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【手記】「あの人はなぜ変わらないんだろう」に対する答え

相手が困っている時、苦しんでいる時、あるいは間違っている(と感じる)時。

その人の問題を解決してあげたいと思い、アドバイスしたり相談に乗ったりしてあげて、でも結局相手の行動に反映されない、考え方が変わらなくて結局問題が全然解決しない、なんてことはままある。

たとえばその人がブラック企業に勤めていて、身体も心も限界に達していて、誰が見たってその会社を辞めたほうがよいことが明らかだったとしても、でも結局誰の声も届かなくて辞められないまま……みたいなことだ。

こういった場面は程度の大小こそあれど、日常のあらゆる場面で見受けられる。


「私の意見を、どうしてあの人は聞き入れてくれないのだろう」

「あの時は納得して聞いてくれてたのに、どうして行動に反映されないんだろう」

こういった感覚に苛立ったり、悲しんだり、無力感にさいなまれたりすることがある。


でもこれは、仕方がないことだ。


人はおおよそ惰性で動いている。

と書くと印象が非常に悪いが、この「惰性」のエネルギーを侮ってはならない。

なんせその惰性には、それまで生きてきた人生全てが乗っかっている。


経験、習慣、性格、価値観、趣味嗜好、……その人の行動を決定するこれらは、生まれてから長い年月をかけて今の形になっている。

この重さに、ただ「正しいだけ」の誰かの一言では釣り合わないのだ。

勢いよく走るトラックの前に単身飛び出しても、そのトラックは止まらない。

相手の行動を変えようとするということは、それがたとえどれだけ非合理的だったり間違っていたり、相手自身を苦しめているものだったとしても、その人の過去の人生で積み重ねてきたものを否定し、変えようとすることだ。

そこには非常に大きな反発力が生まれる。


だから、相手の問題を解決してあげたいと思うことが無意味だ、と言っているのではない。


本気で相手の事を思うのであれば、力になりたいと望むのであれば。

そこにはきちんと相応の「コスト」を払わなければ意味がない。


たとえば、相手との関係性。

たとえば、貴方の影響力。

たとえば、時間。


口に発する意見の「正しさ」なんて、相手のそれまでの人生の重みに比べれば無力なものだ。

相手の過去の重さ、相手の惰性の力にしっかり向き合うことこそが、本当の真摯というものだろう。


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