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G.O.E 〜第3話 【慢心の罠】〜

漂う瘴気は...... そこに踏み入った者の心を惑わせる。 かつては厳格な面持ちと、荘厳な雰囲気を兼ね備えていたこの場所は 今となっては柱も朽ち果て 惨めな廃墟と化していた。 部屋の最奥...... 朽ちかけの王なき玉座に 辺りに漂っている瘴気がそこに集まり 何かの形を作り出す。 徐々に人の形に作られていくそれは 数分ののち、1人の青年の姿を作り出した。 黒髪の青年は玉座に頬杖をつき 微かに微笑み空間に視線を走らせる。 すると、それが合図だったかのように 柱の陰から 2人の何者かが姿を現した。 「お待ちしておりましたウィル様」 2人は玉座に座す青年に向かい跪き、こうべを垂れる。 「ライト」 名を呼ばれたのは、右の柱から出てきた青年。 白髪に制帽を被り 身につけた漆黒の軍服と肩からかけたコートは その青年から物々しい雰囲気を醸し出している。 「はっ」 キンッ 微かに動いた時に鳴る金属音は、彼が腰にさした剣の鞘が地面に触れた音だった。 「レフト」 全身を黒のローブで覆ったその体は 豊満な胸によって滑らかなカーブを持っており 隙間から覗く瞳は微かに青く染まっているように見える。 「はっ」 「状況はどうなってる?」 青年の言葉に、ライトが続く。 「今現在の回収率は78%です。ですが去年の回収率は77%とそこから1%しか増えていません。このままでは100%に達するにはかなりの時間を要するかと」 青年は深くため息をつき 小さく舌打ちをする。 「ったく、俺がいないと何にもできないのか?」 「...申し訳ありません」 「まぁいい。俺の力を使えばもっと回収できるはずだ」 「ではウィル様。そのお力、私にお貸しください」 レフトが立ち上がり、微かに見える口元が歪められる。 ウィルと呼ばれた青年は気だるそうに彼女を見ると片眉を上げた。 「てめぇはこの前怪人がやられたろ?」 「はい。ですから名誉挽回のチャンスをこの私めに」 「ライトはそれでいいのか?」 「私は構いません」 「......だったらレフト。てめぇに任せる」 「はっ。必ずや多くのエナジーを吸収してみせます」 玉座についていた手を ウィルはレフトに伸ばす。 手のひらから放たれる漆黒の瘴気が 彼女の体を包み込んだかと思えば それは一瞬にして彼女に吸い込まれた。 「...まぁ、せいぜい良い怪人作ってくれよ」 「もちろんでございます」 ウィルは再び肘をつき、目をゆっくりと閉じる。 レフトは瘴気の中に姿を消し 場に残されたライトは帽子のツバに指を添えて 彼女の跡を見て 薄い笑みを浮かべた。 ・ ・ この前の物隙博士による“通過儀礼”のせいで行うことができなかった歓迎会を行うため 俺達は後日また集まることになっていた。 場所は基地ではなく、普通に焼肉屋さんに行こうってことになっていて 時間は7時ぐらいを予定している。 大学の講義を終えた俺は 電車に乗って集合場所の駅まで行って改札に着いたのが6時50分。 「あ、蒼汰くーん!」 改札から出てくる俺の姿を見つけた途端に 奏多は人目も気にせず大きく手を振って俺を呼ぶ。 辺りを見ると、どうやらまだ奏多1人だけらしかった。 ブレザーの制服の奏多は、肩から大きなエナメルバッグを提げている。 「なに、部活帰り?」 「うん。ていうかちょっと早めに抜けてきたんだよね。せっかくの蒼汰くんの歓迎会だし」 「マジか。ありがとなぁ」 「いいのいいの!」 奏多ってよく笑う子だよなぁ。 笑顔が太陽みたいにキラキラしてるから 見てるこっちまで自然と元気になれる。 「他の皆はまだ?」 「まだ。俺と蒼汰くんだけだよ」 「そっか」 まぁ、あと10分だし。 すぐに皆来るだろ......。 ・ ・ ......なんて思っていたら 7時直前に育也と蓮から同時に遅れると連絡がきた。 涼に関しては遅刻の常習犯だって奏多が言ってたから気にする必要はないらしい。 とにかく、俺と奏多は先に焼肉屋に行くことになった。 「これから行くところめっちゃくちゃ美味いんだよ!」 「そうなんだ。俺あんまり美味しい所とか知らないんだよなぁ」 「だいじょぶだいじょぶ。