太陽からの贈り物
Added 2022-09-15 14:45:04 +0000 UTC住宅街の中でも比較的駅に近いエリアの一角に建つマンションに、とある母娘が住んでいた。 母の名は、稲葉優。年齢は36歳。 年齢に比して引き締まった体つきをしており、肩よりも長く黒い艶髪を後ろで束ねている様子からは若々しさを感じさせるものの、立ち居振る舞いや落ち着いた表情からは、年齢相応の円熟した魅力を醸し出している女性だ。 娘の名は、稲葉あおい。今年高校の卒業を控えた18歳だ。 小学生の頃からバスケットボールに明け暮れ、運動神経抜群な彼女は常に朗らかで、誰とでも仲良くなれる性格をしていた。 スポーツ女子らしい短いショートヘアにはつらつとした笑顔は、周囲の人を引き付ける魅力を持っていた。 優はシングルマザーとして、あおいを愛し、大切に育て上げた。あおいは父がいないということに寂しさを感じることはなく、まっすぐに成長し、来年はスポーツ科学を専攻する大学へ推薦合格をもらっている。 順風満帆とはいかずとも、二人はこれまで大きな不満を感じることなく生活していた。 そう、これまでは。 「母さん、今日から一週間くらい、ケータイの電波悪くなるって知ってた?」 マンションのリビングで、ソファーに寝転びながらスマホを見ていたあおいが、キッチンで夕食の支度をしていた優にそう声をかけた。 「へぇ、そうなんだ?工事かなんか?」 「うーん、なんかフレア?の大きいのが来るんだってさ。なんか、18年振りくらいの規模らしいよ」 「あぁ、太陽から出るとかってやつか。気を付けないとね…あんた、どこかに出かけたりするの?」 「んー、学校行くくらいかな?」 「遠出するんなら気をつけなさいね」 「そうだねぇ、連絡つかなくなったら困るもんね」 母との何気ない会話に何となく満足感を得たあおいは会話を終え、最近気に入っている配信者の動画の再生を始めた。 そんな彼女の様子を背中で感じながら、優はパスタを鍋に投入し、煮込んでいたホワイトソースの火加減を調整する。 サラダにするための野菜を刻みながら、ふと、体の奥に身に覚えのある熱を感じていた。 40も間近に控えた彼女は、ここの所、性的な衝動に駆られることがしばしばあった。 それは、女性としては典型的な事象であり、ヒトという生体が子孫を残そうとする意志に他ならなかった。 ただし、優の場合は他の女性とは少々事情が異なる。 二十歳であおいを妊娠、出産した彼女は、その後、仕事と子育てに追われて新しい恋人を探す余裕はなかった。 彼女の場合は、ただでさえ特殊な身体特徴があり、そのせいもあってか恋愛からは距離を置いていたため、これまで誰かとそういった関係になったことすらなかった。 恋愛を知らない彼女があおいを出産するに至った経緯については、彼女だけしか知らない秘密があった。 優は、18年前にあった一週間の出来事を思い返す。 とたんに、抑えきれない衝動がこみ上げてくるのを感じた。 優は慌てて頭を振り、かつての出来事を記憶の中に押し込める。 「あおい、もうすぐできるから、テーブル片付けて」 「ん、あいよっ」 優に声をかけられたあおいは、ソファーから飛び起きてすぐさまテーブルの片付けを始めた。 * * * その晩の23時過ぎ、入浴を終えた優は、自室の明かりを落としてぼんやりと姿見を見つめていた。 白いネグリジェ姿の優の頬には朱が差し、瞳も微かに潤んでいる。 ひとりでに漏れ出る吐息は熱く、下半身には固いふたなりがそそり立っていた。 これが、彼女が恋愛に至れない理由だった。 この手の特性をあえて好む男性がいることも知りつつ、彼女は羞恥から、異性と深い関わりを持とうと思えなかった。 特に性欲が強かったわけでもなく、これまでは多少気分が高まってしまっても、浴室で処理すればすぐに収まる程度だったが、夕方に感じた通り、今回の火照りは簡単に収まるものではないようだった。 優は、自分のふたなりにそっと手を伸ばす。 雄々しく立ち上がったそれは固く充血し、ジンジンと脈打っているようにも感じられた。 