G.O.E~第22話【憑依怪人、偽りの求愛#2】~
Added 2021-09-30 04:50:05 +0000 UTC「蓮の様子が変?」 談話室でテーブルを囲んで話す涼、育也、奏多の三人。 訝し気に眉を吊り上げて、涼は他二人の顔を見た。 「絶対変だよ。だって、蓮くんはあんな事…」 「あんな事?」 「その……」 「僕が話すよ」 要約するとこういうことだった。 怪人の反応を検知して向かった先は、蓮が住んでいるマンションだった。 育也と奏多で探しても怪人の姿は見つからず、念のため蓮の部屋を訪れると、驚くことに腰にタオルを巻いただけの姿で出てきた。 普段の蓮なら、絶対にそんな破廉恥な姿で出てくることはない。 それに怪人の反応がした場所にいるのに、気づかないはずがないのだ。加えて、その部屋には蒼汰もいたという。 つまり二人は怪人がいると知りながらセックスをしていたということになる。 そんな状況になるということは、だ。 三人の頭の中には同じイメージが形成されていた。 二人は怪人の手に落ちてしまったのだと。 「……そうだとして、何でお前らは黙って帰ってきたんだよ」 「だって二人を人質に取られてるようなものでしょ? 下手に動けばもっと状況が悪くなるかと思って」 「まぁ確かに」 「だから涼くんも呼んで相談してるんじゃん」 「うーん」 時計をちらっと見て、再び二人を見る涼。 「二人には連絡したか?」 「したけど返信なし。博士からも連絡してもらったけど同じ」 「そっか」 二人が本当に怪人にやられてしまったとしたら、これはかなりまずい事態と言えるだろう。 しかしそんな状況であっても、涼の心は違う事に囚われていた。 さっさとこんな話し合いを終わらせて、あいつに会いたい。 自らがヒーローであることが、これほど恨めしいと思ったことはない。 「とにかく、二人に連絡が取れたらまた教えてくれよ」 「え?」 「俺行くところがあるからよ」 「ちょっと、こんな時にどこ行くってのさ」 「どうしても行かなきゃいけないところがあるんだよ。わりいな」 涼はすぐさま立ち上がると、軽く手を上げて颯爽とその場を離れた。 ・ ・ ・ ・ その部屋は濁っていた。 空気も、臭いも、何かもが濁っていたのだ。 ベッドに足を延ばして、まるでテディベアのように壁にもたれて座る蒼汰は、無表情で股間に伸ばした右手を動かし続けていた。 股の間のシーツは黒く染まり、そこかしこに白い残骸が確認できる。 「……ッ」 微かに呼吸がつまり、全身に力が入ると、その立派なイチモツの先から僅かな量の精液を放出した。 呼吸を整えながら、止まった右手にまた力がこもる。 再びの自慰。 もう何度目かも分からない。 蒼汰の意思が介在しないこの行為を止める者は、残念ながらこの場にはいない。 「おいおい、グラスに貯めろって言ったろ」 「…すみません」 「ったくよぉ」 ベッドの横のサイドテーブルには、いくつものグラスが置かれていた。どの中身も大量のザーメン…蒼汰から出たもので満たされている。 「ほら、こっち来い。また元気にしてやるよ」 蓮の顔で、声で、体で蒼汰を呼ぶ怪人。 二人は自然と口づけをかわす。 この行為に求愛の意味は無い。 ただ蒼汰の錆びた性の歯車に、潤滑油を差しているだけだ。 しぼんでいた蒼汰の玉袋が、僅かに張ったようにも見える。 立ったまましごきはじめると、グラスを手に取った。 亀頭をグラスの中に入れ、直後勢いよく白い線が迸る。 「ほら、続けろ」 「はい」 「はぁ」 蓮……もとい怪人は大きくため息をつくと、キッチンへと戻った。 イスに座り、鍛え上げられた体を撫でる。 テーブルにはベッド横と同じようにグラスが並べられ、そのどれもがたぷたぷと白い液体で満たされている。 「俺の人格すらなくなっちゃただ言う事を聞かせることしかできねえな。