無色透名祭、今もなおインターネットインディーズ音楽に浸ってすくすく育っている身として、個人的にも大変楽しみにしていたイベントです。
自分も新曲2曲を投じて参加してみました。一体どんなカオスが巻き起こるのか?祭りやシーンとしても、そして内的な体験としても、重要なイベントになると感じ、4日間ずっと張り付いていました。
ということで、投稿者、視聴者、そして一応はそこそこ有名という扱いになることもたまにあるボカロPとして、すべての視点でのレポをやっていきます。
まず1日目に、開幕から10時間ほどぶっ通しで何百曲かを聞きました。飛ばし飛ばしですが、1曲につき2~30秒以上は必ずかけるよう心がけました。イントロや途中を数秒聞いただけで次ということは避け、全体の展開を必ず見て、一部分は必ずじっくり聞き、ピンときたらフルで聞くという感じです。
一番に印象的だったのはクオリティの高さです。普段はbandcampで購入者が数十人ほどのアルバムらへんに浸っている(例)ために、もっとメチャメチャな雑然とした感じを想像していたのですが、どの曲もなんだかちゃんと聞ける。そしてギターを使ったポップスやロックが多い印象ですね。
全体を通してMIXの粗が目立って聞こえ、それはコメント等反応にも直に現れている印象がありましたが、個人的に粗いMIXの曲は本当に好きで、カオス感が心地よく、全体的に整っていなくてよかったなということで楽しんでおりました。
コンセプト的に再生数云々を気にすべきイベントじゃないのは承知ですが、やはりいろいろなものが見えてくる切り口であることには違いなく、個人的にはそこも大いに楽しみました。
開幕6時間ほどで既に再生数に関するところは決しており、これは以前から立てていたマイ仮説が立証されたなと感じました。それを自分は金魚すくいと呼んでいます。
ポップスやロックの方面では、クオリティの高さについてほとんど差がない曲が、金魚すくいの金魚のごとく大量にシーンを回遊しており、その中からふとした拍子で2~3匹が運によってすくい上げられ、周りの人から一気に注目されるというイメージの例えです。
「ふとした拍子」というのは、例えば最初の1時間で、公式サイトの視聴ページで1ページ目にあった動画をみんなが最初に通過するとか、たまたまタグ検索で一番上に表示が来た、みたいなことです。
あとは、数を見てやってくる層がそこに集うことで、再生数自体は指数関数的に上昇するわけです。
この祭りをある程度正当に楽しんだ人なら早々に理解したと思いますが、なぜこの曲が伸びないのか?という曲が本当に多い。その理由はこうした構造にあるのかなーというのが、短期間で目に見えて実感でき、貴重な体験となりました。
こちらは伸びてないのがおかしいと思った曲の一例。一番人気の曲が5万再生ぐらいの時点で、いずれも100、100、600再生と、ほぼ最小のゾーンとなっていました。いずれもランダム再生で出会ってから作者公開前に選出したものです。
これは2010年頃、ボカロシーンを見ていたときの感想と同じだったのですが、再生数が中ぐらいのところに珍しくておもしろい曲が集まりやすい。
前述のシーンから少し逸れて、ニッチながらも完成度の高さで話題になっている曲が集中するのです。一番人気の曲が5万再生の時点で、1000~5000再生あたりがソレでした。
このゾーンにある曲は今も昔も長生きすることが多いというか、有名曲も楽しんでるけど、あなたの曲からじゃないと摂取できない栄養素がある!ということで固定ファンが長期に渡ってつくような印象があり、自分も投稿を始めたときはそのゾーンを目指していました。今もです。
今回個人的に刺さった曲もその前後に集中していました。
さて、お待ちかねの話題です。祭りに参加し、どれがきくお曲かという予想までしていたコアな方々におきましては、答え合わせでことごとくハズレてさぞ無理ゲー感を感じたのではないでしょうか。
まったく公表しないつもりでしたが、さすがに完全ノーヒントだと意地悪甚だしいために、多少のヒントは散りばめます。
まず1日目ですが、再生数、コメントの数とその内容、いいね数、twitterでの話題のなりかた、すべての要素を鑑みて、2曲ともに惨憺たる有様でした。たくさん聞かれるかどうかは運だけど、一応クオリティには力を注いだから、ある程度は好かれるだろうとタカを括っていたために、想像を遥かに超えた、逆に清々しいまでの滑りっぷりとなりさすがにショックを禁じえない。
草ァ!!