育也くんが美味しいお店いっぱい知ってるんだ」 「へえ〜、何か意外」 育也は食べるのが好きなのか......。 「奏多はサッカー部だったっけ?」 「うん。うちの学校まぁまぁ強いんだよ」 「何て高校?」 「××高校ってとこ」 「え! そこめちゃくちゃ有名じゃん!なに、レギュラーなの?」 「一応ねー」 ...俺にも兄弟がいたら、こんな会話をしてたのかな。 得意げに笑う奏多のことが 何だか弟みたいに思えてきた。 「でもうち男子校だからさぁ。それが唯一の残念なところっていうか」 「いいじゃんかぁ。俺共学だったけど、男子校もいいなって思ってたよ?」 「蒼汰くんは入ってないからそんなこと言えるんだよぉ...」 奏多と話をしながら数分歩くと 目的の焼肉屋に到着した。 いざ入ろうと引き戸を開けた瞬間ーー 背筋に得体の知れない悪寒が走った。 思わず動きを止めてしまうほどの...... ......そう これは、あの布の怪物に見つめられた時と一緒だ。 「来たね」 「来た?」 「あれ、聞いてない? とりあえず説明は途中でするからついてきて!」 焼肉屋に入ろうとしていた俺は 言われるがまま奏多の後についていった。 ・ ・ 人ごみの中を小走りで駆けながら 奏多は俺にあの悪寒について説明してくれた。 「俺達が履いてる競パンには幾つか機能があってさ、1つは変身機能、2つ目は転送機能、3つ目が感知機能なんだ」 「感知機能?」 「近くに怪人が現れた場合、俺達に教えてくれるんだよ。蒼汰くんが感じた悪寒はそういうことなんだ。まぁ、遠すぎると感知はできないんだけどね」 「そんな機能があったのか。でも怪人の詳しい位置なんて分からなくないか?」 「慣れれば場所も何となく分かるようになるよ。...っと」 奏多がスピードを落として、路地裏の前で立ち止まる。 時間のせいか視界の先は真っ暗で 微かに何かがあるということぐらいしか認識できなかった。 「この奥だよ」 奏多が躊躇いもなく歩いて行き、俺もそれに続く。 少し歩くと、壁際に座り込んでいる人を見つけた。 慌てて駆け寄ると 若い青年が全裸で......己の肉棒を勃たせて気を失っていた。 案の定肉棒はテカテカと濡れていて、白く濁った液体が付着している。 「遅かった...」 奏多が誰に言うでもなく呟き、路地の奥を見据える。 「この先だね」 奏多は肩に提げていたショルダーバッグを下ろして、俺を見る。 「行くよ蒼汰くん」 「お、おう」 俺も背負っていたリュックを地面に下ろす。 「変身の仕方は分かる?」 「仕方? どうやるの?」 「どうやるのっていうか、まぁ変身!って叫ぶだけだけど...とりあえず見てて」 奏多が首と手をほぐしながら軽く2、3回ジャンプして 手をダランと垂らして息を吐く。 「変身っ!」 そう勢いよく叫ぶと、奏多の身体が黄色い光に包まれて 一瞬にしてこの前見たスーツの姿へと変身した。 スーツに包まれたその身体は 高校生とは思えないほどの筋肉を持ち合わせていた。 特殊な素材のスーツは腕や腹筋にピッタリと張り付いて、筋肉の隆起を存分に見せつけていた。 「肩の力を抜いて、リラックスすればいいから」 頭に被ったヘルメットの中から、奏多がくぐもった声で言う。 「おう、分かった」 奏多の言う通り、全身から力を抜いて ふぅーっ、と息を吐き出す。 ......この言葉を言えば 俺は本当のヒーローになる。 小さい頃に憧れていた あのヒーローになれるんだ。 「......変身っ!」 呟いた直後 視界が真っ赤な光に包まれた。 衣服がなくなる感覚の後 全身を締め付ける感覚と 頭を覆う何か。 そして視界が元に戻ると 目の前には先ほどと同じ光景があった。 「うまくできたね」 先ほどはくぐもっていた奏多の声が 今度はクリアに、耳元で聞こえるようになっている。 おそらく変身している間はこういう風に通信できるんだろう。 「あともう1つ。僕達が誰か分からないように変身中は色で呼び合うこと。僕のことはイエローって呼んでねレッド」 「そ、そっか...。分かったぜイエロー。」 「よし、じゃあ行こう!」 さっきの格好よりこのスーツの方が薄いはずなのに全然寒くないし、何より身体にフィットしてるから動きやすい。 俺は奏多に続いて、怪人が潜んでいる路地裏の奥へと進んだ。 ・ ・ 路地から少し進んだ所にあったのは 今は使われていない廃ビルだった。 奏多によれば、怪人はここにいるらしい。 「入るよ」 「あぁ」 ......この中に、怪人がいる。 青年をあんな風にしやがって 絶対に許せねぇ。 廃ビルの中に踏み込むと 中には何もないコンクリート剥き出しの空間が広がっていた。 何かがいる様子は無いし、外で確認した分にはこのビルは4階まであった。 全ての階を調べ終えるまでは、気は抜けーッ「うわッ!」 辺りを見ていると前を歩いていた奏多の大声が室内に響いた。 急いで前方を見ると 天井に空いた穴から紫色の何かが奏多の身体を絡め取って、一瞬のうちに上へと引っ張っていった。 「イエローっ!」 急いで階段を駆け上り、2階へと上がる。 ...奏多の姿はない。 天井を確認すると、床の穴の真上にまた穴が空いていた。 奏多は3階か。 階段に足をかけようとしたその時、上から何かが襲いかかってきた。 「うわッ」 反射的にのけぞって何かを回避し 仕方なく2階のフロアへと移動する。 窓から入る明かりに照らされて、俺を襲った何かの姿が判明する。 それは、紫色をした巨大な触手だった。 3本の触手が宙で浮かびながら、ドロドロと気味の悪い液体を身にまとっている。 ......あれに触れたらやばそうだ。 この前の布の怪人といい、あの紫の液体はおそらく媚薬のようなものだろう。 じゃああれに捕まった奏多は......。 ......いや、考えるのはやめだ。 すぐにでも奏多を助けなきゃ...! 「くそっ!」 触手のスピードはそんなに速くないからかわせる。 けど、3本もあるから階段までたどり着くことができない。 何か触手の動きを止められる武器があれば...... 頭の中でそんなことを考えると 右手が急に光り出して ズシリ、と重くなって慌てて手の中の何かを掴む。 するとそれは、刃が赤く色付いた剣だった。 剣......。 よく分かんないけど、これならあの触手を倒せる! 「しゃぁ! かかってこい!」 剣を構えて、触手の動きを見る。 襲いかかってきた1本目を斬ると、ビクビク震えたかと思うと猛スピードで引っ込んでいった。 2本目、3本目もかわしながら切り裂くと 同じように3階へと逃げていった。 「よし、待ってろ奏多っ!」 絶対に救い出してやる。 階段を一気に駆け上がって3階のフロアを見る。 「これ......」 足元に見つけた、奏多がつけていたマスク。 上がった息を整えながら部屋の奥を見ると 触手に捕まった奏多の姿を見つけた。 「か...イエロー......」 「...あ......そこ、やめッ......」 触手に身体を拘束されている奏多は 先ほどとは違って艶かしい声を出して 喘いでいる顔は高校生とは思えない妖美さを湛えていた。 スーツが破られ、パンツから飛び出ている浅黒い肉棒も、てらてらと体液に濡れてイヤらしく輝いている。 「今助けるぞっ!」 走り出すと、暗がりから何本もの触手が飛び出してくる。 それを斬り落としながら、かわして、何とか奏多の下へ近づいていく。 「くッ......!」 ダメだ、触手の数が多すぎる。 これ以上近づけないし、戻ることもできない。 完全に周囲を触手に囲まれ、剣を構えて警戒する。 しかし数には勝てずに 右手が最初に捕まって剣を落として、両足と左腕も絡め取られ完全に身動きが取れなくなった。 「くそっ! 離せ‼︎」 「離せと言われて離すバカがいますか?」 暗闇の中から声が聞こえ、そっちに顔を向けると 何かが姿を現した。 現れたそれは、上半身は人のようで、下半身には大量の触手がうごめいていた。 肌は紫色で、瞳は血のように赤黒い。 「まさかあなた達を捕まえられるとは思いませんでしたよ」 「...離せ! 仲間も解放しろ!」 「無理な相談です。こちらにもやるべきことがありますので」 怪人が微笑むと 彼の周りに何本もの触手が浮かび上がる。 「彼はすぐに落ちてくれました。あなたも同じように楽だといいのですが」 「うっ......やめ...ろ!」 マスクに触手が巻きつき、視界を覆う。 俺は必死に身体を動かして、少しでも抵抗する。 「動かないで。怪我をしますよ......仕方ないですね」 マスクに巻きつく触手が更に締めつけを強くする。 