あいつ一人で動かすことは無理か」 そう言いながら、右手は股間の勃起したイチモツをしごいている。 傍から見れば異様なその光景は、怪人たちからしてみれば何らおかしいものではない。 エナジーを集めることが彼らの目的であり、人間の体を手に入れればエナジーを出し続けることは至極当然。 それがヒーローともなれば、射精しないという選択肢はないのだ。 「あぁやべ、出そうだ」 慌てて立ち上がり、グラスの一つを手に取ると怪人はその中に射精した。 しかしどこかその表情は暗い。 「……飽きたな」 ただしごいて出し続けるのは、つまらない。 もう何時間もこうして出している。 最初は面白いと思って始めたこのグラスに出すという行為も、こうも繰り返していると興奮しなくなってくる。 「なんか、変わった事……」 右手で肉棒を握り、左手にはグラス。 何を思ったか、怪人は肉棒をグラスの中へ突っ込んだ。 精液が床へとこぼれる。 抜き出した硬いソレは、白く臭い。 「おい、こっちに来い」 にやりと笑って蒼汰を呼ぶ。 言われた通り近づいてきた蒼汰をしゃがませると、僅かに開いた口に躊躇なく肉棒を突っ込んだ。 苦し気に喘いだ蒼汰だったが、すぐに頭を動かし始める。 「うまいか?」 「はい…」 「そうだろう。特製ソースにディップしたからな」 普段なら絶対に受け入れられないであろう行為も、今の蒼汰には関係ない。 М字に足を開き、大きくイチモツを勃起させて 精液漬けの蓮のイチモツをしゃぶっている。 意思はなくとも…見えてはいるのかもしれない。 蒼汰のイチモツの先からは、ちょろちょろとザーメンが漏れ出している。 蓮の体であることに蒼汰が興奮しているのか、それともただ怪人の力のせいなのか。 それはここにいる誰にも分からない。 満足げに笑って、腰を動かす怪人。 また新たな遊びを見つけた二人は、こうしてエナジーを出し続けるのだ。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 健成に呼ばれてやってきたのは、とあるラブホテルだった。 別にお互いの家でもよかったが、「こっちの方が雰囲気あるだろ」と言われのこのことやってきてしまった。 エレベーターに乗っている間、俺は胸の高鳴りが押さえられなかった。 こんなことがあっていいのか? 絶対に起きないと思っていた出来事が、今まさに起きている。 健成が俺の事が好き? ありえない。ありえない。 だってあいつとは女の話しかしたことがない。 俺みたいになるケースは非常にまれだし、一般人ならまずないだろう。 てことはあいつは最初から俺が好きだったってことか? カモフラージュの為に女の話をする俺に合わせてたってことか? 到着を知らせるチャイム音で我に返り、急いで廊下へ出た。 聞いていた部屋番号を見つけ、二回ノックする。 扉の向こうから足音が聞こえ、鍵ががちゃりと外れる。 開くとそこにいたのは、紛れもなく健成だった。 「よッ」 「お、おう」 健成に続いて、部屋に入る。 信じられない。 俺がこいつと二人きりでホテルにいるなんて。 夢じゃない。 これは夢じゃないんだ。 健成は突然振り返り、俺をその両腕で抱きしめた。 「おい!?」 最初は驚いてしまったが、力を直接感じるから分かる。 今のこいつに敵意はない。 こいつは、俺の事を抱きしめたくて、抱きしめてる。 「ど、どうしたんだよ。急に……」 「なんか、抱きしめたくなって」 「お前、そんな事言う奴だっけ?」 「俺の何を知ってるんだよ?」 体を離した健成がニカッと笑って、すぐに顔を近づけてくる。 唇が重なり、こじ開ける様に舌が入ってくる。 すぐにそれを受け入れ、俺の舌を入れ返す。 二人立ったまま、部屋に入ってすぐお互いの体をまさぐり、情欲に身を任せる。 俺のシャツをめくり、腹筋に健成のごつい手が添えられる。 