「みんなーー!盛り上がってるかーーい!」
GYAAA! GYAAA!
嵐の島の森に、けたたましいほどの歓声が響く。だがそれは人間のものではない。即席の野外コンサート会場には、見るもおぞましいほどのマッチョバード達が集っていた。
DJヴィヴィ主催のゲリラライブ。観客はマッチョバード、マッチョバード、そしてマッチョバード。数十から数百ほどの数の、けたたましい声をあげる鳥たちが、そこに集っていた。
知らぬ人が見たらそれを地獄、と表現するだろう。
幸いにも、人里遠く離れた森の奥地の一角なので、騒音の苦情が来ることはない。
「それじゃー、次の曲いっくよーー!!」
オーディエンスは最高に盛り上がっていた。フロアキラーチューンとも言うべきノリノリな曲を、ルーンスピーカーにセットする。
ここからがクライマックス!
ぷしゅっ
「あれ?」
ヴィヴィの顔に、疑問形が浮かんだ。ルーンスピーカーのスイッチを押す。しかし反応がない。もう一度押す。しかし何も音がならない。
「ごっめーーん!バッテリー切れちゃった。すぐに交換するね!チャンネルはそのまま!Stay Tune!」
盛り上がりを失わせないように、明るい調子でヴィヴィは続けた。観客にどっと笑いが起こる。
慌ててすばやく予備のバッテリーを取り出し、ルーンスピーカーにセットする。セットす……
「っと…っと…」
つるりと指の間を滑り、そして予備のバッテリーは地面に落ちた。
BOM!
「ありゃ?」
予備バッテリーは地面の石にぶつかり、小さな爆発音と共に炎を上げ始めた。
「ああーー!バッテリーがーー!」
最近のルーンバッテリーは、少しの衝撃で爆発炎上しやすいときく。まさかこんな大事なときに落としてしまうとは……。
悪いことに、今日持ってきている予備バッテリーはこれだけだった。
「あああ……どうしよう」
しかし動揺したのはヴィヴィだけではなかった。最高の盛り上がりを見せていたオーディエンスが、突然のアクシデントに怒りを覚える。
GYAAA!! GYAAAA!
GYAAAAAAAAAAAA!!!
先程までの盛り上がりとは違う意味で熱を帯びていた。それは怒りのブーイング。
ボコ!ボコっとそこらじゅうから土の音が聞こえる。マッチョバードの多くは半分土に埋まりながら歌うのを好むが、その多くが立ち上がり始めた。
顔には似つかわぬ、筋肉隆々の身体が、突如として地面から現れる。
「待って!ちょっとまって!なんとかするから……」
ヴィヴィの必死の説得も、マッチョバード達のブーイングにはかき消えた。
オーディエンスは完全に怒りに包まれている。
ヴィヴィのやや小柄の身体を取り囲むように、数十ものマッチョバードがぐるりと立ち並んだ。怒りで我を忘れている。音楽、音楽さえあれば……!
「ひっ……」
マッチョバードの一匹が、腕を無理矢理掴んだ。細身のヴィヴィにくらべて、その腕のなんと太く逞しいことか。
ヴィヴィはこう見えて小心者のである。恐怖の表情が顔に貼り付いた。
「待って…おねがい…待っ…」
別のマッチョバードも左手を掴み、そして体当たりを食らって押し倒される。
5匹、いや6匹もの鳥たちが、一気に襲いかかってきた。
「いやーッ……やめて……」
一匹のマッチョバードが、その生殖器をヴィヴィに押し当てた。見れば他の鳥たちも次々とそれを反り上がらせている。
「そ……それだけは……」
ヴィヴィの懇願は叫び声にかき消えた。
「ひぎいぃぃ……っ!」
ズン!と熱い金棒で串刺しにされたかのような激痛が襲いかかった。
あまりの痛みに、頭が真っ白になり、意識が飛びそうになる。
呼吸がうまくできなくて、声が上ずった。
「ひぐぅっ……」
ヴィヴィは処女を散らされ、鮮血が伝っていた。
乱暴に突き上げられ、まともに呼吸する暇も与えてくれない。
連続で殴打されつづけるような痛みが、絶え間なく襲いかかってきた。
「あ………」
耐え難い現実と、痛みの波に飲まれ、視界がセピア色に染まり、耳は金管楽器をあてたかのように反響し始め、ヴィヴィの意識は次第に遠のいていった………
狂宴は、その後1時間も続いた。
「やっとうるさいのが収まった~……。原因はこれ?」
ボロボロになって気絶していたヴィヴィを、通りがかった一人の霊鳥が発見した。
後に友人となる、エクルとの最初の出会いである。
ねこトトラ@猫虎屋
2019-02-05 13:33:39 +0000 UTCせれす
2019-02-05 08:03:13 +0000 UTCねこトトラ@猫虎屋
2019-02-03 17:34:23 +0000 UTCせれす
2019-02-03 12:17:27 +0000 UTC