ネグリジェの上からそっと指を這わせると、微かに動悸と息切れが込みあがってくる。 さらに指先で裏筋を擦ろうとした瞬間、夜のとばりに包まれた窓の外が、不意にパッと明るくなった。 優には、その体験に覚えがあった。 優は、ハッとして顔を上げた。 姿見には、優自身の姿が映っている。 ただし、その鏡像は、二人分。 優が自分ではないもう一人の自分に視線を向けると、そこには、引き締まった体に、優と同じネグリジェを身にまとい、艶やかな黒髪をポニーテールに束ねた女性がいた。 その顔は、毎朝毎晩鏡越しにしか会うことのできなかった人物…稲葉優、彼女自身だった。 目の前の優は頬を赤く染め、目を潤ませ、ふたなりを雄々しく立ち上がらせ、彼女を見つめている。 「「あぁっ…」」 思わず漏れた声が重なった。 今まで以上に心臓が高鳴り、体が震えてくるような感覚すら覚えた。 18年前、優は同じ体験をした。 そしてそのまま、もう一人の自分と衝動のままに体を重ねた。 若かった優たちは、一週間もの間、ほとんど休みなく何度も交わり続ける異常な時間を過ごし、あおいを身ごもった。 その経験は、優の脳裏に深く刻まれ、以来18年間、彼女の中に忘れがたい記憶としてとどまり続けていた。 18年前、なぜそのようなことが起こったかは、定かではない。 そして今、なぜ突然同じ現象が起こったのかも分からない。 しかし、互いの姿を認めた次の瞬間に、優達は18年間待ちに待ち続けた強い衝動に突き動かされた。 優達は互いに飛び掛かるようにして抱き合うと、ベッドの上に倒れこみ、互いの体をきつく抱きしめながら、熱く唇を重ねる。 足を絡め合い、髪を掻き抱き、胸同士、ふたなり同士を押し付け合った。 寸分違わない体温の肌が擦れる。 どちらのものかも分からない黒髪が、シーツの上で混じり合う。 耳元で聞こえる自分自身の喘声と乱れた呼吸音が、鼻先を埋めた髪や首元から香る自分自身の匂いが、優の胸を締め付ける。 毎朝毎晩、鏡越しに会い、娘のあおいや、他の誰よりも身近で親しい存在だ。同時に、本来ならば実際には体を重ねることのできない相手でもあった。 そんな自分自身との、忘れられない18年前の一週間の記憶が鮮明に思い出される。 恋というほどロマンチックなものではなく、愛というほど純粋な想いでもない。 しかし、単純な肉欲的欲求とも違う。 自らの欠けた一部を補うような、取り落としてしまった何かを拾い上げるような、そんな衝動が、優達を動かしていた。 絡み合う舌が、シンクロしたように動くのを感じる。 そのことに、優は言い知れぬ喜びを覚えた。 唇を離し、互いの首元に吸い付きながら、体を擦り寄せると、相手も自分と同じように体をくねらせる。 互いの求めているものが重なっていることが分かる。 自らがしたいと思うことを、相手がしてくれる。 18年前に覚えた興奮が上書きされるように彼女の脳裏に刻み込まれた。 「…あぁっ…もっと…」 「うん…ここも…」 「あぁっ、そこっ…そこっ」 「んんっ…良いっ、そこ良いっ」 二人はそんな微かな言葉を交わしながら、ひたすらに体を擦り合わせる。 硬く隆起した乳首が弾け合い、柔らかな胸はひしゃげた。 互いの腹部に挟まれたふたなりの敏感な部分も押し合わされ、粘性の液体にまみれて微かな音を立てている。 互いの太ももが股の間に差し入れらて擦れた秘所からも、愛液がじっとりとあふれ出ていた。 互いに息を荒げながら上に下にと転がり合いながら互いを愛撫していた二人だが、不意に上になっていた優がクイっと腰を引いた。 下になった優は、言葉を交わすことなく脚を大きく開くと、腰を前へと突き出す。 二人は互いの首に腕を回し、求めるように口付けた。 上になった優が感覚だけを頼りに腰を前に突き出し、下になった優は突き出されたふたなりをその秘所に迎え入れ、ミチミチという水音とともに、優のふたなりは優の膣内に根元まで押し入れる。 それだけで言い知れぬ幸福感がこみ上げ、二人はキスをしながらハラハラと涙をこぼした。 