G.O.E〜第12話【強き想い】〜
Added 2020-10-02 10:27:49 +0000 UTC傷だらけの赤いスーツが遠くに消えて 視界が一瞬にして黒く染め上げられた。 ーーこれで終わりか。 そう思った瞬間、目の前には見慣れた光景が広がっていた。 「よぉ、ライト」 玉座にはウィル様がいつものように座っていた。 怒り......いや、哀れみなのか。 ウィル様の表情は......何とも分かりにくい。 眉間に集まったシワが微かに動き、それから口を開いた。 「覚悟はできてんだろうな?」 「......もちろんでございます」 「......よし」 腕を持ち上げ、手のひらを向けられる。 その中心から瘴気が溢れ、獲物に飛びかかる蛇の如く俺の体を包み込んだ。 顔まですっぽり覆われて、瘴気は穴という穴から侵入してくる。 傷の痛みが消え、次に全身の感覚がなくなった。 「ぐっ......!」 ただ......熱さだけが増していく。 全身が焼けるように熱い。 ...血液がまるで沸騰しているようだ。 腕も、足も、胸も顔も......何もかもが熱い。 「苦しみが大きい、つまりそれほど膨大な瘴気が生まれるってことだ。よかったな」 「......は、はぃーーッ」 返事さえまともにできない。 喉が焼けるようだ。 呼吸するのさえ苦痛だ。 胸を掴んで、力を込めた。 痛みをかき消すために歯を限界まで食い縛った。 全身が震える。 かき消せぬ痛みが体の隅々まで広がる。 ......まるで 俺の中の全てが作り変えられるように......。 「がはぁッーー‼︎」 天を仰いだ。 立ち昇る瘴気が一斉に俺の中へ流れ込んでくる。 裂ける。 体が張り裂けそうだ。 これが......力の代償なのか。 「さぁ、生まれ変われ」 ・ すべての瘴気が体内に取り込まれた時にはもう ライトには自我などなかった。 あるのはただ...... 目の前に座る主人に対する忠誠心と 内に秘められた膨大な瘴気だけだった。 「ライト。お前のやるべきことは分かるな?」 「......ウィル様のためにエナジーを集めます」 「その通りだ」 笑うこともせず 怒ることもせず ただウィルは見つめていた。 無表情で自分を見つめる部下の姿を。 ・ ・ ライトの脳裏にはある男の姿があった。 赤いスーツに身を包み、炎のように燃える剣を持つ男の姿。 ーー何よりも先に、俺はこの男を倒さなければ。 ......それは彼の心の片隅に残されていた想い。 自我を失ってもなお、ガーディアンレッドに対する強い想いが消えることはなかった。 彼との戦いの高揚感を......体が忘れることはなかったのだ。 ** 医務室の外で、蓮の治療が終わるのを待っていた。 この前の戦いで、蓮は背中にひどい傷を負ったらしくて、さっき見たら背中は痣だらけだった。 奏多も背中にダメージがあったと言ってたけど、蓮のは比べ物にならないらしい。 かなり痛むのか、腕を少し動かすだけで顔を歪めてたし...。 スーツがあったからまだよかったものの......強制解除された時のことを考えたら...恐ろしすぎて鳥肌が立った。 20分ぐらいたった頃だろうか、ようやく医務室の扉が開いた。 シャツのボタンを閉めながら出てきた蓮の上半身はほぼ包帯で埋め尽くされていて 俺を見つけると「遅くなった」と言って小走りで近づいてきた。 「大丈夫なのかよ傷?」 「何てこと無い。痣が背中いっぱいにあるだけだ」 「いや......それ大丈夫じゃないだろ」 何故か笑う蓮に思わずツッコミを入れる。 「それよりお前はどうなんだ。お前だってライトとの戦いでかなり傷ついてただろ」 蓮は俺の顔を指差す。 頬に一枚、ばんそうこうが貼ってあるんだ。 でもこんなの蓮と比べたら...... 「俺はいいんだよ! 切り傷とか擦り傷とか......小学生っぽいのだけだから」 「小学生っぽいか......面白いな」 「何で笑うんだよ?」 「......そういう所だよ」 「何だよ、それ......」 蓮ってたまに俺を小バカにしてるみたいに笑う。 別に嫌じゃ無いんだけど......何かモヤモヤするっていうか いや......ドキドキっていうか。 って、俺何考えてんだ? 何だよドキドキって! 何で...... 「どうした、急に黙って?」 「別に......」 変なことを考え始めたら何を喋ればいいのか急に分からなくなって... 蓮と目が合わないように視線を逸らした。 「......」 「......」 俺たちの間に沈黙が流れる......。 長い通路を歩いているはずなのに今日に限って人が誰もいない。 いつも職員の人とかいっぱい歩いてるのに......。 なんで今日だけこんな所で2人きりなんだよーーッ ・ 「あのーー」 「なぁーー」 意を決して口を開いた瞬間、蓮と被ってしまった。 「え、何?」 「お前から言えよ」 「蓮からでいいよ。なんだよ」 「いや...俺は特に......」 何でか困ったように視線を下げる蓮。 さては何も考えずに声かけたな? ......かくいう俺も何も考えずに声かけたんだけどさ。 「......そうだな、メシでも行くか?」 「今から?」 「時間があるならな」 「え、あ、時間...あるある! めっちゃあるよ!」 「そ、そうか。じゃあ行くか」 本当は授業あるけど......サボっちゃお。 「じゃあどこにーー」 どこに行こうか? そう聞こうとした矢先、俺の言葉を遮ったのはけたたましい警報の音だった。 