男の言葉にはなぜか逆らえない響きがある。
カスミは気がつくと露天風呂の端に両手を突き、その身体を無防備に晒していた。
「いい子だ。苦しくないように、ひと思いに入れてやろう。」
「……く………くうう…っ!」
閉ざされた結界がみちみちと押し広げられ、あっけなくふつりと決壊する。
焼けた鉄棒を押し付けられたかのような痛みが広がるが、それでもまだ半分しか入っていなかった。
「……っ!」
さらにめりめりと奥まで押し込まれ、全て入った頃には涙が溢れてくる。
だが弱みを見せてはこの男の思う壺だ。ぐっと息を殺して平常心を保つように努めた。
「おめでとう、君は記念すべき100人目だ。やはり生娘であったか。100人斬りの締めには相応しい」
「ふ、ふざけたことを……」
カスミは密かに恋愛小説が好きで、もう何十冊も読んできた。その中には必然的にこういう行為も出てくるが、みんなそれは素敵で素晴らしいものだと書いている。
だが実際にしてみるとどうだろう。そこにはロマンも胸の高鳴りもなく、ただ肉のぶつかり合いがあるだけだ。
(こんなことなら……)
この行為に遠い憧れのようなものを抱いていた自分が恨めしく思う。素敵な初体験など絵空事にすぎないのだ。現実はもっと生々しい。
(…さっさと済ませておけばよかった。)
密かに気になっていたあの人のことを思い浮かべる。
親がかってに決めた許婚者がいるので遠慮していたが、好きな人がいないわけでもない。だた一時は少し距離が近づいたものの、いまはすっかり遠い存在になってしまっている。
小さなプライドなど捨てて、もっとダイレクトに迫っていればよかった。そうすればあるいは素敵な初体験が……
「なかなかのいい具合だな。そのきりりとした顔立ちといい、包み込むような名器といい、君は良い遊女になる。」
「か、勝手なこと…を…言わないで!」
現実に引き戻される。
ぐちゃぐちゃにかき回され、痛いはずなのに、だんだん別の感覚が這い上がってくる。文字通り百戦錬磨の経験は伊達ではなく、よく気持ちよさのツボを押さえていた。痛みと気持ちよさが交互にやってきて、思考が渋滞し始める。
(もう、どうでもいい…)
そうだ、これが終わったらあの人に浄化してもらおう。こんな気持ち悪い男なんかより、もっと素敵な時間になるはずだ。
だが自分にそれだけの魅力が、果たしてあるだろうか。
いっそ遊女にでもなって、女の魅力を磨いてみるのもいいのではないか…。
そんな気の迷いをしているうちに、膣内にたっぷりと子種を注がれたことにも、まだ気付いていなかった。