合同誌寄稿作品。 いたいいたい……たすくて……あつい……あつい……さむい……にくをかみちぎられた……ひだりて……どっかいった……きんのかみ……あかいつき……ほおずきみたいな……あかい……つめたくなってくのに……かのじょはあたたかい……… 人里では年に数回祭りが行われる。豊穣を願うものであったり、死者の魂を鎮める為であったり。しかしその由来や経緯などを気にするのは一部の大人や、巫女といった者達だけだ。大抵の者は出店で旨い飯や酒を呑み、集まって踊ることしか考えない。 特に子供たちが顕著であろう。普段は味わえない出店、賑やかな躍り、そしてきらびやかな花火。なにより夕刻であっても咎められない。 しかし幾ら賑やかでも、神が無礼講を許可したとしても。夜の帳が降りればそこは妖怪の領域。そこに踏みいればどうなるかは明白だ。 七人の少年達に悪意は無く、また無邪気だった。祭りの雰囲気は時に禁忌を侵す。少年達は祭りを抜け出し集まってい。大人達の目の無いくらい森で肝試しを行おうとしていた。 少年らしい勇気を競うもの。普段は大人達から夜に決して入るなと。人食い妖怪が出るからと。祭りの雰囲気、少年らしい好奇心。それらが彼らに禁忌を犯させた。 赤く濡れた血が夥しく広がっていた。嗅いだことも無い噎せかえるような甘い臭い。背の低い草花から朝露では無く、赤暗い液体が滴り落ちている。 その中心に佇むのは、姿は幼い少女。その目は深紅であり暗闇に爛々と輝く。髪は美しい金色のボブ。 血にまみれた白黒の洋服を身につけ、スカートはロングである。 美しい金髪を赤黒い液体で汚しながらも、何かを一心不乱に咀嚼していた。 肝試しから一人が帰ってこず、それを探しに来た親友達が目撃したのは、そんなおぞましい光景。 「……あ、な……?」 彼女の傍らには、顔面を二つに裂かれた残骸があった。縦に割かれ花開くように中身が溢れた様相。その残骸が居なくなっていた彼だと判別が出来たのは、彼は裕福な家庭だったからだ。自慢していた上等な着物を着ていたからだ。 「ひっ!?」 鋭い爪には肉片が詰まる所から、顔の中心に爪を立てそのまま引き裂いたのだろう。少女は、長い舌を這わせ中身をじゅるじゅると啜っている。体の方も胸から股間にかけ裂けており、零れた内臓も半分ほどは平らげられていた。 「んー、こりこりしてうまー♡」 少年の脱がされた少年の下半身は、極度の恐怖で勃起しており、それを思い切り噛み千切る。まるで腸詰のようで大変美味であった。残る睾丸も引きちぎり、 「あーん……」 大口を開けて放り込み、こりこりと音を立て食み始めた。幼い生殖器は彼女にとって好物であった。少女の名前はルーミア。宵闇の人食い妖怪だった。 「……あ、うああ」 そのおぞましい光景を前にした少年の一人は後ずさる。買ってもらったばかりの浴衣をお漏らしで汚しながら、必死に後ずさる 「……わあ!?」 その際に何かを踏みつけ転んでしまう。ぶにゅりとした異様な感触、思わず目線を落とした少年は再び悲鳴をあげた。 「あーそこにあったのかー」 ルーミアは一度少年の遺体を貪るのを止めると、転んだ浴衣の少年のひたひたと歩み寄る。 「勿体ない勿体ない」 そして引きちぎれた腕を拾い上げて、鶏肉を齧るように食べ始めた。 ごり、がり……ぶちゅ…… 血管が噛み千切れる音、肉を食む音、骨ごと噛み砕く音がルーミアの可愛らしく膨らんだ頬袋から聴こえてくる。唇から唾液により泡立つ、血が滴り落ちた。 「最初に千切ってどっかいったと思ったらそこにあったのかー」 がり、ごり!……ごりゅ!ぐっちゅぐっちゅ……! 不気味な咀嚼音を響かせながら、ルーミアは残る少年達に目を向けた。まだ幼さの残るあどけない顔に、無垢な笑顔を浮かべながら。 ルーミアは妖怪としては弱い方である。