ギャング同士の抗争でフェネッカが敵に捕らえられたという情報を掴んだリルテットは、単身ギャング団のアジトに乗り込んでいた。
本当だったら二人でカフェでアフターファイブを楽しんでいたはずの時間。しかし何時まで経っても待ち合わせ場所に来ない。そんな時に飛び込んできたのが、フェネッカが所属するシガーファングがライバルとドンパチを始めたという話だ。
だが何のバックアップも用意せず、ソルトホーン本部に連絡することもせず、単身飛び込んでしまったのは失敗だった。
つい頭に血が上ってしまって、気がつけば敵の本部にいた。
だがフェネッカという人質カードを向こうに握られている以上、正面突破ではどうやっても勝ち目がない。
自らも囚われてしまったリルテットは、武装も服も全て剥ぎ取られ、地下室に幽閉されてしまった。
「フェネッカは…どこ……」
あるいはこれも一つの計算のうちだった。フェネッカが本当に囚われているとしたら、自分も同じ場所に行けるはずだろう。そこから逆転できるかはともかく、ともかく存在を確かめたかった。
「んんんーー!」
猿轡を当てられて、裸で横たわるフェネッカがそこにいた。
「フェネッカ…!!」
リルテットの顔がカッと火の付いたようになる。
「おっと、自分の立場を忘れてもらっちゃあ困るねぇ。」
「く……」
武器はおろか、服すらすべて剥ぎ取られた状態で、抵抗しようにもフェネッカというカードはまだ向こうにある。下手な動きはできない。
「それよりも壊したドアの修理代を請求しないとねぇ。ソルトホーンの新人さんよぉ」
「な、何を……」
男の一人がビデオカメラを回していた。さっきまでフェネッカを撮影していたようである。リルテットは咄嗟に身を庇おうとするが、後ろから羽交い締めにされ、そのまま押し倒されてしまう。
そこには裸の男が二人いて、リルテットを待ち構えていた。
「今から楽しいショーを撮って、アイツのところにも送りつけてやるからよ。ソルトホーンには随分お世話になったからな。」
ボスらしき男の顔が憎悪にゆがむ。自警団であるソルトホーンはギャング団からは目の敵にされている事が多い。
「と…撮らないで……」
だがその哀願は虚しく拒否された。
*
「うあああ…そこはぁ……!」
ソルトホーン事務所のレイモンドの元に送られてきたビデオレターには、リルテットが男たちに次々と輪姦されている衝撃的な映像が記録されていた。
「うわあ…リルテットちゃん、こっぴどくやられちゃってますねぇ。」
「いつもクールなリルちゃんもあんな顔するんだなぁ。」
「気の強い子がお尻弱いって本当だったんですね~」
「何言ってるんだ、お前ら!今すぐ助けに行くぞ!」
レイモンドは机を叩いて部下たちを諫める。
「イエッサー!」
「団長!あとでそのビデオコピーしてください!」
「馬鹿野郎!まず助けるのが先だ!」
なかなか映像から目を離そうとしない部下たちを、レイモンドは強制的に引き剥がし、出撃させる。
*
その後、シガーファングとソルトホーンの共同作戦によってギャング団は壊滅に追い込まれたが、同僚たちのリルテットを見る目がしばらく落ち着かなかったという。