G.O.E~第24話#2【終わりへ誘う闇】~
Added 2022-05-31 14:16:49 +0000 UTC蒼汰君と蓮君が大阪に旅立って数時間後、奏多君と基地内で時間を潰している時に、突如として警報が鳴り響いた。 慌てて物隙博士の研究室へ向かうと、巨大なモニターには都内の地図が大きく表示されていた。 博士は振り返り僕たちを認識すると、ちょうどよかった、と手招きした。近づくと、監視カメラの映像らしきものがいくつか、画面の隅に表示されている。 そこには、戦闘員に襲われる人々の姿があった。 「ちょ、博士これどこ!?」 「東京タワーのすぐ近く」 「場所が分かってるなら、行かないとッ」 「そうなんだけど…」 博士の顔は晴れない。 「どうしたんですか?」 「それが、怪人は一体じゃないみたいなの」 「そんなの、今までだって何回かあったでしょ!」 「それだけじゃなくて、監視カメラの映像に映ってたのが、その…」 と、博士がキーボードを叩く。 カメラの映像が拡大される。先ほどとあまり変わらない光景だったが、一つだけ。 戦闘員や人々の間を、ゆっくりと歩く何者か。 後ろ姿だけみれば、完全に人と同じだが、その出で立ちはあまりにも普通ではない。 全身を光沢を帯びた何かで覆われている。 最初は全身タイツかと思ったが、おそらくあれはラバースーツだ。 肌にぴったりと張り付き、全身のわずかな凹凸をくまなく見せつけている。腹筋もお尻も、股間ですら、そのスーツは強調している。 そいつがゆっくりと振り返り、周囲を見回している。 カメラにようやく顔が映る。 博士が戸惑っていた理由がようやくわかった。 カメラに映っていた男は…七海翔。 ヒーローだったはずの男だ。 「どうして七海君が、あんな姿で」 「分からない。以前の奏多君みたいに操られているのかも」 「ちょっと待ってよ。さっき怪人は一人じゃないって言ってたよね?」 奏多君の言葉が、今起きている事態の非常性を気づかせる。 七海君が操られているという事は、彼とペアだった六車君も、同じ状態であるという事だ。 「今のところ確認できているのは六車君と七海君だけ」 「くそッ。こんな時に蒼汰君と蓮君がいないなんて…」 そうだ。 二人は今大阪にいる。今こっちの状況を知らせて、どれだけ急いだとしても、戻るのに数時間かかる。 僕たち三人だけで、果たしてこの事態を対処できるだろうか…。 「とにかく一般の人たちを助けないといけない。無理に倒そうとしなくていいわ。時間だけ稼いでちょうだい。万全な状態で、あの二人を無力化しましょう」 「分かりました。涼くんに連絡お願いします! 行こう奏多君ッ」 「うん!」 現場へと向かいながら、僕の脳裏をよぎるのはひとつの可能性。 はたして今起きている事はすべて、偶然に重なったことなのだろうか。 他の支部まったく連絡が取れなくなったことと、東京に現れたヒーローだったはずの男たち。 いや、偶然ではないのだろう。 これはすべて仕組まれているんだ。 きっと裏にいる人物は……。 隣を走る奏多君に目をやる。 ……大丈夫。 もう一人にはしない。 必ず、僕がそばにいるから。 ・ 研究室で見た映像よりも、現場の状況は悲惨だった。 戦闘員の姿はなく、地面には大きな塊が落ちているだけ。 それは一つや二つだけではなく、道を埋め尽くすほどに広がっていた。 そのどれもが僅かに震えていた。 よくみればそれらは様々な形をしていた。 足を大きく開いてひざまずき、空を見上げた姿勢で固定されているモノ。 気を付けの姿勢や、がに股に足を開き、両手を広げているモノ。 ……どれもが生きている人だ。 これがおそらく、怪人となったあの二人の能力なのだろう。 あの中で人々がどのような状態になっているのかは正確には把握できない。 ただ、唯一理解できることといえば あれに包まれてしまえば、もう逃げ出せないという事。 ラバーに覆われた人たちの股間は、みな同じように勃起したイチモツが強調されていた。 体に一ミリの隙間もなく吸着したラバースーツは、彼らを辱め、快楽を与えると同時に、必ず逃がさないためのもの。 