G.O.E~第16話~【堕ちる光】
Added 2020-10-02 09:17:50 +0000 UTCこの前向こうの世界に行ってから どれくらいの日がたったのだろうか。 薄暗い空間 朽ちた石柱に、空の玉座。 変わり映えのない景色だ。 ここにウィルがまだ退屈はしなったのかもしれないけど ……消える原因を作ったのは僕だしね。 「あーあ。いつ復活するんだよ」 玉座へ続く階段を何段か飛ばしながら駆け上がって、クルッと向きを変えて腰を下ろした。 「まぁいい」 手のひらからあふれ出る瘴気は、左右へカーブを描くように流れ、そして足元に滞留する。 煙は絡み合い、混ざり合い、濃くなっていく。 怪人を作ろう。 そして また君の下へ行く。 ・ ・ ・ ・ これは 目的への小さな一歩。 ”リセット” 必ず、あなたのために。 ** 授業開始のチャイムと同時に 睡魔が一気に襲いかかってきた。 別に疲れてるとか、そういうわけじゃないけど これはもう習慣みたいなもので、仕方のないことだ。 先生の声をBGMにして、机に突っ伏して目を閉じる。 起きてからそんなに時間がたっているわけじゃないのに どうしてこんなに眠くなるんだろうな。 ・ ・ ・ ・ ふと気が抜けると 蓮くんのことを考えてしまう。 意味なんてないのに。 ・ この前怪人にやられた時のことを、蓮くんは何も覚えていなかった。 …よかったよ。 何も覚えてなくて。 あの時、自分がどんな顔をして蓮くんのことを見ていたか。 知られたくない。 けれど 蓮くんのあんな無様な姿を見たいと、望む自分もいる。 彼を自分だけのものにして。 俺のものにして それで―― ”最低” 自分でもわかってる。 でも 止められないんだ。 心の奥底からあふれ出てくる、このどろどろとした感情が。 どうすればいいんだよ。 こんなのどうすればいいんだ。 ・ 何か 得体のしれないものの気配を感じた。 次に風が背中に当たった。 おかしい。 俺の席は一番後ろ。 風が当たることなんて……。 顔を上げると 目の前には、オウンがいた。 「どうして…ッ」 「よお。迎えに来たよ」 「は?」 辺りは瘴気に満たされており、自分がどこにいるのかはわからない。 「他の皆はどうした?」 「大丈夫だよ。気にしないで」 「……ふざけるな」 俺はすぐに立ち上がって、身構えた。 「変身!」 掛け声とともに体が黄色い光に包まれ、一瞬で戦闘スーツが体を包み込む。 両手にハンマーを構え、オウンを睨みつける。 「ちょっと、君と戦うつもりはないよ」 辺りに充満していた瘴気が、その一言で動き出す。 目の前が一瞬で黒く染まったかと思うと 全身に快楽の衝撃が走り、変身が一瞬で解除されてしまった。 膝から崩れ落ち、両手をなんとかついて倒れるのは免れたが ……もうこの状態から動けそうになかった。 視線の先には、痛いほどに張り詰めた自分のイチモツが 競パンの中に納まっている。 瘴気のせいで…頭がぼーっとする。 今すぐにでも股間に手を伸ばしたいのに 自分がヒーローであるという事実がそれをさせない。 足音が段々近づいてきて、そっちに目を向けると オウンがしゃがんで俺を見下ろしていた。 「無様だねぇ」 「……黙れ」 悔しさから目を伏せたが、あごに指が添えられ、また見上げさせられた。 「でも僕なら、君の助けになれる」 「……は?」 「これを飲めば」 空いている左手の、人差し指と親指の間に瘴気が集まり、それは小さな丸薬となった。 「なんだよ、それ」 「これはね、君を強くしてくれる魔法の薬さ」 「強く? どうしてそんなものを俺に…?」 「もちろん身体的な強さもそうだけど、意志の強さも強化できる」 「意志の……強さ」 「そうだよ。君が心に秘めている思いを、達成するための意志を得ることができる」 オウンはにやりと笑う。 その笑顔にどんな意味があるのか、俺にはわからないけれど 奴の指先にある丸薬の効果に、密かに魅力を感じている自分がいて オウンはもしかしたら、それに気づいたのかもしれない。 