13.キャット・スーツ 膣道に埋め込まれたバイブレーターは継続的な超微振動を続け、表面に植付けられたシリコン製の突起物が小刻みに膣壁に刺激を与えていく。理沙のからだはその小刻みな刺激にゆっくりゆっくりと性欲を高め、理性を徐々に追い詰めていく。腰は意識とは別に前後、左右に振れ、まるでフラダンスを踊っているような腰つきになる。太腿はガクガクし、膝は「く」の字に曲がって、しゃがみ込みそう。直立する姿勢を保つのはなんともつらい。バスタブを出たばかりなのに膣口からは汗とは別の分泌物がしたたり、愛液が内股を伝って滴りおちていく。分泌物が滴り落ちる感触が気持ちわるく、無意識に脱衣ルームにあるフェイスタオルで内股や股間をぬぐう。 からだはすでに感覚が麻痺しかかっている 早く着替えないと裸で倒れてしまうかもしれない 理沙は改めて、手錠を手にとってしげしげと眺めた。 手に持つ手錠はずっしりと重く金属特有の光沢を放つ。 メタリックな輝きは堅固な金属のイメージを彷彿させ、どんな工具や機械を使っても破壊は不可能で、一度拘束したものを絶対に放さない、堅牢な器具であることを感じさせた。 生命を持つ木製でできた構造物は、自然と人間との調和を感じさせそのぬくもりから温かみを感じさせるが、それとは違い、生命のない無機質の鉱物から人工的に作られた鉄鋼は、人間の肌や感覚に訴える温かさがなく、人工物という冷たさを感じさせる。これを手首に嵌めたら、自分でもう外すことはできない。それは何を意味するのか。ただ、金属の輪を手首に嵌めるだけだが、人間の営みを制限される。理沙は自分という意志がどんどん奪われていくことをどうしゅようもなかった。 ただ、理沙はこの金属製の器具を身に着けることで自分が何か変わっていく、変えさせられていくような、感覚を感じ取っていた。 手錠を素直に手首に嵌めることができない。 ずっと、金属の輪をカチカチと入れたり外したりしてみる。 金属の輪は一方向には進むが、逆方向には進まない仕組みになっている。 つまり、手首に金属輪をかけたら、締め上げることはできても、逆の緩めることはできない。これが手錠の仕組みの恐ろしいところだ。 締め付けられた手首はどんな感じがするのか 痛いの? 理沙はつぶやいた 理沙は手錠を嵌めたときのことを想像してみた。この手錠の鎖の長さはわずか10センチ。鎖は3個つながっているだけだ。3個といっても、2つは手錠に埋め込まれるようにして、半分を切り落とされU字型に手錠の本体に溶接されている。手錠をつなぐ鎖は実際は1個ということになる。この長さでは手首と手首をほとんど合わせるようにこの拘束具によって接続されることになる。 かなり両手の自由を奪われることになる。 たとえば、水を飲むときでは、両手でグラスを包み込むように持つようにしないと、一方の手のひらがグラスを持つのに邪魔になる。グラスに水を注ぐのも、片手にグラスを持って、水道の蛇口をひねることや、ウォーターサーバーに注ぐことはまったく不可能になる。グラスをテーブルの上に置き、ウォーターサーバーの取っ手を両手で握って、注ぎ、また、蛇口をひねるときも両手で蛇口の操作をしなければいけない。 ペットボトルのキャップを開けるのにも、片手でペットボトルを持って、もう一方の手でキャップをネジることもできない。親指と人差し指でキャップをつまんでまわすしかないが、固いキャップでは女性の力では開かないこともある。 水やジュースを飲むという行為だけでも、これだけの人間らしい営みが失われてしまう。 手錠を嵌めた瞬間から普通の人が何気なくする仕草や行為が理沙には許されなくなる。 ひ・ど・い 理沙はつぶやいた ごはんを食べるとき、歯を磨くとき、寝るとき、用を足すとき、日常の生活のなかでこの拘束具は理沙の人間としての当然の営みをどのように奪っていくのか。理沙はこれ以上、考える気がしなくなった。 そのとき、膣道に埋め込まれた陰険なる淫具のバイブレーターの微振動が停止した。 腰や下肢を中心に広がる麻痺した感覚は続いているが、このバイブレーターの停止中にすばやく衣服を着ることにした。 理沙は白のスパンデックスで作られたキャット・スーツを手に取ると、着用の準備をはじめた。キャット・スーツというウェアを見るのも、触るのもはじめてだった。最初、これはなんなのかまったく理解できなかった。 パンティー・ストッキング? パンティー・ストッキングにしては、上半身まで着ることができそうだ 水着かレオタード? たしかに、最近オリンピックで着用した競泳選手が次々と新記録を出したとされる、全身を覆う競泳用のスイムスーツ。それに近い。ただし、理沙のキャット・スーツは首から下のからだ全体を覆い、手の指先から足の指先までも包み込むようにからだにフィットする。からだの肌が露出するのは、首のノドボトケの位置から上の頭部だ。ノドボトケの位置から乳房のアンダーバストの位置まで、真っ直ぐにファスナーがあり、左右の胸と胸の間をファスナーのラインが通るデザインだ。また、左右の乳房の中央、トップからアンダーにかけてファスナーがある。これはいちいちキャット・スーツを根が背なくてもジッパーを下げて、胸を露出させられるように考えられたものだ。 理沙のイメージからはスパンデックスでつくられたツナギというところだった。 性的な経験が浅く、性に対して貪欲でなかった理沙に、ボンデージなどわかるはずもない。 とにかく、このスパンデックスでできたツナギを手にしてみた。パンティー・ストッキングと同じ重量と思っていたキャット・スーツは、かなり重量があることがわかった。さっきは、手錠、足錠、鎖を手に持っていたために、軽く感じたのだ。 しかし、スパンデックスとはいえ、パンティー・ストッキングとそれほど重量は変わらないはず。なぜ、重いのか不思議になり、裏地を覗いてみた。 よく見るとキャット・スーツの裏地にはマッチ棒の先端にある発火剤ほどの大きさに似た小さなシリコン製の透明なイボイボが無数についていた。手で触ってみるとツブツブがごつごつする感じがする。いままで、さまざまなファッションをしてきたが、裏地にシリコン製のイボイボがついているものなどなかった。こんな突起物がついたウェアを着たら、肌はどんな感覚になるのか。裏地を入念に調べていくと、足の指先、足の裏、足の甲から全身くまなくすべてイボイボがついている。 これ着るの? 理沙はためらった 見ていても無数のツブツブが気色悪い。脇の下、足の裏、首、背中にこんなイボイボが触ったら、むずがゆくて蕁麻疹でもできそうだし、その感覚に気が狂うのではないか。 気持ちわるい 理沙はそうつぶやくと思い切って、キャット・スーツ前面の首からアンダーバストまで一直線に通るファスナーを引き下げ、右足をキャット・スーツに突っ込んでいく。じわじわ着ていたら、どうなるかわからない。また、バイブレーターが動き出す前に一気に着てしまいたかった。足を先端を進めていくと、徐々にイボイボの感触が強くなってくる。イボイボは足の甲、足の裏を刺激し、くすぐったいような、むず痒いような感じが伝わってくる。 はぅ その刺激はすぐに性的な刺激に変わった。 うっ