G.O.E 〜第15話 【芽生える闇】〜
Added 2020-10-02 09:35:02 +0000 UTC薄暗い部屋の中で 一人イスに座り、机の上の携帯を見ていた。 淡く輝くその画面には 俺と肩を組んで笑う蓮くんの姿があった。 もう何回……こんなことをしているのだろう。 少し荒くなる息。 履いているパンツにはテントが張り、黒い小さなシミを作り出す。 「……ッ」 目を閉じると、頭に思い浮かぶのは 今まで見てきた蓮くんの痴態の数々……。 普段はクールな蓮くんが絶対に見せることはないその姿に 俺はずっと欲情していた。 パンツの中に手を入れて動かし始めると 頭の中の映像はより鮮明になって パンツを脱いで、力をこめて手を動かせば 溢れる快感がじわじわと体を包み込む。 「あッ――」 全身に力が入る。 足がピンと伸びて、手をもっと速く動かす。 熱く滾る感情が 精子となって、俺のイチモツの先から飛び出した。 ・ 腹に飛び散った残骸をティッシュで拭って、ゴミ箱へ投げ捨てた。 射精直後の気だるい感覚は……あまり好きじゃない。 さっきまであんなに興奮していたのに 一気に冷めると嫌なことばかり考えてしまう。 ――いつからだろう。 蓮くんと蒼太くんの関係に気づき始めたのは。 ――いつだろう。 二人の後ろ姿をただ眺めるようになったのは。 俺のほうが長い時間蓮くんと一緒に戦ってきた。 俺のほうが何もかも先だったはずなのに…… 今、蓮くんの隣にいるのは蒼太くんだ。 こんな事を考えてしまうのは 射精直後だからか……? いや違う。 ……なんだ? この感情は、何なんだ。 「……風呂入ろ」 この感情は…… 分からない。 ……分かりたくない。 ** 「どうしようかなぁ」 主のいなくなった玉座の前を 楽しそうに往復するオウン。 「やっぱり、エナジーはあいつらの体内で熟成させるに限るよね」 玉座に座り、ゆっくりと肘をつき、にやりと笑う。 「もっと大量のエナジーを、ヒーローの体内で……」 彼の足元から瘴気があふれ出す。 上へと広がるそれは、次第に横へも広がり始め、その中に黒以外の様々な色が生み出される。 それは上空から見下ろすように映し出された、人の多い大通りだった。 「そのためには――」 笑みが消え、その瞳には確かな意思のある光が宿る。 その様はまるでウィルのように……威厳と凶悪さに満ちていた。 「君が必要なんだ……イエロー」 瘴気の中の景色は徐々に動き出し…… 友人と歩く奏多の姿を映し出した。 ** 「なぁ奏多、向こうに行く前にメシ買わねぇ?」 「俺は弁当があるからいいや」 「そっか、じゃあちょっと待ってて」 真二がコンビニに入るのを見送り、俺はガードレールに腰掛けた。 今日は練習試合があって、俺は真二と一緒に会場へと向かっている途中だった。 目の前を何人もの人々が通り過ぎていく。 何も考えず ただぼーっと……眺める。 考えたくない。 何かをしていれば、この嫌な気持ちも紛れる。 早く試合会場に行って、サッカーがしたい。 サッカーをやっていれば……誰のことも考えずに済む。 ・ 自動ドアごしに、真二が会計を終えるのが見えた。 俺は立ち上がって、地面においていたかばんを持つ。 「お待たせ――ッ」 何故か違和感を感じた。 真二が歪んだように見えたからだ。 でもそれは違和感ではなかった。 「え?」 真二は透明な箱の中に閉じ込められていた。 周りにいる人たちも、俺以外全員同じように閉じ込められている。 「真二!」 「奏多!」 箱が徐々に地面へと吸い込まれるように沈んでいく。 真二がどれだけ壁を叩いてもビクともしなくて 俺は黙ってそれを見つめることしかできなかった。 