「本当に、俺たちだけで大丈夫かな?」 奏多君が、不安そうな声音で小さく呟く。 「大丈夫だよ。僕たちなら大丈夫だから」 「…うん、そうだよね」 その時、無線で博士から連絡が入った。 カメラの映像から、あの二人は東京タワーの中へ入ったとの事だった。 目の前にそびえたつ、象徴的な赤い塔。 何故あの二人は、あんな所へ? ……目的は、僕たちだろうけど。 誘われているんだ。 展望フロアに行ってしまえば、逃げ場はない。 行くしかない。 行かなければ、更なる犠牲が出てしまうから ヒーローに選択肢はないんだ。 これほどまでに、ヒーローであることが辛いことはない。 東京タワーを見上げ、覚悟を決める。 別に倒す必要はないんだ。時間を稼ぐ。あわよくば無力化する。 視線を戻し、前方を見る。 ラバーの塊の中に、派手に動く人影があった。 それは俊敏に、ラバーの間を縫うように、高速で近づいてくる。 戦闘員の動きじゃない、あれはーーッ。 「奏多くん、後ろに!」 僕の言葉を言い終わるよりも早く、行動した奏多くん。 すかさずバリアを展開させる。 放たれた電撃がいくつもの筋となってバリアに衝突する。 「やるじゃんか! 前に会った時はずいぶんと情けない姿だったくせによぉ!」 僅かに距離を空けて、立ち止まった男。 短い金髪に、良く焼けた肌。 挑発的な笑みを浮かべて、六車くんは目をぎらつかせる。 彼の能力は電撃を放つこと。 今は彼一人だけだが、一番気を付けなければいけないのは、七海くんと同時に繰り出すコンビネーション技だ。 つまり、チャンスは今だ。 彼が一人であるうちにーーッ 「倒すよ!」 「おっけ!」 奏多君が叫ぶと同時に走り出す。 ハンマーを両手で握り締め、目隠しのために地面を盛り上げる。 人数的には不利だというのに、六車君は笑みを浮かべたまま。 僕は銃を構え、狙いを定める。 遠距離から僕が補助し、奏多くんが近距離で戦う。 何かあればバリアで守れる。盤石なプランだ。 「子供のくせに頑張るんだなぁ」 「子供扱い…すんなッ!」 振るわれるハンマーを身を引いてかわし、やり返すように蹴りが繰り出される。 奏多くんも同じようにかわすと、長さのあるハンマーを用いて距離を詰められないように攻撃を繰り出す。 隙を見て銃弾を放つが、六車くんに当たる事はなかった。 いや、正確には当たる直前で弾かれている。 おそらく全身に電気をまとっているんだ。 その身に降りかかる物理的な攻撃を、自動的に弾き返しているのだろう。 ……自分の能力も便利だなと思う事はあるが、守る事しかできない。 しかし、あっちの能力は攻防どちらにも使える。 良い能力だ。 だからといって気後れすることはない。 こっちは二人。 畳みかければ、いずれはーーッ。 「ーーッ!?」 背後の物音に気付くのに、一瞬遅れてしまった。 貫くような痛みが全身を駆け巡り、視界がチカチカと煌めいた。 体の自由がきかなくなり、膝をついてしまう。 背後の足音がゆっくりと前へ移動する。 何とか見上げてみれば、そこには七海くんが立っていた。 六車くんとは対照的に、その表情はクールだ。 澄ました目で僕を見下ろす瞳は、肌の白さも相まっていやに冷めた印象を与える。 「ダメだよ。集中しすぎ。焦ってたのかな?」 ラバースーツに覆われた、鍛えられた肉体。 当たり前のように勃起している股間のモノをふわりと撫で、僕の肩を蹴る。 表情は何一つ変えないまま、おもむろに掌を向けた。 「ごめんね、恨みはないんだ。本当に」 ドロッと垂れるように、黒い霧が地面へと落ちる。 それはゆっくりと僕へ迫る。 足先がそれに触れる。 気体であるはずのソレの感触は、想像と違っていた。 確かに質感のあるソレは、僕の体にまとわりつく。 一ミリの隙間も残さず、つま先からぴっちりと包み込まれていく。 ギュッと締め付けられるような感覚。 瘴気が含まれているであろうそれに覆われた箇所から、体が段々と熱くなってくる。 「…んぅッ」 「気持ち良くなるだけだよ。怖がらないで、受け入れるんだ」 「あぁ……ッ、ダメ、くそッーー」 太ももまで黒く覆われる。 緑のスーツの中で大きく勃起し、存在を主張する自分のイチモツはびくびくと跳ねている。 