが、そう、言うな、ら」 ボクは笑って、もう一回姫をなでなでした。気持ちよさそうに目を閉じている姫が、めっちゃかわいい。 「一緒行くよ」 「わかった。美味しそうなの探そう?」 「うん」 目を閉じてても、にこにこ姫。 まいったな、今日も惚れ直しだ。 市場へ向かう道々、吹き抜ける冷たくなってきた風のことが話題になった。 「前にね?」 「ん?」 「雪がひどくて、洞窟に入っていたことあったの、一緒に」 「そっか。あんまりボク、覚えてない」 「無理ないよ。王子、疲れ果ててたもん」 姫が言うには、その時にボクが凍えそうになっていて。慌ててオオカミ姿で、しっぽを掛け布団代わりにしてくれたんだって。 「ぬくぬくになったからか。王子、笑って寝てたよ」 「うあー、覚えてない」 「いいんだって。わたしのとっておきの思い出だもん」 ちょっとだけイタズラっぽく、姫が笑った。ボクの左腕をとって、ギュッてしてくる。 「あーもー。好きすぎてつらいぜ」 「ボクもなかなかにつらいぜ」 歩きながら笑い合う。そうこうしている内に、町の中心部に来た。数は少ないけれど、いろんなお店が建ち並んでいて、見て回るだけでもわくわくしてくる。 「お魚、最初?」 「んー。できるだけ新鮮なうちに帰りたいから。最後かな」 「りー。おやちゃい?」 「ですねえ」 情けなさそうな表情を、姫が浮かべる。 「ちゃんと作るから、安心して。つか、一緒に作ろうよ」 「ん」 コロコロ表情が変わる。オオカミだけれど、コネコみたいだ。 予定通りカボチャの半分に切ったやつと、美味しそうなチーズパンがあったので、それも購入。少しやすんで帰ろうと言うことで、いつもの喫茶店に入った。って言うか、ドトールだけど。 「ふふふ。わたしはホットコーヒーに目覚めてしまったのだ!」 「おー」 「おーじは何にする?」 「じゃ、ボクもおんなじ」 店員さんから受け取って、2階の席に着いた。小さいけれど町並みが良く見えて、気持ちも休憩モードに切り替わってくる。 「目覚めたけど、ホットはあちーぜ」 「まあ、ホットだからねえ」 当たり前すぎる会話だけど、それもまた楽しい。 「しかし、覚醒したからには。この能力(チカラ)を暴走させるわけには……」 「思いっきり厨二病」 「おーじをこの手にかけるわけには、わたしが許せない」 「殺されちゃうのボク」 なんかよくわかんないけど、美味しそうに飲んでるから、いいか。 「でも、ブラックは苦いよね」 「無理しないで、お砂糖とか入れていいんだよ?」 「や」 「なんでまた」 「だって、おーじと一緒がいいんだもん」 ボクの方が、ほっぺた熱くなってくるね、これ。 ただいまー、ってふたりで言いながら玄関ドアを開ける。 お魚は結局、サンマにしようとしてたんだけど、 「これが良さそう」 って姫の意見で、ホッケの一夜干し。なかなかに渋い献立になりそうな予感がしている。 「冷蔵庫は、わたしやるね」 「うん、お願い。お洗濯取り込んでくるよ」 「はあい」 買ったものを姫に任せて、ボクは荷物を置いてから庭に出た。うん、よく乾いてそうだね。 なんとなく鼻歌を歌いながら取り込みたかったけど、あまりに恥ずかしい気もして、うんうんと心でうなずいて、どんどんカゴに放り込んでいく。なんだかこれだけでも、嬉しいことだ。 「おわりー」 独り言。カゴを抱えてリビングに庭からどさっと。ちゃちゃっとたたんで、姫とゆっくりしたいな。サンダルを脱いで、ボクはまだ陽の差し込むリビングでたたみ始める。 ボクのはともかくとして、いまだに姫の下着をたたむ時はちょっとドキドキしてる。や、やましい気持ちじゃないよ? その、ブラはたたんじゃいけないってわかったし、ショーツは小さくたたみすぎてもいけない。