「何だよこれ……」 あれだけの人で埋め尽くされていた道は一瞬にして静かになり、振り返って道路を見てみても、車の中にさえ人っ子一人いなかった。 呆然とする俺の視界に、何かが飛び込んできた。 車の上に着地したそれは、ゆっくりと体を起こして俺を見た。 「……やぁ」 俺と大して年も変わらなさそうな見た目なのに 確かに感じ取れる異様な雰囲気。 青年は車から飛び降りると、俺に向かって歩き出した。 「お前……怪人なのか?」 「まぁ君たちからしたらそうだろうね」 そりゃそうだよな……愚問か。 だったら―― 「へんし――ッ」 「おっと、ダメだよ」 変身しようとした瞬間、目の前に突然透明な板が現れた。 左右、背後にも同様に出現し、俺は一瞬にして透明な箱へと閉じ込められてしまった。 「くそ、何で? ……変身!」 いつもなら光に包まれて変身できるはずなのに、何故かそれができなかった。 競パンは昨日メンテナンスを終えたばかりだ。故障なんてありえない――。 なのに、何回変身と言っても、いつまでもスーツを纏うことはできなかった。 「残念だけどその中では変身できないよ……ガーディアンイエロー」 「…え?」 こいつ……俺がイエローだって知ってる? どうして……一体どこでばれたんだ? 「お前……何が目的なんだ?」 そう聞くと、怪人はにやりと笑った。 「今日の主役は君だよ?」 「は?」 「まぁ待ってよ。もう一人役者が必要なんだ」 「もう一人?」 「そう……ほら、来たよ」 怪人の視線の先――。 そこにいたのは、青いスーツに身を包んだ蓮くんだった。 ** それは一瞬の出来事だった。 喫茶店で次の授業までの時間を潰していたのに 突然周りの人たちが透明な箱に包まれて地面へとその姿を消した。 直後感じたのは背筋が震えるほどの悪寒。 博士からメールをもらわずとも、その居場所はすぐに分かった。 ・ 俺が感じた悪寒に反して、駆けつけた場所にいた怪人は幼かった。 見た目で言えば奏多と年は近いのだろうか? ……だが、やつの中から感じるエネルギーはとんでもない。 一人で出たことに若干後悔はしたが、そうせざるをえなかった。 怪人のそばに……透明な箱に閉じ込められた奏多の姿があったからだ。 「来たねぇ」 怪人は軽い声音でそう言うと、ガードレールを飛び越えて道路へと着地した。 右手から黒い煙が現れたかと想うと、それは漆黒の剣へと変わった。 「僕の名前はオウン」 怪人……いや、オウンはゆっくりと歩みを進める。 ……何故だ。 何故こんなにも恐怖を感じているんだ? オウンの異様さ? 違う。 こいつに内包されている何かだ。 …ライトやレフトとは違う。 「よろしくね」 ――それ以上の化け物だ。 オウンは呟いた瞬間走り出した。 反応するように剣に氷を纏わせ、一気に放つ。 広範囲に放たれた氷は刃となり、壁となる。 左肩を引き、剣の切っ先にエネルギーを集中させる。 必ず氷を避ける。 出たところに凝縮させたエネルギーをぶつけて、終わりだ。 こいつをまともに相手するのは確実にまずい。 さっさと終わらせて……奏多を救い出す。 オウンは身をかがめるように氷を回避する。 ――今だッ 腕を突き出し、エネルギーが放たれる。 纏う冷気は道路を凍らせ、オウンめがけて一直線に突き進む。 「ナイスタイミングッ」 オウンの視線が俺を捉える。 「でもね――」 ――まるでコマ送りのように。 オウンは一瞬にして体勢を立て直した。 「なッ――?」 「それじゃ止まらないよ!」 地面を踏みしめ、剣を構え飛び込んでくる。 振り払われる剣に反射的に剣を押し当て、その動きを止めた。 