NokiMo
ジェニファー
ジェニファー

fanbox


G.O.E 〜第4話 【若気の至り】〜

玉座の前では ライトとレフトが跪き、己の主の参上を待っていた。 すると、玉座の周囲に漂う瘴気が1つに集まり 黒髪の青年の姿を作り出す。 ウィルという名の主は 他には目もくれずレフトを睨みつけた。 「......どうやら失敗に終わったようだなレフト」 「誠に申し訳ありません」 「じゃあ次はどうする? ライトか? レフトか?」 一瞬ーー。 2人の間に流れた電流。 ライトがゆっくりと頭をあげ、ウィルを見上げた。 「再びレフトに任せてみてはいかがでしょう? 彼女の作り出す怪人には私にはない特殊なものが多数存在します。そちらの可能性にかけてみるのもよろしいかと」 ウィルはライトの真意を探るようにしばらく見つめ、一息零してから再びレフトを見た。 「よし、レフト。お前に任せる。次こそは多くのエナジーを回収してこい」 「かしこまりました」 ウィルから放たれる漆黒の瘴気。 それを身体に受け入れたレフトはすぐさま瘴気の中へと姿を消した。 それを見届け立ち上がるライト。 一礼して振り返る彼の背中に、不意にウィルは声をかけた。 「何でしょうか?」 振り向いたライトは 全くの無表情でウィルを見つめる。 「何故レフトにまたやらせようと思った?」 「......先ほど申しました通りーー」 「建前はいい。俺は本音が聞きたい」 そう言われライトは顔を伏せると 口元に笑みを浮かべてから、再びウィルを見た。 「私はただ好敵手を探しているだけです。先ほどの発言には、何の意味もありません」 「...ふっ。そうか」 ライトの回答を鼻で笑ったウィルはそれで満足したのか 玉座に深く腰掛け目を閉じると 直後にその身体は瘴気となって室内に広がった。 ・ ・ あぁ、くそッ。 前はこの辺で蓮を見かけたのに 何で今日に限ってこんなに人が多いんだ⁉︎ もう4回目の休み時間を使って学内を探してるってのに 全然蓮が見つからない。 この曜日に見たのは確かなんだけどなぁ......。 立ち止まって、背伸びをしながらキョロキョロと辺りを見回すと 「蒼汰!」 と俺を呼ぶ声が聞こえた。 人混みをかき分けて近づいてきたのは修二だった。 「お前こんな所にいたのか。しばらく会ってなかったから心配したぞ」 「お、おぉ......」 修二とは、布男に襲われてから1度も会っていなかった。 G.O.Eについては誰にも口外してはいけないから あの後のことを聞かれるととても困る。 ......嘘をつくのは苦手だし、何よりすぐに顔に出ちまう。 「休んでたのか? 俺に連絡もしないで」 「へっ?」 休んでたって......この前のこと覚えてないのか? あんな気持ち悪い化け物を、数日で忘れることなんて不可能だと思うんだけどな......。 「おい」 「なに...あっ」 誰かに肩を叩かれて振り返ると そこには先ほどまで全く見つけられなかった蓮が立っていた。 「蓮ーーっ」 「待たせたな、一ノ瀬」 「あれ、蒼汰知り合い?」 蓮と修二を交互に見ながら、俺は何で蓮が話しかけてきたのか分からず混乱する。 修二に蓮のことを何て説明すればいいのか...... 友達? バイト仲間? いや、幼馴染ーー? 「こいつ借りてもいいかな? 約束してることがあって」 「あぁ、いや、大丈夫だけど」 「ありがとう。行こう一ノ瀬」 「あ...じゃあまた後でな修二」 「おぉ」 蓮に手を引かれて、やや早足で人混みを抜ける。 中庭に出て、人の少ない端っこまで移動すると 蓮は俺の手を離して振り返った。 「嘘ぐらいスッとつけるようになれ」 「...悪い、嘘つくの苦手だから」 「......まぁ嘘が上手くなれとは言わないけど」 バツの悪さで思わず目を伏せると 蓮が手に持っている教科書の名前が目に入った。 どうやら法律系の授業を取ってるみたいだ。 ......そうだ。 さっきの修二のこと聞いてみよう。 「さっきの友達さ、俺が布の怪人に襲われた時一緒にいたんだ。でも何も覚えてないみたいで」 「記憶操作だ。G.O.Eの職員が怪人が出現した場所にいた人達に後日接触して記憶を書き換えてる」 「そうなの?」 