「君は…ガーディアンブルーが好きなんだろ?」 何も言わなかった。 でも 確実に動揺は伝わってしまっただろう。 オウンはずっと俺の目を、覗き込むように見つめている。 俺の感情を、隠し通すことは不可能だ。 曇り一つない奴の瞳から 目に見えない何かが俺の目を通して入ってくるような そんな不気味な感覚。 それは細く、細くなりながら 俺の心の深層まで入り込んで そして―― 「これを飲めば、彼を君一人のものにすることだって容易い」 根を張るように心を侵食し 真っ黒に、染め上げる。 「ほら…」 丸薬が、口元に近づいてくる。 唇に触れる。 「――あッ」 軽く息を吸った瞬間、それを逃さずオウンは丸薬を口に放り入れた。 「さぁ、これで君は好きなように生きられる」 用を済ませたのか、すぐさま立ち上がったオウンはそう言って離れていく。 「でもその前に――」 オウンの言葉を聞くよりも先に、得体のしれない衝撃が腹に響いた。 筋肉が痙攣し、呼吸することが苦しくなる。 それなのに やけに意識ははっきりしていて 自分の中に得体のしれない力が溢れていくのが分かる。 すごい――ッ ・ 俺が……俺じゃなくなる。 こんな力が、欲しかったのか? 蓮くんを手に入れるには…この方法しかなかったのか? 蓮くんは、こんな俺を受け入れてくれるのか…… 「こら」 「うッ――」 髪を掴まれ、視界に映るオウン。 「考えるな。ただ受け入れろ」 瘴気で視界が遮られる。 クリアだった意識が、一瞬で曇る。 もう戻れない。 すぐに理解した。 後悔する暇もなく、俺は闇に堕ちた。 ** 「ここは……」 怪人出現の連絡をうけてやってきた場所は、学校だった。 校名を見る限り、どうやらここは高校らしい。 「あれ、ここって」 「育也、知ってるのか?」 「うん。奏多くんが通ってるとこだよ」 「まじ? あいつ男子校だったよな通ってるの」 涼のその一言に、俺たちは顔を見合わせた。 俺たちが同時に思ったのは、ただ一言。 ”やばい” 奏多がやられたかもしれないという不安もそうだが、ここはエデンの奴らにとってはエナジーが大量に取れる場所だ。 被害の範囲は計り知れない。 「行くぞ!」 もちろん変身は完了している。 全員武器をその手に構え、すぐさま校舎へと走り出した。 ・ ・ ・ ・ ・ 時間的にはおそらく授業中だろう。 下駄箱付近には、生徒も教師も、敵の姿さえ見えないけれど…。 やけに静かだ。 ……いや、授業中の学校なんてこんなもんだったか? 「よし、分かれるぞ」 そう言って、涼が俺と育也を見る。 「俺は1階を見る。育也は2階、蒼汰は3階だ」 「涼くん……階段上るのめんどくさいから1階にしてない?」 「…そんなこと言ってる場合か。今この時にもここの生徒がやられてるかもしれないんだぞ」 「…分かってるよ。涼くんの言う通り、僕は2階に行く」 「じゃあ俺は3階だな。何かあったら連絡しあおう」 「分かった」 蓮は来るのにまだ時間がかかると博士から聞いている。 だが事態は一刻を争う。待っている余裕はない。 ・ ――頼む連 早く来てくれ。 嫌な予感がする。 俺の嫌な予感は……よく当たるんだ。 ** 1階を調べ終えたが、雑魚戦闘員も怪人も、見つけることはできなかった。 代わりに見つけたのは、エナジーをすでに搾り取られた学生たちの姿だ。 全員下半身丸出しで、所々に白い搾りかすが付着している。 教室中に充満する匂いからして、怪人がここを離れてからそんなに時間はたっていないはず。 とりあえず連絡しねえとな。 「二人とも聞こえるか?」 『あぁ』 「……育也?」 蒼汰からの返事はあったが、育也からは一言もない。 あいつがこっちからの問いかけに答えないなんて、あるわけがない。 『育也に何かあったのかも』 「だな。俺が見てくる。お前は引き続き3階を調べてくれ」 『分かった』 通信を終え、急いで階段を駆け上がる。 長い廊下の先を見据えるが、人っ子一人見当たらない。 