体の自由がもうきかなくなってきた。 意識が朦朧としてくると、身に着けているスーツから淡い光が散り始めた。 これは…強制解除の合図。 どうして、このタイミングで…? そう疑問を持った瞬間、スーツは一瞬にして霧散した。 競パンだけの姿になった僕を見て、七海くんはほくそ笑む。 「何も知らないのは、可哀想だ」 「ど、どういう意味だ…ッ」 「……知らなくていい」 下半身はとっくに黒に覆われている。 股間の熱の昂ぶりが、覆われたことで一気に加速する。 「うあぁッ///、やめ、おかしく…なるッ!?」 覆われた部分は日の光を浴びて光沢をもっており、生きているかのように収縮を繰り返している。 それが体を締め付け、耐え難い快楽をもたらす。 顎先まで黒が迫り、ついに口が覆われる。 不思議な事に呼吸はできるようだった。 「んんぅッ!? んふッ///」 「いつまでそうやって喘いでいられるかな? 普通の人たちはすぐに物言わぬ黒い塊になったけど」 「あッ///、おぉ…ッ、んあ///」 視界が黒一色に染まり、頭の先までついにラバーに覆われてしまった。 何も見えなくなった今の僕が認識できるのは、七海くんの声と、この身に感じる快楽のみ。 ダメだ、このままじゃ、奏多くんがーーッ。 どうなった? 聞こえない、七海くんの声以外、何もーー。 「もう今の君にできるのは、その中でエナジーを吐き出し続ける事だけ。それ以外の事は何も考えなくていいんだよ」 頭に何かが触れる。 おそらく頭を撫でられているのだ。 その手はゆっくりと、体に沿うように下がっていく。 「んふッ、おッ///、んぉぉッ///」 股間でその手が止まる。 大きく張り詰めた男根を、執拗に、じっくり触られる。 体がビクッと跳ねる。 両手両足を伸ばし、地面に寝たままラバーに覆われてしまった今の自分の姿は、果たしてどんな風に見えているのだろうか。 男に股間をまさぐられ、喘ぎ悶えているこの姿は、明らかに変態のそれだ。 しかしそういわれても仕方がない。 実際にそうなのだ。 もう、抗う意識すら薄れてきてしまっている。 ただ……。 奏多くんを残してしまった事だけが、心残りだ。 逃げて、欲しい。 何とかこの場から逃げて…他の三人と、一緒にーーッ。 ・ ・ ・ 「育也くん!」 六車くんとの戦闘に集中していたほんの僅かな時間だった。 育也くんがいたはずの場所に違う男が立っていた。 それは七海くんだ。 そして足元には、先ほどまではなかった黒い人型の塊。 確証はできない。 だが、おそらくあれは育也くんだ。 不意を突かれ、やられてしまったんだ。 「そんな…ッ」 「お前ももう諦めてあぁなれよ」 「ふざけんな!」 「元気だけはいいな…。まぁ、嫌いじゃないぜ」 周囲にはラバーに覆われた人たちがいるから、どうしても動きが制限されてしまう。 向こうは周りを傷つけないように電撃を操作できるけど、俺の武器や能力はどうしても意識しないと、周りにも被害を与えてしまう。 この場所からまずは抜け出さないと。 育也くんは、その後で皆と一緒にーーッ。 「まさか逃げようなんて考えてねえだろうな!?」 電撃をまとった六車くんがラバーの塊の間を縫うように、俊敏に近づいてくる。 その様はまるで獲物を狩るチーターのようだ。 滑らかな動きで、電撃をまとった右腕を俺に伸ばす。 「あぶなッ!」 身を引いてかわし、ハンマーで牽制する。 しかし、距離を取るのと同時に放たれた電撃が、俺に直撃した。 視界が火花で埋め尽くされ、貫くような痛みが胸に広がる。 「ぐああッ!!」 衝撃でハンマーが吹っ飛び、俺は地面に倒れこんでしまう。 すぐに立ち上がろうにも、痛みがそれを阻害する。 目の前に立つ六車くん。 背後からも足音が聞こえ、振り向くとそこには七海くんが立っていた。 「はぁ、やっぱヒーローって不便だよなぁ」 「二人だって、そうじゃないかッ」 「…元な」 六車くんが悲しそうに笑う。 「守るものが多すぎて、結局自分たちもやられてちゃ、世話ねえよ。まぁ、それに意味があるんだけどな」 「な、何の話だよ」 「知らなくていい。