「被害者だけ記憶を書き換えてもしょうがないだろ? 完全に秘匿しなければ意味が無いんだ」 「あぁ、確かに」 疑問が1つ解決して納得...... じゃなくて‼︎ 俺が蓮と本当に話したかったことはこれじゃない! 「なぁ、蓮」 「何だ?」 「奏多の事なんだけど」 「奏多...? 奏多がどうかしたのか?」 「ほら、この前のことだよ」 俺が言っているのは、前に俺と奏多だけで行動した時のことだ。 あの時は敵に捕まってしまって、後で蓮にお説教をくらった。 もちろん俺達が悪いから文句なんか言うつもりはない。 でもあの後の奏多がめちゃくちゃ落ち込んでたから何だか気の毒になっちゃって...... 「お前言い過ぎだよ。奏多だって悪気があってしたわけじゃないんだからさ」 「......蒼汰はまだヒーローとしての活動が浅いから仕方がないと納得できる。でも奏多は俺達と一緒に半年もやってきてる。あいつは1番年下だし、すぐ無茶なことをしだすからあぁやって怒らないと......」 「それは分かるよ。けど言い方はもっとあったろ?」 蓮はうーんと唸りながら、こめかみをぽりぽりと掻く。 「......分かってるんだ。言い過ぎだってのは。 ただどうしても、その......」 ......ふーん。 分かったぞ。 「蓮、お前さては不器用だな?」 「なっ......⁉︎ お、お前には言われたくない!」 「どういう意味だよそれ!」 「そのまんまの意味だよ。 ......悪いけどもうすぐ次の講義が始まる。話すことがないなら行ってもいいか」 「話すこと......はないけど」 「じゃあもう行くぞ」 「あ、おい...」 蓮は腕時計をチラッと一瞥すると 小走りで校内へと入っていった。 「はぁ......」 俺が蓮にとやかく言う資格はない。 それは分かってるけど 奏多のあんな顔見せられたら 何とかしてあげたくなったんだ。 ・ ・ あれからずっと 気だるい感覚が続いていて 登校中も... 授業中も... 部活中も... 頭がボーッとしていて 何をやっても失敗してばかりだった。 「...なた! おいっ、奏多!」 「エッ......な、何?」 「さっきからずっと呼んでんのに何で返事しないんだよ?」 「あ...ごめん。ボーッとしてた」 「ったく、どうしたんだよお前? 昨日から変だぞ?」 「そうだよ、練習でもミス多いし。何かあったのか?」 「いや、何でもないから。......うん」 今は部活の帰り道。 サッカー部の友達2人、裕太と真二と一緒に これからどこかのファミレスにでも行こうかってことになってる。 うちの学校の部活...とりわけサッカー部はいつも夜遅くまで練習する。 学校を出るのはいつも7時半ぐらい。 夏以外の時期だともう外はほとんど真っ暗で だから夜飯をどこかに食べに行くのはよくあることだった。 「じゃあ今日は何食いたい?」 「ガッツリしたのが食いたいな俺。奏多は?」 「俺は......何でもいいよ」 「何だよどうした奏多ぁ? 何で元気ないんだよ?」 「何でもないって」 「何隠してんだよ。顔に出まくりだぞ」 「何でもないってばッ」 ・ 『一ノ瀬に良い所でも見せたかったか?』 蓮くんに言われた言葉が 頭の中で繰り返される。 『先輩面したかったのか?』 確かに舞い上がってたんだ俺。 蒼汰くんが新しく入ってきて まだよく分かってない蒼汰くんに、色々教えてあげたくて ...カッコいい所見せたくて 自分1人で何とかしてやろうと思って ......その結果敵に捕まって、最後まで何も出来なくて 自業自得なのは分かってる。 分かってるけど... 蓮くんの怒ってるあの低い声が いつまでも頭から離れないんだ。 ......もしかしたら、嫌われちゃったかな。 ・ 「何だよ、そんな怒んなよ」 「......ごめん」 あぁもう... やっぱ帰ろっかな。 ......うん。帰ろう。 正直お腹も空いてないし。 2人に帰ることを伝えようと振り返ると 後ろには真二しかいなくて、裕太の姿が見えなかった。 「あれ、裕太は?」 「分かんねえんだよ。気づいたらいなくなってて」 急にいなくなる? コンビニはないし、トイレを借りるにしても借りれそうなお店は周りにない。 