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先輩は成長期!〜乙女の秘密と後輩くん〜……2

「ふわあああ……んー」  かいじゅうガール予備軍、神宮寺静香の朝は早い。着崩した寝間着に、豊満な胸を晒したややだらしない姿だ。涎を拭うとベッドから降りる。 「はぁ……起きないと……」  彼女の朝は早く、5時前くらいに起床する。可愛いぬいぐるみに、お気に入りのクッションが置いてあるベッド。本棚には恋愛小説や、少女マンガが並んでいる。彼女は文芸部であり、他にも短歌集や詩集も並んでいた。壁にはコンクール入選の賞状がいくつか並んでいた。 「んー……おなか張ってる……」  ゆっくりとベッドから起きあがる。大きく、むっちりとしたお尻を持ち上げた瞬間、  ぐうううぅー……ブウウウゥ!! 「屁ぇでちゃった……くさい」  寝起きでぼんやりしている為に、遠慮なく放屁する彼女。お家では気を遣う必要はないし、溜めるのは巨大化を誘発してしまう。  ブッ!ぶうううう!! 「ふー、まだ溜まってる……」  何度かガスを放出すると、リビングに向かう。 「おはよう。あら、ガス抜き?近くでしちゃったら?あたしはしてるわよ」 「おはよう、お母さん……それは……私は恥ずかしいです…」 「思春期ねー。見せてあげる、聴かせてあげるくらいの気持ちじゃないと、色々大変よぉ?」 「分かってるけど……うぅ」 「はいはい。早くいってらっしゃいな。朝ごはん作ってるからね」  顔を洗い、髪の毛をセットし体裁は整える。静香はパジャマに一枚羽織りそのまま一度家を出る。 「すぅーはぁ……」  朝の空気は澄んでいてとてもおいしい。ゆっくりと深呼吸をすると、鳥や虫の声が聴こえてくる。 「ふぅ……んっ……」  身体に力を込める。するとムクムクと身体が大きくなっていく。巨大化は体長15m程度で止まる。 「よいしょ……足元を注意して…足元を……」  巨大化体質をもつかいじゅうガール予備軍と呼ばれる彼女。ある程度であれば、任意で巨大化することも出来た。大きさまでは制御出来ない。 (街で巨大化したら大変だもの……)  田舎で人も少ない為に、特に気にすることもない。とはいえ足元には気を使う。田んぼや畑に巨大な足跡を付けてしまったり、転んで尻餅を付いて、尻跡をつけたこともある。農家のおじさんに、しこたま怒られたこともあった。 「おはよう。今日もでっかいねー」 「はい、おはようございます。暑くなってきたから、気を付けてください」 「でっかいおねーちゃんおはよ!」 「早起きだね。虫取りかな」  地元の住民は慣れているのか次々と話かけられる。彼女はいつもように笑顔を浮かべる。 「いい天気になりそうね」  静香は山の方に入る。そこには彼女用に作られたトイレがある。 『こういうトイレを使ってくれるキミぐらいだよー』  かいじゅうガール対策班の人がそんな事を言っていたのを思い出す。確かに他のかいじゅうガールは堂々と、街中でオナラもするし、そして排泄も。 (お母さんもしたくなったらするって言ってたっけ……でも、気持ち良さそうだよね。私は恥ずかしくてむり……)  そんな事を考えつつ、スカートを脱ぐ。下着姿になるとそのまましゃがみこむ。最近、お尻が更に大きくなった気がする。母親の遺伝だろうか…… ぶっすううううぅぅーー!!! (はあ、気持ちいい♡やっぱり大きいの思い切り出すの気持ちいいな)  山に響く爆音に木々が揺れて、鳥が羽ばたく。昨日たっぷり出したはずなのにまだまだ出るようだ。お尻を後ろに突き出しながら力を抜く。 「ん……ん……だめ、出ない……」  昨日からお通じが来ていない。大腸内に溜まっているガスのせいか、お腹が張っていて苦しい。 ぶっすううううぅぅぅ!!! ぶっしゅしゅううう…… 「んんん!!」 ひくひく……ぶっすぅうう…… 「はううぅ!んんっ」 ぶっっ……すー♡ ぶぶぶぶぶぶ…… ぶばばばばばば  辺りに下品な音が響き渡る。しかし、お通じは来ない。辺りが暖かな空気に満たされていく。 