スピーカーから、怪人の出現場所が伝えられる。 「......メシはこれが終わった後だな」 「......だな」 タイミング悪すぎるだろッ‼︎ ** 水が波打つ音が... 若い男たちの声が広い空間に響き渡る。 笛の音と共に男たちが水に飛び込むと同時に、1人の男が水の中から顔を出した。 ・ 「涼、前よりタイムが伸びてるな。この調子でいけ」 「了解っすコーチ」 ゴーグルと帽子を外して、髪をかきあげてからコーチを見上げた。 顔はいかつくて怖いし怒りやすいし、ビールっ腹だけど、昔はかなりすごい水泳選手だったらしい。 まぁこの人が来てから俺のタイムも伸び始めたし別に不満はないけど。 「少し休め。そのあとは残りのメニューだ」 「はーい」 「......ったく、お前はもう少し俺を敬うという気持ちはないのか」 「ありますよ、めっちゃ敬ってるでしょおれ」 「......もういい。早く出ろ」 諦めた表情をしながらコーチが歩いていく。 ーー意外と可愛いとこもあるんだなあの人。 なんて思いながらプールから出て、タオルを取りに行った。 ベンチに置いてあったタオルを手に取り、体を拭いていると、どこからか大きな物音が聞こえてきた。 何かが倒れる音......普段の練習中なら絶対に聞こえない音だ。 「なんだ......?」 次に悲鳴が......大きな物音と一緒に聞こえてくる。 競パンを履いた男たちが一気にこっちに向かって走ってくる。 転んでもすぐに立ち上がって......その表情には恐怖を浮かべていた。 「なんだよ、ナイフでも持った奴が入ってきたか?」 怪人との戦いのせいで、こういう事が起きても動じなくなった。 良いことなのか悪いことなのかわかんねぇけど、冷静でいられるのは良いことだと思う。 「うわぁぁっ‼︎」 叫び声。 ロッカールームへと続く道の曲がり角から、1人の男が現れ、そして倒れた。 見たことのあるやつだ。 あまり話したことはないけど、同じ水泳部だ。 まさか刺されたのかと思ってよく見てみると、体のどこにも傷は見当たらなかった。 ......ただ 競パンからはみ出る“モノ”を見た瞬間、一瞬にして意識が変わった。 曲がり角から新たに姿を現したのは、見たことのあるやつだった。 白髪の上に制帽を被り、この場には似合わない軍服を着た男......。 あいつは確か...... 蒼汰と戦ったっていう......ライト、だったか? どうしてこんな所に? まさか偶然俺のところに来たってのか? ......だとしたら俺は運が無いな。 ・ ライトは俺の目の前で立ち止まると、何かを確認するかのように視線を動かし始めた。 「......貴様がガーディアンブラックだな?」 ......どうしてこいつはその事を知ってるんだ? まさか正体がバレた? いや、俺たちの姿を見せたことなんて......。 「ガーディアンブラック? なんだそれ?」 「......そうか。あの時貴様は、ケツにおもちゃを入れられて気絶していたのだったな」 「......気絶?」 俺が気絶してた時......ケツにおもちゃ? ......そうか。 こいつ、俺が捕まって変な機械をつけられた時に俺を見たんだな。 あの時の怪人なら俺がガーディアンブラックだってことも知ってた。 そいつから聞いたってわけか。 ...こりゃ言い訳は通じそうにも無いな。 「...じゃあなんで俺のところに来た? お前は赤い奴が大好きだろ?」 「お前しか素顔を知らないからだ」 「あぁ、そういうことね。でもさ...俺が素直に案内すると思うか?」 「心配しなくていい。お前にはしっかりと働いてもらう」 「......それはどうかな?」 さてどうする......? 変身用の競パンはロッカールームだ。 取りに行くにはライトの立っている場所を通らなきゃならないが、あいつがそんな簡単に通してくれるとは思えない。 だとしたら...... 俺にできるのは、蒼汰たちが来るまでの時間稼ぎってわけだ。 ライトが剣の柄に手をかけ、ゆっくりと踏み出す。 ーー何て目をしてやがんだこいつは こいつの瞳には何も無い。 光も......狂気も...... まるで奴自身の意志など宿っていないみたいに。 この前蒼汰をさらった時とはまるで別人だ。 「何を見ている」 「あぁ? お前がいつ動き出すか警戒してんだよ」 「警戒?」 ライトが笑みを浮かべた。 柄をしっかり握り、腰を落とす。 ほんの少し刃が抜かれる。 ーーくるッ 斬られたら終わりだ。 絶対にこいつの攻撃はかわさなければーーッ 風を切る音が聞こえた。 剣が抜かれたと思った瞬間ーーその切っ先は床に向けられていた。 「...は?」 こいつ、一体何をしてるんだ? 「......気づいていないのか? 俺はもう攻撃したぞ」 「何言ってーーあッ⁉︎」 腰に突然衝撃が走って、膝をついた。 慌てて下半身に視線を落とすと いつの間にか勃起した俺のイチモツが競パンから横にはみ出していて... ...床に白濁液をぶちまけていた。 まだピクピクと動くそれは、絞り出すように精液を吐き出す。 「な、なんで......」 突然発生した快楽と共に意識がぼやけ、喋ることさえ困難になった。 ライトは剣の切っ先を俺に向け、ゆっくりとその口を開く。 「俺は膨大な瘴気を得たことによって身体能力の向上と共に特殊な力を得た。それがこの剣だ」 鈍く輝くその剣は、俺が見てきた剣と何ら変わらないものだ。 「この剣には殺傷能力が無い。 つまり、刺しても斬ってもダメージを与えられない。