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ゆるくつながっているようでつながっていない前回
◇あらすじ◇
旅行に訪れた一行はそこそこええ感じのペンションで宿をとった。
その次の日の朝……
珠烏「上人様大変だよっ! 朝起きたらセトくんが生首だけのおまんじゅう生命体になっちゃったんだって!」
セト「朝起きたら四肢が無くなっていてすごい焦った。もはや俺要素どこ?」
紫鸞「セト要素がもはや帽子しか無いぞい……!」
ひかり子「こ、この微妙にムカつくゆるむにフェイスの生首ナマモノは!」
乱々「知っているのかひかり子!」
ひかり子「ピヨピヨ動画で謎のカルト的人気を誇っているあの”ゆっくり”では……!?」
ちい「ていうか無名異っちの胴体まで行方知れずでち……
これは……事件でちぃーーー!!」
消えた四肢……胴体……あと無名異ちゃん……
はたしてこの難事件をちいちゃんは解決することが出来るのか!?
◇
ちい「この難事件、ぜぇーったいちいが解決するでち……!
これは付喪神の先輩として、無名異ちゃんのためにも! ちいがやるっ!」
紫鸞「頼もしいぞい……まずはアリバイから聞き込みをするといいぞい」
ちい「さすが上人様でち。ちいも今それをしようとしていたでち」
珠烏「むにむにむにむに……私? 私はいい子だから10時にちゃんと寝たよ。
んーでも真夜中に一回トイレに行ったかも……その時外から声が聞こえてきたかな」
セト「昨日の夜、寝静まった後いつものように体を乗っ取ってそれから……
そうだ、中庭で物音がしたのでそれを見に行ったはずだ。それ以降の記憶はない」
乱々「えっと、無名異ちゃんとすまほで最後まで会話してたのは多分私だ!
時刻は……深夜1時すぎかな」
ひかり子「サエズッターの私のDMに最後の既読がついているのはAM1:32の死にたいサエズリ……
ちなみに私は無名異ちゃんにDMを一分ごとに送っている」
ちい「なるほどぉ……めもめもでち」
ちいめも
はんこうすいていじこく 1じ32ふんから
ちい「つまり……この首切り猟奇殺人事件の犯人はセトでちね!」
セト「被害者だよ! 俺は四肢を紛失しているんだぞ!」
珠烏「いや、セトくんは四肢が無くなっても意識があるんでしょ?
つまり、四肢のセトくん達は無名異ちゃんの頭以外があればいいやーとなって、
帽子のセトくんは頭がないとだめだーってなって、
復讐性の違いで解散したんだ……! こういうのってよくあることだよむにむに」
セト「ねえよ! 全部俺だよ! 俺が俺同士でどうして喧嘩別れするんだよ!
あと帽子は本体ではない! いやこの生首形態の俺要素帽子しかないけど……!」
ちい「えぇー!? じゃ、じゃあ犯人はがいぶはん……なんでち?
そんなの、特定ができないでち……」
紫鸞「ふむ……こういう不思議な事件はどうやって起こしたのか、よりも
どうして起こしたのか、のほうが真相にひも付きやすいもの。
犯人の気持ち、動機を推察するぷろふぁいりんぐをやってみるのもいいぞい」
ちい「はんにんの……きもち……」
乱々「正味な話、無名異ちゃんの身体目当てだとしてもセトの四肢まで奪っていく犯人ってだいぶ頭おかしいと思うね。
私ならセトが憑依していない時を狙うかな」
ひかり子「けれど、セトが憑依している時の無名異ちゃんを襲い、
セトの意識は置き去りに胴体と四肢を奪っていった……
それが出来る力がありながら、そうすることにメリットがあった……?」
ちい「なるほど……めもめも」
ちいめも
はんにんはセトの四肢がほしい
ちい「うむむぅ……このままだと迷宮入りでち……!」
セト「諦めるな! とにかく、諦めることは許さん俺の神としての威厳に傷がつくからな」
ひかり子「何が神としての威厳ですか貴方みたいなぽんこつ生首に権威なんて有りませええええええん!」
セト「な、なんだとお……」
珠烏「いっしょうむにむにしたいぐらいの愛らしさ……
無名異ちゃんさえ戻ってくればむしろこのままのほうが良いまである……!」
紫鸞「推理に息詰まる時、情報が足りていないか証言はきちんと精査するといいぞい。
例えば……そう、珠烏や。
外から聞こえてきた声とはどんなものだったぞい?」
珠烏「え? 寝ぼけててよくわかんなかったけど、多分みんなの声ではなかったと思うよ。
うーんと、んーと……あたまつついていまひとつ? だったかな?」
セト「頭ついで今一軍せん」
珠烏「そう、それ!」
紫鸞「なるほどなるほど。あとはこのペンションの持ち主にも念の為聞いておけば、
ほぼ解決ぞい」
ちい「え、ええ? どういうことでちー?」
紫鸞「まあ、問題は解決してからちょっと荒事になるような……
いやだいぶ荒事になるような……」
◇
鎌「何この珍妙な生首生物。いや、うちらの仕業じゃないけど……
え? 疑ってない? むしろこのペンションについて聞きたい?
