本当に限界ぎりぎりな、その時。 ドガシャアアアン!! って言う何かの壊れる派手な音がしたの。 わたしたちはそれに何より驚いて、音の方を見た。 え? うんち? びっくりのあまり、引っ込んじゃった感じ。 「ゆう!!」 「ゆうサンー!!」 壊れたのは入り口の壁ごとで。おとうさんとサカサが飛び込んできた! あ。おとうさんは壁をメキメキと破壊しながらだけど。 『のわあああ!!』 そりゃあ、びっくりもするよね、3人のお兄さん方。 ドラゴンと魔物が突如、建物を半壊させながら突入してきたんだから。 「お、おいたわしいお姿に……」 サカサが自分の身体(?)の中からタオルケットを取り出して。 わたしにそっとかけてくれた。 「あ。ありがとう……」 そんなわたしとサカサとは、まるで無関係っぽい。 ふしゅううううぅぅぅ、と言う鼻息が聞こえた。おとうさんだ。 見やると、いつもはやさしくまあるい目が、半月上になって。 要するに睨んでいて、その口元からはブレスの炎がチロチロしてる。 「ウチの娘と知っての所業か。まあいい。お前たちはたった今ここで死ぬ」 『ご、ごめんなさいー!』 腰を抜かしつつも、3人は手を取り励まし合いながら、どうにか逃走に成功したようだった。 ハダカなのにね……。 「追いますカ?」 「いや、今回は流そう。次は無いがな」 サカサとおとうさん。 わたしは安心してきたからか、やっぱりお手洗い行きたくなっちゃって。 ちょっと待っててね、と心で言いつつ、幸いにも壊れていなかったお手洗いに入った。ふう。 「大丈夫かい、ゆう?」 「ん? うん、へーき!」 あ。よくよく考えたらわたしも、全裸状態じゃんね。タオルケットを羽織っているとは言え。 なので一応、合わせ目をかき抱くようにしてお手洗いから出た。 「おとうさん、サカサ。ありがとう」 「ゆうサンー、本当に心配しまシタ」 「来るのが遅れてごめんな」 おとうさんの長い首がうなだれる。 「んーん。あ、どうしてここわかったの?」 「試験的に、AirTagを使わせてもらったんだ」 「はあぁ」 「だけど、肝心の探す方法がよくわからなくて……」 再びうなだれるおとうさん。 「王様、スマホ慣れていませんからネ……」 「でも、ありがとう。来てくれてなかったら、って」 わたしはちょっとだけ、ゾッとした。 「これまで以上に、ゆうのことをわたしも気をつけよう」 「ゆうサンの安全確保に、尽力しマス」 「わたしも。注意しなきゃなあ。人助けを」 それを聞いたおとうさんとサカサは、にっこり笑った。 「ゆうらしいよ、実に。おとうさんの誇りだ」 「まだ、守られる対象ではありマスが、サカサも同じ思いデス」 「えへへー」 なんか照れるね。 今回は、わたしの油断って言うか。んー、やっぱり油断かな。 あまりに簡単に信じちゃった、その結果。こんなことになっちゃって。 おとうさんとサカサの突入、で。わたしは救われたけど。 おんなじ被害が、他の子に及ばないとも限らないし。 うん、わたし。 やっぱり、人助けの道を貫き通していこう! それでこそ、でしょ? おしまい