「どこにーー」 ーーッ‼︎ 一瞬感じた悪寒は慣れたもの。 だけど今は感じたくないものだった。 しかも嫌な予感がする。 もしかしたら裕太は......? 俺は真二を通り過ぎて、目に入った路地に近づく。 ......この先だ。 この先から怪人の気配を感じる。 『何故2人だけで行動した?』 蓮くんの声が 俺が踏み出しそうになるのを抑える。 この前は蒼汰くんがいた。 でも今回は1人......。 「どうした奏多、裕太見つけたのか?」 「いや......」 「ったく。裕太ぁ〜、いるのか〜?」 「あ、真二待って!」 暗闇に進んでいく真二を慌てて追いかける。 怪人の気配が濃くなる。 ダメだ、真二は巻き込めない。 「ちょっと、真二待ってって!」 路地の奥まで歩いて、真二の背中を見つけて近寄る。 「しん......」 肩に手をかけようとして、俺は動きを止めた。 真二の向こう側で、何かが地面に横たわっているのが見えたからだ。 いや、横たわっているのではなく 地面に倒れてもがいているのは......裕太だった。 ...裕太の体を覆っている緑色の液体が 裕太の服を溶かしながら、更に奥の暗闇へ引きずり込もうとしていた。 「裕太っ!」 バッグを放り捨てて、急いで裕太の下へ走って両腕を掴んだ。 強く引っ張ると、思いの外すんなりと謎の液体から裕太を引き抜くことができた。 液体はブルブルと震えると、目にも留まらぬ速さで暗闇の中へ逃げていった。 「...ぁ、奏多ぁ......」 「大丈夫か、何があったんだ⁉︎」 「分かんねえ......。急に引っ張られたと思ったらあの液体が体にまとわりついてきて...俺をここまで引っ張ったんだ」 「何だよこれ、どうなってんだよ」 裕太の姿を見た真二が訳が分からないといった表情で呟く。 さっきまで裕太が着ていたウィンドブレーカーは溶かされて、中に着ていたはずのユニフォームも上下共になくなりパンツ一丁になっていた。 「とりあえずこれ着てッ」 自分が着ているウィンドブレーカーを脱いで裕太に渡す。 裕太を真二に預けて、俺はあの液体が消えた先を見つめる。 振り返って、怯える2人にちゃんと理解してもらうため、ゆっくりと喋った。 「真二と裕太はここで待ってて。でも、何か起きたり、変な物を見たらすぐ逃げろよ」 「奏多...お前はどうすんだよ」 「俺はあの液体の後を追う」 「何でそんなことするんだよ?」 ......俺がヒーローでガーディアンイエローである事はもちろん、G.O.Eの事でさえしゃべる事は許されてない。 「それは言えない。けど、ここで待ってればきっと助けが来る。いいな?」 「...あぁ、分かった」 変身する瞬間は見せられない。 俺は2人に見られない所まで進んでから、辺りを見て誰もいないことを確認する。 「変身っ!」 黄色い光が俺を包み込んで、着ている服が戦闘用のスーツへと変わる。 敵が何かも分からないのに単独で行動する事は、危険な行為だ。 ...分かってる。 でも 俺が1人で怪人を倒せれば きっと蓮くんも見直してくれる。 ......1人で、倒してやる。 頭の中で意識すると、手のひらに光が現れる。 それが棒状に伸び、グッと握ると光は姿を変えた。 俺が持つのは黄色く染められた巨大なハンマー。 俺しか使えない、俺専用の武器だ。 「よし」 絶対に倒す。 1人で倒して、蓮くんに認めてもらうんだ。 ・ ・ 大学の講義を終えて、家までの帰り道を歩いていると ポケットに入れていた携帯が震えだした。 何かと思って見てみると、物隙博士からだった。 ......また誘いの電話じゃないだろうな。 ため息をついてから電話に出ると、博士の声はいつもとは違って、切羽詰まっていた。 『蓮くん大変よ』 「どうしたんですか?」 『いま怪人の出現を感知したんだけどね、どうも奏多くんが1人で向かってるみたいなの』 「なっ......あいつっ」 『1番近いのは蓮くんなの。他の3人にも連絡するけど、心配だからすぐ向かってちょうだい。地図を送るわ』 「分かりました」 通話を終えるとすぐにメールで地図が送られてきた。 場所は確かに近い。走れば5分ぐらいでつく距離だ。 ......