何も知らなくていいんだよ」 耳元で声が聞こえ、俺の体を抱きしめるように背後から腕が回される。 胸に、腹に、七海くんの手が当たる。 腹に置かれた手は求めるように股間へと指先が向かい、さわさわとイチモツを撫でられる。 「んあッ///」 「若いって、敏感だね」 「いじめてないで早くしろよ」 「急かさないでよ。彼にとってはこれが最後の見える世界なんだから」 「……知るか」 「やめろ、何する気だッ!?」 「何って、皆と同じようになるんだよ」 「んんッ!? 何、これッ」 七海くんが触れている箇所から、俺を侵食するように黒い何かが溢れ出す。 俺の黄色を、黒が覆っていく。 そして、淡い小さな光が、スーツから出始める。 「そんな、何でーーッ」 強制解除の条件には至っていないはずなのに、どうしてこんなにも早く…? 瞬間、スーツが光となって散り、黒のラバーがその侵食を加速させる。 「うああッ…何だよ、これッ」 「気持ち良くなってきただろ?」 にやりと笑う六車くん。 俺の足を掴み、М字に開かされる。 七海くんの微笑んだ吐息が聞こえる。 心臓の鼓動が速くなる。 ラバーに覆われた部分から熱が発生し、快楽が強くなるのに比例して呼吸が荒くなる。 競パンから飛び出た亀頭から、ドクドクと我慢汁が溢れ出す。 しかしそれもラバーに覆われて見えなくなった。 カリや裏筋まで分かるはっきりとした凹凸。 脈打つたびに僅かに膨張するラバーの股間部分。 М字に開脚した体勢で固定され、そしてついに体の自由がきかなくなる。 「あぁ///、やめ、なにこれぇ///」 「こんな恥ずかしい格好で固められて、お前も大変だな」 視界が徐々に、見えなくなってくる。 ダメだ、もう何も考えられない…。 「んんぅッ!? んほぉぉッ///」 「こんなにビンビンで、おかしくなっちゃいそうだよね、きっと」 「んおぉッ///、んふッ、んんッ!?」 「さてじゃあ、またいつか会おうね」 視界が完全に覆われた。 触れていた七海くんの手の感触が無くなり、背中から後ろに倒れてしまった。 何がどうなっているか見えない。 それでも、自分がМ字開脚したままの体勢であることは分かる。 指先ひとつ動かせない。 永遠に締め付けてくる瘴気のラバースーツ。 全身を絶え間なく刺激し、吐き出されたエナジーを吸収していく。 くそ、だめだ。 もう、意識が…。 あぁ、気持ちいいッ。 「んふッ…んふッ…んんッ///」 あぁ…またイっちゃった…。 だめ、気持ちいい…。 育也くん、どこ…? 一人は…嫌だよ…。 ・ ・ ・ ・ ・ 博士から連絡を受けて現場に急行したときにはもう、日は傾き辺りは暗くなっていた。 育也と奏多と連絡が取れなくなったと言われ、一体どこにいるのかと探してみようと思ったがそれは無駄だった。 何せ、町中に黒いラバースーツに覆われた人たちが転がっているんだ。あいつらもおそらく同じようにやられてしまったんだろうが、これじゃどれが誰だか分からない。 だが、幸いにも怪人の居場所は監視カメラの映像で割れているらしい。 それはーー。 ・ 俺は東京タワーを見上げ、ため息をついた。 エレベーターは動いているんだろうか、階段でさすがに上まで登るのはきつい。 しかし罠が仕掛けられている可能性は十分に考えられるし。 蒼汰と蓮もまだ戻ってこれそうにないときた。 だが一人で行くのは自殺行為だ。 どう行動するべきか考えていると、どこからか足音が聞こえた。 戦闘員の姿は一度も見なかった。 今この場で、俺以外に動ける奴がいるとするなら、それはーー。 「来るのが遅いから、迎えに来てあげたぜ、涼」 「……ちッ」 物陰から姿を現したのは六車だった。 七海の姿はない。どこかに隠れ、隙をつこうとしているのかもしれない。 「上にいるんじゃねえのかよ」 「そんな所にいたら、慎重なお前は来ないだり? だから来たんだよ。他のヒーローと連携されるのは面倒だしな」 「そりゃご苦労さん」 「黙ってやられてくれよ?」 六車が姿勢を低くし、構える。 両腕に電気が迸り、バチバチと甲高い音が響く。 「来いよ」 「言われなくてもなぁッ!!」 目にも止まらぬとはまさにこの事。 