宿屋で眠っていたアイリスは、下腹部の違和感で目を覚ました。
「え……っ!?」
次の瞬間、襲いかかってきたのは耐えがたい刺激の嵐だった。
「んぁああっっ!」
思わず大声を出して喘ぎ声を挙げてしまう。
だが世界は、不思議なほどしんと静まり返っている。
虫の音も、風の音も、そして隣で眠る人の寝息も。何も聞こえない。
何が起こっているのか、理解ができなかった。
「なるほど、こうやって使うのか。時間停止は」
「誰っ!!」
暗闇に包まれてよく見えないが、この静寂の時間の中で唯一動く影があり、それがアイリスの下腹部と繋がっている。
「んんんっああっ!!」
再び圧縮された快感の波が襲いかかってくる。
それは味わったことのない強烈な快感で、何十秒もの感覚がたった一秒に圧縮されてくるようだった。
「君の能力だよ。光の王アイリス。もっとも、すでに私が頂いたがね。実に便利だ。この時間停止というやつは。」
「そんな…どうして……。」
アイリスは自身の能力がいくつか使えなくなっていることに気づく。まるで覚醒以前の力に戻ったかのようで、対抗する術も奪われていた。
ただ、相手が悪意を持っていることは理解できる。
「あなたの目的は……」
「目的?そうだな。」
男は少し考えるような素振りを見せる。
「光の王に我が子を産ませる。これ以上の目的があるだろうか」
「そんな……、んんぁあっ」
再び圧縮された快感を味わされる。どうやら時間の流れを自由に操れるらしく、時間を停めている間も相手にダメージを与えることができる。それは時間を戻した瞬間に一気に襲い掛かる。
「おっと、そろそろ切れる頃か」
「え」
突然世界の時間が再び回り始めた。今まではその男とアイリスの周囲だけで動いていた時間が、元と同じ速度で流れ始める。
「zzZZ」
「……!!」
すぐ隣で赤髪が寝ている。
そう、今日は一緒の部屋で寝ているのだ。
それなのに、自分は下腹部を露わにして、見知らぬ男にその神聖な処を明け渡している。こんなふしだらな自分を見たら、きっと彼は絶望し、悲しむだろう。
強い羞恥と貞操感がアイリスを襲う。
彼を起こさないように、口を閉じて息を押し殺した。
そして再び世界が凍る。
「どうだ、この力は。素晴らしいだろう。」
「返して…返してください…」
哀願するも、その程度で改心するような相手ではなかった。
「そろそろいくぞっ!」
圧縮された快感が周期的に襲いかかり、どちらも高まっていくのを感じた。
男のそれが大きく膨らみ、射精しようとしているのがわかる。
「待って、それは、それだけはぁあっ!」
「さあ、選べ。時間を戻して愛する人の前でその痴態を晒け出すか、このまま中にたっぷりと注ぎ込まれるか。」
「そ、そんな…っ!!」
選べない。このまま中に出されるわけにはいかないけれど、だからといってこの醜態を見せるわけにもいかなかった。
「時間切れだ」
端から選択権などありはしなかった。びゅくびゅくと腟内に注ぎ込まれのを感じながら、ただそれを受け止めるしかなかった。
*
気がつくと、その男はいなくなっており、いつの間にか夜明けが来ていた。
下腹部にどろりとした感覚が残っており、あれが夢ではなかったことを思い出される。絶対にバレてはいけない秘密を作ってしまった。
(シャワーを……)
今洗い流せば、まだ間に合うかもしれない。名前も知らない相手の子を孕んでしまったら、取り返しのつかないことになる。
「……おはよう」
赤髪が起きてしまった。それで、シャワーを浴びるタイミングを逃してしまった。
*
「えええ!?あんたに続いて、アイリスも能力を奪われちゃったの!?」
キャトラが素っ頓狂な声を上げる。
朝食後に、一行にそのことを打ち明けた。
「もしかして道化の仕業かしら。犯人の顔は見たの?」
エレメージュが心配そうに覗き込む。
「いえ……。わからないの。ただ起きたら力が無くなっていたことに気がついて。」
「許せませんね!」
ハーティが怒りの声を挙げた。
アイリスは昨晩に何をされたかについて墓場まで隠し通すつもりだ。幸いにも、どうやら赤髪も気づいている様子はない。
しかしあれは一体誰だったのだろうか。唯一の手がかりは、体内に残されたあの男の遺伝子である。
奪われた力を取り戻すために、新たな旅が始まった。