嬉しいこと。
Added 2025-03-16 16:19:29 +0000 UTCお恥ずかしながら、昨年から色々と勉強をしてきました。どうやったらいいシナリオが書けるのか。リスナーのみなさんが何を求めているのか。どういう姿勢で制作をしていくべきなのか。
そういったビジネス書や実用書に書かれていることで、絶対的なことがあります。
それは「ファンと丁寧に接せよ」ということです。SNSでしっかり発信して、コメントもしっかり返す。ファンの期待を高めるような投稿をして、それに応える。ファンの望む声を掬って、制作に活かす。どこにも当たり前に書いていることです。「消費者ファーストで考えよ」「カスタマーサービスを充足にせよ」。
ファンの感情をポジティブに育てて、サークルの印象を良くしよう!的なやつです。
わかっています。それが非常に大事なことは。私もしがない消費者の一人として、こちらに向いてくれているブランドを選びたいと良く思います。
しかしながら、私はサークル主として、いや、一人の人間として、本能的にそれが難しかったんです。「人々に良い風に見られる」というのが非常に苦手な人間なんです。「人々に好かれる」ということは、「人々から好意的な目で見られること」であり、ポジティブな期待をされます。私は……人に期待されるとプレッシャーで簡単に潰れてしまうような人間です。とにかく期待されるのが怖いんです。
ですから、サークル創設当初から10年以上一貫して言い続けてきたこととして……「妄想研究所を応援しないでください」でした。
応援されると潰れてしまいます。期待されると、それに応えるのが怖くなってしまいます。
だから、期待する人からすると「期待を裏切る」ような作品を作ってしまう……そうすれば、「期待に応えようとしたわけではない」という言い訳ができるから。
とにかく自分本位な人間が私であり、サークル「妄想研究所」でした。
私は常々、「妄想研究所を大々的に応援しないでください。陰ながら応援してください。常日頃から頭の中に思い浮かべるのではなく、たまに出した作品を見て、『おっ、妄想研究所頑張ってるな』くらいに思ってください。そうすれば、私はいつまでも制作し続けられます」と発信してきました。
新作配信直後はお祭り状態なのでみんなと一緒にお祝いする感じでワイワイ騒ぎます。でも熱が冷めて次回作へ期待がされるようになってくると途端に怖くなって引きこもります。
10年以上、そんなサークル活動でした。
そういう活動だったので、妄想研究所の話をしている人は、他のサークルと比べると少ないように思います。あんまりエゴサもしないですし、してもピックアップしたり反応したりしないので……つぶやき甲斐がないサークルだと思います。
みんなが話題にするわけでもないサークル。そもそもサークル側がそれを望んでいないようなサークル。それが妄想研究所でありました。
しかし、今回……2024年に配信された第24作目「君にささめく、塚松さん。」が、2024年の大賞を受賞したとのお報せが飛び込んできました。
明らかに他の作品よりも数字も出ていない本作が大賞を受賞したこと。SNSでもそれほど話題になっていたわけでもない本作が大賞作。
私は、今回ほど……『ファンに恵まれているサークルだ』と実感したことはありません。
非常に多くの方が、私の性格を知って、過度に発信せず、粛々と作品を楽しみ、そしてそれに感動し、そしてその興奮を抑えながら、投票をしてくれた。
もうなんと言ったらいいのか。こんなことってあり得るんでしょうか。
私のわがままでファンの皆さんを縛って。私のわがままで制作方針を決めて。ずっとずっと私のわがままで活動し続けてきて。
いつでも見放されてもいいようなサークルが、こんなにも多くのファンに愛されて。なんて恵まれているんでしょう。こんなに恵まれているのに、それを平然とした顔で活動を続けていたことが本当に、とても恥ずかしくなりました。
本当に皆さま。いつも……陰ながら応援くださり、ありがとうございます。
本当にありがとうございます。なんかもう、勉強していると「ブランディングとしてこうするべき」とか「ああするべき」とか、なんか色々書いてて、でもそれに合わせて活動するのは本当にしんどくて。私はただただ私が良いと思ったものを好きなように作りたくて。それを「良い」と思った人がお手にとってくれればいいと思っていて。「それが同人だ!」と言い聞かせて。それでも、そんな作りをしながらも、ありがたいことに非常に多くのファンに認めていただいて、「音声サークルの中で一番音響にお金をかけている」と自負できるくらいまで投資することができたこと……常々『ありがたいな』、『恵まれているな』と感じていました。(過去のブログでも「私は音声サークル1、ファンに恵まれている」と書いていたと思います)
でも。それでも。こんな「大賞」をいただけるくらい評価してくださるなんて。私の活動方針に理解をしてくださる多くの方々がいて、そして陰ながら投票をしてくれたなんて……私はなんと言ったらいいんでしょうか。
妄想研究所は「音が良い」と良く言われます。私としても一番自信を持って、矜持ですと言えるくらいの要素であります。
それでも、「他の誰よりも音がいい」となんて言えなくて。せいぜい言えるのは「私にとって一番良いと思える音を作っている」というだけで。
だってみんな一生懸命作ってるんです。他にもたくさんの音響編集屋の方々がいて、各々が「こうすると一番音が良い!」と思って作ってるんです。みな「ウチの音が一番!」って思ってるんです。事実、みんな音が良いんですよ。クリアに聞こえるし、生々しく聞こえる。存在感だってハッキリしている。それでいいじゃないですか。それでいいんですよ。
でも、ありがたいことに、「妄想研究所は音響が良い」と仰っていただくことが非常に多いです。
これはもちろん、一つにあるのは『非常に多くの人に音が良いと思ってもらえるような音響作りができている』ことが土台にあるとは思うのですが、しかしながら、それを知ってもらうということができなければこんな評価はもらえません。一生懸命、良い音を作り続けていても日の目を見るとは限らないのが現実です。
そんな中で、妄想研究所は「添い寝フレンドと行く温泉旅行」で非常に多くの方に認知をいただけました。そこから「妄想研究所=音響がいい」という文脈ができあがったように思います。
私はたくさんの運があってここにいます。そして多くの人々に支えられて今があります。それは、私を陰ながら、しかし非常に強く応援してくださったファンの皆さま。そして、私の制作理念を理解し、とことんお手伝いくださった制作関係者の皆さま。私はこれらに非常に恵まれて、今日があります。
多くの人に支えられ、今がある。多くの人のおかげで、幸せに活動ができている。
この事実を決して忘れぬようにしながら、今後も真摯に作品制作に向き合わないとなと思います。
私は、音声サークルとして活動してきて実に12年の年月が経ちました。人間としても成長してきました。わがままだった若いときの自分は、遠い昔……とは言えませんが、だいぶ大人になったように思います。
そう。私の心は、ようやくファンの皆さんに期待をお返しできるだけの余裕が生まれました。
今年は、皆さんが陰ながら望んでくださっている作品が、いくつか発表できると思います。
スケジュールだけはどうしても順調には行かないのですが……期待に応えるような制作に手を付けることができたこと、妄想研究所を支えてくださった皆さまにお返しできること、非常に嬉しく思います。
なかなか手を抜くことができなくて、発売ペースではご迷惑をおかけしますが……どうぞ楽しみにお待ちいただけますと幸いです。
けど……それでも……。まだわがままを言わせていただけるのでしたら……
今後も、あまり期待をしすぎないようによろしくお願いします。一生懸命作るので、お願いします。