……我々取材班は秘密裏にとある組織の情報を探っていた。そこで入手したのが、この映像データだ。残念ながら深部のデータは意図的に保存状態を悪くしているようで、音声以外の確認が難しいが、この姿は皆もよくご存じだろう。そう、例の正義のヒロインくんとやらだ。 どうやら彼が敵に捕縛され、暫く捕虜になっていた時の映像のようだ。画像データは酷い画質だったが、音声データはクリアだったので「彼が何をされたのか」をよく確認することができた。全く、正義のヒロインなどと恥ずかしげもなくよく言えたものだ。あんな生臭い声、女でも上げないだろう。確か恋人だか想い人いるようなことを取材でも言っていたと思うが、「この姿」はその相手には到底見せられまい。…せっかくなので、このネタを利用して私もご同伴にあずかりたいが…いや、まだ時期尚早か。もう少し探ってみてもいいかもしれない。 しかし、この世界に俗にいう悪の組織と正義のヒロインなどという構図が出来上がってもうかなりの時間がたつが、この男の娘ヒロインというものはこの構図の末期の象徴だろう。当然、ヒロインというからには、初期は女性がこの役を仰せつかっていた。しかしながら、敵もさすがは悪の組織。ねちっこい搦手…つまりは性的な手段で正義のヒロインを手籠めにし、敗北を重ねさせるということで、このシステムを根本から破壊しかけた。そこで所謂正義側、「正義存在」と呼ばれる組織(一説にはスピリチュアル的な存在であるともされる)が出してきた策が、近年世界的に数を増している「男の娘」を正義のヒロインとして徴収することだった。…なるほど、理にはかなっている。生物学上ではあるが、男であれば女のように膣を開発され、子宮を改造され、敵の子を孕み、新たな脅威を発生させることもない。それに、男の娘ヒロインの運用に伴い新たに開発されたエネルギー源、「精力エンジン」の効果も大きい。これは男の精力…精子を放出せずに蓄えることによって、それに比例したエネルギーを効率的に生み出すという優れものだ。精子を放出せずに蓄える…簡単に言えば射精しない、ということだ。これも理にかなっている。男性器が短小で、挿入する側に回ることがめったにない「男の娘」であれば、精子の貯蔵も容易だろう。なにやら最近は「精力貯蔵強化ユニット」なるものが開発されたらしいが、見た目は完全に「貞操帯」だった。今後、その使用も一般的になっていくのだろう。 全く、変身ヒロインの格好をした男の娘が性的な手段で攻めてくる敵を相手に精液を出さないようにしながら戦うなど…末期も末期だ。