新作、完成しました!
Added 2023-06-06 16:43:32 +0000 UTCてことで昨日ですかね、書き出しまで終えて登録を済ませてきました。
結局全然こちらで事前報告もできないままの発表となってしまいました、申し訳ありません。余裕をもった制作ができればこんなことにはならないと思うのですが…。もっと三年前のように、各作品をプレス盤で販売する方針を取れば完成から配信まで余裕をもってやっていけそうですね。
情報も公開されましたが、本作「テレバーチャルヘッド」は“頭を動かして”視聴するバイノーラル音声作品です。通常は“頭を静止して”視聴することを前提として作られていますから、そこから一歩踏み込んだ内容となっております。もっと昇華していけば、ヘッドトラッキングシステムを使って常時自由自在に頭を動かして聞くというのも考えられますが、いきなりそこまで持ち上げていっても万人には受けられませんから…。今作はそこから一歩手前、ご自身の視聴環境はそのままで、頭を動かしながら視聴するという方針で作ってみました。
今作は難産というほどの作品ではありませんでしたが、シナリオを監修いただくこともあって、非常に頭を使う執筆でした。
「頭を動かすことに抵抗感をなくさせたい」
「テンポを覚えることを前向きに捉えさせたい」
「自然と頭を動くくらいまで学習を促進させたい」
そういった思いを込めて、アドバイスを頂きながら台詞一つ一つを綿密に考えていく必要がありました。まさに赤ペン先生ですね。
そうして、年始から書き始めたシナリオですが、結局完成したのは3月下旬でした。そう考えると非常に難産でしたね…。でも「台詞ってこんなに意図的に考えることができるんだ」という気づきも得られたので、まるで教科書と問題集を与えられてヒントを元に解き明かしているような幸福感に似た達成感は私の中にありました。
さて収録です。こちらもこちらでスムーズには行きませんでした。まずなんといってもダミーヘッドマイクとダミーボディの存在です。マイクを動かしながらもボディを固定させないと視聴者の環境と適合しません。ので、ボディは固定したまま、マイクだけを上に向かせたり、左右に振ったり、股へ向かせたり。頭の動かす方向や角度はテンプレート化させないといけないので、マイクを向かせる角度には神経を使いました。まずはダミーヘッドマイクにレーザーポインタを取り付け、スタジオ内にマステで印をつけ、マイクを傾ける方向を固定しました。それを顔を動かすシーンを来るたびに都度変化させます。大変でした…。
マイクを動かすとダミーボディと擦れて音が鳴ります。この対処をどうするのかも検討しました。ノイズ除去で取り除くか? 鳴らないように工夫をするか? 鳴っても違和感がなく効果音として処理しきれそうか? 色んなパターンで録ってみて、結果的に動作を表す効果音として活かすという、一番臨場感のあるものを選択するに至りました。
ボイス収録もそういった意味では非常に時間がかかったように思います。1トラックあたり2,3時間かかってしまうので、数日に分けての収録を余儀なくされました。
また、ヒロインのボイスに合わせてサブキャラの台詞を構築したいとの思いから、メインのボイス収録を行ったあと、ボイス整理を行い、メインの台詞や反応・声色に合う台詞づくりを行いました。つまり新規に台詞を作ったってことですね。
当初想定よりもボイス量は増えてしまいますが、その分、切れ目なく、そして何時でも違和感のない声が存在してくれるので、「テレバーチャルヘッド」の生み出す没入感と良い相性であったと感じました。
やっぱりボイス単体だと「テレバーチャルヘッド」の効果を感じるには今ひとつですから、複数キャラでがちゃがちゃとした音場の中で頭を動かすほうが立体感を感じられます。キャリブレーションシーンでも、しぃなとアリスの二人の声を聞きながら頭を動かすところでは、アリスの定位感はとても高く感じられました。ここは次回への可能性を感じさせられましたね。
遅ればせながら、今作の主演を務めていただきましたのは「みもりあいの」さんです。こういう難しい収録、新しいことへの飽くなき探求心を持ち合わせてくださっておりますみもりさんには、とことんお世話になりました。いつもありがとうございます。
今作は「テレバーチャルヘッド」の施策を説明する、体感する作風ですから、淡々とした口調で聞き取りやすい声の方が相応しいと考えておりました。やはりこの落ち着いた声はみもりさんの武器でもありますから、ぜひとも今作を担当いただきたいと思い制作を進めており、お声がけするに至りました。
みもりさんの魅力というかお上手なところは「息の使い方」にもあると思っていて、それは「間の作り方」であったり「艶っぽい息」であったり、「淡々と話すときとマジになってるときのギャップの表現」であったり多岐にわたるのですが。本作の臨場感の表現とそれはとても相性がよかったように思います。息っぽさって自然っぽさに通ずる感じがするのかなと。なんかそんな気がします。
また、とにかくちゅぱ音の表現の幅がすごいです。
「舌先をぐいーっと伸ばして、乳首を弾く」
「喉奥まで咥えこんで、喉奥で鳴く」
「引き上げるときに唾液がカリ首を通る」
各セリフで意図を持って執筆すると必ずお返ししてくださるので、本当執筆冥利につきます。昨今は喘ぎ声とかちゅぱ音は声優さんへアドリブにする傾向が強いんですけど、私は頭の中でストーリーを完全に作り上げないと筆が動かないタイプなので(台詞の前後関係が不明だと思考停止してしまう脳足りん)細かく書き込んじゃうんですが、そういう人間にも対応していただけるのは本当にありがたい限りです。
さて、そんな感じで今回はメインとサブを両方演じていただいて、それぞれの台詞のタイミングや声色など調整していただきました。「テレバーチャルヘッド」としては頭を動かしながら聞いていただいて臨場感を感じていただくことが何よりのメインではありますが、内容そのものもこうしてこだわれたので、普通の作品としてもご視聴いただけるかと思います。ある種のシチュボですね。「テレバーチャルヘッド」というのを体感できる施設にやってきた男性が立体感を味わう……つもりがなんかエッチなことされるんだが!? …っていう。
とにかく本作「テレバーチャルヘッド」は、“頭を動かして視聴する”というのをご提案するためのものですので、まだまだ施策として成熟なんかしていません。きっともっとうまい見せ方とか、より良く立体感を体感できる方法とかあると思います。
ぜひ皆さんからご意見ご感想などいただけますと幸いです!
新しい可能性を、皆さんと一緒に作り上げていけたらなと心から願っています。
ただ、「テレバーチャルヘッド」が音声作品界隈のメインとなることは絶対ないと断言できます。なぜなら、ほとんどの人が「ベッドで寝ながら視聴している」わけなので、頭を動かすことは困難でしかないわけで。
「煩わしさを感じるもの」は人間の原理としてスタンダードとなるわけがないですからね。
ヘッドトラッキング付きイヤホンが当たり前となる時代となれば話は別ですね。全人類がAirPodを持つ世界になれば、あるいは……。
まあまあそんな感じで。
奇天烈なテーマですが、「テレバーチャルヘッド」。どうぞお楽しみに!