闇を操る為、光の魔法や霊能力、もしくは一通りの退魔術を習得すれば簡単に撃退できる。 しかし大抵の人里の人間はそんなモノは習得していない。とすればただの獲物だ。膂力は容易く大人を捩じ伏せ、爪は鋭くその歯は人間の肉や骨など簡単には引き裂く。闇を操る能力など使う必要もないくらい。それほど人間と妖怪には力の差があった。ましては子供など。 「ひっ!うわああ!」 一人の少年が叫びながら逃げようとする。リーダの少年であり、少し背伸びしがちな性格だったが、今は体裁を取り繕う余裕はない。 「ひっ!あ、あれ、なんにも見えないよぅ!?」 少年の視界が完全な闇に閉ざされる。ランタンと月の光さえ、ルーミアの放った闇が飲み込んだのだ。 「もー五月蝿いなー」 「あぇ……ごぇえ……」 視界を閉ざされパニックに陥った少年を黙らせるべく、口の中に細い腕を捩じ込む。少年は喉から腹にかけての異物感から、呻き声をあげる。 「今日は上手くいけばいいなー」 「……ごふっ!?」 内臓のある一部に手をかけると、一気に引っ張りあげた。少年の口から胃を始めとする消化器官が引き摺り出される。上手くいけば胴体に収まる臓器を全て引き抜ける。 「げ……ぇぶ」 ぶちゅ……引き抜く力が強すぎたか、腸の辺りから引きちぎれてしまった。内容物が溢れ出し、辺りに悪臭を放つ。 「あちゃー失敗なのかー」 「…………」 内臓の七割ほどを引きずり出された少年は、胃袋を出した蛙のように白目を向き、暫し痙攣した後に絶命した。 「あむ…!」 引きずり出した臓物は、月夜に照らされて、怪しくてらてらと光る。ルーミアは唾液を滴ながら、胃袋の部位にかじりつく。こりこりとしたゴム質の感触、内部からは内容物が流れ出した。胃液混じりのそれから刺激臭に混ざりほんのりと、少年食べていたかき氷の匂いがした。 「ん~♡やっぱりモツは堪らないなー♡」 露出した胃袋から腸にかけた中身を食い尽くすと、少年の頭部を胴体から果物を枝からもぐように抜き取る。 ぐちゅ!ずるん! 首から背骨も一緒についてくる。今のうちに抜いて置くと胴体の肉を食べる際に手間がない。背骨を無理やり砕き、頭部だけ千切る。 「おー上手く千切れたわ」 指を目玉に突っ込み、綺麗に刳り貫く。神経を千切り取り、眼球だけを残すと口に放り込む。穢れを映していない幼子の眼球は美味という。そのまま飴のように舐め転がす。 「おいしー」 飴玉を転がす姿は、無邪気そのもの。それも当然の事だ。彼女に悪意などないのだ。 ルーミアは頭の上半分に爪を立て切り裂く。彼女の爪は固い筈の頭蓋骨を切り裂き、中身を露出させる。まだ未発達の為頭蓋骨を切開しやすいのが、子供のよい所だ。 「脳ミソはえーよ豊富♪」 脳漿したたる大脳を啜るように食べ始める。空っぽになった少年の頭を、両手でぶちゅりと潰し、頭蓋を砕きぼりぼりと音を立て喰らう。 少年の体があっという間に貪られていき、やがては全てルーミアの胃袋に収まる。血溜まりの中で、返り血を気にした様子は無い。ぺろりと舌なめずりをするルーミアの腹がふっくらと膨らんでいた。 「あ、あ……!」 凄惨な食事風景を見せつけられた少年達は散り散りになり逃げ出していた。 まだ幼い浴衣の少年は尻餅をついたまま動けないでいた。 「逃げないの?じゃあキミは食べられる人類ね♪」 「ひ……ああ」 「大丈夫大丈夫。痛いのは最初だけ」 ゆっくり近づき少年を抱き締めるルーミア。血の中身に香る女の子特有の甘い香り。ふわりとした感触に少年は頬を染める。頭を撫でられつい安心して、ルーミアの顔を見て、 「……ひっ!」 再び戦慄する。ルーミアは大口を開けて近づいていたのだ。血に染まった牙、大量の唾液を滴ながら少年の頭に迫る。 「あーん……♡」 喉の奥の空洞がくっきりと見え、舌が誘うように蠢いた。理解する間もなく哀れな獲物はそのおぞましい口内に押し込まれた。 