「んッ…」 それだけで感じてしまう。 それほどに今の俺の体は極限まで感覚が研ぎ澄まされている。 「もう我慢できない」 「…俺もっ」 二人で服を脱がせ合い、浴室の扉を開ける。 何てことはない普通の風呂だ。 ラブホだからって豪華な内装が施されているわけではなかった。 だがそんな事どうでもいい。 浴槽には既にお湯が張られ、程よく空気は温められている。 何の音もないのも味気ないのでシャワーをとりあえず流しっぱなしにする。 水泳で鍛えられたお互いの体は、見る分にも触る分にも気分が良い。 いや、好きな人の体だからかもしれないけど。 水がお互いの体にかかる。 濡れて、光沢を帯びていくその体は、熟れた果実よりも魅力的に見える。 健成は俺と違って日によく焼けている。 だからよりその光沢が目立つのだろう。 とても魅力的で、めちゃくちゃエッチだ。 「涼、すごいギンギンじゃん」 「やめろよ…お前もだろ」 「そりゃそうだろ。裸のお前が目の前にいるんだぜ」 「……見慣れてんだろ」 「まあな。でも、そんな顔した涼のことは初めて見るから……だから、すげぇ興奮する」 …俺は今どんな顔をしているんだろう。 鏡は曇っていて、それは確認できない。 今俺の顔を見れるのは、健成だけだ。 「こんなに元気でさ」 お互いのイチモツを押し付ける様に、腰を動かす健成。 俺もそれに応じて腰を動かす。 「あぁ……すげぇ」 「やばい気持ちいいッ……」 水で濡れた体は滑りが良い。 水の音が思考を狂わせていく。 お互いの体を求めあうだけの、獣にさせていく……。 逃がさぬよう腕を回し、ケツを揉みしだきながら勃起した肉棒をごりごりと押し付ける。 腹筋に挟まれ、左右に動くイチモツ。 何も考えられなくなる。 余計なことなど思考から一切排除して、健成とこのまま何時間でもここにいたい。 きっとそれは……こいつも同じ気持ちのはずだ。 健成が突然しゃがみ、俺はつられて視線を落とした。 俺のイチモツを優しく握ると、躊躇いもなくそれを咥えた。 「おい…ッ」 「んふ……きほちいいだろ」 「そ、そうだけ……ぁッ」 こんな事やるの、初めてのはずだろ? なのにどうしてこんなにうまいんだよ。 舌を動かされ、亀頭も裏筋も丁寧に舐められる。 上目づかいで俺を見るその顔はとどめを刺すには十分で。 俺は呆気なく射精してしまった。 「あはッ……あ…わ、わりぃ」 「ううん」 てっきり吐き出すと思ったんだ。 でも健成はいつまでたっても口の中の俺の精液を吐き出そうとしない。 そして気づいた。 こいつは飲み込んだんだ。 「おい、飲んだのか!?」 「ダメだった?」 「いや……別に、ダメじゃないけど」 ずるい。 上目づかいでそんな風に聞かれたら…何も言えなくなる。 「すっごい濃かったな。まだこんなに元気だし」 「…うん」 「もっといっぱい出せよ。俺、涼がイクところいっぱい見たいな」 「なんだよ、それ…」 照れて思わず目をそらした。 こいつがこんなに積極的で、変態チックな事を言うとは思わなかった。まぁ……大歓迎だけど。 健成はまた俺の肉棒を咥えた。 イッたばかりだというのに、拒絶する気は起きない。 何故だろう。 健成とキスをしてから、性欲が溢れて止まらない。 いや、別にキスのせいとはいわない。 けれど、確かにそのタイミングから理性に抑えが効かなくなったような気がする。 裏筋に這う肉厚な舌が、ねっとりとイチモツを舐める。 小刻みに刺激するように鈴口をぺろぺろとして その与えられるすべての刺激が、俺を再び昂らせていく。 健成の頭を掴み、目を閉じて上を向く。 「あぁ…あ…イ、イくッ……!」 また出ちゃう。 健成の口の中で、また俺のザーメンをぶっ放してしまう…ッ。 「うん……んッ…」 1回目と変わらぬ射精量と勢いであるのは分かった。 