「困ったわ……学校でしたくなるといけないわね」  体も元に戻った為、仕方なくそのまま帰宅する。辺りには霧のようにオナラが漂っていた。 「はい、おまたせ」 「わぁ、まだ南瓜残ってたんだ」 「いっぱい食べなさいね、成長期なんだから」  朝ごはんは特盛のごはんに、具だくさんのお味噌汁に、南瓜の煮物、ほうれん草のおひたしなど、朝からしっかり食べる。 「はーい。いただきます」  手を合わせて食べ始める。夕食の残りである南瓜の煮物は甘みが強くて美味しい。南瓜は先輩の大好物だ。お味噌汁にもたっぷり入っている。  彼女は一般的よりもとても食べる方だ。成長期ということもあり、もりもりと食べている。 「新鮮な玉子はやっぱり玉子かけごはん♪」  二杯目は卵と醤油をかけていただく。これもまた絶品だ。食べることが大好きな静香にとって、食事の時間はとても幸せだ。朝食を済ませると、身支度を整えて学校へと向かう。 「ではいってきます」 「はーい。電車やバスの中でおっきくならないようにねー」  のんびりとバス停まで歩く。少し汗ばむ季節だ。冬服はいい加減熱い。歩くこと10分でバス停に到着する。ベンチに座ると、鞄かは本を取り出して続きを読む。  待っている間、ふとお腹に違和感。周りに人が居ないのを確認すると、 「げええぇっぷ!……ふぅ。人前でしないようにしないと」  思いがけず、大きなゲップが出てしまい赤面する。彼女は何事もなかったように、読書を続けた。 「おはよーしず!」  バズを待っていたら、元気よく手を降る少女が慌てて駆け寄ってくる。 「おはようございます、友美ちゃん。バスぎりぎりですよ?」  彼女の名前は小野塚友美。活発そうな笑顔を浮かべ、ミディアムヘアがよく似合う少女だ。静香の幼馴染で一番の親友である。 「いやー、ごめんごめん! でも、ちゃんと間に合ったでしょ? ほら、ベストタイミングでバス来たし!」  そう言って指差す先を見ると、確かにバスが向かってきていた。とはいえ乗り損ねれば遅刻は確実。余裕があることに越したことはない。 「もう……次からは気を付けてくださいね」  そう注意する静香に、はーいと生返事で答える友美。静香はこれは絶対またやるな、と長年の付き合いから確信する。 「ほら、乗ろ乗ろ!」  そうして二人が乗車すると、程なくしてバスが発車する。何気ない話題で談笑していると、ふと思い出したように友美が口を開いた。 「そういえば、しず。朝はちゃんとお通じ出た?」  一瞬ぎくりとする静香だったが、なんとか平静を装いつつ返答する。 「い、いえ……まだなの」  顔を真っ赤にしながら、消え入りそうな声で呟く静香。 「そっかー。ガス抜きには注意しないとね」  デリカシーのない質問に聞こえるが、2人にとってはかなり重要である。静香の乙女の秘密、『学校におけるガス抜き』を唯一知っているのが友美である。小学生時代から共に苦労してきた無二の親友である。 「お野菜は食べてる?」 「うん。南瓜はよく食べてるけど……その、おならばかりで……」  色々フォローするためにも、静香の腸内環境を知る必要があるのだ。 「とにかくしたくなったら、ひっそり伝えてね。わたしがフォローするから」 「うん、よろしくね、友美ちゃん」 「ダイジョーブ!なんとかなるって」  根拠はないけど頼もしい親友の言葉に、静香はいつも救われていた。 「こないだは高尾山に行ってきたんだよね?」 「うん。もうあそこ観光レベルだよ。ロープウェイもあるし」  友美は登山部であり、休日はあちこちの山を登っている。アクティブな彼女らしいと静香は微笑んだ。 「しずもどう?登山。文芸部だと身体動かさないんじゃない?」 「うーん、でも山は少し怖くて……」 「いざってなったら……おっきくなればいいじゃん?それに…アンタ最近太ったって聞いたよー?」 「そ、そんなことないですー!もう、ともちゃんのばかっ」 「あははっごめんごめんー」  二人で談笑しながら、バスで駅まで20分。そして、そこから電車に揺られること40分でようやく到着する。  駅から更にバスに乗り10分。特にこのバスは空調が効いている。