遊郭に現れるという<鬼>を討つために、トワ達は遊女のふりをして潜入していた。
<鬼>は必ず客として現れるはず。
その絶好の機会を狙って、カスミもまた毎晩客を取り続けている。
「はあ……」
併設の温泉で何度も湯を浴びながら、カスミは無表情にそれを繰り返していた。
これは禊(みそぎ)。罪という呪縛から洗い清めるための。
その身に染み付いた罪と穢れを洗い流していく。
「ん……」
秘所にそっと指を這わせ、中指をぬるりと中に滑り込ませた。
どれだけ出されたのだろう。先程の客の体液が、白濁となって滴り落ちてくる。
指で中から掻き出していくと、じわりと身体が火照りはじめた。
浅い部分に残っているものは綺麗にすることができるが、奥まで入ったものはどうしようもない。もし次の客の時に逆流してしまったら興醒めになるため、念入りに取り除いておかなくてはならない。
もちろん、妊娠という大いなるリスクを避けるためでもある。
細い指でかきまわしていると、じわじわと快感が広がっていく。
しかし"本物"に叶うものではない。あの太い剛直に突かれることに、いつの間にかすっかり虜になっていた。だがそれを認めたくないゆえに、否定を繰り返している。
アサミヤの家の教えでは婚前交渉を禁じている。
その行為が苦痛でしか無かったら、わざわざ禁じる必要など無かっただろう。
だがそれはどうしようもなく魅力的で、心を支配されてしまう。ゆえに禁じられた行為なのだ。
禊を終えると、次の客が待っている。
そう、これは致し方ないこと。鬼を狩り、人々を守るためにやむをえないこと。
本物の性行為ではなく、仮初めの行為にすぎない。
自分にそう言い聞かせながら、客が待つ部屋の襖を開いた。
*
次の客もやはり鬼ではない、普通の人間の男だった。
カスミはお尻を向け、その男のそれをずっぽりと咥えこんで繋がっている。
感じている顔を見られたくないので、後背位が一番好きだった。
「あっ……あっ……!」
後ろからパンパンとリズミカルに突かれていたのに、急にそれがスローペースになる。
射精衝動を我慢しているのだろうか。
だがせっかくいいところまで来ているので、もっと動いてほしかった。カスミは自ら腰を前後させ、お尻を打ち付けるようにしてピストンを続けさせる。
「うお…っ!」
さすがにそれで我慢できなくなったのか、男はスパートに向けて激しく腰を打ち付けはじめる。
「外と中、どっちに出されるのがいい!選べっ!」
「な…なかはぁ……っ!」
中出しだけはされてはいけない。それをされてしまうと本物の性行為、子作りになってしまう。親の決めた許婚者のいる身としては、それだけは避けなくてはいけなかった。
「時間切れだっ!」
男はカスミの尻を鷲掴みにし、深くまで突き上げて、その一番奥にどくどくと射精した。
その熱さを感じて、カスミも何度目かの絶頂を迎える。
*
トワが言っていた。
温泉のようですよね、と。
お風呂に入る前は、正直億劫というか、あまり気が進まない事が多い。できればパスしたいとさえ思う。だが一度お湯に浸かってしまうと、そういった感情は吹き飛んでしまう。入ったことに後悔することはない。
確かにそうだと思う。
相変わらず男に対する嫌悪感というか苦手意識は強かったが、ひとたび繋がってしまうとそういう感情は全て吹き飛んで、深い繋がりを求めてしまう。
だがトワの比喩には一つだけ違うところがある。
それは後から後悔がやってくるということだ。
すっかり淫らな姿を晒してしまったことを。そしてまた断りきれずに膣内射精されてしまったことを。
「はあ……」
カスミはひとり、湯を浴びながら禊をし、ため息をついた。
これが終わったらまた次の客が待っている。
今度こそは中に出されないようにしないと。
その瞬間のことを考えて、きゅっと身体が疼いた。