そして健成はやはり、それをゴクリと飲み干してしまった。 「飲むなよ……ばっちいよ」 「そんな事ないよ。すごく美味しい」 「ふふっ……そうか」 見つめ合い、笑みを漏らす。 心地の良い沈黙、シャワーの音が俺たちを包む。 健成はまたしても俺のモノを咥えようとしたが、慌てて腰を引いて彼を立ち上がらせた。 「ちょっと待ってッ」 「何、どうしたの?」 健成の顔を見つめながら、左手を自分のケツに伸ばした。 濡れた指先で触り慣れた穴を見つけ出し、グッと突っ込む。 「あ、あのさ、もう舐めてもらうのはいいよ」 「え?」 「俺……お前に、いれてほしいな」 「入れる?」 「そう」 そこでようやく、健成は気づいた。 話しながら俺がケツを弄っていることに。 別に慣らす必要なんかないんだけど。 気分を高める意味も込めて、自分の穴を弄るのは癖みたいなもんだ。 「……分かった。そしたら涼も気持ちよくなれるんだよね?」 「うん」 「でも、それでイけるの?」 「イく? まぁ……イけるよ」 「そう。なら……」 健成が笑って、キスをする。 「掘ってあげるよ」 「…うん」 お返しにしゃぶってあげようとも思ったが、そんな必要はなかった。 俺をすぐに後ろ向きにして、壁に手をつかせると慣れた手つきで俺の腰を持った。 「すっごい。涼、すごいお尻の穴がヒクヒクしてるよ」 「うん」 「何人の人とやったの?」 「……わかんない。いっぱいやった」 ケツの穴に健成のイチモツがあてがわれる。 しかし中に入ろうとはせず、ゆらゆらと亀頭を擦りつけるだけだ。 「俺、うまくできるか分からないよ」 「大丈夫だよ」 我慢できず、腰を突き出した。 「あッ」 健成の先っちょが入り、観念したように一気に挿入される。 「お…おぉッ……」 健成の姿に見えた戦闘員に犯されたことはあるが、今は夢でもなければ偽物でもない。 本物の健成に、俺のケツを犯されている。 シャワー音に紛れて、粘ついたような音が聞こえる。 そして打ち付ける破裂音が大きく、浴室に響く。 「あ、あ、あ…」 「気持ちいいか、涼」 「すごい…すごい気持ちいいッ」 鼻で笑った健成の腰使いが更に速く、強くなる。 長さや形がちょうど良いのか分からないが、俺の意識を飛ばすあの一点に何度も当ててくる。 しごいていないのに極限まで勃起した俺のイチモツからは、だらだらと我慢汁が垂れている。 床に大きく筋を描きながら落ちるそれは、水に流されて排水溝へ消えていく。 何度イったかなんて分からない。 掘られながら射精したことなんて、数えきれないほどある。 なのに 今この瞬間、健成に掘られながら昂るこの感覚が どうしてこんなに全身を強烈に駆け巡るんだろう。 まるで初めて味わったといわんばかりの衝撃が俺を襲う。 突かれる度に光が視界を迸る。 壁に手をつくのが精いっぱいで、力のこもらない下半身は健成の力を受け止め大きく揺れる。 「どう? もうイきそう?」 「んッ……」 答えられなかった。 答える余裕はなかった。 今にも意識が飛びそうなほど、俺はよがりくるっていた。 少しでも気を抜けば、だらしない声をだして気を失ってしまいそうだった。 そんな事はしたくない。 俺は…しっかりと、健成とヤっていると理解しながら、セックスがした。 「んんぅ……あぁ…ッ!?」 漏れるような感覚がして、不意に視線を下に向ければ 俺のイチモツはだらだらとザーメンを垂れ流していた。 「あ……うはぁッ…!?」 そんな事は知らず、健成は一心不乱に腰を動かし続ける。 「あれ?」 突然首筋に呼吸を感じたと思った瞬間には、健成の顔がすぐそこにあった。 吐息が耳にかかる。 右手が俺のイチモツを握り、確かめる様に先から根元までゆっくりとしごいている。 「ほんとにイったんだ?」 「……ん」 「すごいな涼は。最高だよ」 「…そう?」 「うん。