いや、それよりも 何で奏多はまた勝手に行動したんだ...? 前回あれだけ......注意したのに。 『お前言い過ぎだよ。奏多だって悪気があってしたわけじゃないんだからさ』 今日、大学で蒼汰から言われた言葉を思い出した。 ......分かってる。 キツく言い過ぎたのは自分でも分かってるんだ。 でも俺は......。 ......いや、考えるのはやめよう。 今はとにかく、奏多の下へ急がなければ。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 辺りを警戒しながら、ゆっくりと暗闇の中を進む。 視界を照らしてくれるのは頼りない月の光だけだ。 でも怪人が移動した道は分かる。 コンクリートの所々に、ドロドロした緑の液体が付着してるからだ。 しばらく歩くと、曲がり角の先から “グチャ...ッ” と湿ったような音が聞こえた。 ハンマーの柄をもう一度握りしめて、深呼吸する......。 ......いくぞっ! 意を決して足を踏み出し、スピードを上げて角から飛び出す。 「そこまでだッ......なーー」 ビルとビルの間にできた開けた空間に さっき見たのとは比較できないほどの大量の液体が蠢いていて 地面には何人もの男の人が全裸で倒れていた。 まったく動かないから、おそらくきをうしなっているんだろう。 「でっ...か......」 2階建ての建物とほぼ同じ大きさのそれは 俺の存在に気づいているのか、いないのか...... 怪しく波打つだけでまったく分からない。 すると、ボコっと液体の一部が膨らんだかと思うと、そこから地面に横たわる男の人達めがけて、液体が放たれた。 あの行動にどんな意味があるのかは分からないが、俺たちにとって良いものであるはずがない。 これ以上好きにさせてたまるかっ! 咄嗟に走り出し、降りかかる液体にハンマーを渾身の力を込めて打ちつけた。 ビチャッという、水風船が破裂したような音が聞こえ、緑の液体は勢いよく周囲に飛び散る。 急いで男の人達を見ると、どうやら液体はかかっていないようだった。 辺りの液体はもぞもぞと動くだけで、目立った動きを見せる気配はない。 この液体......見た目だけで大したことないのかも。 これなら、俺1人でだって倒せそうだ。 ......1人で倒せば、蓮くんは認めてくれる。 ・ 認めてもらう。 それにだけ意識を取られていた俺は、自分の足に伸ばされる手に気づくことができなかった。 急に足を引っ張られ、何とか地面に手をついて倒れるのを防ぐ。 何かと思って足を見ると、気絶しているはずの男の人が俺の足を掴んでいた。 「何でッ......」 男の人は目を開いてはいる。 けれど白目を剥いているそれは、普通の状態でないことを示していた。 「放せ......ッ」 どれだけ引っ張っても、男の人は俺の足を放そうとしない。 どこからか粘着性のある音が聞こえて、慌てて視線を走らせると、倒れている男の人達のケツから緑の液体が漏れだしていた。 それは1つに集まり、ある程度の大きさになると俺に向かって軽快な動きで近づいてきた。 「やめろっ、来るなっ!」 逃げようにも足を掴まれて逃げられず、太ももから登ってきた液体はそこから広がり、俺の首から下をすっぽり包み込んだ。 「くそッ、何だよこれ...」 身体を動かそうにもドロドロした液体が俺の動きにセーブをかけて、1ミリでさえ動くことが許されない。 結局俺は、自分の身に起きていることを恐怖しながら見ていることしかできなかった。 「...なに」 液体が急に波打ち始め、不規則に発光し始めた。 逃げることができないこの状況で、俺の中でどんどん恐怖心が膨らんでいく。 そして今までで1番強い光を発した瞬間 俺の身体を突き刺すような衝撃が襲った。 「あぁぁぁッッ‼︎」 バチバチと耳をつんざく音がビルの間で反響していく。 ...これは......電気。 「ぁ......はぁ...うぁぁぁッッ‼︎」 終わったと思った電撃は再び俺の身体を駆け巡る。 「うぅぅぅ...ッ‼︎」 痛みで身体が緊張し、歯を食いしばることで痛みに耐える。 マズイ、このままじゃ......! スーツが所々から、火花を散らし始めた。 ......俺達が着ているスーツは、怪人との戦闘用に作られた特殊素材の強化スーツ。 しかし一定以上のダメージを受けると、修復不可能になる前に強制解除となって、競パン1枚の姿になってしまう。 ......きっとこの液体の狙いはそれだ。 ただ、狙いが分かっても既に手遅れだった。 1ミリも動かせないこの身体では、どうすることもできなかった。 「ぐぅぅッ! あぁぁッ‼︎」 生身で受けていれば死んでしまうであろう電撃を防ぎ黒く焼け焦げたスーツは 淡い黄色の光を放った後、手品のように消えてしまった。 そして黄色い競泳パンツだけが俺の身体に残される。 「はぁ......はぁ......ぁ」 電撃が止んだかと思うと、液体は次に俺の身体を揉むように波打ち、全身に弱い快楽を与え始める。 くそッ...... やっぱり俺1人じゃ、勝てないのか。 これじゃまた......蓮くんに怒られる。 今度こそ、嫌われて... “失望される” 強くなる快楽と共にネガティヴな思考が俺の頭を侵食していく。 ネチョネチョと蠢めく液体の音が 頭の中にやけに浸透していく。 “...もう......いいや” 考えるのを恐れた俺は 与えられる快楽に...身を委ねた。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 博士からもらった地図を頼りにたどり着いた路地の入り口。 暗闇に踏み込んで少し進むと、2人の高校生らしい青年が壁際で座り込んでいた。 「ここで何をしてるんだ?」 「と、友達がこの先に......」 青年は奥の暗闇を指差す。 ......おそらく奏多の友達か。 落ちているエナメルのカバンに見覚えがある。 あれは...奏多の物だ。 「しばらく経つのに戻ってこないんです」 「......ここから動かないでくれ。すぐに戻ってくる」 奏多が進んだと思われる暗闇を進み、丁字路に出る。 右の道に緑の謎の液体があるのを発見した。 奏多はこっちに行ったと判断するのが妥当か。 ...ここからなら、あの2人にも見えないだろう。 「変身っ!」 眩い青い光が俺を包む。 青いスーツを身に纏い、感触を確かめるように手を振る。 ......待ってろ、奏多。 ・ ・ 緑の液体は俺の首から下を包み込むと、全身を優しく圧迫し始めた。 乳首を押す圧迫感... 脇や腹筋を撫でるくすぐったい感覚... そして 俺のイチモツを守る競パンとの間に液体が入り込むのが分かった。 足の付け根に波打つような感覚を覚え、顔を上げて見てみると、競パンが徐々に足先の方へ降ろされていた。 「......ぁ」 ついに足先まで進んだ競パンは、吐き出されるように液体外に捨てられた。 既に限界まで勃ち上がった俺の肉棒を、液体は全方位から圧迫する。 「ぁぁぁ.........ぁぁ......!」 裏筋を撫でるような流れを感じたかと思えば、次は玉が圧迫される。 様々な快楽を与えられて、俺の思考はよりピンクに染まる。 液体は腕を背中に移動させ、俺の腰を若干浮かせることで、自然と腰を突き出す格好にする。 「うん...ッ......ぁ...ハァ......」 ...キモチイイ。 「キモ...チ...イイ......」 モット、モットチョウダイ。 「モットォ......モットォ......!」 忘れさせて。 もう蓮くんのことなんか忘れさせて。 俺を......快楽で満たして。 「......ぁあッ‼︎」 ケツの辺りの液体が、隠された後孔の中へ侵入しようと波打ち、圧迫する。 思わず尻に力を込めて抵抗してしまったが 終いには抵抗することも疲れて、液体の侵入を許してしまった。 グググッと、肉が横に押し開かれて ...入ってくる 「......ぁぁ」 入ってくる。入ってくる。 「はぁ......ぅぁぁッ......」 ......満たして。 俺の中を満たして......。 腰を突き出して、チンコを勃起させている今の俺の姿は......どれだけ淫靡なのだろうか。 そそり勃つチンコに与えられる刺激も段々強くなり、ビクビクと跳ねて絶頂が近いことを知らせる。 液体がもうお腹のところまで......チンコの先っちょまで.....満たされてる...。 