「あぁっ…挿入ってる…」 「キツイ…締め付けてくる…」 「奥、来て…」 「うん…ギュッとして」 互いを見つめ重ね合わされた唇で、二人はそう睦言を交わす。 上に圧しかかった優が腰を引くと、力が込められた優の膣が吸い付くようにしてふたなりを締め付けた。 「あぁっ」 「んんっ」 喘ぎ声をあげて名残り惜し気に離れた二人の唇に、唾液の橋が繋がった。 優は、もう一人の自分と額を合わせ、その表情を、目を見つめながら、ふたなりを再び奥へと押し入れる。 挿入された優も、もう一人の自分の顔を潤んだ瞳で見上げ、切なげなその表情に胸が詰まって、自分の頭に回っていた彼女の手に自分の手を添えて指を絡めた。 それに応えるようにして、相手の優の手にも力がこもり、次いでゆっくりと抽挿を始めた。 硬いふたなりが肉を押しのけて行き来する感覚と、吸い付くような膣内の肉感とに、二人は快感を覚えながらも一心不乱に腰を動かす。 硬く絡み合わされた指には一層力がこもり、額と鼻先が重なるほどの距離にある口からは、熱い吐息が漏れている。 互いの表情が刺激に歪むたびに、胸の内には弾けだしてしまいそうな喜びが沸き上がった。 抽送は徐々に速さと勢いを増し、水音と肌のぶつかり合う湿った音も激しくなる。 呼吸は乱れ、心臓が強く速く脈動する。 胸を締め付ける想いが高まり、二人は互いに回した腕に力を込めた。 「…んっ…イクっ…」 「…んはっ…きて…」 二人はまた、そう微かに言葉を交わした。 受け入れていた優は腰を上げ、優の腰に足を絡めてより深くにそのふたなりをくわえ込む。 抽送をしていた優もそれに合わせて、優の最奥にふたなりをゴリゴリと押し付けた。 そして、ビクンと体を震わせた彼女は、受け入れていた優の首元に顔を埋める。 ガクガクと腰が震えて、抽送していた優の尻からふたなりに白熱が駆け、受け入れていた優の膣内に吐き出された。 「…はっ…あっ…」 「…んっ…はぁっ…」 二人はわずかに唇を重ね、それから受け入れていた優がゆっくりと体を起こす。 挿入していた優のふたなりがズルリと抜け、逆に仰向けに押し倒された彼女は、もう一人の自分の想いに応えて脚を大きく開いて見せた。 秘所から白濁液を垂れ流したまま、優はもう一人の自分の中にふたなりをゆっくりと侵入させていく。 「んっ…あっ…」 「ふぅっ…んっ…」 互いの性器に走る快感に、吐息のような喘声が漏れた。 一度白濁液を受け入れた優は、すでにタガが外れ掛かっていた。 相手が自分にしてくれたように、満足感と幸福感で満たしたいという想いが先行し、ズンズンと勢い良く奥へとふたなりを突きこんでいく。 「はっ…んっ…ダメっ」 「…はっ…んっ…はぁっ…すごいっ…良いよっ…」 「あっ…んんっ…声、声出ちゃうっ…あっ」 口元に手を当て、歯を食いしばって必死に声を堪えている自分を見下ろして、優は胸を締め上げられ、思わずその口元に吸い付いた。 「んぐっ…んんっ…ふぅっ…」 「んっ…んんっ…ふぅっ…」 重なり合った唇の中に二人の吐息と声が漏れる。 それでも、ぶつかり合う体同士が弾ける音と、水音だけは隠しようがない。 しかし、すでに気持ちが高ぶってしまっていた二人にとって、そのことに気付く心の余裕はないに等しかった。 挿入していた優が腰をくねらせて、ふたなりの最奥をグリグリと刺激する。 それに応えて、挿入されていた優は腰を上げ、もう一人の自分の腰に脚を絡みつけた。 「んんっ…ふぅっ…んんんっ」 「んっ…んんんっ…ふぅっ…んんっ!」 挿入していた優が、もう一人の自分の唇に一層強く吸い付き、舌を濃厚に絡ませた。 次の瞬間にはビクンと腰を震わせて、優の膣内に想いの丈を放出させる。 「んふっ…ふぅ…んんんっ」 「んんっ…ふぅっ…んんっ」 優達はベッドの上に力なく崩れながらも、重ねた唇を離さなかった。 体を抱き合いながら再びベッドの上を転がり上下を入れ替えると、立場が入れ替わる。 優達は溶け合うようにして、再び自分自身と交わり始めた。 そんな様子を、わずかに開いたドアの隙間から覗き見る一人の女性がいた。 