だが代わりにーー」 剣を持つ右腕を微かに引き、突き出されたそれが俺の左肩に刺さる。 「ーーうッ!」 だが俺が感じたのは痛みではなく、快感。 肩から発生したそれは即座に下半身へと伝わり、萎えかけていたイチモツを再び勃ちあがらせた。 「代わりに......傷に応じた快楽を与える」 なんだよ...それ。 そんな馬鹿げた話があってたまるか......ッ 「今の貴様にはもう私の攻撃はかわせないぞ。といっても、元からかわせてなどいなかったがな」 確かにあの剣で刺されても痛みはない。 感覚さえなかった......。 だが、それよりも危険なのは目で追えないほどの剣捌き......。 こいつの身体能力は異常だ。 あんなの......誰もかわせるはずがない。 ・ 「では致命傷を受けたらどうなると思う?」 「...ぁ?」 「死ぬほどのダメージを受けたら、どれほどの快楽を味わうと思うかを聞いたのだ」 「......し、知るか...そんなの」 くそ......動けないッ。 膝立ちのまま、足に力が入らない。 このままじゃ時間稼ぎどころか、ただの足手まといだ。 「そうか......なら」 肩に刺さったままだった剣を引き抜き 切っ先を俺の胸に突きつける。 「......味わってみるといい」 ーーくそ...悪りぃ、皆...... 「イけ」 剣がスッと、吸い込まれるように胸に刺さった。 ドクン、と大きな衝撃が走りそれが一気に広がる。 遠のく意識の中で、尿道を駆け上がる精液を感じ、それが狭い鈴口から一気に噴き出した。 自分が射精したと理解した直後、さっきまであった理性は消える。 「......ぁッ、キモチイイ…もっと… 」 右手が勝手に股間へと伸びる。 先端に付着している精液をイチモツ全体に塗りたくる。 遠ざかっていくライトの背中を見ながら 今の俺はイチモツをシゴいて気持ちよくなることしか考えられなくなった。 ** 「急げみんな!」 「蒼汰、焦るな!」 怪人出現の報せを受けて、俺と蓮は育也たちと合流して出現場所へと向かった。 場所は△△大学......涼がいる大学だ。 博士によると涼はもう現場にいるらしい。 涼のことだ。無茶はしないと思うけど...... それでも......やはり心配だ。 既に大学内にいるというのに、変身した状態で涼に通信が繋がらない。 涼が怪人に遅れをとるとはあまり考えられない。 きっと何か変身できない事情があるんだろう......。 そう思わなきゃやってられない。 ......嫌な感じがするんだ。 今回に限って、何故か胸騒ぎがする。 『......次は必ず殺してくれ』 どうしてライトを思い出すんだ? あいつの去り際の顔がどうしても頭から離れない。 「くそーーッ」 頼むから無事でいてくれ、涼......ッ! ・ 怪人が出現した室内プールへと入る。 ロッカールームを通り過ぎ、扉を開けて水泳場に入ると床に倒れている男の人を見つけた。 「大丈夫ですか!」 蓮が駆け寄る。 浅黒い肌のその青年は、虚ろな瞳で宙を見つめていた。 その瞳はきっと俺たちのことを見てはいない。 何故なら 競パンからはみでた自分のムスコを一心不乱にしごき続けていたからだ。 お腹や太ももに、どれほど射精したのか分からないほどに大量の精液が飛び散っていた。 「これは一体……」 「涼くんっ」 奏多が叫び、突然走り出した。 その後に続くと、プールの縁に涼が倒れていた。 「そんな……」 床に倒れる涼の姿は、先ほど見た青年と何一つ変わらなかった。 喘ぎ声を漏らしながら、股間で動かされる右手は自らが吐き出した白濁液で粘つき、動かすたびにネチャネチャと音を立てていた。 口元には微かに笑みを浮かべている。俺たちの事はやはり認識していないようだった。 「競パンは見当たらないな......変身できなかったのか」 「育也と奏多は他に被害者がいないか調べてきてくれ。蒼太は、涼と向こうで倒れてる男を連れて先に基地に戻れ。俺は監視カメラを調べてくる」 「わかった」 蓮の指示で全員が一斉に動き出す。 俺は涼を抱き上げて、倒れている青年の下まで連れていく」 「転送!」 赤い光が俺たち3人を包み込み、次の瞬間には博士の実験室へ移動していた。 「あら早かったの...って、涼くん!」 涼と青年を診察台に乗せ、博士が隣に来たのを確認する。 「意識はあるの?」 「ないです」 「なるほどね......とりあえずエナジーを出させないために手を縛らなきゃ。ちょっと手伝って」 「あ、はい」 涼を再び抱き上げ、博士に連れていかれたのは壁際。 博士はおもむろに白衣のポケットからリモコンを取り出すと、いくつかある内、ひとつのボタンを押した。 すると、壁の一部分がひっくり返り、鎖に繋がれた手錠が4つ現れた。 「......あの、これは?」 「2人の両手を手錠に繋いで。それで自分で出すことはできなくなるわ」 「はぁ......というか、なんでこんな仕掛けが?」 「趣味よ」 真顔で呟き、去っていく物隙博士。 そういえば、昔あの診察台で色々されたことがあったっけ......。 そう考えると、なんら不思議なことではないのかもしれない。 涼と青年の両手を手錠に繋ぎ終えると、ちょうど博士は戻ってきた。 「よし、とりあえずこれで大丈夫ね」 「ぅっ......ぁぁん...」 手錠をガチャガチャと鳴らしながら、身をよじらせて涼は苦しげに吐息を漏らす。 「蒼太ぁ......外してこれぇ」 「ダメだよ、涼」 「頼むよぉ......ぁっ」 「ダメだって」 「んっ......