「ったく……何してるんだ育也」 またこのいくつもある教室を探さなきゃならいなんてな。 1階の時と同様、教室の惨状は変わらない。 相変わらず敵の姿はないし、育也も見当たらない。 「どこにいやがるんだ怪人は……」 エナジーを取られてる時点でかなりやばいってのに。 窓から外を見下ろす。 ……このままじゃ学校の敷地外まで被害が広がるかもしれない。 早く見つけないと―― 「涼くん」 不意に聞こえた声。 これは―― 「奏多?」 振り返ったが、教室内に奏多の姿はない。 廊下に出て左右を見渡す。 左側……廊下の奥の教室に、何者かが入っていくのが見えた。 まだ向こうは調べていない。 「…行くしかねえか」 何故奏多の声が聞こえたのか、理由はわからないが 今の俺には、謎の人影の後を追うことしかできなかった。 ・ ナイフを持つ右手に力を込め、いつでも動けるように姿勢を低くしながら、移動する。 人影が消えていった教室の入り口から、中を覗き込む。 中には机も椅子もない。 一体どういうことをする教室なのかは分からない。 だが、窓際に立つあの人影だけは見つけた。 「おい」 その後ろ姿に見覚えはあった。 だが、知っているものとは少し違う。 見飽きたと言ってもいい戦闘用スーツの背中。 背丈は奏多ぐらいだが、その色は黄色ではなく黒。 俺の着ているものとはまた違う、全身が真っ黒だ。 「……奏多、なのか?」 そいつがつけていたマスクが、煙となって霧散する。 振り返ったその顔は、間違いなく奏多だった。 「やぁ涼くん」 「お前……なんだその姿は?」 そこに立っているのは奏多のはずなのに なんだこの雰囲気は? これじゃまるで――ッ 「怪人、いるよ」 奏多が指さしたのは、俺の背後 慌てて振り返っても、もう手遅れだった。 体に巻き付く何か。 身動きが一瞬にして封じられ、俺は勢いよく突き飛ばされてしまった。 「ぐあッ!」 床に倒れた俺の横に、同じように捕まった育也が投げ飛ばされる。 ミノムシのようにされてしまった俺らの頭上に奏多が立ち、足元には怪人が立っていた。 なんだこの怪人…… 全身にいくつものチューブらしきものが張り巡らされている。 背中にあるタンクには、大量の白い液体……おそらくこの学校にいる男たちから集めたであろう精液がぽちゃぽちゃと揺れている。 「奏多くん、どうしてこんなこと!」 育也の呼びかけに、奏多は冷たい視線で返す。 それを見て、育也は驚いたように目を見開いた。 「育也無駄だ。どうやら今のそいつは、いつもの奏多じゃない」 「さすが涼くん。理解が早いね」 片手でハンマーを軽々ともてあそび、その先を俺の顔に近づける。 「二人とも、変身を解除してくれる? 他の奴らに通信されても困るしね」 あぁくそ……こっそり蒼汰に会話を聞かせようと思ったのに さすがにスーツを知り尽くしてる奏多相手じゃダメだったか。 「おい…」 怪人が呟く。 どこから声を発しているのか分からないが、確かにあの怪人が喋っている。 「時間はない。さっさと済ませるぞ」 奏多はそれを聞くと肩をすくめて、 「どうぞご勝手に」 と言ってどこかへ去っていった。 「おい奏多! 話はまだ――」 「うるさいぞ!」 「――おごッ!?」 怪人が怒鳴り、その体から2本のチューブが飛び出した。 それは一直線に俺と育也の口に入り込み、先端が一瞬にして膨らんだ。 頬が限界まで張り詰め、呼吸をすることが難しくなる。 「さて、いれさせてもらうぞ」 いれる? くそ、いれるってなんだよ――ッ しかし俺はすぐにそのいれられる”モノ”に気づいた。 奴の背中のタンク……その中の精液が、減り始めていた。 「うがッ…ぐお――ッ!」 くっそ、最悪だ。 精液がチューブを通して体の中に流れてくる。 「んんんッ!!」 どうやら育也にも同じように精液が流し込まれているらしい。 このチューブを吐き出そうにも、先端が膨らんでいることでそれもできない。 この感覚…… 前にも似たようなことになったが、あの時は水だった。 