もっといっぱい突いて、いっぱい出させてあげるから」 「ふふ…」 …こんなに気持ちいいのに こんなに幸せなのに。 この違和感はなんだ? 今でも気が狂いそうなほどの快楽をこの身に受けているというのに、喉に刺さった小骨のように、心の片隅に存在している。 止めどなく溢れる精液。 飛びそうな意識。 健成に対して抱く違和感を、俺は無視している。 享受しているこの幸せを逃したくなくて。 これが嘘でないと信じたくて。 「涼……いっぱい出してね?」 「……」 脇から手を通して、下から支えるように俺を抱え込むと、健成は首筋に何度も口づけしながら突き上げる様に腰を動かす。 「ぁ…ぁ…ッ」 気づけば壁に押し付けられていて、これで俺は完全に逃げられなくなった。 健成にされるがまま、俺は犯され続ける。 滑らかな質感の壁と、俺の体に挟まれた肉棒が喜んでいる。 背中で健成の存在と衝撃を感じながら、擦られるソレはだらだらと雫を流す。 「うあぁ……ぁはッ……」 何もかも忘れて ただ、健成に身を委ねよう…。 それでいい。 今はこの瞬間を…楽しませてくれよ。 ・ ・ ・ ・ ・ 怪人が携帯に通知が来ていることに気づいたのは、蒼汰遊び…もといチンコ弄りに飽きてきた時だった。 白目を向き、言葉にならない喘ぎ声を漏らす蒼汰。 ベッドの上で大の字になり、時折ピクピクと震えるその様は無様極まりなく、自慢の巨根だけが立派に天を向き、存在を存分に主張している。 ベッドのシーツはほとんどの部分が黒く染まっており、蒼汰の全身が濡れていることから何度も、盛大に潮吹きしたことがうかがえた。 そんな哀れな男を尻目に、怪人は携帯を手に取った。 「何だ…あ?」 そこに映されていたのは奏多からのメッセージだった。 『実は相談したいことがあるんだ。二人だけで会えないかな?』 それを見て、怪人はにやりと笑った。 どのように接触しようか考える手間が省けたのだ。 またとないチャンスだった。 「おい、起きろ」 蒼汰に声をかける。 ビクッと反応はするものの、体力の消耗が激しすぎるのか起き上がりはしない。 「んだよ、役立たずが」 一息ついてから、まるで不慣れな老人のような手つきで文字を打ちこんでいく。 「わか…った。どこで…会お、うか」 奏多からの返信はすぐに来た。 『1時間後に会議室にしよう。二人だけで話したいから予約して誰も来ない様にしておくね』 「わかった。じゃあ…後で」 言葉にしながら打ち込み、送信したところで思わず笑みを漏らした。 何もかもが自分の都合の良いように進んでいる。 既にヒーロー二人を手中に収め、もう一人も現在進行形で犯しているはず…一般人は目立たぬように襲えと命令しているから問題ないはず。 「せっかくだ、二人でお祝いしようぜ!」 ベッドに飛び乗り、蒼汰を踏まぬよう仁王立ちする怪人。 膝を曲げ、未だ怒張する肉棒を容易く飲み込んだ。 「うはぁッ…!?」 目を見開き、突然の衝撃に震わせる。 蒼汰のことなどお構いなしに腰を上下に動かし続ける怪人。 怪人の純粋な歓喜の声と、蒼汰のもの悲し気な喘ぎ声が部屋中に響き渡った……。 ・ ・ ・ ・ ・ ベッドの軋む音が、絶え間なく鳴り続ける。 浴室からベッドの上へと場所を変えた涼と健成は、変わらずセックスをし続けていた。 床には二人の足跡、真っ白だったシーツは所々水に濡れ、二人の移動の軌跡は丸わかりだった。 口をだらしなく開けたまま、焦点の定まらない涼の瞳が映すのは、天井と、照明と、瞳を赤く光らせる健成の顔。 明らかに異常な事が目の前で起きているというのに、涼は何もしようとはしない。 「涼…はぁッ…聞こえるかッ?」 腰を動かしながら、汗だくの状態で健成…怪人は質問する。 憑依させるには、目を合わせる必要があるのだ。 ケツを掘られ続け、情けなく意識を手放してしまった哀れなヒーローでも、この瞬間だけは意識を取り戻してもらわねばならない。 