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大蝦蟇の鍛練

人妖入り交じり、霊石の妖しき輝きに満ちる戦乱の世。身一つで成り上がり、覇を成した豊臣秀吉。輝く黄金の豊臣秀吉にその影あった。 その名は「秀千代」 美濃の蝮の遺児であり、斎藤義龍の双子の片割れ、そして半妖であった。 謎の揚杖を持つ男に襲撃され、妖怪の母を失った「秀千代」。母から蛙の妖怪の血と小刀を継ぐ彼女は、妖怪退治や傭兵を生業に美濃の山奥にひっそりと暮らしていた。 そんな彼女を見出だしたのは、「藤吉郎」という農民。霊石を用い荒魂を静める、類稀なる力を持っていた彼は、妖怪の血に呑まれかけた秀千代を救う。 以降2人は戦乱の世を駆け抜け、2人で1つというほどの絆を築く。やがて尾張の織田信長に見出だされ、2人は秀吉という名を与えられた。 しかし、本能寺で信長が討たれて以降暗雲が立ち込める。 混乱の中、妖怪の力を駆使し、信長を討った明智光秀を天皇山にて討ち取る。一気に天下取りを行うが、最早かつて融和を目指した藤吉郎は居なかった。 藤吉郎は徐々に霊石に魅入られ、やがては正気を喪い、暗君となり世界に渾沌を撒き散らすこととなる。2人は袂を別ち、秀千代は豊臣勢を抜け、戦乱を終わらせるべく徳川勢へと助力することになったのだ。 「……」 ぼろぼろの隠者の庵。徳川領。破けた座布団に座り瞑目する女。背は2mはあるだろうか、立てば天井に頭をぶつけそうである。新緑のような美しい緑髪に翡翠のような瞳。顔や腕に光沢を放つ緑のペイントが施されている。傍らには身の丈程の大太刀。腰には仄かに光る短刀が差している。 まん丸の猫のような妖怪すねこすりがすきま風にぷるぷる震えて、膝に飛び乗る。 「…………」 気にした様子はなく、瞑想を続ける。ふと、すねこすりが立て付けの悪い扉を見る。そして毛を立たせて威嚇する。低く唸るすねこすり、女は微動にしない。 次の瞬間奇声をあげながら、なにかが戸を破り入ってくる。剥げた頭、ぎょろりと飛び出した目玉、栄養失調により肥大した腹部。餓鬼と呼ばれる妖怪であった。小さく、力も対したことはない。しかし鋭い爪や牙は人間に脅威である。常に飢えて獰猛で、軽鎧ならその爪は易々と引き裂き、牙を喉に食い込ませ、喉笛を引きちぎってしまう。 奇声をあげてその体躯らしい、跳躍ですねこすりに飛び掛かる。 「しゃー!!」 すねこすりも負けじと、毛を立たせて威嚇する。その瞬間、餓鬼になにかが巻き付く引っ張らる。 「ぎぃいいいい!?」 甲高い悲鳴をあげながら、手足をバタつかせるが、その拘束は解けない。 その拘束具は女の口から伸びていた。それは長く太い舌であった。 「餓鬼か……不味いし、お腹にも貯まらないのよねー」 口元まで引き寄せ頭なら丸かじりにする。餓鬼も抵抗するが、女の力はそれを凌駕し一気に呑み込んでしまう。 「まず……はぁ人間食べたい……」 女はうんざりとした様子で呟く。皮膚に至る所にあるのはペイントではない。蛙の妖怪の血を継いでおり、その血が色濃く出ているのだ。 「ま、妖力の足しには……お?」 ふと複数の気配、そして匂い。人間の気配だ。 「食いもん盗んだ化け物追ってみれば、こりゃ女じゃねーか?」 「ま、まて、コイツぁ秀千代だ!」 「太閤さまの直々の手配書が出てるぜ」 山賊か武士崩れかは分からないが、なにか喚きながら、土足で入ってくる。 「あー。おいしそうな獲物諸君。今なら見逃すよ。無銘ちゃんが煩いからね。でも刀抜いたらは知らないよー?」 男たちは顔を見合せゲラゲラ笑う。 「この人数相手に!笑わせんじゃねえ!」 「豊臣に差し出す前に楽しもうぜー!」 「あっそ。じゃあ食べていいよ、濡れ女さん」 秀千代がにやりと笑うと、男の背になにか冷たいモノが垂れ落ちる。 「な……!?」 それは濡れた髪の毛だった。いつもまにかそれが全身に巻き付く。そして男たちは見た。見てしまった。先ほど餓鬼を捕食して獲た妖力で、呼び出されたある妖怪。その紅い瞳を見てしまった。 「うふふ♡悪くはなさそうね♡ぎしゃああああああ!!」 既にその目を見た獲物の一人に、絡み付く半蛇半人の妖怪濡れ女。蛇体をうねらせ、頭からかぶりつく。