じゃあお前がシゴいてくれ。しゃぶってもいいし」 腰をくねらせ、いきり勃ったイチモツをブラブラと揺らす涼。 揺らす度に、あまり気持ちよくない臭いが鼻を刺激する。 「なっ...い、嫌だよ!」 「あぁ...なんでだよぉ」 トロンとした意思のない瞳で、涼は俺を悲しそうに見つめる。 そしてその視線が俺の隣に移った。 「じゃあ博士。博士でいいや」 「えぇ! いいのぉ!?」 「ちょ、え、こらっ!」 乙女のように胸の前で手を握り飛び上がった博士の肩を慌てて押さえた。 「ダメですよ博士!」 ハッと気づいたように俺を見て、何故か口元に手を当てる博士。 「いけない私としたことが......ダークサイドに堕ちるところだったわ」 なんだよダークサイドって......。 ・ 背後で物音が聞こえ振り返ると、蓮たち3人が戻ってきていた。 他に人はいないところを見ると、被害者は涼と青年の2人だけのようだ。 「とりあえず被害者はいなかったよ。ただ......」 奏多が話したかと思えば、途端に口をつぐむ。 「どうした?」 俺が聞くと、蓮が1枚のCDを見せた。 「これを見てくれ。監視カメラの映像だ」 5人でラボ内へ戻り、映像を見るため小さな画面の前に集まる。 一瞬のノイズの後、映し出されたのはさっきまでいたプールだ。 プールからあがる人影。 あれは......。 「涼くん...だよね」 奏多が呟く。 体を拭く涼......その動きが止まり、一点を見つめる。 現れたのはあの青年。 ーーそして 「......やっぱり」 何となくそうじゃないかと思ってた。 確信があったわけじゃない。 次に何かが起きる時は ......必ずライトが出てくると。 ・ ライトが剣の柄に手をかけ、それを抜いた。 涼の体を切り裂くはずのそれは、赤い線を残すことはなく 膝をついた涼の胸を剣が貫き、そして床に倒れた。 「ライトはこの力を隠してたってことか?」 蓮が腕を組みながら呟き、俺はそれに首を振った。 「いや違う......。レフトを覚えてるか? 最初と2回目じゃまるで別人のように強くなってた」 「じゃあライトも強化されたってこと?」 育也の問いに頷く。 「それしか考えられない......それに、あんな力を好んであいつが使うはずがない」 「でもなんで涼くんを? 俺たちの顔はバレてないはずだよね、怪人だってしっかり倒してるし......」 「さあな。少なくとも涼の顔が向こうにバレているのは確実だ」 蓮の声色は低い。 この状況をどう切り抜けるか......必死に考えているのが見て取れる。 「あとおかしい点が1つあるよね」 育也が俺たちを見回し、そしてガラス越しに涼と青年を見る。 「今までの怪人は大勢の人たちを一度に襲ってた。なのに今回は2人だけだ。何か別の意図があるんじゃないかな」 意図......。 ライトの狙い。 もし何かあるのだとしたら、それはーー。 ・ その瞬間、感じたのは微かな揺れ。 遠くから爆発音が聞こえ、俺たちは一斉に振り返った。 「きゃー! なになに!? 怖いっ!!」 「おわっ、ちょ、おもぉーー」 驚いた様子の博士がわざとらしく声をあげ、奏多に飛びついた。 そのまま倒れ込んだ奏多に目もくれず、蓮流れてくる通信に耳を傾けている。 『物隙博士、侵入者です! 速やかにシェルターに避難してください!』 「二宮です、侵入者の特徴を教えてください!」 『蓮くんか? 他の4人もいるのか?』 「えぇ」 『それは心強い。侵入者は軍服を着ている白髪の男だ。いま警備隊が対処に向かっている』 白髪の軍服......ライトだ。 でもどうやってこの場所を......? 「そいつは俺たちが対処します。誰も手を出さないようーー」 「警備には戦わないよう伝えてください! 今すぐ向かいます!!」 蓮の言葉を遮り、早口で伝えて通信を切った。 「おい蒼太っ」 「急ごう、警備の人たちじゃ太刀打ちできない!」 「どいて博士っ!」 あいつの狙いは俺だ。 執念...それとも怨念なのか。 ・ 「みんなっ!」 俺たちを博士が呼び止める。 また何か変なことを言うのかと思ったら、その目は今までに見たことがないくらい真剣だった。 「とても嫌な予感がするわ...気をつけてよ」 「...わかってるよ博士」 博士も今回の敵が今までと違うのは分かってるんだ。 ......負けないよ。 ぜったいに。 『頼む......次は必ず殺してくれ』 あぁ、次は必ずーー。 ** ライトが侵入してきたのは、いくつもある地下通路の1つから。 その場所を聞き、急いで向かうと、そこには何人もの警備隊に銃口を向けられるライトの姿があった。 足元には大量の瓦礫が転がっており、扉を破壊したことがうかがえた。 「やっと来たか。ちょうどこいつらを斬り伏せようかと思っていたところだ」 「......ライト、その人たちには手を出すな」 「最初から俺の狙いはお前さ」 すでに抜いていた剣を俺に向け、ニヤリと口元を歪めるライト。 俺も手の中に剣を呼び寄せ、ゆっくりと構えた。 「お前を相手にしたいのは山々だが、他の奴らが邪魔だ」 俺に向けていた剣先を動かし、他の3人を指す。 「......緑と黄色。お前達からだ」 「え......」 「来ないのなら、いま俺に銃を向けているこいつらが犠牲になるだけだ」 「......分かった」 育也が一歩踏み出し、それに奏多も続く。 警備隊の人たちが壁際まで下がり、3人の戦う場を作り出す。 奏多がハンマーを持ち、育也が腰を落とし構える。 