12.手錠 全身を覆う白のスパンデックス製のキャットスーツ。パンティー・ストッキングとそれほど変わらず、手のひらに収まる大きさだ。だが、素材自体に十分な伸縮性があるために、全身を覆うには十分なのだろう。袋はまだずいぶんと重かった。 パンティー・ストッキング以外に何か入っているようだ。 袋のなかを覗くと、メタリックな輝きが眼に入った。 ベルト? ん? 最初それは何だからわからなかった。 バイブレーターが超微振動を与え続けるので、立っているのがつらい。 んん しゃがみ込みそうになりながら、袋の中身をひとつずつ手に取って確認していく。 ジャラという金属がこすれ合う音とともに出てきたのは、金属色のシルバーに光り輝く手錠だった。 えっ 理沙は手錠を見ると、小さな声を出した。 まだ、袋は重く何かが入っている。 取り出してみると、もうひとつも手錠だった。 ただし、最初の手錠よりも手首に嵌める金属製の手枷のリングとリングをつなぐ鎖が長く45cmほどの長さあった。 さらに、袋のなかには20センチと70センチくらいの長さの細い鎖が2本入っていた。 理沙にはもうひとつの手錠をどこにつけるのかわからなかった。 テレビや映画などで見る手錠は普通手首につけるものだ。それも犯罪者が身柄を拘束されるという設定で。ひとつの手錠は映画などで見慣れたものなので、手首につけて犯罪者を拘束することはわかった。 ただ、もうひとつはどこにつけるのかわからなかったし、このようなものが世の中にあるのをはじめて知った。当たり前のことだが、理沙の今まで人生のなかで、手錠に触れる機会などない。見るのもはじめてだし、触るのも初めてであった。やはり見ていて気持ちのいいものではなかった。メタリックの光沢は冷たさを感じさせた。 もうひとつは? これは・・・ これは手錠? もうひとつは? これも手錠? 手錠にしては妙に手枷と手枷をつなぐ鎖が長い 手錠は通常手首につけるが、こんな鎖が長いのでは手首につけても動作を制限することはできない。 そのほかに着けられるところは 手の肘 でも、手に2つ手錠をつけるものかしら まさか、足首? 足首にこれを嵌めるの? こんなものを付けたら、歩行が著しく制限されるに違いない。 鎖の長さはわずか45センチしかないのだから、歩くのが精一杯になるだろう。 イヤだよ こんなのつけるの この部屋で こんな犯罪者みたいにされるのは 理沙は自分がしなければいけないことに強い抵抗感を覚えた。 スタイルもよく、器量もよく、成績抜群で、そのファッションスタイルはキャンパスでも注目の的の存在である理沙にとって、手錠と足錠を嵌めた姿は想像するだけでも惨めになった。 イヤだよ、こんな格好 恥ずかし過ぎる。惨め過ぎるよ 袋のなかをよく見ると、説明書らしきイラストが入っていた。一切説明文はないが、女性のイラストが書かれており、その女性の手首、足首には今自分が持っている手錠と足錠が嵌められていた。 そして、20センチの鎖はウェストベルトの前部と手錠の鎖の部分を南京錠で接続し、手首がバストよりも高く上がらないように動き腕の動きを制限するものらしい。また、もうひとつの鎖は同じくウェストベルト前部に接続し、両足をつなぐ足錠の鎖の中央部に南京錠でつなぎ、鎖を引き上げて床をこすらないように、持ち上げる役目を果たす。 部屋のなかで鎖を引きずると鎖と床がこすれる音が騒がしくなるのと床を傷つけてしまうからだろう。なんとも手が込んでいる。 手錠と足錠をつけることになんの意味があるのか 理沙はもうすでに自分では取り外しができない貞操帯を無理やりに装着されている。すでに女性とし最も恥ずかしい女性器を管理されているのだから、無条件降伏しているのに等しい。警察に行ったり、逃亡しようと思えばできるはずだが、理沙はこの貞操帯のことを誰にも話していないし、逃げることなども考えていなかった。 逃げる可能性のない理沙に手錠や足錠をつける意味はあるのか。それも、誰かに強制されて無理やりに拘束具をつけるわけではない。自分で手首に嵌めて、両手の自由を放棄し、足首に嵌めて、歩行の自由を放棄するのだ。誰かに無理にされるのならばまだしも、理沙が自分の意志で自分の自由を拘束しなければならないのだ。一旦拘束具を自分で嵌めてしまえば「自分で望んだ」ことを意味する。 理沙は自らの意思で拘束されることを望んだ。 その証拠に自室では手首と足首に手錠と足錠をつけて行動を制限している。これは理沙の性の趣味で、誰からも強制されたものではない。 そういわれても反論のしようがない。 理沙はこの拘束具をつけることに大きな抵抗を感じた。 誰が自分の手首に自分で手錠を嵌めたいものか 誰が自分の足首に足錠を嵌めたいものか 手錠を嵌めれば束縛された手の運動は制限され不自由になる 理沙にとってこの上なく苦痛だ そんなことを自分に自分でできるはずがない。 わたしは、こんな趣味はない 手錠をつけて暮らすような趣味はない これは自分で望んでいるんじゃない こんなの嵌めたくない 着けたくない こんな惨めな姿したくない 手錠を握り締めながら、つぶやいた。 股間ではバイブレーターの微振動が連続して続いている。 自分の姿が鏡に写っているのに気づく 長く背中まで届くロングのソバージュ 豊満な形のいい乳房 引き締まったウェスト。そこに食い込む金属のウェストベルト。肌の色とメタリックの色が艶かしさを引き立たせる。まるで宇宙服かなにかのようだ。張りのある腰から太腿、適度に引き締まったふくらはぎ、そして細い足首。見るからに芸術的なオブジェのような存在だった。 手錠、足錠を嵌めた自分の姿を想像してみる 犯罪者 哀れな捕虜 鎖につながれた惨めな奴隷 さらし者 女奴隷 こんなイメージが頭に浮かんできた キャンパスの女子学生が憧れるファッション・リーダー理沙のイメージはそこにはない。 昔、なんかの本で読んだわ その本のなかには、奴隷商人に捕らえられた人々が労働用の奴隷として囚われ、自国から海を渡った遥か遠い大陸へと送られ、奴隷市で労働用の奴隷として二束三文で売られていた時代があったと。 奴隷は着の身着のままの姿で、脱走しないように、金属製の拘束具をつけられたという。たとえば、首にはイヌのように金属の首輪、両手首、足首にも金属製の手枷・足枷。そしてそれらは鎖でつなぎ合わされ、捕獲された人々の自由な行動を奪った。特に、鉄製の拘束具はそれだけでも重量がかなりあり、歩行するのも大変で、奴隷の体力を著しく奪う能力があったという。 理沙は、本で読んだ奴隷商人の話を思い出していた。 これをつけたら、私も奴隷とおなじだ・・・・