訳ありの土地でさ、なんか首塚とかあったらしい。
まあ安い値段で買えたからこうして店構えられたわけ」
鼬「でもねでもね、ここだけの話なんだけどね!
工事をお願いした河童の子たちがね……
次々と疫病に倒れているんだってさ…… きゃー!」
鎌「この通り、うちの妹はちっとも怖がってないから私も気にしてないんだけどさ」
ちい「くびづかってなんでち?」
紫鸞「討ち取られた人間の首を弔う墓のようなものぞい」
ちい「ほぉ……ほほぉー……見えてきたでち、事件の真相が!
謎はすべて……とけた!」
鼬「えーほんとー! ききたいききたい!」
ちい「つまり、その生首がペンションを祟るためにつよーい四肢と胴体が欲しくて、
セトの頭以外全部奪っていったでちな……!
あとセトの精神はうるさいので捨てていったわけでち」
珠烏「なるほどー まあセトくんと精神同居とか5秒ぐらいでつらくなりそうだもんね」
セト「そんなに!?」
ちい「なので真犯人は今夜にでも、鎌鼬姉妹に復讐しにやってくる!
逆に言うと、待ち伏せして袋叩きにすれば一網打尽でち……
どうでちかちいの完璧な推理!」
紫鸞「うむ、拙僧もちょうど同じ結論にたどり着いたぞい。ちい、良くやった」
ちい「てへー」
紫鸞「……問題は……かの生首であるということ……」
珠烏「かの生首って?」
ひかり子「ああ!」
乱々「知っているのかひかり子!」
ひかり子「まさかあの、古に伝わりし伝説の大怨霊が……!?」
セト「誰だか知らんが俺は神だぞ? 俺がそんな魑魅魍魎に負けるわけ」
ひかり子「言葉遣いには気をつけなさいッ! 殺されますよ!」
セト「そ、そんなに?」
ちい「だいおんりょー? は、よくわかんないでちけど、解決方法はあるでち!」
紫鸞「なんと……それはいったい!」
ちい「みんなちょっと、こっちに集まるでち。作戦を練るでちよ……!」
◇◇◇◇
怨霊四文字「いーざくーっびをつーなげてもーいっせーん! たーのもー!」
鎌「お前か、うちらの周りで辻斬りしたり疫病撒き散らしているわるいやつは!」
鼬「わぁぁビジュアル無視な性能重視の重課金装備みたいなひとがきたぁ!」
怨霊四文字「いやぁ、君たちが人がいっぱいあつまるペンションを建ててくれたおかげで
よーやく、いい感じの四肢と胴体が手に入ったよぉ~」
鎌「そうかい、じゃあ謝礼金とか持ってきてくれたのかな?」
怨霊四文字「うん。このアタッシュケースの中の金塊全部でどう」
鼬「えっ、お礼に死をやろうとか死ぬがよいとかではなく?」
怨霊四文字「お礼するのに祟ってたら昨今の怨霊業界でも流石に人気がね」
鎌「……」
鼬(お、おねえちゃんどうするの? いい具合に乱戦に持ち込んで注意をそらして、
不意打ちで作戦Tを実行する予定が……)
鎌「……信じられないね。確認しても?」
怨霊四文字「モチのロンよ。触ってもいいよ、偽物じゃないし重さも本物」
鎌「うひゃー! マジで本物だ、これ私のやぞ私の」
鼬「お、おねえちゃんの目が金ピカになっちゃってるぅ……」
怨霊四文字「喜んでもらえてなにより。それじゃ私はやることがあるのでそろそろお暇」
鼬「あーっ! まってまって、えっと、そう怨霊さん、貴方のお名前はなんていうのー?」
怨霊四文字「私の名前は……ふっ、さすらいのMSKDとでも呼んでくれ……」
鼬「わーすごい大御所さんだ! あのあの、私ファンだったんですー!
