『なんの真似だ』
「……夜伽に参りました。オブニアル様。」
『サイファーでいい。だが、王女自ら娼婦の真似事とは、どういう風の吹き回しだ』
「古くからの盟約により、連邦の要人が我が国に参られた場合は、王族のものがおもてなしするのが定めとなっております。サイファー様は連邦の最有力者とお聞きしますので、わたくしが直接お相手差し上げるのが相応しいのです。」
『くだらん風習だな。そんなことのためにこの国を訪れたわけではない。それに俺はそんな器ではないぞ。』
「ご謙遜を。サイファー様は亡きカテリーナ大公の跡を継ぐお方とお聞きしました。
…我が国のような小さな国が、連邦の庇護を受けながらも独立性を保っていられるのは、この古き盟約のお陰です。ですので、どうかお相手をさせてください…。」
『そんなもののために望まぬ男に抱かれるのか?』
「…民の幸せが私の幸せです。ですから、これが私の望みです。」
『どうした、震えているではないか。オレは夜伽など必要ない。さっさと服を着ろ。』
「い……いいえ。私に恥をかかせないでくださいませ。」
『ふむ。なるほど…たしかに魅力的な身体だ。その綺麗事ばかり言う口から、淫猥な声を上げさせてみたいという欲求もあるが……。
だが盟約なんかに縛られるのは癪だな。そんなのとは無関係に抱いてもいいなら、相手してやらんこともない。』
「それは、卑怯にございます。」
『ち、そうだろうな。それにどうせ身籠った場合は責任取れとか言うんだろう。
今の俺にとってはリスクが大きすぎる。
だが、据え膳食わぬは男の恥とも言うしな……。この昂りを抑えるのはなかなか難しい』
「ふふ……その気になっていただけましたか?」
『くそっ、俺はどうしたらいい…!』
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ねこトトラ@猫虎屋
2020-12-10 16:10:05 +0000 UTC