「あぐ……♪」 生暖かい咥内の粘液が少年の顔をねっとりと包む。 (な、なにこれなにこれぇえ!!やだやだやだあ!?どうなって!?) 顔が丸ごと咥内に収まると、必死に腕を動かそうとするが、更に強く押さえ付けられた。 ぐぐう……!ごきゅ……! 頭が徐々に奥へと引き摺り込まれていく。大量の唾液に塗られた頭はスムーズに奥へ呑み込まれていく。 (ひぃ!い、いやだいやだ!) ぬぱあ……ごくっ! 口垂蓋が開き、更に狭い食道に頭から押し込まれ呑まれていく。 その力は凄まじく、頭を締め付けながら奥へ送ろうとする。 少年は必死にルーミアの腹を蹴り抵抗するが、膨らんだ腹柔らかなクッションのようで手応えがない。 「誰か助け!」 少年は甲高い声でそう叫ぶが、くぐもったような呻き声しか上げられない。 ぐちゅ……ずるるる……ごくん!……ごきゅ……ごきゅ……! 湿った音を立て更に奥まで引きずり込まれていく。ぬめりとする感触が下半身に達した時、頭が狭くなっている噴門を潜り始める。 (うぷ!酸っぱい……!?) 暴れようにも足下すらすでにルーミアの咥内に収まろうとしていた。必死に両足をばたつかせる。しかし抵抗空しく徐々に飲まれていく。収められた少年の視界、そこにはバラバラに噛み砕かれた、親友たちの姿があった。 ごきゅ……ごきゅ……ごっくん……! 数度の嚥下音の後、少年は完全に呑み込まれ狭い肉の壁に包まれていた。 「ひ……!」 この状況を理解出来ず喚く少年。それも仕方ない事だ。美少女の姿をした怪物に呑まれたなど、直ぐに理解出来るはずもない。しかし先に無惨に捕食された肉片がまとわりつき、ぐにゅぐにゅと胎動する薄桃色の壁がそれを無理矢理認識させる。 「うそ!ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダあああ~!」 辺りを蹴ったり、殴ったりして必死に抵抗を試みる。柔らかい胃壁は全ての衝撃を吸収してしまう。 ぐるるる!ぎゅるるるぅ! それでも少年は必死に抵抗を続ける。吐き出される事を信じて。それがルーミアを喜ばせるだけとも知らずに。 ぐりゅるる~!ぐええっぷ!! 「ひゃあああああ!?」 生々しい音が響くと共に全身を肉壁が締め付けてくる。苦しさに悲鳴を上げる。更に狭くなった胃袋に少年は身をよじるしか出来なくなる。 「いやだああ…………出してえええ!出してよぉぉ」 必死にと命乞いをするが、状況は一切変わらない。それどころか、 「ぁづ!?……ぎゃああああ!!いだいあづい!ぎぃああああああああ!!…………だれかあああああ!」 ぎゅるるるぅ〜じゅうううう…… 胃壁からぬるぬるとした液体が塗られ悲鳴をあげる。触れた部分が火傷をしたように赤くなり、ぐずぐずと皮膚が溶けていく。 「いやだああああああああ!!だれかたすけてええええ!」 剥き出しの筋繊維に胃液を浴びて、のたうち回る。溜まってきた胃液が声帯を焼き、少年は悲鳴すらあげられなくなる。 「ひゅーひゅー……こひゅー」 眼球が溶け落ち、視界を閉ざされる。ルーミアの世界に堕ちていく。 ぐちゅ!ぐちゅ!ぐきゅるるる~!ぐじゅるるる~ 痛みと絶望は妖怪にとって大好物だ。断末魔さえルーミアに食い尽くされた。 「んふふ♡妊婦さんみたい。……子持ちの女もおいしいんだよね♡」 妊婦の腹を裂いて赤子を捕食するのもルーミアは好きだった。ともあれルーミアと腹は三人の少年を収め、あり得ない程膨らんでいたが、 「一気に消化しちゃお♪」 ぐるる!ぎゅるるる~♡ ルーミアの腹が激しく鳴り響くと、蠢き始める。まだ原型を保っていた最後の少年を強烈な胃液が溶かし尽くす。やがてその膨らみは徐々に萎み、 「げええっぷ!!」 下品な音を立てゲップをする。血の臭いと胃液の香りが辺りに漂った。ルーミアは逃げた少年達を探しにふよふよ浮かび始めた。