でも今回は大量の精液。 嗅ぎなれた青臭さと、ネバつく気持ち悪い感触が喉を伝って腹の中にたまっていく。 拘束された体では、抵抗することすらできない。 腹がどんどん膨らみ始めているが、それは俺たちを拘束しているチューブのせいで見えず、そして余計に圧迫される。 「うぅ……くるしぃ――ッ」 「そうか苦しいよな、解いてやるよ」 怪人のその一言で体に巻き付いていたチューブが緩んでいく。 両手が自由になり、すぐさまチューブを掴んで引っ張るが、抜ける気配はない。 その間もお構いなしに精液は流し込まれ、腹はチューブによる圧迫が無くなったことでより早く膨らんでいく。 着ていたシャツはめくれ、へそが丸出しになる。 通常ならありえないほどのサイズまで俺と育也の腹は膨張していく。 中に入っているのは精液だから、触れば柔らかくちゃぷちゃぷしている。 自分の体内に、これだけ大量の精液があるなんて…… 想像さえしたくないが、実際に起きている現実だ。 「うあぁッ……」 育也が反射的に腹に手を置いて抑えようとしているが……無駄だ。 瘴気によって俺たちの体は、良くも悪くもこの異常事態に適応できるようになってる。 言うなれば一時的に作り替えられているんだ。 だから…… どれだけ腹が膨れようとも裂けることはないし こんな状況だってのに、体内には瘴気が巡っているから 股間のイチモツは遠慮なく、限界まで勃起する。 腹の膨らみが大きくなるのに比例して、感じる快楽も大きなる。 自分のモノは見えないが、代わりに育也のは確認できる。 膨らんだ腹であまり目立ってはいないが、股間のイチモツはすでにその存在を存分に主張し始めている。 ・ 「…ふむ、お前ら。なんだその股の間のものは?」 怪人が股の膨らみに気づいて、俺の足の間にしゃがみこむ。 「ここも苦しそうだな。開放してやろう」 あぁ…くそッ 触んじゃねえ……。 心の中でどれだけ悪態をつこうが、実際の俺は顔を膨らませて、間抜けな表情でそれを見つめることしかできない。 チャックを下げられ、ベルトを外され、パンツも一緒に脱がされる。 「うんッ……」 脱がされる際に勢いよく跳ねて戻った俺のイチモツは 膨れた腹に直撃し、亀頭が擦れ、その感触で濡れているのが分かった。 それもえげつない量があふれ出ているはずだ。 空気に触れるだけで気持ちいい。 何回もひくつき、それはまるで生きているかのようにその存在を誇張する。 このままイチモツだけを動かし続けていれば、触れなくても射精できそうなほどに、この快楽は凄まじい。 怪人は次に育也の下へ行き、同じように下に着ているものをすべて脱がせた。 身をよじって抵抗した育也だが、呆気なく負けた。 ――だよな。 育也のイチモツを見て、やはりそうだと納得した。 体はこんなに重くて苦しいっていうのに 股間に集中する快楽はいつも以上に大きく、全身を巡っていく。 あぁくそ……。 なんて情けない格好だ。 下半身丸出しで、バカみたいに膨らんだ腹。 ほっぺを限界まで張り詰めた今の俺たちの姿は どこからどう見たって、ヒーローとは言えない。 ・ 蒼汰、蓮―― 悪ぃけど、あとは任せた。 ** 3階をようやく調べ終えて、涼と育也に連絡を取ろうとしたが 何故か通信は繋がらなかった。 本部にいる博士とも繋がらない。 一体何が起きてる? 「くそ、どうなってんだッ」 急いで下の階へ向かおうとする俺の前に 突然瘴気が溢れる。 それは空間に広がり続け、そして中から一人の青年が現れた。 「やっと見つけた」 「……なんだお前」 瘴気の中から現れたってことは、こいつが今回の原因になっている怪人か? いや、にしても普通の見た目すぎる。 まさかこいつに涼と育也は倒されたのか? 「僕の名前はオウン。よろしくね」 「他の2人に何かしたのか?」 「え? 僕は何もしてないよ。やるなら君の仲間じゃないの?」 「俺の…仲間?」 「そう。イエローくんがね」 なんだと? 奏多が? 「お前……あいつに何した?」 