困ってる人は、やっぱり放っておけないよね。 学校の帰りに、何か地面に落としちゃったのか。這いつくばるみたいにしているお兄さんを見つけたの。見つけたって言うか、みんな気にもとめないまま通っていくんだけど、わたしは、 「助けなきゃ!」 って思った。 「どうしたんですか?」 「あ。ああ、コンタクトを落としちゃって」 ああ、そうなのね。それは困ってるだろうな。 「あいにく、こんな時にメガネを置いてきちゃってね」 「わたしに任せて!」 一緒にかがんで、わたしも落としちゃったって言うコンタクトレンズを探し始める。でも、その矢先に。わたしのローファーの下で、何かの「パキリ」って音が。 「あ、あああ!」 「え!?」 お兄さんが叫ぶので、驚いてわたしも足を上げた。あ。割れちゃってる。 「ご、ごめんなさい!」 「いや、うん。いいよ、大丈夫だよ」 「でも」 「仕方がないよ、落としたボクが悪い」 なんとかして、わたしはお詫びしなきゃって思って。 「本当にごめんなさい」 頭を下げまくった。お兄さんは、うーんと言いつつ、 「んー、じゃあ。ボクのアパートまで手を引いてもらえるかな。片目だけよく見えても、歩くのがけっこう怖いんだ」 「は、はい。わかりました」 わたしはお兄さんの手を取る。しっかりナビしなきゃ。 「こっちなんだ。駅とは反対方向で」 お兄さんが歩きたそうな方角を、顔の向きとかで察して。わたしは手を引いて歩き始めた。通り過ぎる人たちが、不思議そうな表情をしている。なんでだろ? 「ローソンのところから、路地に入って。すぐだよ。ああ、もうちょっとゆっくり歩いてくれると助かるな」 「はい!」 慎重にナビゲート。 だけどこれが、わたしを地獄に連れて行くナビゲートだなんて。今はまったくわかっていなかったの。