はい。他の参加者と同様、常にサーチをしていましたが、「再生数が少ない順」でソートしてトップに堂々と出てくるか、1~2再生ぐらい多かったりして4ページ目で出てきたりといった調子が結局最後まで続きました。3000曲中3000~2000位を常に推移していたようなイメージですね。
1日目終了時点でtwitterでの反応は1~2ツイート前後、それも「これはなに?」「なんかアレっぽい」ぐらいの温度感、コメントは2件、マイリストは3、いいねは4ぐらいでした。数字はまあ百歩譲って不運だったとして、発見された上で全然好かれていないのはこたえる。
そして3日目、ようやく3つほど大好きと言ってくれるコメントがつきました。ありがとう。4日目は1つだけでしたが、それはとてもいい反応でした。うれしい。
もともとそのつもりはなかったものの、正直なところ、きくおアカで投稿してなくてマジでよかったと思ってしまった。なるほど、こういう反応になるんだね。この場で実験できてよかった。はあ~~~。はあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それで敗因ですが、大好きを表明してくれた4コメント分の方におかれましては、明確に「敗因」と称してしまってこれはもう申し訳ないし許してほしいのですが、見栄を張って良いように言ってみると、曲がハイコンテクスト、文脈ありきのものすぎました。
完成度の面はどう見ても問題はなく、つまりはその曲を楽しむにあたって、前提となる音楽的知識を要求しすぎていて、一周回ってただのダサい曲だと思われて終わっているという、現代音楽あるあるみたいな状態になってしまいました。
このレベル感が掴めたのは大変大きな収穫でした。内向的でオタク気質な作家は、誰かが軌道修正しないと、誰が見ても理解不能な狭い方向に無限に走りがちです(個人の感想です)。それはどうしても避けたいので、よい機会になりました。
祭り前と後で、種明かしをしたくない理由が変わってしまった。それっぽい曲を見つけた方は一笑に付してくれれば嬉しいです。再生数とかいいねとかコメントとか少ない順から聞いていけば早い段階で当たります。ハハ(死)
けど4日目にたったひとりの文脈完全理解反応があったのはマジで嬉しかったので、味をしめてどっかでまた作らないとも限らない。
全然別の方が作った曲に、きくおっぽくね?というコメントがいっぱいついてしまう現象、申し訳ないなと思いつつも、そういうカオスが発生して波風たつ方が祭りっぽくてワクワクしてしまいます。
それよりもより色々と少ない順からソートして聞いた方がいち早く正解にたどり着くぞという、自虐と意地悪が混ざったような気持ちでニヤニヤと眺めておりました。
ありがたいことにここ1年ほど、きくおさんに影響を受けて作曲を始めた、的なことを伝えてくれる年下の作家さんがいきなり増えていまして、この人ワンチャンほんとにきくおフォロワーなのかなあ、へへっ頑張らなきゃなあ!という思い上がりも甚だしい浮足立った気持ちと、いや俺の曲ガン滑りしてんだよなあという現実で、顔とお尻に火がつきそうです。ついた。地に足もついた。
AIボカロすごくないですか?neutrinoとか存在も知らなかった。人間が歌ってるとしか思えない曲がいっぱいある。曲の方も強くないと、AIの強さに持っていかれてしまいそうだ。この流れは注視したい。
あとポエトリーリーディングという分野を知らなかった。文筆メイン?なだけあるのかどうなのか、詞のクオリティがすげえ。参考になる。
そんでボカロってすごくいろんな種類あるんですね。みんなどこで情報収集してるんだ?そういうのはVOCALOIDって呼ばないんだっけ・・・?
最高の企画、想像以上の盛り上がり、そして滞りのない進行と、本当に素晴らしいイベントでした。愛を感じる。すごく楽しかったです。
欲を言えば、やはりもし可能なら、イベント終了まで再生数が表示されない仕組みがあると一層楽しそうだーと感じました。今後も開催されたら嬉しいな・・・!!