「あぁそれなら答えられるよ。僕の仲間にしてやった」 そう言うが早いか、オウンは右手に瘴気の剣を握りしめ、一直線に俺に向かって走り出した。 「くそッ――」 こいつめちゃくちゃ速い――!? 振るわれた刃を何とか避けて、急いで距離を取った。 しかしオウンは左右へとかく乱するように移動しながら、即座に距離を詰めてくる。 この動き……ライト以上だ。 そうか、こいつ確かオウンって言ったか。 こいつが蓮を倒した怪人なんだな。 「考え事かい? そんなんで僕に勝てるの?」 「うるさい!」 この場所で力は使いたくなかったが…… 四の五の言ってられる状況じゃないな。 剣先から一瞬炎がほとばしり、即座に刀身へとそれは広がる。 「くらえ!」 空を横に切り裂き、炎の刃を飛ばす。 「さて、ここのヒーローの中で最高の攻撃力か……見せてもらおう」 オウンは避けることをせず、立ち止まり身構える。 瘴気があいつの周りで渦巻き、その力を一気に高めていく。 炎の刃と奴の剣が衝突し、赤と黒が混じりあい廊下に広がっていく。 発生した風が俺を通り過ぎ、辺りを熱風が包み込む。 向こう側で立ち込める瘴気のせいで、どうなったかが見えない。 オウンは……倒せたのか? 「すごいね」 「――ッ!?」 オウンの声が聞こえたのは、背後からだった。 瞬間、背中にとてつもない痛みが走る。 火花が目の前を飛び、すかさず二撃目が振るわれる。 なんて力だ…… 一体こいつのどこに、こんな力が……。 変身が解除され、競パン一丁になってしまう。 前のめりに倒れそうになった俺のうなじをオウンは掴み、それを防いだ。 「おっと。大丈夫?」 ダメだ……体に力が入らない。 瘴気の刃で斬られたせいか……。 「すごいね君。確かに攻撃力だけでいえば今まで出会ったヒーローの中で最高だ」 オウンは俺を強引に立ち上がらせて、柱に体を押し付ける。 「だからずるい手を使わせてもらったよ。あの炎を食らえば、僕ですらひとたまりもないからね」 「くッ――」 「そろそろやってくる頃かな?」 オウンがそう言うと、先ほどこいつが出てきた時と同じように空間に瘴気が溢れた。 そこから出てきたのは、全身がチューブにまみれた怪人。 そして―― 「…な、どうして…!?」 腹が異様に膨れ、下半身丸出しの涼と育也。 頬も同じように膨らませながら、二人は俺を見る。 どうやら意識はあるようだけれど……身動きは取れないらしい。 特に拘束もされていないのに、動かないのがその証拠だ。 股間のイチモツが勃起しているのを見ると、瘴気を浴びてしまったようだ。 「終わりました」 その声は聞き覚えのあるものだった。 ここに来るときに感じた嫌な予感……。 それはやはり、当たっていたんだ。 「――奏多?」 いつもの黄色いものとは違う。 けれど同じ黒のスーツに身を包んでいる。 奏多のはずなのに…… 感じる気配は違う。 怪人と同じような、禍々しい気配。 操られてる…… いや、それとも違う。 何か、もっと―― 「さて」 「うあッ」 俺の首を掴むオウンの手に力が入る。 「君もこいつらと同じようになるんだ。上質なエナジーのためにね」 言い終わるとすかさず怪人の体からチューブが飛び出す。 それは俺の口めがけて突っ込まれると、口の中で一気に膨らむ 間髪いれず、何かがそのチューブから流れ込んできた。 「おうッ――」 これは……精液? くそ、涼と育也の腹はこれを入れられた結果なのか? 「んんぅッ――!」 「大丈夫。苦しいだろうけど死ぬことはないから」 首を掴んだまま、オウンは笑って言う。 自分の体の変化は腹から始まった。 徐々に膨らみ始め、次にその向こう…… 競パンの中の自身も、膨張して赤い布に己をこすりつける。 それからすぐに限界まで勃起したイチモツは、外へ飛び出して 大量の我慢汁をだらだらと垂れ流しながら、俺がこの身に受けている快楽の異常さを物語る。 臭いも味も、何もかもが最悪だっていうのに 腕に…足に…力が入らず、抵抗することができない。 