彼女の娘、稲葉あおいだった。 二人の優の遺伝子を受け継いだ彼女もまたふたなりを持っており、母二人の痴態を目の当たりにして、奇妙な興奮を覚えていた。 「なんで…母さんが二人も…?」 そんな疑問を頭に浮かべながらも、ドアの向こうの景色から目を離すことができない。 しかし、しばらくたったころ、彼女はふと、何か暖かいものが自分の体に触れていることに気付いて、視線をそちらに向けた。 そこには、ショートヘアに整った顔立ちをした女の子が、恍惚とした表情であおいを見つめている姿があった。 「…!」 漏れそうになった声をとっさに飲み込みながら飛びのいて、ペタンと床に尻もちを着く。 目の前の自分と同じ姿をした誰かも、同じように驚いているように見えた。 「…んんっ…あぁっ…優っ…」 「…はぁっ…んんっ…良いよぉ、優っ…」 ドアの向こうから微かに漏れてきた声に、あおい達はハッとして立ち上がると、どちらからともなく互いの手を引いて、小走りに自室へと駆けこんだ。 静かにドアを閉めてから、二人は大きく溜息を吐く。 それから、薄暗い室内で互いに向き合った。 「えと…その…誰…?」 「私は、稲葉あおいだけど…そっちは…?」 「…私も、稲葉あおい…」 「そう…そう、なんだ…」 原因までは思い至ることはなかったものの、母に起こっていた出来事が、自分自身にも起きているのだと考える方が至極当然だった。 見れば、もう一人の自分が着ていたパジャマの股の部分が、不自然に盛り上がっている。 自分自身と同じように、だ。 それに気付いて、今置かれている状況が二人の母親の姿と重なる。 あおいは、性交の経験複数回あった。 昨年卒業した男子バスケットボール部の先輩であり、あおいの体の特性を理解したうえで、恋愛関係になった相手と、だ。 あおいは受験勉強で忙しくなり、先輩は入学した大学で遊び惚け、関係は長く続かずに、破局してしまっていた。 ただし、その経験もあって、性交渉自体には抵抗がないどころか、どちらかといえば好んで求めるような部分が芽生え始めていたことも確かだった。 これまで体験したことのない同性との性行為、という枠にはおさまらない。 ふたなりを持つ、自分自身と同じ存在だ。 そんな相手との交わりがどんな意味を持つのか、あおい達には十分に理解できた。 理解できてしまったがゆえに、抑えようのない胸の高鳴りを覚えてしまう。 自慰を覚えたての頃、指で触れるだけでなく道具を使った方法を試し始めたときの感覚と似ていたが、今回の高鳴りの強度はその比ではない。 強烈な背徳感と、未知の刺激に対する興奮とが綯い交ぜになって、あおいの胸を締め付けた。 頭に血が上り、パジャマの中のふたなりがドクドクと脈打つのが感じられる。 「……あの、さ、触ってみても、良い?」 「…う、うん…あたしも、良い?」 「うん…」 二人のあおいは二人は、わずかに残った理性を頭の隅に自ら追いやって、そっと互いの股間に手を伸ばし、パジャマの上からふたなりに手を添えた。 軽く握ると脈動が感じられ、同時に自分のふたなりが握られた快感が沸き上がる。 自分のふたなりにするように、もう一人のあおいのふたなりの先端を指でさすると、ビクンと体を震わせた。 パジャマはすでに粘質の液体で濡れていて、微かにニチニチと音を立てている。 それに応じるように、もう一人のあおいが目の前の自分のふたなりを擦ると、彼女も同じように腰をビクンと震わせた。 「あっ」 「んっ」 いつの間にか半開きになった口から、微かな喘ぎ声が漏れた。 あおい達は互いの反応を確かめるように、恍惚とした表情で互いを見つめ合いながらふたなりを擦り合う。 吐息が荒くなり、快感を求める衝動が膨れ上がって理性は完全に侵食されていた。 「はっ…あぁっ…!」 「んっ…あぁっ…!」 ほどなくして二人は全身を強張らせて、パジャマの中に精を噴き出した。 それでも二人のふたなりは硬くそそり立ったまま、濡れたパジャマを押し上げている。 あおい達は、互いの精液で濡れた手で互いの腕を引き寄せ、そっと唇を重ねた。 