「これで終わりだッ!!」
大きく剣を振り上げる勇者フィアナ。
同時にそのむき出しの臍穴が大きく開かれ、大地に存在するマナを体内へと取り込み始める。
オークが巣食う街を解放せんと討伐に向かったフィアナは、次々とオークの群れを切り伏せ、そしてその親玉と思われる相手に向かって最後の一撃を振り降ろそうとしていた。
フィアナのその特徴的な臍…無数の肉片が詰め込まれたように複雑に入り組んだ臍皺の一筋一筋の隙間に取り込まれていくマナ。
お腹の中心から全身へと漲っていくエナジー。
それが十分に溜まり切ったのを感じた瞬間、フィアナは目の前の瀕死のオークに向けて一気に剣を振り下ろした。
「ナベルッスラアアアッシュッッ!!!!」
今まさに剣が振り下ろされんとした…その瞬間であった。
「…エッ!!?」
いきなり振り下ろせなくなってしまった剣。
咄嗟に自身の腕に目をやるフィアナ。
「な、なにコレッ!?」
そこに見たのは自身の両手首にはめ込まれた鋼鉄の手枷であった。
その手枷から伸びる鎖はそれぞれ両手の左右に生じていた魔法陣の内部へと繋がっている。
「う、うグっ!??」
フィアナの両腕をそれぞれ左右に引き延ばし始める鎖。
必死に抵抗しようとするもその力は凄まじく、思わず剣を落としてしまうフィアナ。
さらに足元にも魔法陣が現れ、彼女の両足首にそれぞれ枷がはめ込まれる。
「く、くそぉ…な、なんだよこれ…」
四肢を大きく引き伸ばそうとする鎖に必死に抵抗するフィアナ。
「で、でもこんなものでボクが抑え込めるなんて…思うなッ!!」
鎖の戒めを引き千切る力を得るため、臍穴から大量にマナを取り込もうと腹筋の力で自ら臍穴を拡げるフィアナ。
だがその時であった。
ブゥン
「…えッ!?」
突如彼女の真正面…ちょうどにお腹の前に出現した新たな魔法陣。
そこから突如、腕が飛び出し彼女のむき出しのお腹へと差し出された。
「あ"ッ!?」
それは一瞬の出来事であった。
彼女が自ら臍を拡げた瞬間を狙ったかのように、その穴に謎の球体を埋め込まれる。
そしてすぐさま腕は魔法陣への奥へと引っ込み、魔法陣ごと消えてしまった。
「な、なんだよ今のッ!?ボクのおヘソに何をッ!?」
『フフフ、知りたいかしらぁ?フィアナちぁゃん?』
突如、響いてくる妖美な声。
フィアナは周囲を咄嗟に見渡し叫んだ。
「ッ!?だ、誰だッ!?姿を見せろッ!!」
『フィアナちゃんがこの"窮地"を乗り切ったら姿を見せてあげてもいいわぁ。でもまずは自分のおヘソのこと気にしないとねぇ?』
謎の腕がフィアナの臍に埋め込んだ球体…それは彼女の臍穴にピッタリとはまり込んでいた。
「な、何だよこれ…ボクのおヘソに何を埋め込んで…」
『フフフ、じきに分かるわ…』
「はぁ、はぁ、う、うぅ…」
冷たい金属を臍穴に埋め込まれたかのような異物感…
敏感な臍の皺の隙間一つ一つに"何か"が侵食していくような感覚に、徐々に荒くなっていくフィアナの呼吸…
そしていきなり"それ"がフィアナの臍を襲った。
「がっ!?あがアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッ!!!?????????」
突如臍に生じた異変。
同時に臍に埋め込まれた球体が眩い光を発する。
「うがアアアアアアアアッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!お、おヘソがッ!!!おヘソがァアアアアッッッッ!!!!!!!!」
フィアナを突如苛み始める責痛…それはマナを取り込んでいる時とは真逆の、まるで臍穴を邪気で侵されているような感覚であった。
『フフフ、それは"呪いの宝珠"…これを体内に埋め込まれた相手はこの宝珠に込められた“呪い”に体を侵されて、大幅に身体能力が低下しちゃうの…まあ死にはしないからその点は安心して頂戴』
「は、外せぇえッッ!!ボクのおヘソからこんなモノ外せえぇええええええええッッッッッッッッ!!!!!!」
「無理ね、一度体内に埋め込まれたからには、本人が死ぬか、もしくは呪いに対抗できるだけの聖なる力を持った者による除去か…いずれにしろ今のアナタではどうしようもないわ」
「ふ、ふざけ…ぐ、ぐぅうううアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!!!!?????????」
まるで毒液を臍穴から流し込まれるかのように、次々と呪いが体内へと侵入していく。
まるで全身を毒に侵されたかのように力が入らない体…
今やフィアナは四肢を拘束する鎖に体を預けるようグッタリと項垂れるまでに衰弱し切っていた。
「あ……ぐ……ぅぁ…………」
『大分弱ってきたわねフィアナちぁゃん…そろそろ頃合いかしら』
不意に四肢を拘束していた鉄枷が外れ、そのまま地面に倒れるフィアナ。
「あグッ!!」
『さて、それじゃメーンイベントへと移りましょうか?』
その声に合わせて新たに現れたオークの群れが、倒れたフィアナの元ににじり寄る。
『その呪いが回った体でどこまでヤれるのか…見せて頂戴』
【続】