そしてなんの慈悲もなく一呑みにする。 「ひとくちでいくなんて、濡れ女さんお腹空いてた?」 「ごきゅん。ふふ、もう一人は味わって食べるわよぉ」 「そっか、じゃあもう一人は私が」 濡れ女がじっくりと男を味わっている間、痺れながらも逃げる男の前に立つ秀千代。 「……え、あえあえ……」 「まぁ、丸呑みにするから、そんなに痛くないよ。たぶん。明日に備えてちょっと栄養とっておきたいし」 秀千代。蛙と先祖より伝わる鬼の血も混ざる半妖。今宵は妖怪の血が騒ぐ。 「いただきまぁーふ♡」 怯える男に大口を開く。蝦蟇の口が音を一呑みにした。 「アンタ妙に元気だけど。人間食べてないでしょうね」 「な、なんのことかなー?」 奇妙な二人組が街道を歩く。一人は軽鎧を急所に身につけた秀千代。 もう一人はソハヤの狩装束に身を包み、無明を名乗る黒髪の美少女だ。二人はある種の腐れ縁である。 「ていうか、この方向って彼岸の方だよね」 至る所に存在する、現し世と隠り世の狭間彼岸の領域。戦乱と霊石により、死と生が隣り合い過ぎた。彼岸の領域は増えている。未練を持つ者が集い、荒魂を呼び寄せる。 そんな場所に数世代前から居る、服部家の指南役。若人の鍛練を好む槍の名手と言う。 「私もう若くないけど……50近いんだけど……」 「妖怪からするとまだまだ若輩者だそうよ」 「………」 「なによ」 「いや、無明ちゃんもさ。歳……」 「それ以上言ったら狩るわよ」 「すんません……」 現服部半蔵からの文からは、その指導を受けてみよとの事。本格的に豊臣秀吉、そしてそれに潜む、大嶽丸を討つべく力をより磨く必要があった。 「おう、待っておったぞ。主が秀の字か」 「こ、これは、大変えっちな……」 彼岸華の咲き乱れる、三途の河原。そこに鎮座していたのは体格の良い秀千代より、一回り巨大な大蝦蟇であった。胸を惜しげなく主張し、艶々とした蛙らしい光沢。でっぷりとしたお腹に、長く太い舌、あの舌に絡め取られたらと想像するだけで秀千代は疼く。その体躯と同等の槍を軽々と振り回す。 「では、まずは仕合うとしようぞ」 「はい!姐さん!」 「おっと、丸呑みされたくて手を抜く気であろう。故に主の場合、勝ったら呑んでやろう」 「うぐ、マジですか……」 考えを見透かされて、仕方なく大太刀を構え── 「ふん!」 その瞬間、大蝦蟇の槍が唸る。風を引き裂く疾風の如く刺突、 「……!!」 太刀を槍の矛先に当て、軌道を逸らす。太刀が火花を立て、槍の軌道が変わり、顔のすぐそばを通過した。 「ほう、受け流すか!」 「ヤバ!受けてたら、腕持ってかれてた!」 続け様に槍が振るわれる。遠心力と大蝦蟇の腕力で、振り回す。 「ぐっ」 慌てて飛び退く秀千代。大蝦蟇は腰を落とし槍を構える。そして、跳躍する。蛙の脚力を生かし、その体躯ごと槍を構え突撃する。 その槍が態勢を崩した秀千代を貫かんとした瞬間──迅!と秀千代の姿が一瞬変化する。疾き鬼の力、槍よりも速く大蝦蟇の顔を蹴り抜いた。 「ぬう!?」 怯んだ大蝦蟇に、正眼に構えた太刀を振り下ろす。槍と銀の軌跡が交差する。そのまま斬り合う両者。槍の間合いに入らぬよう切迫する秀千代。 「むん!」 唸りを上げて大振りに振るわれる豪槍。太刀を地面に突き刺し受ける。 「貰った!」 そして太刀から手を離し、腰から刀を抜き居合にて斬りつけた。 「良い……滾ってきたわ!」 「まだ、呑んでくれないの?」 「ふふ、伊賀の真髄を知るがよい!!」 腰の袋からなにかを取り出す。見覚えがある。それは伊賀印の煙玉だった。 「そぉら!」 煙幕が辺りに立ち込める。完全に大蝦蟇の姿を見失う。そして、 「っ!?」 煙から大量の手裏剣が飛んでくる。刀で弾き、その場から離れる。 「いたぁ!?」 いつの間に撒かれていたマキビシ。靴に突き刺さる。そして、同時にばら蒔かれていたのは火薬だった。 「やばい!わいら!」 マキビシの痛みに呻きながら、わいらに変化し、地面にもぐる。そして、安全圏に逃れ地表に顔を出す。変化が終わり、目の前にはにやりと笑う大蝦蟇。誘導されていた。そう気づいた瞬間、舌が絡み付く。 「あ、しまっ」 拘束を解く為の猛の鬼の力を発揮しようとする。しかし妖力は既に残っていなかった。 