ふと、外を眺めると、自転車を漕ぐ男子生徒の姿が。 (暑い中大変ね)  バス停からは歩いて直ぐだ。校舎が見えてくる。するといつも通り、人集りが出来ている。  静香はため息をつく。彼女は人気者であるが故に、こうしてファンに囲まれることもしばしばある。 「ほら、囲まない囲まないー」 「おはようございます。みなさん」  こうして彼女の1日が始まるのだった。 「ん、朝だ……あんまり眠れなかった」  気怠いが、気合を入れて立ち上がる。念の為リセッシュットを全身にしっかり振りかける。 「そういえば新刊出てたっけ……色々あって忘れてた」  買いそびれていた新刊の事を思い出す。本はアナログ派である。邪道とまではいわないが、やはり紙の本が好きだ。特に小説や詩集は紙の香りも風情の一つと考えている。 「ん、やっぱり眠い」  眠気を抱えたまま僕は家を出る。自転車に乗り、ゆっくりと街を走る。前に行くバスが羨ましい。自転車を漕いで15分ほど。自転車置き場に駐車すると、汗を拭いて歩く。いつも通り正門には人集り。そこには先輩が居て…… 「!」  赤くなった顔を見られないように、そっと抜けようとする。 「おはようございます。あら、貴方は」  まさか、呼び止められるなんて!昨日体育館倉庫に居たのがバレたんじゃ……。もしバレたら、親衛隊に変態呼ばわれされてリンチにされたり、最悪…… 「女の子の乙女の秘密を暴きましたね!証拠隠滅に食べちゃいます!」  巨大な手に捕まって、そのままあの大きなおくちに…… 「あ……あ……」 「昨日三階に居た子ですよね。ごめんなさい。怖がらせるつもりはなくて……」 「ご、ごめんなさい!!」 「え、ええ!?ち、ちょっと……まっ」  ぽかんとした表情を浮かべた先輩に罪悪感はあったが、僕は逃げるように教室に向かった。 「なんか、軽い熱中症で倒れたんだって?大丈夫かよ」 「うん」  正直に話せるはずもなく、そんな言い訳にしておいた。授業が始まるが、僕は殆ど頭に入ってこない。  スタイルもよく人当たりもよい。ちょっと変わった体質を持つ優しい先輩。親しげに周りの人が話しかける。その後ろ姿に、その高身長に相応しい大きなお尻……昨日焼き付いた音とにおい…… 「きっと僕だけが知ってる……ドキドキするの変なのかな」  昼休みになり、中庭を覗くとやはりそこには巨大化した先輩。僕はそそくさと気づかれないように、購買に向かった。 「……あ。あの子」  遠くにそそくさと逃げるように、姿を消す男子生徒が目に入った。確か朝にも見た男の子だ。 「ん〜?知り合い?」  肩に乗っている友美が尋ねる。 「いえ。なまえも知らない子なんですが、何か避けられてるみたいで。私が怖いのかな?」 「どーだろ。別に気にしなくてもいいじゃん。まったくしずはわるいかいじゅうガールじゃないのにね」 「ちゃんとお話して、怖くないよって伝えないと」 「がんばれーかいじゅうガール!」 「もう、からわないでくださいっ」  顔を赤くする静香に、友美はけらけらと笑う。静香の足元は相変わらず賑やかである。 「こら、男子は近づくな〜」 「パンツ覗くな〜!」  脚元に集まった自称親衛隊達が男子生徒を追っ払う。 「相変わらず人気者だねー」 「あ、あはは」  苦笑いしながら答える静香。しかし、内心は複雑だった。この学校の生徒は皆、自分に対してどこか一歩引いているような気がするのだ。それが少し寂しくもあった。 (おっきいから、やっぱり恐いのもありますよね……)  かいじゅうガールだからか、モデルなんて引き受けてしまったからか。有名人とファンのような線引を感じてしまう。  なんの距離感もなく付き合ってくれるのは、肩に乗っかっている親友とクラスメイトの何人かである。 「いつもありがとね。友美ちゃん」 「なにさ。急にー。照れるからやめれっ」  頬を赤らめながらそっぽを向く友人の仕草に思わず笑みが溢れる。昼食を終え大きさにも元とおりになると、静香は教室に戻るのだった。


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