ためらいながら舌を伸ばすと、重なり合った唇の間で相手の舌と触れ合い、驚いて一瞬引っ込んでしまう。 気持ちを決めて再度相手の口内に舌を入れると、再び舌が触れ合った。 パジャマの袖を握り合いながら、ゆっくりと舌を絡めていく。 「んっ…んんっ…」 「んんっ…んっ…」 「んふっ…んっ…」 「んっ…んんっ…」 吐息とともに、微かな喘声が漏れ、引き寄せ合った体が次第に密着した。 舌を絡めているだけで、頭の中心にしびれるような興奮と快感が迸る。 酸欠のせいか、それとも強く速く打っている心臓のせいなのか、二人は息が詰まるような感覚を覚えて、唇を離した。 すぐ目の前には、普段鏡の中で目にする自分が、潤んだ瞳の恍惚とした表情で見つめ返してくる顔がある。 二人は、惹かれ合うように再び唇を重ねた。 舌を絡め合いながらベッドのそばまで移動する。 倒れこむ前に、互いのパジャマのズボンと下着を脱がせ合った。 あおいが知っている性交渉は、あくまでも男性相手のものだけだ。 ふたなりを持っているあおい達は、自然と相手を男性に見立てて、これまで得た知識に従って行動する。 キスをしたままベッドの上に膝立ちになった二人は、互いのふたなりに手を伸ばした。 すでに熱を持った柔らかな手のひらが、これまでにないほど硬く滾ったふたなりに触れる。 先ほどの射精で出た精液を指先で亀頭に撫でつけて、ゆっくりとほぐすように全体を手の平で包んだ。 「「んんっ…」」 と同時に声が漏れた。 しかし、それに怯むことなくすぐにその快感を再び求めるようにして、二人は互いのふたなりを押し付け合う。 重なり合ったふたなりが逸れないように指を絡めてつなぎ止め、先端の裏側の最も敏感な部分をグリグリと擦り付けた。 「んぐっ…んんっ…」 「んふっ…んんっ…」 ふたなりに突き上がってくるような快感に腰が砕けそうになるのを堪えて、二人はふたなり同士を押し合わせる。 熱く重なった唇の隅から、喘声とともに吐息が漏れた。 舌同士の絡まりと、カウパーに濡れた亀頭同士の擦れ合いの水音が、静かな部屋に艶めかしく囁かれる。 「「ふっ…んっ…んんんっ!」」 不意に二人はそう声を漏らせて、互いのふたなりを一層強く押し付けた。 次の瞬間、ビクンと腰が震えて、ふたなりが勢いよく脈打つ。 先端から白濁とした精液が迸り、互いの体に飛び散った。 「はぁっ…んっ…はぁっ…」 「んはっ…んんっ…はぁっ…」 二人は名残惜し気に舌を絡ませてから、唇を離した。 肩を大きく上下させながら、呼吸を整える。 眼前にいるもう一人の自分は、目を潤ませ、トロンと緩んだ表情でいた。 ショートヘアの前髪はいつの間にか乱れていて、口元は自分のものなのか、相手のものなのか分からない唾液に濡れて艶やかに輝いている。 その表情に、あおい達はなおも劣情を沸き上がらせた。 射精をしたとはいえ、性交渉としてはまだ入り口だ。 この先の行為を想像するだけで、射精したばかりのふたなりは再び硬く充血し始める。 あおい達は、精液に濡れた体を抱き合ったままベッドに倒れ込んだ。 上に伸し掛かったあおいが、下のあおいの耳を食む。 わずかに耳に掛からない程度の長さの黒髪が鼻先に触れた。 下のあおいは、上のあおいの首筋に咬み付き、舌先をくすぐるように這わせていく。 二人は、こそばゆさと快感を感じて、互いを抱きすくめる腕に力をこめた。 それでも体が反射的にビクビクと波打ち、汗と精液に濡れた体同士が擦れ合う。 上のあおいが鼻先で短い髪を掻き分けれ額に口付けた。 下のあおいは、首元に鼻を擦り付ける。 自分自身の香りを他人のものとして嗅ぐという体験に、あおい達の胸がさらに高鳴った。 倒錯的な状況に、かつてない程の興奮を覚える。 上のあおいは、その衝動に突き動かされるまま、下のあおいの脚の間に腰をねじ込んだ。 ふたなりの先端を割れ目に押し当てた瞬間、それまで互いを求めるようにしていた二人の動きが停止した。 紅潮した互いの顔を見つめ合う。 いつの間にが呼吸が乱れていて、肩で大きく息をしていた。 