ピキッ、とヒビが入る音が聞こえ 次の瞬間にはマスクが無残にも砕け散った。 「媚薬は塗るよりも体内に直接流し込んだ方が効くのが早いんです」 「なっ...やめ、ぅぅん‼︎」 顔の前に小さい触手がやってきて口の中に無理やり入り込んでくる。 触手の先から液体が直接流し込まれ、喉を伝って身体に流れていく。 「んんんッ‼︎」 ...苦しい ......のに、身体が一気に熱くなって 視界にモヤがかかったみたいに、頭がぼうっとしてきた。 「...んぁっ」 口から触手が抜け、空気を確保するため早く呼吸する。 ...ただ十分に呼吸を確保しても、呼吸の速度は変わることはなくて 全身......特に下半身の熱が俺の身体を侵していく。 「あっ......熱い...」 触手に捕らえられた両腕を頭の腕まで持ち上げられ 足に巻きついていた触手が足を持ち上げ膝を曲げられ、俺の恥部が全て丸見えの状態になる。 「やめろよッ......こんなこと...!」 「無理ですね。それより、そろそろスーツももろくなってきたはずです」 目の前にやってきた怪人が俺の股間に手をかけて呟く。 「な...なにして...」 「そろそろエナジーの方を回収させてもらいます」 スーツに爪を突き立て、怪人が思い切り引っ張る。 するとスーツは情けないことに簡単に破られてしまった。 下には競パンしか履いておらず、怪人はそれにも手をかける。 パンツの横から俺のイチモツを取り出して 既に濡れてギンギンのそれを、まるで愛おしい物のようにそっと触れる。 「...ぁっ......ぁ!」 触れた所に発生する快楽。 しかしそれは一瞬で消えてしまい、俺の中に耐えがたいもどかしさを生む。 「いいですねぇ、いいですよぉ」 数回俺のチンコを扱くと、今度は顔を近づけて亀頭にリップキスをした。 「あっ!はぁ......やめっーー」 脈が浮かび上がり、限界まで勃起したチンコは時折、まるで生きているかのようにピクっと跳ねる。 先走りと共に白濁した液が少量漏れ出ていた。 「ではいきます」 怪人がペロッと漏れた精液を舐めて、俺の顔を見上げニヤリと笑ったかと思うと 張り詰めた肉棒を一気に口で呑み込んだ。 「はぁぁぁッ‼︎」 温かさと今にも昇天してしまいそうな刺激が俺のチンコを包み込む。 声を我慢することもできず、使い物にならない頭に俺はただ快楽を受け入れる。 ジュプ...ズボッ...... 下品な音 動き回る舌が俺をピンクに染め上げる。 「あぁぁぁッ......」 ダメだ。 精液を敵に与えるわけにはいかないんだ。 何としてでも、耐えなければ。 頭の片隅に僅かに残っていた理性と正義感が 俺の意識を繋ぎ止める。 息を止め、何としてでもイかないように天井を見上げる。 すると、いつまで経ってもイかない俺を見て怪人は痺れを切らしたのか、1度口を離すとイヤらしく口を歪めた。 「仕方ない。ケツのほうもいじってあげますよ」 「はっ⁉︎」 パンツ越しに何かが俺のケツを撫でる感覚。 触手はパンツの間に強引に割って入って、俺のケツの穴を先端でチョロチョロ撫でてから、ゆっくりと侵入を開始した。 「はぁぁ⁉︎ぁぁぁ......ぁ!」 ケツに感じる圧迫感。 痛みを感じたかと思えばそれは一転して快楽に変わり 怪人が再び始めたフェラと相まって、俺の理性と正義感は完全に掻き消された。 ケツから聞こえる粘着性のある音。 怪人が頭を上下する度に鳴る下品な音。 俺の意識はもう音と快楽に支配されていた。 「ぁ...ぁ...ぁ...ぁ......」 もぅ......我慢できない...。 「イク......あぁっ!」 尿道を大量の精液が駆け巡るのがわかった。 噴き出すように溢れたそれは全て怪人の口の中に放たれた。 肩を上下させながら怪人を見下ろすと ジュルリと口を拭って、俺をイヤらしい目つきで睨みつけた。 「とても美味しいです。あの黄色い子より数倍ね。さぁ、あの子と一緒にいっぱい食べてあげますね」 もう俺に動く体力がないことが分かっているのか、触手は俺を床に下ろした。 怪人が俺の腕を触手で掴み、奏多の所まで引っ張っていく。 ......でも 怪人が急に動きを止めた。 「悪いけどお食事タイムはおわりだぜ?」 ......この声は...涼か? 