ね? ドキドキでしょ? (姫の、みんなかわいらしいな……) 女の子の下着なんて、そうそう見てきたわけじゃないから、ボクがこんな感想を抱くのも、きっと許されると思う。ごめんなさい、ちょっと嘘つきました。そうそう、じゃなくて。まったく見たことありませんでした。だからドキドキしてるのも許してよ。 ふと気づいたら、ボクは姫のショーツを手にしたままぼんやりしていたらしい。視線を感じて先を見たら、キッチンから姫がにやりんこと笑いながらボクを見てる。わたわたとボクは、急激に慌てる。 「これっ、その、あの」 「いいんだよー。いくら触っても、くんくんしても嫌いになったりしないよー?」 「しません!」 「えー」 「なんでがっかりするのよ……」 真っ赤な顔してるんだろうな、ボク。 「かわいいなあ、おーじは」 「そそそそ」 「焦ってるところが、もっとかわいい」 むふー、って感じで姫が言う。 「その、ごめんね」 「大丈夫だよう。そりゃ、興味も持つよね」 「うん……」 「だから、逆に嬉しいんだ」 「姫が?」 「うん。そんなに興味持ってくれてるのが、わたしとかわたしのものなんだなー、って」 「な、なんか。ありがとう?」 「んーん。ちゃんと素直に認めちゃうとこ、好きだよ」 「あわわ」 姫はそんなボクを見て、微笑した。 「お茶にしようよ」 「う、うん」 たたんだ山から、姫は自分の洗濯物をより分けて、 「王子のもあとでしまうから。お疲れさま」 「うん、その。恥ずかしいところ、見られちゃったね」 「いいよー。どんなだっておーじはおーじだもん。それに」 「うん?」 「もっと恥ずかしいところだって、見られてるからねわたし」 「はい///」 あたまから湯気出て、沸騰してる。ボクもう。 午後はのんびり過ごした。少しソラが曇ってきて、肌寒くなったのもあって。ボクたちはベッドに潜り込み、うとうとしちゃった。隣りにぬくもりがあるって、嬉しいことだね。 「寝たねー」 「うん、もうじき夕方だ」 カーテン越しに、柔らかいオヒサマが入ってきてて。夕刻前のひかりの粒子が、ボクたちふたりを包み込む。横になったまま、姫がピトッとくっついてきた。ドキドキしてしまう。 「鼓動、速い」 「だ、だって」 「気になっちゃう?」 「うん……」 そしたら姫は、もっとピトッとなってきた。柔らかくてふよふよしてる胸が、ボクの左腕に当たって。その、だんだん我慢できなくなっちゃった。 「姫……」 それを聞いた姫は、ちょっと笑って目を閉じた。ボクはそっと、キスをする。すぐに姫が、舌先で応えてくれた。鼻息が荒くなってきてしまう。 「しよ?」 「うん」 姫がボクの背中に腕を回す。ボクもそうした。身体全部が柔らかくて、しかも姫の良い匂いがして。どんどん興奮が高まる。小さく姫は声を漏らした。 「ね?」 ボクの手を取って、姫が自分の胸に持っていく。ちょっと小ぶりの胸が、たまらなく愛おしい。チュニック越しに下着の感触。そうしたら姫は、ボクの股間に手を伸ばしてきた。 「こんな」 「ご、ごめん」 「嬉しい」 そっと撫でられて、ボクは背筋をぞくっとした。本当に気持ちいい。 「脱いじゃうね」 「ぼ、ボクも」 一旦、半身をお互いに起こして。ボクはバクバクもいいところになりながら、脱いでいった。姫がブラを取るところを、思わずじっと見つめてしまう。雰囲気もなんにもないけど、女の子ってすごく器用だよなあ、などと思う。 「おーじも脱ぎなさい」 視線に気づいて、姫が言った。あわわ、と思いながらボクもシャツとブリーフを一瞬で脱いだ。それでも、姫の方を見てしまう。 クスッと笑った姫は、 「男の子って。ホントに下着姿とか好きよね」 「だって……」 するするとショーツも取った姫は、えいやーとか言いながら抱きついてきた。 