初めてコミケに行った時、事前にスペースを下調べせず何となく色々見て回るという参加方法を取った。たまたま見かけた大橋学さん(マオラムド)のスペースで何となく本を読ませていただいたらあまりの絵のうまさに衝撃を受けて速攻で買って帰った。あまりにも上手いのであとがきから名前を検索してやはりものすごい人を見つけてしまったと感動を覚えた・・・という過去のことを思い出したのでなんとなくここに記しておく。大橋学さんは本当にすごいのでこれを読んでくださる方々にも知ってもらいたいなと思っただけです。
質問箱から一番回答が楽なほうから
「4コマ作画を使うときに意識していることや気をつけていることはありますか?」という質問への回答
そもそも4コマ打ちだけに固有のコツみたいなものは特に無いんではないかなあと思いながら無理やりひり出します。
自分の体感的に4コマ打ちは1コマ打ちと感覚が似ているので、1コマにしたいが1コマはなんかしっくりこない・・・というところに使ったり、単純に枚数の節約にために使うことが多いです。
あと自分が何も意識せず体感だけで動きを書き送るとだいたい2コマ打ちの動きになるのですが、4コマ打ちは2コマの倍数なので応用が効きやすいように思います。思っているだけなので違うかもしれませんが。
その昔に「2コマ打ちは目に絵が残らない、1コマと3コマは残る」ので使い分けると誰かから聞いたことがあって、その時の自分はふーんそうなんだと思っただけで実感はできていませんでしたがまあ確かにそんな気はします。
目に残るかどうかでいえば4コマは確実に残ると思います。しかもかなり「止まっている」ように見えてきてしまうところまで足を突っ込んでいると思います。なので1~3コマ以上に一枚の絵として見られてしまうことを意識しなくてはならんなとfgo#11の頃から思い始めました。フレームの中で美しく見えるかとかポーズが見栄えするかとか、基礎的なことをより固めないといかんなと思ってあせあせしています。
「止まっている」感があるのは「絵と絵の連続性が途絶えやすい」と言えるので、急にポーズが変わったりしてそれを印象付けたいときなんかに4コマ打ちは特に有効だと思います。
逆に4コマ打ちだけれど絵と絵の連続性を強めて少しでもなめらかに動いて見えるようにしたい、というときはディズニーの12のアニメーションの原則、特に
押し潰しと伸縮(Squash and Stretch)
予備動作(Anticipation) (動作の前でも後でも)
継続する動きと後追いの動き(Follow Through and Overlapping Action)←特にコイツ
運動曲線(Moving Arc)
をより強調してやると良い気がします。気がしているだけで俺はまだまだ出来ていませんね。悲しくなります。
別に4コマ打ちなんか使いませんが西尾鉄也さんの原画は上記の法則がメチャクチャ上手いこと適用されていて絵の連続性がすごく気持ちがいいので西尾さんを参考にするといいのかもしれないなと思ったりします。
サマーウォーズの山下高明さん(確か)のパート、序盤のほうのキングカズマとラブマシーンの素手ゴロだったと思うのですが、をコマ送りするとカッコ悪い絵が一つも入っていないとその昔先輩アニメーターに教えられたことがあって、そういうことを思い出したりもします。
上で4コマ打ちと1コマ打ちが似ていると書いたのはかなり個人的な主観なので適当に聞いといてほしいですが、一応説明すると例えば
巨大ロボットがゆっくりと倒れるときには4コマ打ちを使うが巨大ロボットがパンチを繰り出すとき(これも遠くから見ると見かけ上はゆっくり動くように見えます)は1コマ打ちにする
みたいなものです。あえて倒れる動作に1コマを使ったり殴る動作に4コマを使ったりもしますが自分の主観なので許してください。
どちらも実は似たような使い方をされているんではないかと勝手に思っています。
その上でシーンや話数の中で1コマは大事なところに使う/4コマはそれ以外、みたいな感じで使い分けるとええんかなあ、と思っています。