難儀な能力だ。 だがそれだけうまくいけば、莫大なリターンがある。 「三人目…いただきだ」 涼の頬をビンタする。 白い肌がじんわり赤くなる。 痛みに顔を歪めたのか、笑ったのか、その表情からは正確には読み取れない。 だが確かに涼の意識が戻った瞬間だった。 「ほらほら、起きてくれよヒーローさん…いや」 おどけた調子で呟く怪人。 しかしすぐに咳払いして、声音を元に戻した。 ・ 「涼……聞こえるか?」 揺れていた涼の瞳が次第に健成の顔を捉え始める。 歪んでいた口元が僅かに閉じていき、落ち着いた呼吸を取り戻す。 「さぁ、俺の目を見て。そう、良い子だね」 叩いた頬に、今度は右手で優しく触れる。 慈しみの込められた視線と笑みで、涼の視線を自分に向けさせる。 「あぁ……」 悲しそうに、笑う涼。 「そう。楽しいだろ」 「……」 涼が健成の右手を掴む。 何度か…確かめる様に撫でて、目を閉じる。 「…涼?」 「……楽しかったよ」 「え?」 目を開いた涼の瞳には、光が宿っていた。 しかしそれは赤く目に見えるものではない。 確かな意志。 涼は怪人に操られてはいなかった。 「どうして!?」 慌てて離れようとする怪人の右手をぎゅっと握って離さず、涼は左手で彼の後頭部を掴み勢いよく引き寄せる。 「最低だ」 「…な、なんだと?」 「てめえは健成の体を使って……俺を…」 「ぐッ…!」 ベッドについた怪人の左手がぶるぶると震える。 どれだけ全身に力を込めて逃げようとも、涼はそれを許さない。 「最悪だ、最低だ」 そう呟き、下唇を噛む涼。 「……俺は最低だ。分かってたのに、こうなるまでずっと知らないふりをしてた」 「何の話をしてやがる…ッ」 「健成の声で喋るんじゃねえ!」 掴んでいた怪人の右手を枕に押し付けると、滑るように背後に回り首に腕を回した。 グッと力を込める。 しかしそれは重体にはならない程度に抑えられたものだ。 怪人は最初こそ暴れて抵抗したが、次第に瞼が降りてきて、動きが小さくなっていった。 「あッ……くそ、こんなこと…って」 首がだらんと落ちたのを確認して、涼は腕を離した。 ベッドにそっと横たわらせ、呼吸をしていることを確認してホッと一息つく。 今まで感じていた微かな怪人の気配は、もう健成からは感じられない。 大きくため息をついて、涼はうなだれた。 自分の今の姿を見て、更に嫌な気分になった。 好きな男とヤっていたと思ったら、実は相手は怪人に操られていました、なんて…笑えない冗談だ。 何かもが奪われた、そんな気分だった。 しかし、ずっとそうもしていられないのがヒーローの性だ。 育也と奏多から聞いた話が、おかしなことではないことがこれで証明されてしまったからだ。 ベッドから降り、ズボンを探す。 ポケットから携帯を取り出すと、タイミングの良いことに奏多から連絡が来ていた。 手早く返信して、すぐに服を着始めた。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 会議室で一人待つ奏多は、しきりに時間を確認していた。 携帯と壁の時計を何度も見比べ、乾いた唇をぺろっと舐める。 扉をノックする音に驚いて飛び上がり、恐る恐る近づく。 「俺だ」 蓮の声だ。 奏多はごくりと喉を鳴らし、意を決して扉を開けた。 そこにいたのはいつもの蓮だった。 「来てくれてありがと蓮くーー」 何とか笑みを作った奏多の瞳が、僅かに見開かれる。 「よッ、奏多」 蓮は一人ではなく、蒼汰と一緒だった。 「あ…蒼汰くん、何で?」 「何でだろうな?」 それまで浮かべていた笑みが一瞬にして消え、蓮は奏多の肩を強く押し部屋の中へ押し込んだ。 蒼汰がすかさず扉を閉め鍵をかけると、二人はにやりと笑う。 「な、何すんの蓮くん……」 「間抜けが。