「頼む!お願いだ!金ならいくらでも出すから!」
「……困ったわね。」
裕福そうな男がその日ランプ店を訪れたのは夜更け過ぎのこと、人目をはばかるようにやってきて、店主に必死の形相で頼み込んでいた。
「私は迷える子たちを導く案内人。導くだけで、蘇らせるのが仕事ではないわ。」
「でも!聞いたんだ!君が蘇生の術も使えると!」
「あら、どこからそんな事聞いたのかしら?
……死者蘇生は禁呪の類。そんな簡単に持ち出していいものではないと思うけれど。」
「頼む、藁にもすがる思いなんだ。僕の…恋人を…蘇らせてくれ!」
「困ったわね……」
男の決意は固く、本物のようにも見えた。
「……一つだけ…方法が無いわけでも、ないわ。」
「ほ!本当か!」
「幸いにも、その方のソウルはまだ現世に残っているみたい。
でも、儀式にはとても長い時間がかかるし、あなたのソウルをたくさん頂く必要がある。
そして何より、あなたが彼女を想い続ける気持ちが消えてしまったら……恐ろしいことになると思うの。」
「もちろん!やりとげるさ!絶対に!」
「そう……。」
男の決意は固く揺らがなかった。
*
店の奥で、二人は裸になって身体を重ねていた。
「ま……まさか、こんなことをすることになるなんて……」
「……ん…。彼女のソウルはまだ残っているけど、肉体は朽ちているわ。だからまず魂の容れ物を作ってあげなければいけないの。これからそれができるまで、毎日ソウルを提供してもらうわ。言ったでしょう、長い時間がかかるって。」
「そ…それなら、遠慮なく。」
「……んぁっ!」
男は動揺していた。そして同時に昂りも覚えていた。
そういえばこんなことをするのはいつぶりだろう。恋人の喪失で心が死んでいたから、すっかり忘れていたけれども、身体は性欲に満ち満ちていた。
今からこの子に己のソウルを注ぎ込む。それを考えただけで心が躍る。
なによりも、先程まで穏やかな笑みを浮かべていた少女が、淫らに腰を振り、あえぎ声を上げているのだ。
もっと気持ちよくさせてやりたい。乱れた姿が見たい。
「へへ、どうだい、ここ、気持ちいいかい?」
「んんっ!…そんなの…わから…ああっ!」
「我慢しなくていいんだぜ」
「いいから…はやく……して」
もっとこの時間を楽しみたいと思った。
いつしかこれが儀式であることを忘れ、快楽を引き出し合うことに専念しはじめていた。
「いくぞっ……」
「はぁんっ!」
びゅくびゅくと、勢いよくソウルをが射出されていく。
「う…おおおおお!」
止まらない!吸い取られていく!
体内のソウルが根こそぎ流れ出していき、胎内に注ぎ込まれていく。
この世とも思えない快楽が襲いかかり、頭が真っ白になった。
「おおおおお!!!」
とどまることのない奔流に押し流され、男は意識を失った。
*
「あら、目が覚めたかしら。」
気がつくと、足がつかないようなふわふわとした感覚につつまれながらも、視界ははっきりしてくる。先程の少女が、深い瞳で見つめていた。
「大量のソウルを失った一時的なショックのようなものよ。でもまだまだ足りない。これから何日もかけてもっとたくさん頂くわ。」
「あ…ああ…」
「それとも、途中で辞めたくなったかしら?」
「とんでもない!最後まできっちりやり遂げてみせるさ!」
「そう……。」
こんな気持ちいいこと、やめてたまるものか。
男はたった一度でこの儀式の虜になっていた。
いつしか恋人への感情が薄くなっていることにも。そしてその恋人のソウルが恨めしげに男を見つめていることにも気付かずに。
「ふふ……頑張ってね。」