歯を噛み締めて、絶頂までの快楽を味わう。 「はぁっ!」 射精する瞬間の感覚に思わず首を仰け反らせた。 ...精液は。出口目がけて尿道を駆け上る。 「ぁぁぁあッ!」 突き出した腰ががくがくと震え 数回に分けて、白濁液は緑の中へ飛び出していく。 勢いよく飛び出た白濁液は胸の辺りでプカプカと浮かび、その存在を誇張する。 「...ハァ......ハァ......」 あれだけ大量に射精したというのに 俺のチンコは衰えることなく、まだビクビクと一瞬の膨張を繰り返す。 「......ぁッ⁉︎」 絶頂を迎えた余韻に浸っていると、再びチンコに熱い衝撃を感じた。 チンコの先で渦巻く液体......。 亀頭の穴から......入ってきてる。 反射的に腰を引こうにも、腰で固定されている手のせいでそれができない。 ァァ...... やめてぇ......。 チンコがビクビクと反応し、尿道を逆流するおかしな快感が、俺を更なる快楽へ堕とそうとする。 もう......おかしくなっちゃう。 このままじゃオレ、おかしくなっちゃうよ......。 ・ 『奏多ッ‼︎』 ...あぁ、どうして蓮くんの声が聞こえるんだろう。 『奏多ッ‼︎』 俺の名前を呼んでる。 蓮くんが、呼んでくれてる ......俺の名前を。 肩に走る重い衝撃。 脇に何かが差し込まれ、俺の体を液体の中から引きずり出した。 「奏多ッ‼︎」 「れ......んくん?」 上下する視界に加え、うまく焦点が定まらず、俺を引っ張っている人物の顔が認識できない。 ......いや、それでも分かる。 この声は蓮くんだ。 頭が地面について、ボヤけた視界で青いマスクが俺の顔を見てるのが分かる。 「奏多、分かるか?」 視界がどんどんクリアになる。 相変わらず辺りは暗いっていうのに 青いスーツを着た蓮くんだけは、ハッキリ見ることができた。 「うん......わか...る」 「よし、意識はあるな」 蓮くんは立ち上がり、左手に剣を召喚して液体の方に視線を向けた。 「すぐ終わらせる。待ってろ」 ......蓮くんのことを忘れたいとさっきまで思っていたのに いざこうやって目の前にして 名前を呼ばれて、心配されると やっぱり一緒にいたい。 ......心の底からそう想う。 「......ぁぁッ」 イチモツと肛門から、体内に入り込んだ液体が漏れるように外に出て、本体へと戻っていく。 それほどまでに蓮くんが手強いのか 俺が最初に見た時以上に、液体が巨大化していく。 ...あれ、また視界がかすれ出した。 ダメだ、瞼が重い。 蓮くんの後ろ姿が......霞んでいく。 限界まで繋ぎ止めようと努力したものの 努力むなしく、テレビが暗転するように視界が黒く染まった。 ・ ・ 奏多が液体に包まれていたのを考えると、1度捕まったら逃げられないと考えた方が妥当か。 目の前にそびえ立つ巨大な緑の壁を見ながら、敵の危険度、そして対処方法を探していた。 液体にどれだけ攻撃をしても意味はないはずだから、おそらくどこかに核になるようなものがあるはずだ。 問題はその核がどこにあるかだが...... 辺りの暗さのせいで視界が悪く、今のところあの液体の中に核らしきものは発見できない。 すると液体が微かな点滅を繰り返しながら、表面を泡立たせ始めた。 ゴボゴボと、まるで沸騰している時のような音を出しながらそれは膨張を始める。 そして表面の一部がより膨らんだ次の瞬間、勢いよく水がそこから飛び出してきた。 生身で受ければ即死、このスーツでも重大なダメージを受けるだろう。 だかそれは“命中”すればの話だ。 左手の剣を横に振るえば、放たれた液体は凍結し地面に落ちた。 剣を持つことにより俺が得る力は氷。 本当は確実に倒そうと思ったが......奏多のこともある。 強引にでも、さっさと終わらせてやる。 先ほどの1発を皮切りに、次々と緑の弾丸を発射する液体。 何も考える必要はない。 ただ前に進んで、降りかかる物は全て凍らせればいい。 力は大量に消費してしまうが、おかげですぐに近づける。 「...核はあそこか」 近づいたおかげで見えなかった核を視認することができた。 野球ボール程の大きさの赤い球体がプカプカと緑の中に浮かんでいた。 