「くッ……」 「良い反応だね」 ……さっきの俺の攻撃は、こいつにとって何てことのないものだったのか? 息ひとつ乱さず、その口元には笑みを浮かべている。 剣に当てられる力はその体格からは想像できないほどに強く、少しでも力を緩めれば一気に押し倒されてしまうほどだった。 「これはお前の仕業か? 人々をどこにやった?」 こいつには勝てないとしても…… 蒼太たちが来るまでは持ちこたえなければ。 「僕じゃないよ。怪人の力さ。ただそっちに瘴気を使いすぎて戦闘力皆無だから隠れてもらってるけどね」 「……何が目的なんだ?」 オウンの力がいっそう強まる。 全力をこめているというのに、俺は徐々に押され始めた。 「僕の目的は――」 咄嗟に体と剣を同時に引き、オウンの剣を受け流した。 奴との間に氷の壁を作り出し、すかさず距離をとった。 「ひどいなぁ。まだ喋ってるのに」 氷の向こう、不満げに声を漏らすオウン。 「それに……こんな薄い氷で何がしたいの?」 オウンが剣を持ち上げ、そして振り下ろす。 その一撃で氷の壁はたやすく砕かれた。 舞い散る破片が光を浴びてキラキラと輝き、オウンを彩る。 その中で微笑みながら俺を見る様は、ありえないほどに無垢で…… 「……遊ぶのは終わりにしよう」 オウンの剣に、瘴気が宿る。 直後放たれた瘴気の刃。 目で認識することさえできなかった。 それほどにオウンの動きは速かった。 瘴気が俺の体に衝突し、迸る強烈な快感に思わず膝をついた。 オウンは俺の前へやってきて、黒い刃を俺の体に当てた。 「……次はイエローと遊ぼうね?」 直後、オウンは容赦なくスーツを切り裂いた。 今までに感じたことがないほどの衝撃。 一瞬で悟った。 この損傷では……変身を維持できない。 ・ 「強制解除すると競パンだけになっちゃうんだ。不便だねぇ」 ……地面が盛り上がり、周囲を透明な壁に囲まれる。 体に力を入れることすらできなかった。 俺を閉じ込めた箱はゆっくりと地面へと沈んでいき、視界は黒く染まっていく。 光が差し込み、地上へ戻ったとき ……目の前にいたのは奏多だった。 ** 「蓮くん……」 自分のことをオウンと名乗った怪人。 その怪人に蓮くんは手も足も出なかった。 俺と同じように箱に閉じ込められ、それは俺の箱と密着するように目の前に現れた。 「二人も捕まえちゃった」 楽しげに微笑むオウンは蓮くんの箱に手をついて俺を見つめる。 蓮くんは変身が強制解除されたせいで競パンだけの姿になっててもう動けそうにないし…… かといってこの箱に閉じ込められたままじゃ俺も変身できない。 皆が来るまで―― 「残りの奴らが来る前に終わらせちゃおう」 まるで俺の心を読んでいたかのようなタイミングで、オウンは言った。 箱から手を離し、親指と人差し指を重ねると、その二つをこすり合わせて軽快な音を発した。 その瞬間、蓮くんの箱の上部からピンク色の煙が噴きだした。 「それは……」 「見覚えがあるだろ? さてさて、ブルーはどれだけ耐えられるかな?」 「そんな――ッ」 「大丈夫だ」 小さな声で呟き、俺を見る蓮くん。 その瞳には、絶望的な状況であろうとも確かな光が宿っていた。 蓮くんは諦めてない。 ……だったら、俺だって諦めるわけにはいかない。 蓮くんを……信じよう。 箱はすぐにピンク色の煙で満たされ、そして晴れる。 競パンの中の肉棒は硬く伸び、その姿は見せないが布越しに蓮くんの興奮度合いを見せつける。 肌がほんのりと赤くなり、頬も上気だって確実に煙は蓮くんを蝕んでいる。 それでも 蓮くんは強い意志で……理性で、湧き上がる欲望を抑えつけている。 ……その一方で 俺の中ではふつふつと……豆粒ほどの欲望が その顔をのぞかせる。 