浮遊大陸レンヌ・ル・シャトー内の遺跡にて、シオン一行に襲い掛かってきたT-elos。
ただちに彼女を排除せんと自身の腹部に装備された『X-BUSTER』を放とうとするKOS-MOS。
そのむき出しの臍の奥から縁を割り開きながら発振ユニットがせり出し、そして今まさにビームが発射されんとしたその瞬間、T-elosの指がその部位を貫いていた…
「ウ"ッ!???」
あまりもの俊敏な動きに反応出来ず、もろに致命的な一撃を受けてしまったKOS-MOS。
「KOS-MOSッ!?」
その様を目の当たりにし思わず叫ぶシオン。
「フフ、遅いな…!」
臍に埋め込まれた発振ユニットを指一本をもって一瞬で破壊せしめたT-elosが愉悦に口を歪ませる。
「く…っ!」
思わぬ一撃に一瞬動きが止まってしまうKOS-MOSであったが、即座に自身の臍に突き刺さったT-elosの指を引き抜かんとその腕を掴もうとする。
だがそれより早く彼女はKOS-MOSの脇をすり抜けるようにその背後に回り込むと、両肩口を素早く両腕で抑え込んだ。
「ッ!?」
「フ、遅いなKOS-MOS?」
T-elosに背後から羽交い締めに捕らわれてしまったKOS-MOS。
咄嗟に彼女の拘束を振りほどこうと藻掻く。
「……ぐ…」
「どうしたKOS-MOSゥ?動けないのかぁ?」
羽交い締めから逃れようと渾身の力を込めるKOS-MOSであったが、T-elosの腕の拘束はビクともしない。
「ほぉら、もっと"臍"に力を込めたらどうだァ?KOS-MOSゥ?」
背後から囁くように煽るT-elos。
「このままお前の腕を根元からへし折ってしまうぞ?」
ミシッ…ミシッ…
不穏な音が鳴り始める。
それはT-elosのそのあまりもの力により、KOS-MOSの肩の駆動部が軋む音であった。
「KOS-MOSッ!!」
「このままじゃやべぇぞ!?俺達も援護しねぇとッ!!」
T-elosに為すがままのKOS-MOSの様を見て、彼女を支援すべく駆け寄ろうとするシオン達。
だが彼女たちの前に立ち塞がるように現れる人影。
「お、お前はッ!?」
それは赤の外套を纏った謎の男…『テスタメント』であった。
「…手出しは無用だ」
そう言い前方に右手をかざした瞬間、彼とシオン達の間に障壁が出現した。
「こ、これはッ!?」
「空間を…隔てられた!?」
突如出現した障壁…さながら透明な壁を前に狼狽える一行。
「このッ!!こんなモンッ!!」
破壊しようと試みるJr達であったが、障壁は彼らの攻撃をまったく受け付けない。
その向こうで変わらずT-elosに拘束されたまま藻掻き続けるKOS-MOS。
「KOS-MOSッ!!」
障壁の向こうから聞こえて来るシオンの叫び。
「シオン…!」
その声を聴き改めてT-elosの腕を解かんと力を込めるKOS-MOS。
「ほう?少しは臍に力を込めたか?ならば少し趣向を変えるとするか」
「はグッ!??」
突如肩口を抑え込んでいた腕を離し、次の瞬間先ほど指で貫いたKOS-MOSの臍穴へ両人差し指を勢いよく差し込んだT-elos。
そしてその臍の縁に指を引っかけえうように、それぞれ左右に力任せに引っ張った。
「がッ!???」
左右からの凄まじい力で一気に割り広げられるKOS-MOSの臍穴。
その内部の人工筋肉がむき出しとなる。
「うッ!?」
そのあまりにも衝撃的な光景に思わず自身のむき出しの臍を両手で抑えてしまうシオン。
しかし自由になった両手でT-elosの両腕を掴み抵抗を試みるKOS-MOS。
臍を割り広げようとするその腕を必死に抑え込もうとするも、その圧倒的なパワーにその脆弱な穴がジリジリと大きさを広げていく。
「フフ、"人形"のくせに腹を出してこんな脆弱な穴をさらけ出しているからこうなる…その躯体に"臍"を形作った者を恨むんだな、KOS-MOS!」
「これは…『X-BUSTER』発射のため形成された射出孔です」
「ならばその発射孔をもっと拡げてやろうッ!!」
さらに臍を割り広げていかんとするT-elosと必死に抗うKOS-MOS。
そんな彼女の前に赤のテスタメントが立った。
そしてKOS-MOSのお腹に向けてその手を差し出す。
「ッ!!」
その手の上には見るも悍ましい物体が乗っていた。
「これは…グノーシス」
まるでミミズに多数の突起物や触手が生えたその奇怪な物質は、通常のモノより遥かに小型であったが、間違いなくグノーシスであった。
「そうだ。これを…お前にやろう」
「ッ!?」
次の瞬間、小型グノーシスは一直線にKOS-MOSの割り開かれた臍穴へと向かい、その脆弱な穴の中へと潜り込んでいった…
【続】