「…ヤバいかな…」 「……ヤバい…と、思う…」 ふたなりを押し当てていたあおいが、明らかな葛藤を言葉に漏らした。 組み敷かれているあおいも、紅潮した顔でもう一人の自分を見上げながら口にする。 そんなあおいの言葉を聞き、表情を見て、ふたなりを押し付けて来たあおいは唇を噛みしめた。 二人の心臓の鼓動音すら聞こえそうな静寂の中に、呼吸音だけが漂う。 自分のふたなりを自分の膣内に押し込む―――近親姦というにも近すぎる自分自身との性交渉に、背徳感と倫理観が強烈に揺さぶられる。 しかし、実際に感じている興奮と快感、そして背徳感や倫理観を超えたいという倒錯的な欲望が、あおいの中でせめぎ合っていた。 数秒か、数分か、二人は言葉も交わさずに、ただ互いの目を見つめ合う。 どれくらい経ったか、ついにその沈黙を打ち破ったのは、クチュっという微かな水音だった。 あおいのふたなりの先端が、あおいの膣口に僅かにめり込んでいる。 ふたなりを押し付けているあおいは、自分が組み敷いているあおいの顔色を覗いていた。 組み敷かれているあおいも、自分にふたなりを押し付けているあおいの様子をうかがっている。 どちらのあおいも、自分に言い訳をするでもなく、相手を説得するでもない。 しかし拒否をする訳でもなければ、ことさら理性的に振る舞うでもなかった。 二人のあおいは葛藤を抱えたまま、それでもふたなりは確実に膣内に押し入って行き、肉壁はそれを受け入れていく。 プツプツと水音を伴って、あおいのふたなりはゆっくりと、着実にあおいの膣内に進んだ。 ふたなりをきつく締め付ける暖かくも柔らかな感触と、強直が壁を押し入ってくる感触とにお互い溺れかけながら、長い時間を掛けてついに二人は深々とつながった。 ふたなりの先端が膣の奥に突き当たった感触で、二人の体が強張る。 体が震え、動揺する瞳が揺れた。 それでも二人は「やめて」とも「やめよう」とも口にしない。 ふたなりを包み込まれ、膣内を押し広げられている感覚が突き上げてくる衝動を必死に堪えながら、ただひたすらに相手の顔色をうかがう。 「最後までしよう」と言う決心はつかない。 しかし、「やめよう」とも言い難い。 せめて相手が「やめたい」と言ってくれれば。 そんな想いが二人の胸中で巻き起こり、心と体を縛り上げていた。 同じ思考が何度も頭を巡り、葛藤に胸の中をかき乱されていたあおい達は、行為を繋がってからどれくらいの時間が経過しているか、意識する余裕がなかった。 ゆえに彼女達は、どれくらいの間、自分たちが極めて中途半端な姿勢を維持しているかという感覚に乏しかった。 僅かに腰を浮かせてふたなりを受け入れているあおいと、彼女を四つ這いで組み敷いているあおいの体が、動揺とは異なる理由で小刻みに震えだす。 互いの体に力を預けることもできずにいた二人の筋肉が、姿勢の維持に悲鳴を上げはじめた。 先に身体的な負荷に気付いたのは、組み敷かれていた方のあおいだった。 しかし、それでもまだ葛藤の渦の中にいた彼女は、体を預けることもできなければ、刺激を受けて拮抗が崩れてしまうことを恐れ、体勢を僅かに変えることもできないでいた。 そしてそんな彼女は、ほとんど無意識に、姿勢を維持しようと足腰に力を込める。 「んっ!?」 姿勢を維持しようとしたあおいが力を込めた瞬間に彼女の膣内がギュッとしまり、ふたなりを差し入れていたあおいに不意な快感をもたらした。 葛藤のさなかにいたあおいは、自分のふたなりがもう一人の自分に深々と差し込まれている状況を認識しなおして、反射的にそれを引き抜こうと片足を後方に引き下げようと重心を傾ける。 しかし、すでに限界を迎えつつあった筋力は彼女自身が認識していたほどの力を発揮できなかった。 次の瞬間、片足で体重を支え切れずにバランスを崩した彼女は、もう一人の自分の上に崩れるようにして倒れ込んだ。 姿勢を変えた瞬間に半ばまで引き抜かれていたふたなりは、倒れ込んだことで再度深くに抽挿される。 その感覚は、膨れ上がった風船に一刺しするかのように、快感を決壊させた。 