六車は一瞬にして俺との距離を詰める。 奴の指先が、俺の首元に迫る。 しかし、次の瞬間には六車は後方へと吹き飛ばされていた。 「ぐあッ…!」 地面に強く体を打ち付けた六車は、鋭い目つきで俺を睨みつけ、腕を押えてすぐに立ち上がる。 「はぁ…はぁ、それがお前の力か」 「自分に触れられないってのが、お前の専売特許だと思うなよ?」 事前に情報を得られたのは、不幸中の幸いというべきか。 六車と七海が使う電気の力は、全身に纏う事で身体能力を向上させることができる。 それと同時に、体に触れるものを電気が弾くという、攻防を兼ね備えた力だ。 だがそれは俺も同じ。 以前は風を放つことしかできなかったが、今は全身の表面に纏う事ができる。 だがこれは集中力が必要になるから短時間しか発動できない。 七海が来る前に、目の前のこいつを倒さなければ。 怪人化して手に入れた力は、ラバーで人を覆うことなわけだし。 それにさえ気を付けていれば、勝てない相手じゃねえ。 ナイフを右手に持ち、走り出す。 牽制のために風を放つ。 いくら電気をまとった体でも、風は防げない。 六車はその攻撃をかわす。しかしまだ痛みが残っているのか、先ほどの俊敏さは見る影もない。 しかし、それでも相手は歴戦のヒーローだ。 俺に少しでも距離を詰められないように、細かな電撃を繰り出してくる。 しかし、その威力と速度はあまりにもお粗末だ。 俺にとっては、かわすのは容易い。 距離を一気に詰め、ナイフの切っ先を繰り出す。 多少の怪我は仕方がないさ。向こうもきっと理解してくれる。 六車のラバースーツを切り裂き、俺はさらに連撃する。 全身に纏っているはずの電気も、おそらく先ほどの俺の攻撃で効果が弱体化しているのだろう。 今しかない。 チャンスは、今しかないーーッ! 俺の視界に、黒い霧のようなものが映りこむ。 それは六車の体から出ているものだ。 俺は瞬時に理解し、風で自分自身を後方へ吹き飛ばした。 俺がいたはずの場所は一瞬にして先ほどの黒い霧に覆いつくされていた。 六車は鼻で笑い、俺を見る。 「やるじゃん。思ったより強いんだなお前。あの二人とは大違いだ」 あの二人…育也と奏多のことか。 「あえて弱ったふりをしてたな? そんなに俺をラバーで包みたいのか?」 「そりゃあな。でもまぁ、それは俺の仕事じゃねえけど」 「…何?」 六車の言葉の意味を考え、そして振り向いた。 やはり、背後に七海はいた。 しかし一人ではない。 その足元には一つの黒い塊。 それがラバースーツに包まれた人間だというのは分かったが、にしては大きすぎるような気がする。 「遅れてごめん祐希。探すのに手間取っちゃって」 「ったく。下手したらやられてたぞ」 「ふふ。それはないね」 二人の会話よりも、俺は七海の足元に転がる奴らに目を奪われた。 何故あいつは、わざわざここにあれを運んできた? あれは、一体…。 「そんなにこれが気になる? まあ、そうだよね。これはね…」 と、七海がラバーの塊を足で小突く。 「君の仲間だよ」 「……てめぇ」 街灯に照らされて、煌めくラバー。 その中身は、向かい合うようにして包まれていた。 顔が密着し、気を付けの姿勢の二人。 二人を繋ぐように、勃起したお互いのイチモツが重なった状態でラバーに包まれていた。 不気味に見えるそれは、果てしなく淫乱にも見える。 二体一対のラバーの接着部は口とチンコだけ。 どっちが育也か奏多かは分からないが、どちらもが全身を僅かに震わせて、微かに喘ぎ声も聞こえる。 「ねえ聞こえる? この二人ずっとキスしてるんだ。びちゃびちゃ、馬鹿みたいに発情して、舌を絡ませてさ」 そんな話をしてどうしたいんだこいつは? 「最初は別々にしたんだけどさ、離れ離れにするのは可哀想だったから、一緒に閉じ込めてたらこんなに喜んでるんだ。良い事をした気分になるよ」 俺の気をそらすつもりか? 六車の動きはもちろん警戒してるぞ。そんなの俺にはーー。 「ーーんぎッぃ!?」 突如、体を貫いた衝撃。 しかしそれは痛みを伴うものではない。 「ぁ…あぁ…なん、でッ」 俺はスーツを着ている。 