「ず、ズルい」 「太刀と刀は相当よ。ワシの槍術よりもな。しかし、忍術や陰陽術も駆使せねばの。戦じゃもの」 「くう……」 「では、褒美といこう♡」 舌がじっくりと身体に這い周り始める。ぬるぬるとして暖かい舌が、戦闘でかいた汗を舐める。 「うむ、同族の味だ。美味である」 「んん、姐さん舐め方えっちすぎ……」 「鍛えた肉体ほど美味なものはない♡ほうら、じっくりと味合わせよ 」 舌が服と鎧を剥ぎ取る。蛙の皮膚が混ざる秀千代の肉体は、数多の戦場を駆け抜け、鍛え上げられていた。 その裸体にヌメヌメの舌が、ナメクジの如く、じっくりと這うように味見していく。 「あん……んんんう」 「ふふ、秀の字よ。良い顔で鳴くではないか」 蛙の長い舌を活かし自身を慰めたことはあるが、それとは段違いに気持ちが良い。 「ほれ、ここか?ここが良いのか?」 「ち、ちょっ……姐さん……」 「意外と感じやすいようだの。ほうら♡」 じゅるるる、れろぉん♡じゅるるる♡ 淫らな水音を響かせながら、秀千代の裸体を味わう大蝦蟇。そして水掻き状の太い指で秀千代の秘部を刺激する。 「あん♡ら、らめぇ……」 「男子も女子もここは弱いものよ?そら、快感によがるが良い♡」 「んああああああ♡」 秀千代の敏感になっていた秘部を一気に刺激され、達してしまう。愛液を長い舌が舐めとる。 舌をだらしなく伸ばし、放心する秀千代。そんな彼女を大蝦蟇はにやりと笑い、 「では、本番といこうぞ♡」 大口を開ける。大量の唾液が滴り、秀千代は頭から咥え込まれる。舌は巻き付いたまま、絶えず舐め回される。 「んん//蝦蟇姐さんの口のなか……」 「うむ、美味である」 秀千代の巨体を容易く呑み込んでいく。狭いぬるぬるとして、生臭い。しかし、快感にそれすらも刺激となる。 ごきゅん♡ごきゅ!! バタつく足が口内に収まる頃、頭が大蝦蟇の胃袋に入り始める。 液体のような熱さの中、柔らかい胃壁に包まれていく。 「ごきゅん♡ごっくん♡……げええうふうう♡……」 やがて全身を呑み込むと、でっぷりしたお腹がさらに膨らむ。膨らんだ腹を優しく撫でる大蝦蟇。腹が歪に揺れる。 「どうだぁ?我が胃袋は」 「んん、気持ちいい……」 「ふふふ、じっくりと味わい、搾り尽くしてやろう♡」 狭く暖かい肉の空間、激しく蠢き、秀千代の身体を揉み解す。大量の纏わりつく液体が、潤滑油のようで快感を強める。 「ふふ、消化してしまいたいが、それでは鍛練にならんからな?しっかりと何度でも鍛練してやろう。特に伊賀忍術を重点的に……いや、槍術も良い。彼岸のここならじっくりと教えてやれる。ふふ、やはり若人を教え、導くのは心地がよいな」 大蝦蟇の言葉を聞きながら、秀千代は眠りに落ちていった。 「秀の字!いくさ終わったら、女漁りじゃ!!」 「いいねぇトーキチ!」 「エロ猿にエロ蛙……二人共狩っちゃおうかしら」 「なんでもいいから暴れてぇな」 「蜂さんそればっかだね」 かつて4人で描いた夢を見た。好色な所は良く似ていて。戦乱のなき世を見たい。そう願っていた筈だった。 「………」 「おう、やはり、この宿の温泉は良いなぁ」 目を覚ました秀千代は大蝦蟇と温泉に入っていた。人妖御用達の宿である。 「ねぇ、姐さん。人妖融和の世って出来るかな?」 「どうであろうな。秀の字。ヌシの存在がその一つの可能性であろう」 「半妖の姉上も、半妖の親友も、融和の力を持つもう一人の私も、私が斬りました。妖怪を斬り、人を喰らう私が、そんな私が、人妖融和の世を願うのは……おこがましいでしょうか」 大蝦蟇は頭を捻り、神妙な顔で 「知らん」 「知らんって!?」 盛大にずっこける秀千代。 「難しいことは、知らん、知らん。ワシは若人を鍛えるのが好きなだけじゃ」 「……」 「性に従え。世のことは次に考えれば良い」 ある意味楽観的な、妖怪らしい言葉。ほんの少し肩の荷が降りた気がした。 「さて、風呂上がりに鍛練。メシが終わったら鍛練。寝る前も鍛練じゃ」 「ええ~姐さん休ませてくださいよ~」 元より楽観的な秀千代。難しい事を一旦脇に置き、大蝦蟇との鍛練と丸呑みぷれいを楽しむのだった。


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