至近距離で、蓮くんが…… 普段は絶対に見せない姿を 俺に……見せつけるように――。 ……蓮くんに夢中になっていた俺は気づかなかった。 俺を見て オウンが笑っていることに。 ・ 「けっこう我慢するねぇ。君なかなかガッツあるよ」 オウンは再び蓮くんの箱に手をつく。 「じゃあ今度は生身でこれ浴びてみな」 箱に接着した手のひらから黒い煙……瘴気が箱の中へ流れ出す。 「くッ――」 蓮くんの姿は、一瞬にして瘴気に覆い隠された。 さっきの煙よりも大量の瘴気で満たされた箱の中から 蓮くんの苦しげな喘ぎ声が聞こえる。 かなりまずい状況だというのに 今の俺は蓮くんがどうなってしまうのか……それだけを考えていた。 オウンが手を離してもまだ、瘴気は渦を巻くように動いている。 そして、それが徐々に晴れていく…… 正確には、蓮くんの中へと吸い込まれていった。 「…あッ……うッ――」 時折体をぴくつかせて、喘ぐ蓮くん。 虚ろな瞳は宙の一点をジーっと見つめ 口端からよだれが垂れるのも構わず、蓮くんの右腕はゆっくりと動き出した。 パンツから顔をのぞかせるイチモツ。 右手はそれをパンツの中から取り出し、左手で器用にパンツを脱いでいく。 確実に そこに理性なんてなかった。 上下に動き始める右手。 大きく開かれた股は、蓮くんのすべてを見せつける。 鈴口の先から大量の汁があふれ出し、手の動きを潤滑にする。 それから少しして 蓮くんの全身が硬直したかと想うと、勢いよく精子を噴き上げた。 蓮くんの瞳に…俺は映っていない。 ただ快楽をむさぼる。 蓮くんの頭の中はそれだけなんだ。 「いいのぉ、見てるだけで?」 突然声をかけられて、俺はオウンを見た。 「君の仲間が無様にオナニーしてるんだよ? 目の前で。しかもヒーローなのに」 俺の箱の横まで歩いてきて、顔を近づけてくる。 「知ってるでしょ? ヒーローのエナジーは一般人より質が良いんだよ? このままじゃ彼はエナジーを出し続けちゃうよ?」 「……でも、俺には何も……」 「……じゃあ、チャンスをあげようか?」 オウンは箱から離れると、再び親指と人差し指を重ね合わせた。 それだけで、こいつが何をしようとしているのか想像がついた。 「君がもし、欲望に負けず我慢することができたら…君もブルーも、解放してあげよう」 「それって――」 「でも!」 スナップ音が静かな街中に響き渡る。 目の前にピンクの筋が現れたかと想うと、それは煙となって箱の中を満たし始めた。 「もう勃起してる君には無理かもしれないね」 「――ッ」 すぐさま襲いくる快感のせいで、最後のオウンの言葉は聞き取ることができなかった。 ――熱いッ 着ていたウィンドブレーカーを脱ぎ捨て、大きく息を吸い込む。 それでも収まることのない熱。 シャツと半パンも脱ぎ、競パン一丁になった。 けれど、熱は全身へと広がり 股間の高ぶりは静まることを知らない。 今すぐにでも―― 今すぐにでもシコりたい。 なのに…できない。 ……違う。 できないんじゃなくて、しちゃいけないんだ。 蓮くんを助けるために、俺は――。 視線を上へにあげ、気持ちを落ち着けようと深呼吸する。 煙はすでに無くなった。 あとは興奮を抑えて、消し去るだけ……。 ・ 「どこ見てるの?」 オウンの声が 反響するように、頭の中に響く。 「ブルーを見てごらんよ」 ……視線がゆっくりと、下がり始める。 「今のブルーは、どんな感じ?」 今の蓮くんは……。 「声に出して、僕に教えて?」 視界の中で……未だにオナニーを続ける蓮くん。 イチモツを握る右手。胸をいじる左手 腹に、手に、太ももに、床に飛び散る白い残骸。 半開きの口。