「大好き、おーじ」 「ボクも」 ちゅっと軽いキス。夕ごはんまで、ひとつになろう。 「くすり屋さん」 「厳密には違うけど、それに近いものかな」 「賛成! 王子、いろんなこととかお花とかに、めっちゃ詳しいもん」 「詳しいだけじゃダメだけど。やってみてもいい?」 「もちろんー」 夕ごはんを一緒に食べながら、ボクは最近考えていたことを、姫に打ち明けた。 さすがにそろそろ、持ち合わせ(とは言え、相当の金額だったことには間違い無いけど)ばかりを使うわけにもいかず、何かお仕事を考えないとなあ。そう考えていたんだ。 そこで思いついたのが、姫いわくのくすり屋さん。この地方では「薬師(くすし)」って呼ばれる職業だ。名前の通り、薬効のある鉱物や植物などを調合して、オーダーされたおくすりを中心に作るお仕事。 「ちょっと調べてたんだけど、やっぱり資格が必要だって」 「しかく」 「えっとね。そのお仕事をしてもいいですよー、って言うお許しみたいなやつ」 「お許しかー。わたしだったら一発で出すけどな」 「ありがと」 「お許しもらうの、難しい?」 「なんとも。でも挑戦してみるよ。何回だってチャレンジしていいみたいだし」 「わかった。すごく応援しちゃう!」 「じゃあ明日にでも、テキストとか買いに行ってみる」 「今の知識じゃダメなの?」 「自分でもアレだけど、もうちょい専門知識を増やさないと」 「そっか」 「でも、賛成してくれてありがとう」 「当たり前だよう」 にっこりと姫が笑ってくれた。ボクも笑顔になる。 この、ボクたちの笑顔のためなら。なんだって頑張れるよね。 翌朝。 いつも通りの時間に、ボクは目覚めた。自分でも体内時計すごいな、って思うけど。姫は気持ちよさそうに、くーくー寝てる。起こさないようにそっとベッドを出て、朝ごはんの支度に取り掛かる。 昨日の話を受け入れてもらえたからか、驚くほどに気持ち的にすっきりしていた。そして、頑張ろうって気概が湧いてくる。 姫も食べられるように、サラダは濃いめの味付けにして。パンを焼いてコーヒー淹れて、目玉焼きポンと作って、大体終了。姫を起こしに、寝室へ戻る。 「はおー」 「おはよ、起きてたんだ」 ちょうどドアを開けてた姫に会った。そしたらいきなり、姫は抱きついてきて、 「あのねあのね? わたしもお仕事するよ! 狩りだってできるし、獲物をさばいて市場に持ってくことだってできるよ!」 「え、え?」 「王子ばっかりじゃ、ダメだって思ったの。わたしも何かしらで協力しなきゃって」 「そっか……。ありがとう。すごく嬉しい」 「へへー」 ちゅっとキス。全身から喜びの空気が出てるだろうな、今のボク。 「無理はしないでいいからね?」 「うん! あ、それは王子にも言えるよ」 「そうだね、うん。ありがとう」 手をつないで、キッチンに入る。改めてコーヒーの香りが鼻腔に届いた。嬉しさが込み上げてくる。 「目玉焼き!」 「タマゴ、安かったしね」 テーブルに着く。 「今朝も作ってくれて、ありがとうね」 「んーん。そんなに凝ったの作ってないもん」 「それであっても」 「そっか、うん」 いただきます! して。姫はがっつくように食べ始める。さすがオオカミ。ボクもお腹は空いていたので、パクパク食べていく。 朝陽がそっと、遠慮がちにキッチンまで入ってくる。ではあれ、朝のまぶしさが祝福してくれているようで、嬉しくなっちゃった。 (今日も。精一杯、生きていこう) 誓うようにそう思った。いや。 (姫と一緒に、精一杯生きていこう) 目の合った姫が、口の周りいっぱいつけて。それでも笑ってくれた。 ありがとう。これからもよろしくね。 おしまい

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