俺が近づいたことで緑の液体は更に全身を泡立たせ、物々しい音を轟かせる。 ......このままでは面倒くさい攻撃をされそうだ。 「仕方ない」 若干腰を落とし、左腕を引いて剣の切っ先を液体に向ける。 「...凍れ......ッ!」 突き出した剣の先から青い閃光が放たれ それが液体に触れた瞬間、一瞬にして液体は氷の中に閉じ込められた。 冷気が漂う中を近づいていき、仄かに見える赤い核に剣を突き刺した。 目に見えない衝撃が氷の中で発生し、全体に亀裂が走った。 剣を引き抜くと氷が砂のように崩れ落ちていき、塵となって消えていった。 変身を解除し、急いで奏多の下へ駆け寄った。 「奏多?」 声をかけたがどうやら気を失ってしまったようで、スヤスヤと眠っている。 「おい、蓮!」 名前を呼ばれて顔を上げると、変身した涼、育也、蒼汰が立っていた。 「もう敵は倒した。お前達は後処理を頼む」 「ちぇー、久しぶりに間に合ったと思ったら何だよ」 「はいはい、涼くん。仕事しようね」 育也と涼が動き出し、蒼汰はこっちに向かって歩いてくる。 「奏多は?」 「大丈夫、眠ってるだけだ」 「そっか...よかった」 「俺は奏多を基地に連れて行く。ここを頼む」 「おぉ、任せとけ」 奏多を抱え上げて、転送機能で俺は基地へと移動した。 ・ ・ 「ん......」 目を開けると、まず見えたのは白い天井だった。 足に何か重みを感じて起き上がると、蓮くんが椅子に座ったまま、身体をベッドに預けて眠っていた。 辺りを見回せば、ここは基地内にある医務室だと気づく。 自分が白い病衣を着ているのを確認してから、壁にかけられた時計を見ると、日付はとっくに変わったんだと理解した。 「んぅ......何だ、起きたのか」 俺がもぞもぞと動いたことで目が覚めたのか 蓮くんが目をこすりながら起き上がった。 「蓮くん......」 今ここにいるってことは、あの怪物は倒されたってことなんだよね。 蓮くんは......俺のこと、怒ってるかな。 「何だ?」 「その......ごめんなさい。昨日のこと。この前言われたのに、また勝手に行動して......」 蓮くんに認められたいと勝手に行動した挙句、敵にやられてしまうなんて 怒られても当然のこと......ヒーローを辞めろと言われたって仕方のないことだと思う。 「......分かってるなら、いいんだ」 「...えっ?」 返ってきた予想外の返事に、思わず声が漏れてしまった。 「お前は馬鹿じゃない。1度言えば分かる奴だと思ってる。でも、俺がキツく言ったから......お前を追い詰めてしまったんだろ?」 「......俺は」 「お前に配慮できなかった俺にも責任がある。すまなかった」 頭を下げる蓮くんに俺は慌てて、頭を上げてもらうために肩を押す。 「蓮くんは悪くないよ! 俺が...勝手に行動した俺が悪いんだから」 蓮くんは膝に手をついて、顔を伏せている。 俺は何て言っていいのかが分からず、ため息をついて、周囲にある物にとにかく視線を向けた。 しばらくの沈黙の後、それを破ったのは蓮くんの方だった。 「俺はただ......お前が心配だっただけなんだ。1番年下だし、いつも無茶なことをしそうになるから、ついキツイ言葉で怒って......」 ......違うよ。 俺が勝手に被害妄想して、1人で暴走してただけなんだ。 蓮くんの気持ちに気付けなかった、俺が悪いんだよ。 それでも蓮くんは自分に全ての責任があるかのような厳しい表情で目を伏せていた。 「だから......今ちゃんと言う。もう無茶はしないでくれ」 顔を上げて、俺の事を見つめる蓮くんを 俺も見つめ返した。 「......分かった。ごめんなさい」 頭を下げると、大きな手が俺の頭にポンポンって、2回触れた。 突然の事に驚いたのも束の間、口元から溢れる笑みが我慢できなくて 「なに笑ってるんだ?」 って訊かれても 「何でもないよ」 って、笑いながら答えた。 ・ 自分の中にある 蓮くんに対するこの気持ちが何なのか。 この時の俺にはまだ理解できなかった。 ......この気持ちを理解するのは もう少し後のことだった。


Related Creators