うちの店の求人に応募してきたのは、自警団ソルトホーンの新人、リルテットだった。
本人は素性を隠しているつもりのようだが、シガーファング構成員で彼女を知らないものは居ない。
この店のバックにはギャング団シガーファングがついているので、末端の構成員である俺もこの店を手伝っている。もっぱら人材確保と研修役だ。
最近、人手不足なので団本部にお願いをしたところ、シガーファングの新人団員フェネッカが送られてきた。彼女にはうちで新人嬢として働いてもらっている。
だがそれが気に入らなかったらしい。こうしてソルトホーンのリルテットがやってきた。上辺としては新人嬢として。だがこれもおとり捜査なのだろう。こちらも気付いていないふりをしつつも、慎重に行動しなくてはいけない。
最大限に警戒しつつも、彼女の研修を始めることにした。
「……どうして裸にならないといけないの。」
お風呂場で一糸まとわぬ姿になったリルテットが、ひどく不満そうな顔をしていた。
声に凄みがあり、相当不機嫌そうに見える。
「そりゃあ、うちはお風呂屋さんだからね。お風呂入るときは服を脱ぐだろう?」
「……そうだけど……。」
うちはあくまでも『特殊浴場』として行政機関に登録されており、性的なサービスをする風俗店とは一線を画している。
店員がお風呂場で客の身体を洗ってあげる。その過程で"偶然"恋が芽生えてしまい、"間違い"が起きても、店は関与しません、というスタンスだ。
もちろんそれは表向きの建前で、実情は本番セックスありの最高級のサービスを提供するお店。ゆえに風俗の王様とも呼ばれる。
だが多くの島で売春が違法とされているように、この島でも本番行為を伴う風俗店は認められていない。もし組織的な売春が見つかったら、自警団にしょっぴかれてしまう。それだけは避けなければならない。
「このお店に、フェネッカって子来てない?友達なんだけど」
「さあ、それは答えられないなぁ。でも君がここで働いてくれるなら、会えるかもね。」
「やっぱり…いるんだ。」
「客の身体を洗うのがここの仕事だ。それじゃ、早速実践してもらいながらレクチャーしていこう。」
「……ッ!……汚いもの見せないで。」
リルテットは吐き捨てるように言う。だがその目はその一点に釘付けだった。
「その汚いものを洗うのが、君の仕事さ。さあ、そこのボディーソープを泡立てて。まずは手で洗ってみな。」
「……こ…これに触るの……」
いちいち反応が初々しい。気丈に振る舞っているように見えるが、直視できないようでおっかなびっくりそれを見ていた。ほんのり手が震えている。これはおそらく処女の反応だ。
「こいつが君の中に入るんだ。丁寧に洗うんだぞ」
「……やっぱり……そういうことするんだ!」
ちょっと早まってしまった。本番行為を強要するようなことがあってはいけない。
武器を持っていない丸裸とはいえ、彼女は体術もそれなりに長けていると聞く。
「おっと、それはあくまでも君が望むならの話さ。」
「はあ?そんなこと望むはずがないでしょ。」
リルテットは呆れた顔で眉をしかめる。
だがその顔を快楽に染めてみたいと、息子は強く願っていた。