ふたなりが脈打って、あおいが絶頂する。 込み上げた精液がふたなりを駆け抜ける快感が彼女の足腰を砕いた。 繰り返し押し寄せる快感の波に、あおいは体を震わせるあおいは満足に腰を引くことすらままならない。 「あっ…あぁっ…あぁっ…」 「あぁっ…んっ…はぁっ…」 挿入していたあおいは、喘ぎ声とも悲鳴とも取れない声を上げながら、膣内に射精を繰り返す。 組み敷かれていたあおいは、諦めと満足感が入り混じったような声と共に、深く息を吐き出した。 「あぁっ…はぁっ…ご、ごめんっ…あ、あたしっ」 やがて絶頂の波が引き、そう言震える体を起こしながらふたなりを引き抜こうとした彼女を、あおいは強引に押し倒した。 僅かな抵抗を試みた彼女の脚の間に腰をねじ込んだあおいは、自身のふたなりを割れ目に押し当てた。 「あたしの中に出したんだから、あたしが中に出してもいいよね?」 そう言った彼女の表情は、恍惚に染まっている。 その言葉を聞き、その表情を目にし、膣口に押し当てられたふたなりの固さを感じたあおいは、ゴクリと生唾を飲み込んだ。 今の出来事が事故だとしても、起きてしまったことは事実だ。 そしてそれは、これまでの葛藤が一つの結論によって打ち砕かれたということでもあった。 一方のあおいにとっては、中に出された以上、自分が同じことをやり返す権利があり、もう一方のあおいにとっては中に出してしまった以上、自分が同じことをされても拒否できない。 それは、相手に対する敵愾心でも、罪悪感でもなく、背徳感と倫理観を打ち破る「言いわけ」だった。 あおいは、組み敷いていたあおいの膣内にふたなりを一気に突き込んだ。 組み敷かれたあおいは抵抗するどころか、腰を浮かせ、彼女の体を抱きしめて、それを受け入れる。 断続的な水音と、肌のぶつかる音、二人の掠れた喘ぎ声が部屋に満ちた。 先ほどまでの葛藤で押し込められていた感情と衝動に突き動かされ、快楽の追及のためだけに、禁忌の領域を犯していく。 ふたなりを包んで絞め上げてくる快感と、膣内に押し入ってくるふたなりの快感だけではなく、何よりもその禁忌の領域に踏み入っている感覚に二人は溺れた。 「あぁっ…はっ…出るっ…!」 「んはぁっ…あぁっ…んんっ!」 ビクンビクンと腰を震わせて、あおいが組み敷いているあおいの膣内に精を解き放つ。 自分自身の膣内に自分自身の精を放つ、放たれているという興奮に、二人は尚も胸を高鳴らせた。 射精の波が引くと言葉もなく体勢を入れ替えた二人は、挿入する側とされる側との役割とを交代して繋がる。 それが終わればまた役割を入れ替え、それで果てればさらに入れ替わった。 「んんっ…これヤバいぃ、やめられない…」 「気持ち良いよぉ、自分と…あおいとするセックス、気持ち良いよぉ…」 「出るぅっ…また出ちゃうっ…」 「あたしも中でイクっ…一緒にイッちゃうっ」 「あぁっ…んんんんっ!」 「はぁっ、ふぅぅぅっ!」 「…はぁ、ふぅ…交代」 「はぁ、はぁ、うん、来て」 そうして二人の交わりは、明け方に体力が尽きて気を失うように寝入るまで続いた。 ベッドの上で折り重なって眠る二人の体は、それでもまだ繋がったままだった。 昼時はすでに過ぎ、陽が傾き始めていたころに、玄関のチャイムが鳴った。 キッチンで夕食の準備をしていた優は、そのことに気付いてパタパタとスリッパを鳴らして玄関に向かい、ドアを開けた。 「あ、大家さん、どうも」 そこにいたのは、年齢不詳、一見すれば30台もまだ前半くらいに見える、長い黒髪の女性だ。 目尻の下がった穏やかな顔つきと、ふんわりとしたしゃべり方をする淑やかな印象の彼女は、対応してくれた優にぺこりと頭を下げる。 「お忙しい時間にすみません」 「いえいえ、どうされたんですか?」 「実は、マンション全体でネットワークの不調が出ておりまして」 「あら、そうだったんですか、気付きませんでした」 「ご迷惑になっていなければよかったです。業者に来ていただいたんですが、どうもニュースでやっている太陽からの電磁波…?