22.放心 壁に両手をつき、寄りかかるようにして立ち上がる。 両手を壁につくことで、体重を分散し両脚の負担を減らす。 立ち上がりはどうしても腹筋や太腿、ふくらはぎに力を入れざるを得ない。 しかし、同時にその運動行為はヴァギナや子宮、腸を体内で収縮させ、淫具による責めを増幅してしまうことは避けれない。 理沙はブーツのなかでつま先立ちになりながら、なんとかマンションを後にした。 駅まで一歩一歩はまさに地獄、そのものだった。 不安定なつま先立ちでの歩行は、傍からみると、あたかも酔っ払いが歩いているように、右に左にふらふらと、よろけながら歩き、時たま、太腿がブルブル震え膝がガクンとくの字に折れ曲がり、しゃがみ込む寸前になる。 理沙は必死で普通に歩いているつもりであるが、その歩き方は誰が見ても普通ではなかった。 そして、歩行のために太腿を上げるたびに、膣道では埋め込まれたペニス型バイブを肉壁が包み込み、子宮内では埋め込まれた卵型ローターが圧迫され、その表面の突起が心地よい刺激を与えた。膣道、子宮の肉壁の血行はその刺激を性交によるペニスのインサート前の前戯と認知し、性器が熱くなりはじめていた。 アナルストッパーで栓をされた肛門は排泄を求め、激しい痛みを大腸全体に響きわたらせている。 「ああ……」 喘ぎ声を漏らしながら必死に我慢し、太腿に力を入れる。 同時にズキンとカラダの中心を鋭くしびれるような刺激が駆け抜ける。 再び、膝が折れ曲がり、体制が崩れる。 「おっと。君、大丈夫かい?」 中年男性が背後から抱きかかえるように理沙の背中を支えた。 「あん」 理沙の口から艶かしい声が漏れる。 中年男性はそっと背中を支えただけであったが、興奮状態にある理沙にとってはそれは愛撫でしかなかった。 「気分でも悪いの?」 中年男性は理沙の顔をそっと覗き込みながら、心配そうに尋ねた。 その女子大生らしき女性の顔は熱があるようで、紅潮し、眼は虚ろで焦点が定まっておらず、どこか遠いところを見ているようだった。背中に触れた手からは、その女性の体温が高いことが伝わってくる。 「風邪じゃないかな? 無理しちゃダメだよ」 中年男性は女性の背中を支えながらやさしく語りかけた。 女性はゆっくりと瞼を閉じて、口を半開きにして、かすかな喘ぎ声を漏らす。 「あっ、あっ、あっ」 すぐさま、口を固く結んで声を殺した。 「んんん」 中年男性は淫靡な表情に官能的な表情を感じ、狼狽した。 「だ…い…じょうぶ…です」 再び瞼を開けると、弱々しく答えた。 「駅の事務室で休ませてもらったら、どうかな?」 女性の太腿はまだワナワナと微振動しているのがわかる。 「もう、大丈夫です」 女性はそういうと、頭を下げてまたゆっくりと歩きはじめた。 中年男性は、その女性着けていたパープルのレギンスの内股部分が濡れて変色しているのに気付き、何か見てはいけないようなものを見て後味が悪かった。 「あんなきれいな子がへんたいか…」 理沙の鼓動は急速に高まっていた。 カラダ全体が心臓になってしまったように、全身が激しくドキドキし、行き苦しかった。 中年男性に触れられた時の感触は、これまで求めていものをやっと手に入れたような心地よさが全身に満ち溢れた。 それと同時にカラダから力が抜けていくのがわかり、その心地よさに埋没し自然と瞼が閉じていった。都会のあわただしい朝の出勤時間の雑然とした騒音が鳴り響くなかで、理沙は快楽の侵食に陶酔しようとしていた。中年男性は、口をパクパクさせて何か話している。なんていっているのだろう。その手の感触がとても気持ちいい。もっと触ってほしい。 理沙の心は快楽に堕ちていっていた。 中年男性が手に力を入れて、肩を少し強く掴んだ。 その刺激に瞼が開く。 耳に「大丈夫?」の声が入る。 まだ、理性が働いているのだろう。 「大丈夫」と答えた自分がいた。 ヴァギナからは分泌液が大量に漏れ出し、レギンスを濡らしているのがわかった。 ゆっくり歩き出しながら、愛液を垂らしながら歩く自分の姿に一層興奮してきた。 精神錯乱剤は、理沙の脳細胞の活動を低減させることに奏功していた。この薬剤の特色は、神経信号の伝達を司るシナプスのレセプターの働きを鈍化させ、脳の活動全般を停滞させる効果がある。シナプスのレセプターはシグナルである物質を受け取り、信号を伝達していく仕組みであるが、そのレセプターがシグナルを受け取れないように、人工の化学物質と連結させて、信号の伝達を阻害するのだ。したがって、理性、情緒、感情、判断力、言語能力などが一時的に衰弱する。しかし、性感についても同時に衰弱させるのが唯一の欠点ともいえる。 現在の理沙は脳機能の低下により、感情、情緒、理性、判断力、言語能力、運動能力が衰弱している状態であり、他人の眼から見ると、無気力で放心状態にあるように映る。中年男性に支えられているときに、快楽の深淵に身を落ち込ませる寸前になったり、中年男性の問いかけに呆然としたり、愛液で内股を濡らしても羞恥心が薄らいでいるのはそのためだ。 ------------------------------------------- この22話までで、執筆が中断しています。 この後の話はまだ未執筆です -------------------------------------------