光のない瞳。 その表情はめちゃくちゃえろくて 見ただけで股間に衝撃が走った。 「うッ、イク――ッ」 またイッた。 ようやく右手を離した蓮くん。 何回も射精したはずなのにその肉棒は萎えることなく、ビクンと震える。 ヌメヌメした輝き。浮き上がる脈。 あれだけイッたのに玉はパンパンに膨らんでいて M字に大きく開かれた足は 蓮くんの裏筋も…ケツの穴も…何もかもを俺に晒す。 「…黙ってないで、ほら?」 「……めちゃくちゃ…えろい」 「えろい? じゃあどうしたい?」 「…しこりたい」 「……ダメだよ。約束したでしょ」 …そうだ。 俺は―― 「でも」 いるはずはないのに 耳元で声が聞こえた。 「自分の欲望に従ったほうが、良いと思うな」 “ほら” 俺の右手に手が添えられ、ゆっくりと股間へと持っていかれ 大きく盛り上がった黄色いパンツにグッと押し付けられる。 「さっき言ったことは忘れて?」 右手はパンツの中から自分のイチモツを取り出そうとする。 「――あッ」 触っただけで迸る快感。 「嘘だし」 微かに聞こえたオウンの声。 でもどうでもよかった。 今は…… 目の前にいる蓮くんをオカズにして 存分にしごける。 蓮くんを見ながら、右手を一心不乱に動かす。 蓮くんのチンコをじっと見つめ そして体の隅々まで視線を走らせる。 ここぞとばかりにむさぼるように、記憶に焼きつけるように。 グチョグチョと粘ついた音だけで 自分のイチモツがどうなっているのかは想像がついた。 部屋の中でこそこそとやっていた今までとは違って 街中で 堂々と 蓮くんの体を…顔を…見ながら ――一瞬 蓮くんと目があったと思ったけれど それは気のせいだ。 蓮くんが想ってるのは…… 俺じゃないんだから。 …でも、それでもいい。 今は 蓮くんが俺の目の前で淫らな姿を見せてくれている。 それだけで―― 「イクッ――!!」 ――気持ちよくなれるんだから。 どうせ俺のものにならないんだ。 だったら――。 一発出した俺のチンコは萎えることを知らず ゆっくりと視線をおろしてそれを見つめる。 ……いいよね、今日ぐらい。 右手に再び力をこめて 躊躇なく、俺は動かし始めた。 ・ 少し後押ししただけった。 なのにイエローはあっさり欲望に負けた。 無様だ。 本当に無様だ。 箱の中で、向き合いながらオナニーを見せつけあう二人のヒーロー。 ブルーは瘴気も浴びせちゃったから仕方ないとはいえ イエローはどうしようもない。 さっき出したピンクの煙には……何の効果もない。 つまり、あれを吸っても興奮することはないはずなのに イエローはあれを認識した瞬間から一気におかしくなり始めた。 思い込み……それもあるのかもしれないけど 目の前にいる男で興奮する、正当な理由ができたから。 ……そういうことなんでしょ? ** 罠にはまってしまった蓮と奏多を 愛おしそうに見つめるオウン。 しかしその表情に陰が差す。 二人を閉じ込めている箱の輪郭が、揺らぎ始めたのだ。 「……ありゃりゃ」 直後背後で轟く爆発音。 巻き上がる炎と土煙。 熱い風がオウンを襲った。 「倒されちゃったか」 振り返ったオウンは、煙の中に三つの人影を見つける。 「……お前達と遊ぶのは今度にするよ」 再び振り返り、蓮と奏多を見る。 箱は既に消滅していた。 だが二人の手が止まることはなかった。 呆れたように笑ったオウンの足元に、瘴気が生み出される。 それは彼のそばで縦に広がり、そしてゲートへと変わった。 「十分種は育てた……また会おうねイエロー」 瘴気の中へ オウンは姿を消した。 ・ ・ ・ ・ まだ誰も知る由はなかった。 これが、ただの始まりに過ぎなかったことを。