が原因なんじゃないか、ということだそうで」 「あぁ、昨日娘が言ってましたね…」 「なんでも18年前以来の規模らしいですし…18年前ってそんなに影響がでたような記憶はなかったんですが、何かご記憶にございますか?」 その質問に、優はふと、思い至った。 18年前…? 彼女にとって18年前というのは、初めて自分自身と交わった年のことを指す。 その時にも太陽フレアの影響が出ていた…そして、それは今回も同じ… 「太陽フレアの影響…」 「あら、何か心当たりがございますか」 寸瞬、思考の海に溺れていた優は、大家の言葉にハッと我に返る。 大家に視線を戻すと、彼女は手に何やら黒い箱のようなものを持っていた。 「それは?」 「ネットワークを安定化させる装置です」 「はぁ」 「通常なら1週間程度で異常は解消されるのですが、中には現状の方が調子が良いとおっしゃる方もいらっしゃるので、そういうお宅にはお貸ししているんですよ」 「…?」 大家の説明に、優は首を傾げる。 しかし大家はそんな優に 「この装置を1週間程使用して頂ければ、現状が安定化しますので、その後は装置なしでも今のままの状態で生活していただけます」 と説明を付け加え、最後に 「一週間ほどお待ちになって現状が解消される方がよろしいでしょうか?それとも、現在の状況を継続されることをご希望でしょうか?」 と優に微笑みかけた。 その言葉を聞き、優は大家が何について話しているのかについてを察した。 なぜ大家はそのことを知っているのか、そもそもこの現象はなんなのか、聞きたいことは山ほどあった。 それでも、それらの疑問を以上に「現状を継続できる」という言葉が優の心を縫い留めた。 18年だ。 18年の間、二度と再会することがないかもしれないと思いながらも彼女は恋焦がれ、他の誰に目を向けることなく、ただひたすらに冷たい鏡で自身の心身を慰めるしかなかった。 18年前は確かに一週間で、「元」に戻ってしまった。 でも、目の前にある装置があれば… 「あの、お借りしてもよろしいですか?」 気付けば優は、大家にそう問いかけていた。 「あぁ、やはりご希望でいらっしゃいますか。結構ですよ。特段、料金が発生したりすることはありませんが、破損した場合には弁済いただくことにはなってしまいますので、その点だけご了承くださいね」 そう答えた大家は、腕に掛けていたトートバッグから「使用説明書」という薄っぺらな冊子を装置の上に乗せて優へと差し出した。 恐る恐るそれを受け取った優に微笑んだ大家は 「それでは何かお困りのことがございましたらご連絡いただければと思います。今後ともアラカルト3番館をよろしくお願いいたしますね」 と会釈をし、淑やかな足取りで廊下の向こうへと歩き去って行った。 そんな後ろ姿をぼんやりと眺めていた優は、ややあってドアを閉めると、その場で使用説明書なる冊子を広げた。 特に機能面に関する説明はなく、電源コンセントを差すことと、電源スイッチの位置だけが図解で載っているのみだ。 不意に、パタパタと音がしたので顔を上げると、そこには愛しい人の姿があった。 「大丈夫?何かあった?」 彼女はオタマを片手に、少し心配げに彼女を見つめている。 優はそんな彼女に抱き着くと、無造作に唇を重ねた。 オタマを持ったままの優は特に動じた様子もなく、そんな彼女を受け入れる。 昨晩のことが思い返されて、履いていたジーンズの中でふたなりが硬く立ち上がっていた。 短い、それでも舌を絡め合うキスを終えてから、改めてどうしたのか聞かれた優は、ことの次第を彼女に伝えた。 それを聞いた彼女は戸惑いつつも、「もし本当なら」とその瞳を輝かせる。 キッチンへ戻った二人は、夕食の準備を続けながら、もしずっと二人でいられるのなら、という話に華を咲かせた。 「そういえば、あおいになんて説明しよう…」 「そのまま言うしかないんじゃないかな…多少は混乱するかもしれないけど、平気でしょ」 「そうね」 そう言って笑い合う彼女達は、件の娘であるあおいが自分達と同じ沼に嵌ってしまっているという事実を、その後の夕食で知ることになる。