「さて......終わらせようか」 呟いた直後、膝を曲げ床を蹴るライト。 育也が奏多を突き飛ばし、同時にバリアを展開させる。 一瞬にして2人の間に飛び込んだライト。 横に払った刃は奏多に当たることはなく、育也への斬撃はバリアに防がれた。 「なるほど、これにはついてくるか」 ライトが視線を左右に走らせ、そして標的を決める。 ......育也をその瞳に捉え、奏多に背を向ける。 態勢を立て直した育也は、臆さずライトへと攻撃を仕掛ける。 初手の拳をかわし、二手、三手と同じようにかわし、繰り出された上段蹴りも頭を引かれて当たることはなかった。 「だが、所詮はその程度だ」 ライトの剣を持つ右腕にかすかに力が入る。 その一瞬で悟った。 ーー育也の負けだ。 刃の二振りが育也の体を切り裂く。 動きを止めた彼に、ライトは容赦なくトドメの一撃を与えた。 横に払われた剣が、育也の首をすり抜ける。 直後...両腕をだらりとぶら下げ、動かなくなる育也。 変身が解け、競パン姿になると尻餅をつくように床に倒れた。 ......競パンから覗くイチモツの先っぽから、糸を引いて垂れる精液。 「んあっ...シゴかなきゃ、気持ちよくならないと...」 そう呟きながら、焦点の定まらない瞳は次第に下がり、右手は一心不乱に股間で動き始めた。 「はぁぁッ‼︎」 すかさず奏多がハンマーを掲げ、ライトの頭めがけて振り下ろす。 しかしそれが当たることはなかった。 振り返りると同時にライトは剣を払うが、それは突如現れた地面に阻まれた。 「奏多......っ」 蓮が隣で呟く。 あれがこの前の戦いで覚醒した奏多の力。 床を突き破り姿を現した地面は奏多の力によるものだ。 かなり強力なものだとは思うけど......今のライトに勝つには特殊力はほぼ関係ない。 「うあっ‼︎」 腕を切られた奏多が一瞬動きを止める。 その隙を見逃さず、ライトは背後に回ると左腕を首に回し奏多の動きを封じた。 「俺に勝つために必要なのは特別な力ではない」 その言葉は...視線は...俺に対して向けられたもの。 そう。 こいつに勝つために必要なのは 純粋な力......そして、強固な意志だ。 「くそ、奏多っ‼︎」 「ウォーミングアップにもならなかったな」 ライトの剣が、奏多の体を貫く。 胸から剣が飛び出ると同時に、奏多の体がこわばる。 微かな喘ぎ声をもらし、黄色いスーツの股間部分が一気に盛り上がった。 腰を突き出し、ハンマーを落とす奏多。 隆起した股間の先端が徐々に黒く汚れ始めた。 「アァッ‼︎ 気持ちいいッ気持ちいいよぉ‼︎」 変身が解け床に倒れた奏多は、即座に競パンから自らのイチモツを取り出し、周りなど気にせず叫びながらしごき始めた。 「さあ、メインディッシュだ......だがその前に」 倒れた奏多を跨ぎ、近づいてきたライトは突然立ち止まる。 剣に黒い煙のようなものが纏わりつき、それが徐々に濃く、禍々しくなっていく。 「やはり雑魚が邪魔だ」 右腕を持ち上げ、軽く左足を引く。 突然回転したかと思うと、剣から放たれた黒い煙が警備隊の人たちを包み込んだ。 「うあっ!」 「なんだこれは...っ!」 包み込んでいた煙が警備隊の人たちの体に吸収されていく。 着ていた防弾チョッキを脱ぎ捨て、ヘルメットも銃も投げ捨て、全員がベルトを外し勃起した肉棒取り出す。 そして奏多たちと同じようにしごき始めてしまった。 「ライトッ‼︎ その人たちには手を出すなと言っただろ‼︎」 「...それはすまないことをした。せっかくだ、その怒りを力に変えて、俺と戦ってくれ」 今までのあいつならこんな卑怯なことはしなかったのに。 ......本当に変わってしまったってことなんだな。 口元に笑みをたたえ、剣を一振りするライト。 すると再び、刀身から黒い煙が溢れ出した。 「これは瘴気といってな、俺たちにとっては力の源となるものだが......貴様らには常を超えた快楽を与える」 瘴気......つまり、あれをまとった奴の斬撃を浴びてしまうと、涼や奏多たちと同じようになってしまうわけか。 「これも因果か......。形は違えど、俺はお前の炎と同じようにこれを扱う。 俺とお前は、戦うべき運命にあるようだな」 「......かもな」 剣を構える。 そして隣に立つ蓮も。 「青いの......お前は見込みがあると思い残したが、巻き込まれるなよ」 「......ッ、なめるな」 細身の剣を引き、突き出す蓮。 剣先から鋭く尖った氷が放たれる。 ライトはそれをかがんでかわし、風のように素早く向かってきた。 腰を落とし態勢を低くする。 ライトの剣捌きは以前より格段に速くなったが、まだ目で追えるスピードだ。 振るわれる剣を剣で受け止め、左の拳をライトの脇腹めがけて繰り出す。 しかしライトはそれを右腕で防ぎ、衝撃を利用して俺と距離を取った。 「くくッ...‼︎」 歯をくいしばるように笑みを浮かべるライト。 狂気に満ちた瞳......今の一連の流れに興奮しているのか、口端からこぼれる吐息は荒い。 「これだよ。体の隅まで神経を張り巡らせる殺し合い......これこそが俺が求めていたもの」 剣先を俺に向け、軽く揺らす。 「お前とでしか味わえない気持ちだ」 「そりゃどうも」 これまでのライトとの戦いでは俺もかなり傷を負ってきたが......今回は一撃でも受ければ終わり。 今まで以上に集中しなければ、そこで終わりだ。 「蒼太、大丈夫か?」 「あぁ」 ......だけど、負けるつもりはない。 