今からお前はひどい目にあうんだぜ」 「……そうかな?」 「は?」 鍵が開く音がした。 蓮と蒼汰が思わず振り返る。 入ってきたのは変身した育也と涼だった。 「な、なんで…ッ」 「詰めが甘いんだよ、怪人さん」 「くそッ、やっちまえ!」 蓮の一声で動き出そうとした蒼汰だったが、突如として発生した突風に吹き飛ばされた。 壁に強く背中を打ち付け、苦しそうに顔を歪め動かなくなった。 「その二人は鍛えてるからな。ちょっと痛めつけたくらいじゃなんてことないぞ」 「いや、痛いとは思うけど……」 育也の呟きなど聞こえていないかのように歩き出す涼。 蓮の目の前で立ち止まると、その顔を睨みつける。 「ちょうどいいから一発殴らせてもらうぞ」 涼が右腕を大きく振りかぶり、何のためらいもなく蓮の顔めがけて振り抜いた。 「うばぁッ!?」 情けない声を上げて吹き飛ばされる蓮。 床に倒れて、気絶したのを確認すると、育也と涼は変身を解除した。 「…本当に元に戻った?」 「あぁ。気絶すりゃ戻る。確かめた」 「確かめた?」 「…忘れてくれ。とりあえずこれで大丈夫だ」 「そっか。よかったぁ」 仲間を取り戻したというのに、涼の顔は晴れない。 しかし他の二人に悟られぬよう、涼は扉へ歩みを進めた。 「どこ行くの?」 育也の問いかけに、涼は振り返らず答える。 「戻らねえと。二人は任せていいよな?」 「う、うん」 「わりい」 涼の戻る先は、一つしかなかった。 ・ ・ ・ ・ ・ ホテルの部屋に戻ると、健成はまだ眠ったままだった。 全裸で寝かせるのもばつが悪かったので、とりあえずパンツだけは履かせておいた。 横に腰を下ろし、眠るその横顔をじっと見つめる。 つい2時間くらい前はここで一緒に盛っていたというのに。 謎の喪失感。 手に入れたわけでもないのに、感じるのは傲慢だろうか。 イライラするわけでもなく、悲しくなるわけでもなく。 ただ情けなかったのだ。 自分があんなに舞い上がってしまったことに。 ーーだって 「…好きなんだもん」 呟いてコンマ数秒後、健成の瞼がぴくッと動いた。 「健成?」 身を乗り出し、顔を覗き込む涼。 健成はゆっくり目を開けると、涼を見て数回瞬きした。 「……涼」 「首、痛くないか?」 「…うん、平気」 「そっか、よかった」 笑う涼を、不思議そうに見つめる健成。 その視線に気づいて、気まずそうに目をそらす。 「なぁ涼……」 「何?」 「俺…お前とここで…セックスしてたよな?」 「……あ…ど、どうかな」 わざとらしく首を傾げる涼。 誤魔化せるはずがない。何故ならここはラブホテルの一室なのだから。 「その、お前はあれだ…催眠術? にかけられてたみたいで。だからその…お前の意思ではないっていうか」 「催眠術……涼も?」 「俺は……」 そこで言い淀んでしまった。 答えによっては、本心を伝えてしまうことになるからだ。 しかし嘘をつけば、事態が良くなるとも限らない。 今の涼には、ほんの少し残酷な二択だった。 「……俺、意識はあったんだ。涼とヤってるってわかってた。その……こんなこと言われて戸惑うかもしれないけど…嫌じゃ、なかったよ」 「……へ?」 「だから……涼、すごい、かっこよかったよ」 「それは…つまり、どういう…?」 「だからッ」 顔を伏せて、絞り出すように叫ぶ健成。 その様子を見た涼の心の中には、むくむくと小さな悪戯心が芽生える。 「あの時間を……なかったことにしようとしてるお前が嫌なんだ」 体を起こし、不安げに涼を見る健成。 「お前は俺の事……どう思ってる?」 二ッと笑うと、涼は俊敏な動きでベッドに飛び乗った。 素早く健成を押し倒すと、顔を近づける。 「続き…やるか?」 唾を飲み込む音が、やけに大きく響く。 健成は小刻みに頷き、それを合図に涼はむさぼりつくように唇に飛びついた。