なのに、どうしてーーッ。 恐る恐るケツに触れると、出っ張った物がそこにあった。 「はうッ!?」 僅かに触れただけで、俺は崩れ落ちてしまった。 どうやらそれは自動で動くもので、俺のケツの中で常にうごめいている。 「あぁ…///」 目の前で六車がしゃがむ。 にやにやと、してやったりの表情で俺を見下ろしている。 「俺たちの能力は同じじゃないんだよ。翔はラバーで包み、俺は瘴気で物を作る事ができる。お前のケツの中に、バイブを作ってやったんだ」 「…くッ、ど、どうやって…」 スーツの内部に直接何かを仕込むことはできないはずなのに、どうしてこんなことが……。 「…さぁ、お前らのスーツの機能が落ちたんじゃないか?」 六車は明らかに何かを知っている顔だった。 しかし答えを言うつもりなどないのは明白。 返事はせずに立ち上がり、七海の方を見た。 「こいつをラバーにするのは後だ。さっき吹っ飛ばされたお返しをしないと気が済まねえ」 「そう。好きにしたら」 七海は興味がなさそうに目をそらす。 「涼くんよぉ。お前の弱点がケツってのは本当だったんだな」 六車はケツに手を伸ばし、バイブを強引に掴む。 そしてぐりぐりと動かし始める。 「うああぁッ!? やめ、やめぇッ///」 「あぁ? なんだって?」 バイブを掴む手は緩むことはなく、むしろ更に乱暴になる。 それは俺にとって苦痛になるどころか、身悶えさせ、喘ぎ声が漏れ出てしまう。 何故スーツの中にバイブができてしまったのか。 そんな疑問さえ頭の中から消えてしまう。 今は、ケツの中のバイブをどうにかしなければ。 このままじゃ、俺はーーッ。 六車をどうにかしようと手を伸ばす。 しかしそれは弾かれてしまう。 「気持ちいいくせに、何止めようとしてんだ」 「だめッ…、やめ…ろッ///」 「声が気持ち良くなっちゃってんだよお前。東京のヒーローは変態しかいねえのか?」 「んあッ///、だめ、だめぇッ///」 スーツの変身が強制解除されてしまう。 六車はすぐさま競パンをずりおろし、バイブを掴む。 もう片方の手で俺のギンギンに勃起したイチモツを掴むと、ゆるゆるとしごき始める。 「おほッ///、や、やめッ、お前ッ///」 「ケツだけでこんなに濡れるもんか? なぁ翔?」 「……いつも見てるでしょ。言わせないでよ」 「何だよ。後で遊んでやるから機嫌直せよ」 「……」 「怒られちゃったよ。おい、聞いてるか涼?」 「…ん…んぁッ///」 ダメだ。 今こいつ、なんて言ってた? もう、考えられない。 腰が勝手に動き、六車の手をオナホ代わりにしてしまう。 「あーあ。もういかれちゃったか?」 自分が吐き出したカウパーが潤滑油になって、チンコは六車の手の中を滑らかに動く。 腰を前に出せばチンコが、後ろに動かせばケツが気持ち良くなる。 しかし、この天国のような状態も長くは続かない。 六車はまるで汚いものでも見るような、蔑んだ目を向けて、チンコを持つ手をぎゅっと握り締めた。 あまりの強さに一瞬体が硬直したが、そんな感覚など大したことはない。 この後に待つ快楽を思えば、なんてことはないものだ。 「そうなったら動物以下だぜ、涼。まぁ、都合がいいけどよ」 手の動きが速くなる。 「あ///、いいッ、あぁ…んあぁッ///」 「何であの人がお前らに固執するのか分かんねえな。こんなに弱くて、惨めで、淫乱なヒーローによぉ」 「ぁ、で、でるッ///、いくッ///」 濃い塊が、奥からひねり出されるのが分かった。 狭い尿道を通り、赤黒く腫れた亀頭の鈴口から、勢いよく迸った。 地面に白い線が描かれる。 何度も、何度も…。 金玉で作られた精液が… 濃く、臭く、熟成されたモノが吐き出された。 「うーわ、きったね」 言葉ではそう言いながら、手についた俺の精子を舐めとる六車。 嫌らしく舌なめずりをして、俺を見下ろすその視線は、今の俺にとってはご褒美にしかならない。 呆然とする俺の視界に映りこむ、何者かの足。 「もういいよね祐希?」 「あぁ。やれ」 声の方に視線を向ける。 七海が俺に掌を向けていた。 「じゃあね、涼くん」 放たれた黒い霧が、俺の視界を覆った。