私の首元にサインおねがいしてもいいですかー?」
怨霊四文字「ははは。サインね、サイン……どれどれ……えっ首元?
最近の若い子の趣味はよくわからんなあ……かきかき……」
鼬「……」ぽろり
怨霊四文字「……へっ!? く、首がぽろりしてしまったぁーっちがっそんなつもりじゃっあっごめ」
ちい「いまでち突撃ぃーっ!」
ネベト「呼ばれてエジプトから飛び出て即参上! くらえわたしのエジプトはかいこうせん!」
怨霊四文字「ぐにゃああああ!!!」
セト「うわ、俺の四肢だけがすごい黒焦げに……むごい……」
怨霊四文字「くっ、せっかくいい感じの耐久度がある四肢を手に入れたのに無敵じゃなかったのかー!?
こんな四肢はもういらん! 胴体はおまけだったしもういらぬー!」
紫鸞「なるほど……無名異成分が通常より薄いセト大将になっているので
ネベトの本領発揮ということか……」
ちい「たぶんセトの四肢のほうが欲しかった犯人でちから、セトの四肢が使い物にならないとわかれば去っていく……と思ったでち。
うまいこと成功したでち!」
紫鸞「うむ、さすが名探偵ちいぞい」
ちい「えへへぇ~上人様に褒められたでちぃ~
ちいはこれからめいたんてーでちぃ!」
乱々「珠烏ちゃん、はやく生首と胴体くっつけないと!」
珠烏「むめいちゃん新しい顔よっ!」
鼬「ごめーんあたまちがい」
乱々「上人様大変だよ! 無名異ちゃんが息してない!」
ひかり子「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか!?」
珠烏「あわわわどうしよぉ人工心肺しようとしても陶器肌だからぼろぼろに破れていっちゃうよぉ」
セト「おい俺の四肢の応答がない……四肢が完全に死んでいるぞ!」
ネベト「わ、わたしそんなつもりじゃっ」
セト「とりあえず胴体もってこいーってパーツ全然足りない……食器もってこーい」
鎌「金塊で金塊ゴーレムになったりとかしないかな」
セト「新しい妖怪作り出すのやめろ、くっつかないぞ」
鎌「そこで鎌鼬の秘薬ですよ」
ネベト「大丈夫です、私が責任を持ってゴールデンエジプト超合金合体ロボとして……貴方を更生させます……!」
セト「むりやりくっつけるなー!」
ちい「……むめいちゃん……たすけられなかったでち……?
ちいがもっとちゃんとしていれば……していれば……びえぇぇ~~~ん!」
壺(私のぬけがらの前で泣かないでください そこに私はいません
そう、そう、もうちょっと左の右の奥まった角の部屋の隅の壺の中に私は居ます……
ちいちゃん気づいて……そう、こっちこっち……)
ちい「うえぇぇ~~~~ん! ずびーっ ちりがみ捨てるところ見当たらないでちね
この壺でいいでちかねーぽいっ」
壺(うわーーーーーーーー!!)
ちい「ぎ、ぎにぁーーーーっっ! ぴっ」
とっさの行動に壺に入れられていた四肢が突如飛び出し、ちいちゃんは無事に気を失った。
目が覚めたあとは全てが嘘のようにみんな元通りになっていて、また楽しい旅行が始まったのであった。
おーみや
2020-07-10 16:53:06 +0000 UTC