俺の隣には蓮がいる。 蓮と一緒なら、だれが相手だろうと負けはしない。 「2人で行こう。俺がライトの動きを抑える。蓮が隙を見て攻撃してくれ」 「分かった......が、臨機応変にな」 「分かってるよ」 「......ふっ、来い」 ライトが言い終わるよりも先に、俺は走り出した。 振り下ろす刃を体を引いてかわし、ライトは下がった勢いを殺さず回し蹴りを繰り出す。 間一髪頭を下げて回避し、すぐさま視線を戻す。 今のライトから一瞬でも視線を外せば、すぐに置いていかれる。 それほどに奴の動きは速く手に負えない。 「ーーッ‼︎」 微かに見えたライトの剣......その刀身は黒く染まっていた。 俺が体を起こすと同時に、目に入ったのは黒い切っ先を向けるライトの姿。 やられるッ、と感じた瞬間視界に映り込んだ何か。 それはライトに迫る氷の剣山だった。 横目でそれを捉えたライトは、瘴気を纏った剣で咄嗟にガードする。 突き進む氷はライトを襲うことはなく、剣に触れると砕け散った。 普通ならその行動には効果はないはずだ。 ......おそらくあの瘴気が氷を受け止めたんだ。 「はあっ‼︎」 氷が砕け散るのを待たず、蓮はライトに斬りかかる。 蓮の一太刀を容易く受け止めたライトは、嘲笑を浮かべた。 「お前も中々やるようだな。だが......」 蓮の剣を押し返し、剣先を突き出すライト。 連続で繰り出されるそれを蓮はギリギリでかわし続けた。 「やはりお前には足りない」 「ごちゃごちゃ喚くなッ」 隙をつき、氷の壁を作り出す蓮。 一度はそれに剣を防がれたライトだが、二撃目で強引にそれを破壊した。 ......しかしそこに蓮の姿はない。 だがライトは次の攻撃を簡単に予測できるだろう。 溢れ出る炎を刀身に纏い、ライトの背後から斬りかかる。 その背中に感じたのは炎な力、そしてーー。 振り返ったライトは俺と同じように大量の瘴気を剣に纏わせ、すかさず繰り出した。 奴が背中で感じたのは炎の力......そして殺気。 蓮になくて俺にあるもの...... それは『ライトを殺す』という強い意志。 ぶつかり合う赤と黒。 強い衝撃が俺たちの間からこの空間に広がっていく。 「くッ......‼︎」 「もっとだガーディアンレッドォォッ‼︎‼︎」 溢れ出る瘴気と炎が混じり合い、お互いを喰らい消滅していく。 強い。 今まで戦った誰よりも強い。 こいつは俺が始めてぶつかった壁であり、ライバルだ。 だからこそ、お前の意志を尊重する。 殺してくれと俺に頼んだお前の願いを、必ず達成する。 ーーどんな手段を使ってでも。 視界の奥に映る蓮の姿。 作り出される氷のつぶてを、俺の強力な炎はライトから隠す。 奴は気づいていない。 ーーこれで俺たちの勝ちだ。 ・ 「なめられたものだな」 「...なに?」 「以前の俺なら分からないが、今の俺には丸見えだ」 その言葉の意味を、俺の頭は一瞬で理解した。 そして蓮を見ようとした瞬間、腹部に走る重い衝撃。 両足が床を離れ、抉られるよう痛みが俺の体を貫く。 少しの間も無く壁に背中を打ち、床にそのまま倒れ込んだ。 「がっ、はぁっ......!」 今も腹部で燻る鈍痛に悶え、俺はなんとか目を向けることしかできなかった。 視界に映るのは、ライトの斬撃を必死にかわす蓮の姿......。 このままじゃ蓮がッーー。 そうは思うものの、起き上がり助けに行くには時間が足りなかった。 「ぐあっ!」 蓮の肩をライトの剣先が貫く。 よろける蓮に容赦なく剣撃を繰り出すライト。 「あぁッ、あッ‼︎」 喘ぎ声にも似た叫び声をあげて、蓮は後ずさる。 「はぁ......くッ...」 あれだけの攻撃を食らっても蓮はまだ正気を保っている。 膝をつき、勃起した肉棒をしまうその股間に黒いシミを浮かべながらも、ライトを睨みつけていた。 「わざと急所は外していたが......それだけ斬ってもまだ意識があるとは」 「こんなもので......」 「まぁいい。頭、首、心臓......どこを貫いてほしい?」 「......蓮ッ‼︎」 ライトは俺を見て、笑みを浮かべた。 ーーその笑みは今までで一番狂気に満ちていた。 そして次に奴がすることが簡単に想像できた。 「やめろッ‼︎ お前の狙いは俺だろッ‼︎」 「だからこそだ。お前の怒り狂った姿も見てみたくなってな」 蓮の肩を足で蹴り、倒れた彼の胸にライトは足を乗せた。 剣を逆手に持ち、躊躇なく蓮の胸に突き刺した。 「うあッ⁉︎」 その手を止めることはなく、何回も何回も、蓮の胸に剣先を突き刺し続けた。 「やめろッ‼︎ 頼むからやめてくれ‼︎」 なんとか壁に手を当てながら立ち上がったものの、走る気力はなかった。 刺される度に悶える蓮の姿を見ていることしかできなかった。 変身もすぐに解け、蓮の腹には大量の白濁液が飛び散っているというのに ライトは腕を止めようとはしなかった。 「俺の靴にかかったじゃないか。汚らわしい」 ようやく足を下ろしたライトは、靴に付着した精液を蓮に擦り付けてから、俺に向かって歩き始めた 「アッ......気持ち...イイッ」 ライトにされたことなど気にせず、惚けた笑みを浮かべながら、腹筋に飛び散った自分の精液を塗りたくる蓮。 白く汚れた手で肉棒を握り、反対の手で乳首をいじりながら......蓮は快楽の世界に堕ちていってしまった。 ・ 「さぁ、これで本当の勝負ができるな」 「......っまれ」 「なに?」 「黙れッ‼︎」 剣に炎を纏わせ、ライトに向かって走り出す。 