ただ流し込まれる精液を飲み込み、やつらの思い通りになることしかできなかった。 ・ 「そろそろお腹が大きくなってきたね」 オウンが空いているほうの手で、俺の膨らんだ腹に触れる。 「もう首を掴むのも大変になってきたから、離すね」 奴の間の距離が、巨大に膨れた腹のせいでどんどん大きなる。 オウンが手を放すと、俺の体は自らの重さに耐えきれず、柱に沿って床へ落ち始めた。 そしてバランスを保つことができず、そのまま前のめりに倒れてしまった。 膨らんだ腹が床に当たり、顔面をぶつけることは避けられたが 代わりに違う衝撃が俺を襲った。 「う…ぐふッ……」 瘴気によって勃起してしまった俺のイチモツが、大きく膨らんだ腹と床の間に挟まれてしまった。 少し動かしただけで、擦れて気持ち良いっていうのに…… 瘴気のせいでその効果は何倍にも膨れ上がっている。 「あら、どうしたの喘いじゃって」 オウンがそれに気づき、俺の顔を覗き込んで笑った。 「こんな状況で気持ちよくなっちゃって、とんだ変態ヒーローだなぁ」 オウンは次に、俺の背中に足を乗せ、そして力を込めた。 そのせいで、より股間に与えられる快楽が大きくなる。 「なまじチ○コがでかいせいで、災難だね…いや、むしろ嬉しいのかな?」 嬉しいわけ…あるかッ くそ、今すぐにでも殴り返してやりたいのに…… こんな体じゃ…何もできない。 それに悔しいけど…奴の言葉通り、腰を自ら動かしたいと、思い始めそうになる自分もいる。 それでも何とか我慢できているのは 自分がヒーローだという自覚を持てているからだ。 「ほらほら、出しちゃいなよ。作戦がうまくいった記念に」 オウンの足から与えられる強さと振動が一気に大きくなり、限界が近くなる。 床と腹に挟まれた俺自身は、もういつでも吐き出せる状態だった。 何とか我慢しようと、必死にこらえたが オウンから与えられる振動はより強くなり、もうどうすることもできなかった。 「うぅ……」 オウンが一層力を込めて俺を踏みつける。 「んほッ……」 情けない声と共に、俺のイチモツの先から勢いよく精液が放たれた。 「んふッ…んふッ…」 鈴口から飛び出るたびに、声が漏れてしまう。 床に飛び散ったそれを掬い取り、オウンはぺろっと舐めてにんまりと笑った。 「さすがヒーロー。格別なエナジーだね」 オウンは指に付着している残りの精液を俺の腹にこすりつけた。 ……腹に触れられることすら、気持ちよくなってきた。 一度精を吐き出したというのに……俺自身は未だに元気だ。 「さて、イエローくん」 「…はい」 「お待ちかね、君の想い人を見に行こうか?」 「……わかりました」 意識が朦朧とする……。 これも…瘴気のせいなのか。 あぁくそ…… 蓮――ッ 奏多を、助けてやってくれ…… ** 博士からの連絡をもらったのは、怪人が現れたとされる学校にまもなく到着するときだった。 ”3人と通信ができない” 何があったのかは分からないが、最悪のシナリオを想定しなければならないだろう。 校内へ入り、怪人の気配を感じる方向へと進む。 ここに到着してからより強く気配を感じるようになった。 まるで……誘われているかのようだ。 罠だと頭の片隅で分かっていながらも、その場所に向かうことしかできない。 他の仲間が捕らわれているのなら、助け出すしかないのだから。 ・ 気配を追った先は、体育館だった。 中へ入って周囲を見回しても、誰の姿もない。 しかし、 「ようやく来たね!」 その声と共に、体育館の奥から瘴気が生み出された。 それはすぐさま横へ広がり、そしてその中から複数の人影が現れる。 「何日ぶりかな? ブルーくん」 「お前は…オウン!」 手も足も出せなかった……謎の青年。 他の皆にも情報は共有していたが…おそらくこいつにやられてしまったのだろう。 その次に現れたのは、怪人だ。 全身をチューブで覆われた異形のモノ。 そして―― ・ 「…どうして?」 次に現れたのは――奏多だった。 