コマ打ちの話は個人の主観が大きいので思っていますとか気がしますとかなかなか強く言い切れませんね。この話も今現在の自分がそう感じているだけであって将来敵的になんてアホなことを言っとるんだ俺は、みたいになるかもしれません。
2020上半期に世に出る仕事は現時点でもう出切ったので下記に反省をまとめておきます
恋する小惑星(アステロイド)OP
#5~の追加シーケンス モンロー先輩・桜先輩がこちらに微笑みかける水彩塗りカット
彩色まで自分でやった。先に#1~4で放送された室田さんのあおちゃんの水彩塗りカットがあったのでそちらを参考に塗った。
時間がぜんぜん無かった仕事で、ラフ原も頭身だけ合わせとくからキャラ似せは作監に任せるぜとかなり突貫で出した。
動きを少しゴージャスにしたいなと思って最初は二人のキャラをそれぞれちょっとずつズレたコマ打ちで動かしていたけれど、かなりコマ落とし気味のカットでそれをやるとゴージャスというよりなんかカクカクが悪い方向に働いて気持ち悪く見えるなと思ってコマ打ちは揃えた。
FGO7章
#17
ティアマトが水底から飛び出てくるシーン4カットだけ
水の波紋が広がる2カットはスケール感を強調するために飛んでるケツァルコアトルスの動きももっとゆっくりにしていたつもりだったが恐らく自分の伝達ミスでえらい高速で飛んでる感じになってしまった。波紋のディテールが細かくとても疲れた。
水がドーンと盛り上がって手前にみんなが逃げてくるカットも自分の原画の不手際で水柱の上の方の白波が途中出たり消えたりしてしまっている。ラフ原の段階では割と上手くいきそうだなと思っていたのだけれどいつも原画での詰めが甘いのでよくない。全体的にミスが目立つ悲しい仕事ぶり。
このシーンは最初別の方が作業していて、ティアマトの翼が水から出てくるカットも翼に丁寧な芝居を付けてくださっていたのだけれど色々な都合で3Dの止めをスライドすることになってしまった。
#20
藤丸くんがSASUKEみたいなことしてる途中
14カットほどラフを描いて自分で原画までやったのは4カットだけ。最初は全部自分でやるつもりだったので死ぬほど棒人間みたいなラフでしか描いていなかったものを大量に他の方に原画にしてもらうことになってしまいなんかもうほんとに申し訳ありませんという感じ。
藤丸くんがいつもみたいにカッコよく整った表情なんかしてたらこのシーンになんの価値も存在しないと思って鼻の穴から鼻水をこぼしながらヨダレを吐き散らしながら走らせるつもりだったがギリギリで理性が働いてしまいちょっと必死そうな顔をしているにとどまった。今にも自分が死ぬかもしれない、ずっと守ってくれていたマシュも今この場にはいない、自分のせいで人類の歴史が無かったことになってしまうかもしれない、自分はこれから神を殺しにいかなくてはならない、そんな状況でまともな精神でいられるとは思えないしまともな顔をしていられるはずがないと思うのですがどうだったんでしょうね。彼はどんな心境だったんでしょう。今でも自分にはわかりません。
ボルト#151
敵の背中に螺旋丸を打ち込んでドカーン
たまたま予定が少し空いた時期にちょうど誘われてなんとなく請けた仕事。コンテもデザインも軽くとても気楽にやれた。
ナルトシリーズといえば3コマ全原画だよなあと思いつつも結局いつも通りの感じになった。
作監さんのショジョジ(敵)の手の修正が特長的で、カクカクした細かい直線的な線でザクザクと立体を削り出していく感覚の絵でとても上手かった。動画もトレスしやすい(短い直線的な線の方が丸くゆったりした線よりもがトレスする上では楽です)し立体感も掴みやすいとても機能的な絵。長期シリーズで安定的にやっていくノウハウを感じる修正だった。
去年のFGO#11でかなり疲労していたのを引きずっている感覚があり、今年前半はなんだかぼんやりした仕事ぶりになったなあと思う。これから大変な仕事が続くのでがんばるぞい・・・