こいつだけはーーッ 蓮を苦しめたこいつだけはァァッ‼︎ 「はぁぁッッ‼︎‼︎」 「......怒りは時に何倍もの力を与えてくれるが、理性がなければそれはただ暴れる獣と一緒だ」 ライトも剣に瘴気を纏わせ、身構える。 「断言しよう。今のお前では俺には勝てん」 「黙れって言ってんだろッ‼︎‼︎」 炎をかわし、ライトは蛇のようにするりと近づいてくる。 俺の肩に奴の剣が突き刺さる。 だがそんなものは無視して攻撃を続ける。 あいつの剣に斬られても痛みは感じない。 だったらすべての斬撃を無視して殺すまで斬り続けるだけだ‼︎ 「怒りで感覚が麻痺しているのか? 面白い。貴様の体はどれだけ快楽を許容できるかな」 俺の腕を、足を...ライトの剣は的確に切り裂いてくる。 俺は構わず攻撃するものの、炎が掠ることさえなかった。 「くそッ‼︎」 「......俺は」 俺の剣を己の剣で止め、鍔迫り合いに持ち込むライト。 「今のお前と戦いたかったわけではない」 「うるさいッ‼︎」 「......もういい」 その瞬間、膝の裏に痛みが走り態勢が崩れた。 ライトはすかさず俺を蹴り飛ばす。 床に倒れ込んだ俺の胸を足で押さえつけ、切っ先を首元に近づける。 「あっけない終わりだったな」 「どけこの野郎ッ」 「ふん。自分のイチモツをこれだけ硬くさせている奴が何を言っている」 足をどけたかと思うと、ライトはすかさずそれを俺の股間に振り下ろした。 「アァァッ⁉︎」 勃起している感覚などなかったのに、ライトに踏まれた瞬間に痛みと快楽が同時に全身に広がった。 踏みつけたまま、足をグリグリと動かし、小さな快楽を俺に与え続ける。 「そういえば、初めて出会った時も...お前は俺の攻撃で勃起していたな」 「...知るかッ、そんなこと」 「どうしてお前のような変態が俺のライバルになりえたのか......全く不思議だ」 ライトはおもむろに背を向けたかと思うと、俺から距離を取り始めた。 俺はすぐさま立ち上がり、剣を構える。 「来い。お前の全力をぶつけろ」 ライトの剣に...今まで以上の瘴気が纏わりつく。 黒く禍々しいそれは、この空間を汚染していくように大きくなる。 それに対抗するように、俺の剣から炎を迸らせ、広がるその身を刀身一つに凝縮させる。 これを一気に放ち......ライトを焼き消す。 「こいッ‼︎」 「ハァァァッ‼︎」 頭上高く掲げ、思い切り振り下ろす。 放たれた火炎は一つの線となり、そして扇状に広がりライトへと襲いかかる。 空気を、床を......この空間全てを焼き尽くさん勢いで、炎は膨張し続ける。 ......手に持つ黒をゆっくりと持ち上げ、軽く振り下ろす。 「お前に絶望を教えてやろう」 その動きとは対照的に、巨大な衝撃と共に放たれた瘴気は炎とぶつかり、混ざり合う。 「......そんなっ」 大きさでいえば、俺の炎の方が勝っていたはずなのに 瘴気が炎を取り込み、いつの間にか黒一色だけが空間を支配していた。 「その程度だ。お前の力は所詮な」 漂っていた瘴気が一つに始まり、渦巻き始める。 「さぁ、終わりだ」 突如爆発し、広がる瘴気が俺を包み込む。 全身が一瞬にして熱くなり、呼吸が荒くなる。 スーツを盛り上げるイチモツに窮屈さを感じた瞬間、変身が解け思わず膝をついた。 「あ...うあッ......イク...ッ⁉︎」 止まることのない射精。 壊れた蛇口のように白濁液をもらし続ける俺の肉棒。 理性はとっくに消え去り、このまま倒れることしか俺にはできなかった。 ** 倒れた俺の視界に映ったのは 快楽に沈み、笑みを浮かべる蓮の顔。 ......あれだけ蓮が気持ちよくなってるなら、もう俺だって、いいよな。 あぁ 今、俺の右手を股間に持っていって上下に動かせば...簡単に気持ちよくなれるのに。 どうしてあんなに頑張ってたんだろう。 蓮の顔を見つめながら、ふと疑問が浮かんだ。 俺は何のために戦ってた? 俺は誰のために......? 『頼む......次は必ず殺してくれ』 ......誰の言葉だ? 「お前達も倒した。後はゆっくりエナジーを集めるとしよう」 聞こえた声にゆっくり視線を向けると、そこに立っていたのは白髪の男。 ......そうだ。 あれはライトの言葉だった。 俺は......あいつのために? ......違う。 あいつのためだけじゃない。 涼のため。 育也のため。 奏多のため。 ......蓮のため。 俺はみんなのために戦ってた。 そう。 俺はヒーローとして、みんなを救うために戦っていた。 今ここで立ち上がらなければ、俺は誰も救えない。 救うためにはーー戦わなければいけないんだ。 ・ 「......待て」 震える体を支えるために、膝と腕を地面につきゆっくりと立ち上がる。 未だにいきり勃つ自分のイチモツを無理やり競パンに押し込んで、ライトを見た。 「驚いたな。まだ立つか」 微かに目を見開き、俺を見るライト。 ーーだが、さすがライトというべきか。 すぐさま剣を構え、戦う態勢を整えた。 「さぁ、変身しろ」 「......変身」 赤い光に包まれ、俺の体を再びスーツが覆う。 剣を手に召喚し...息を深く吸い込む。 ーー落ち着け。 今のあいつに勝つには俺の炎だけでは不十分だ。 レフトの時と一緒だ。 一瞬の隙をついて、倒すしかない。 炎の力を高める。 さっきよりも強力で、より爆発力のある炎だ。 「お前の考えていることなどお見通しだ。 俺の隙をつこうとしているな? 