黒く染められた戦闘用スーツに身を包まれ、晒されているその素顔は間違いなく奏多だ。 どうしてあいつが、オウンと一緒にいるんだ? 奏多に続いて、床に仰向けにされている三つの人影が現れる。 案の定、それは蒼汰たちだった。 腹は異様に膨れ上がり、股間のイチモツは痛いほどに張り詰めている。 蒼汰にいたっては射精したのか、太ももに白い筋が残されている。 だが、射精したにもかかわらずそのイチモツの先からは絶え間なく透明な汁がこぼれ続けていて それは他の2人も同様だった。 「お前……奏多に何をしたんだ?」 「僕はほんのちょっと後押ししてあげただけさ。決めたのは彼自身だよ」 「嘘をつけ。どうせ卑怯な手を――」 「あー、ちょっとごめんね」 オウンは両手を振り、俺の言葉を遮った。 「君と話している時間は僕にはないんだ。相手はこのイエローくんがするから」 そう言ってオウンは奏多の背中を叩いた。 「僕たちはこの精液タンクを連れていくから。お好きにどうぞ」 「待てオウン!」 しかし、俺の言葉など聞くはずもなく オウンと怪人は、蒼汰たちを連れて瘴気の中へ消えてしまった。 「……くそ」 この静寂の空間に残されたのは、俺と奏多だけ。 奏多はスーツと同じく黒く染まったハンマーを手に持ち、ゆっくりと俺に近づいてくる。 戦う気まんまんってことか。 ……どうする。 無傷で助け出せるか? 今の奏多には大地を操る力もある。 手加減して倒せるほど、弱くない。 ・ けれど 俺に残された選択肢は一つだけ。 今あいつを助けられるのは、俺だけなんだ。 ・ ・ ・ 「蓮くん」 あぁ…くそ……。 その声は奏多だ。 見た目はもちろん、何もかもが奏多のはずなのに。 「蓮くん…俺を傷つける気?」 「奏多……」 それでも、目の前にいる奏多の中身は違う。 決心したはずなのに。 選択肢はそれ以外にないのに。 どうして俺は、動けない? 目の前にいる奏多の瞳は、暗く濁っているのに 俺の脳裏に思い浮かぶのは、笑うあいつの顔。 「お前は俺を傷つけられない」 奏多がハンマーを構える。 走り出したその姿からは、迷いを一切感じない。 こいつは、俺を倒すことを…決心している。 「奏多――ッ」 「黙れ!」 思い切り振るわれるハンマー。 反射的に氷の壁を作り出したが、奏多はそれをいとも簡単に打ち砕き、俺の腹に直撃させた。 血が逆流してくるのが分かった。 一瞬息ができなくなり、呼吸を再開した時にはもう床に体を打ち付けられていた。 体育館の中ほどまで進んでいたはずの俺は、入り口まで吹き飛ばされた。 氷の壁で威力を弱めていなければ……もっと大きなダメージを負っていた。 いつもの奏多より…力が強い。 身体能力まで…強化されているのか? 「……戦う気がないの?」 手をつき、膝をつき、ゆっくりと体を震わせながら何とか立ち上がる。 奏多はそんな俺の様子を見て、不満そうにため息を漏らした。 「もういい」 「…なんだと?」 奏多の背後に、瘴気の塊が現れた。 それは縦に広がり、人1人が通れるほどのサイズになる。 「待て奏多!」 「黙れ」 「――ッ」 なんて冷たい声なんだ。 …なんて冷たい瞳だ。 目の前にいるのは、奏多であって奏多じゃない。 頭では理解しているのに…体が動かない。 奏多を傷つけることを、俺の本能が拒否している。 「待って……くれ」 「俺は――」 奏多の姿が瘴気に包まれていく。 完全に姿が見えなくなり 一人残された俺は、呆然と立ち尽くしたまま 動くことができなかった。 自分がこんなにも……何もできないなんて。 それに、最後に聞こえた去り際の奏多の言葉。 『――そんな蓮くんが欲しいんじゃない』 その言葉の意味は一体――? ・ 『蓮くん、大丈夫?』 博士からの通信で我に返った俺は、考えることをやめた。 とにかく今は、被害にあった学生や職員への対応が先決だ。 ・ ・ ・ ・ なんて、正当な理由を見つけて この状況を理解することを後回しにしているだけだったのは、自分でもわかっていた。