何とか身体を動かして奏多の方を見ると バラバラに切り裂かれた触手の中に 奏多を抱える、変身した涼の姿があった。 「ふん、のこのことやってきたか新たなエサが」 怪人が触手を一斉に涼に差し向ける。 しかし涼は構えるどころか避ける動きすら見せない。 すると突然、触手が壁にでもぶつかったかのように上下に逸れて、動きを止めた。 「届かないよ」 涼の隣に現れたのは、緑のスーツを身に纏った育也。 どうやら触手を防いだのは育也の力のようだった。 「小賢しいッ...‼︎」 「それより、上。気をつけた方がいいぜ?」 「なッ...!」 怪人が天井を見上げたのと同時に 天井が砕け、剣を突き出した蓮が姿を現した。 「な、ぎゃーーッ!」 怪人が声を発するよりも速く 蓮の剣が奴の頭を貫いた。 軽やかに着地した蓮は剣を引き抜くと 躊躇いもせず怪人の首を切り裂いた。 ボトッとコンクリートの上に落ちて転がっていく怪人の頭は、すぐに塵となって形を失った。 同じように触手と下半身も塵と化す。 腕を伸ばして、膝をつき何とか立ち上がろうとすると 脇を掴まれて一気に持ち上げられた。 目の前には蓮が立っているが、その表情を伺うことはできない。 「大丈夫か?」 「あぁ......悪い、やられた」 「それは後だ。 育也、路地の被害者とこの2人の荷物を頼む」 「分かったよ」 「涼!」 「今行く!」 気を失っている奏多を抱えた涼が蓮の隣にやってきた。 「行くぞ。転送」 蓮が呟くと、足元が青く光り出し 前回と同じく視界が青一色に染め上げられた。 ・ ・ ・ ・ 光りが収まると、そこは博士の実験室。 奏多をベッドに寝かせ、俺は隣のベッドに腰掛ける。 すぐに育也が路地裏にいた被害者を連れて転送されてきて、博士はそっちの対処をしてる。 蓮と涼が変身を解き、こっちにやってきたか育也も変身を解いた。 俺と奏多の変身も自然と解かれていて 股間部分が破れたスーツは、それまで着ていた服に戻っていた。 「奏多...おい、奏多」 涼が横になる奏多に声をかけると 少しして奏多が目を開いた。 辺りの状況を確認して俺以外の3人の姿を見つけると 「......終わったの?」 唖然とした様子で呟いた。 「あぁ。あの触手野郎はぶっ飛ばしたぜ」 「涼...静かにしてくれ」 蓮が......低い声で涼に告げると 笑みを浮かべていた涼は徐々に無表情になって、壁に寄りかかった。 起き上がった奏多、そして俺を見てから蓮は口を開いた。 「お前らはバカか? 何故2人だけで行動した?」 「それは......」 奏多が下を向いて口ごもる。 蓮は少し奏多を見ていたかと思うと、視線を逸らして続けた。 「一ノ瀬に良い所でも見せたかったか? 先輩面したかったのか?」 「おい、蓮。そんな事言わなくてもーー」 「お前は黙っててくれ」 蓮から向けられた冷たい瞳に 何故か言葉が詰まってしまって、それ以上しゃべる事が出来なかった。 「奏多?」 「......ごめんなさい。俺が...何も考えないで行ったから」 「......」 「次からは......気をつける」 「......緊急時なら単独、もしくは少数の行動は認める。だかそうでない時は決してするな。敵は特殊な行動をする奴らばかりだ。少数では対処できるものもできない。分かったな?」 「......はい」 「それから一ノ瀬」 蓮は俺に向き直り 奏多に向けていた厳しい視線を向ける。 「新人なんて言い訳は通用しない。お前だって少し考えれば少数行動は危険だと理解できたはずだ」 「......そうだよな。悪い、俺のミスだ」 「...分かればいい」 蓮はそれだけ言うと、部屋を出て行ってしまった。 この部屋に残された沈黙と重い空気......。 涼がそれを手を叩いて吹き飛ばし、奏多の隣に腰掛けた。 「まぁ、気にすんなよ。蓮って厳しすぎるからな。あんなのテキトーに流しときゃいいんだよ」 「......ありがと涼くん」 奏多は弱く微笑むだけで 涼の励ましが効いてるようには見えなかった。 「また蒼汰くんの歓迎会できなかったね。今度、ちゃんとやろうね」 話しかけてきてくれた育也に対して 俺も笑い返す事しかできなかった。


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