驕るなよ」 俺と同じように瘴気を剣に纏わせるライト。 ......あいつに勝つには純粋な戦闘力が必要だ。 お前を倒すために、俺は蓮に鍛えてもらった。 負けるつもりは...これっぽっちもない。 これが正真正銘ーー 「行くぞライトォッ‼︎」 「こおいィィッ‼︎」 お前との最後の戦いだ。 ・ ぶつかる赤と黒。 甲高い金属音が響き渡る。 目を離すな。 力を抜くな。 一瞬でも気を緩めれば、そこで終わりだ。 飛び散る焔。 吹き飛ぶ瘴気。 お互いの体に傷がつくことはないまま、この均衡は崩れる素振りを見せない。 「...ライトッ」 「ほぉ、話す余裕があるのか?」 振るわれた刃を間一髪回避し、俺は後ずさる。 「お前は覚えてるのか? 俺と初めて戦った時に感じた気持ちを」 「......あぁ、覚えているさ。あの胸の高まりを忘れることはない」 「じゃあ今はどうだ? あの時と同じほどの気持ちを抱いてるか?」 「......」 ライトが動きを止めて剣を下ろした。 俺をじっと見つめるその姿からは、以前の面影が伺えた。 「......だから俺はお前に頼んだんだ」 おもむろに剣を持ち上げ、目を閉じて、開く。 その瞳に宿るは強い意志。 「俺を殺してくれとな」 「......そうだったな」 終わらせてやる。 俺の手で。 走り出す。 剣先を下に向け、太刀筋を悟らせないために炎を纏う。 荒れる瘴気がライトを包み込み、俺の侵入を阻もうとする。 ーー今さら俺が快楽を恐れるとでも思ってるのか? 瘴気の中に突っ込み、ライトのもとへひた走る。 「ふっ。それでこそだ」 振り下ろされる刃に、俺の炎をぶつける。 ーーここだッ! 抑えていた炎を一気に解き放つ。 あまりに強力な衝撃にライトの剣は手から離れ、宙を舞う。 辺りの瘴気が炎に掻き消され、光が俺とライトの間に差し込む。 腕を高く上げ、縦一文字にライトに剣を振り下ろした。 「ぐあっーー」 ライトが仰け反る。 炎に包まれるよりも早く、彼の手足の先が光となって霧散する。 痛みを感じているはずなのに その顔には穏やかな笑みを浮かべて 幸せそうに。 声を発することなく、動かされる口。 聞こえることはなかった。 でも俺はちゃんと分かったぞ。 『ありがとう』 お前の最後の言葉、しっかり聞こえた。 ・ ライトが無数の光となって消滅し、静寂がこの場を支配する。 「...うあッ⁉︎」 戦闘の余韻に浸り、立ち尽くしていた時 手から剣が突然落ちた。 足から自然と力が抜け、膝をつく。 下を向いたままの視界に映ったのは素足、そしてドクドクと競パンの中で震える俺のイチモツ。 ......瘴気の中にいた影響が今さら出たみたいだ。 辺りを見渡せば、機械のようにイチモツをシゴいていたみんなは動きを止めていた。 「...終わったんだな」 その時だった。 プツンと糸が切れたように、視界が突然暗くなった。 ・ ・ ・ 重いまぶたを持ち上げると、目に入ったのは ...見慣れた白い天井。 ーー医務室か。 時間を確かめようと思っても、カーテンが閉められているから時計が見えない。 一体どれくらい寝てたんだろうか......。 すると、扉が開く音が聞こえた。 足音は段々近づいてくる。 カーテンが開いて姿を現したのは、蓮だった。 「...っ! 目を覚ましたのか」 「......あぁ、おかげさまで」 蓮が丸イスを持ってきて、そばに座る。 「なぁ、どんだけ寝てた?」 「丸2日だな」 「2日⁉︎」 「俺もやられてしまったからわからないが、それほど熾烈な闘いだったってことだろう」 ......そうか。 俺はライトを倒したんだよな。 「ともかく、お前が俺たちを助けてくれたことには変わりない。ありがとな、蒼太」 「いいんだよ...お礼なんて」 ・ この時、自分でもなぜ言おうと思ったのか全くわからない。 俺の口が勝手に動いて、蓮を呼んでいた。 「なぁ蓮」 「ん?」 「俺さ......お前と出会ってから、ずっと変な気持ちがしてたんだ」 「......なんだよそれ」 「お前を見てるとドキドキするっていうか、その...自分でもよく分からない感情が出てきて」 何故かシーツをにぎる手に力がこもる。 やけに乾く唇を舐めてから、俺は蓮を改めて見た。 「でもようやく分かったんだ。 俺...蓮のことが好きだ」 俺を見る蓮の表情はいたって普通で。 一体何を考えているのか、全く読めなかった。 「で、でも気にしないでくれ」 長い沈黙に耐えかねて、俺は思わず口を開いた。 「言っておきたくなっただけだ。別に返事とかはーー」 ドキドキしているっていうのに、頭はやけに冷静だった。 だからこそ蓮の反応が怖くて 俺は俯いて黙りこくった。 このせいで関係が悪くなったらどうしようって、 すごく怖くて。 でも…言いたかったんだ。俺の気持ちを。 「蒼太」 蓮が立ち上がったのが分かった。 呼ばれたのは分かっているのに、顔を上げることはできなくて。 少しして、俺のあごに指が添えられた。 「おい」 されるがままに前を見た瞬間、感じたのは唇に触れる何か。 次に目の前の蓮を認識した。 顔を離した蓮は微笑むと、踵を返して扉に向かって歩いていく。 「え、ちょ、今のって――」 扉の前で立ち止まり、蓮をこっちを見ることなく、話しだした。 「……そういうことだよ」 振り返って、また笑う。 「続きはまた今度な」 それだけ言って、蓮は出ていった。 少しの沈黙の後 それまで感じていなかった熱が急に全身に走って 溢れる笑みを、この幸せを逃がさないために 勢いよく布団にもぐりこんだ。