HOROUファンタジーオンライン!
Added 2019-11-13 16:13:57 +0000 UTC◇あらすじ◇
鳥澄珠烏のちょいワルなイカスミ部分の化身こと烏墨黒鳥はゲームづくりの達人である。
完成作はまだない。
そんな黒鳥は命の恩人に恩返しをするにはどうすればいいのか、小さな頭でたくさん考えたのだ。
「やっぱり私にはゲームづくりしかない……よーしやっるぞー!」
一日目、彼女は真っ暗なスペースに光をともした。時間経過で昼夜があるシステムをつくった。
二日目、どこまでも羽ばたける青空をつくった。これは単純に、自分が飛びたかっただけである。
三日目、とりあえず、マップつくった。観光地旅行できる。自分の欲に忠実なのだ。
四日目、おひさまとおつきさまとおほしさまをつくった。たのしい。
五日目、骨のないお魚と、皮の脂がおいしい鳥をつくった。お腹が減った。
六日目、わんちゃんと猫ちゃんをつくってから、いろんなNPCをつくった。
七日目。彼女は現実世界で遊び呆けた。たのしかった。
そう、デバッグをしていないのである!
そうとは知らず、彼女は恩人をこのゲームに招き入れてしまうのであった……
◇
無名異「うう……ここは一体……私は何を……セトとは……人の体を乗っ取るのはまだしもサメ映画72時間耐久視聴をする悪神とは……うごご……」
黒鳥「れでぃーすえーんどじぇんとるめーん!」
無名異「ジェントルは不在だ……やつはサメから逃れられない……」
黒鳥「こういうのはノリが大切なんだよ無名異ちゃん!
ようこそHOROUファンタジーオンラインへ!貴方が一人目の冒険者です!」
無名異「はあ……どうも……」
黒鳥「えー、HOROUファンタジーオンラインは、誰でもだだっぴろい世界を楽しく冒険できる!
がコンセプトのオープンワールドアクションMMORPGだよ。
といっても、他のプレイヤーの参加システムはまだ未実装なんだけど」
無名異「HOROUファンタジーオフラインに改名したほうがいいな」
黒鳥「うぐうっ! とりあえず体裁を取り繕って完成させるのを優先させただけだから……!
ま、まあ、それでも! いっぱいクエストとか用意したし! ラスボスも設置しといたし! 私はソロプレイヤーも受け入れる覚悟があるっ!」
無名異「私の名前は勇者藤壺無名異……孤高の先導者(ヴァンガード)戦士(ファイター)だ……」
黒鳥「ノリがよくって助かります! ということで、無名異ちゃん、ゲームクリアめざしてがんばってね!」
無名異「うん……正直ちょっとわくわくさんが止まらないな!」
◇BATTLE1◇
スライム「ぱよぇーん」
無名異「早速手頃ないかにも倒してくださいと言わんばかりのゆるぷにっとしたモンスターだな……!」
黒鳥「おっ初戦闘だねっ! こういうときは『ステータスオープン』って叫んでみて!
そうしたら、スライムのステータスが表示されるよ! 勇者特権ってやつ!」
無名異「ステータスオープン!」
□スライム LV0 力65535 HP65535
水を吸収する 火によわい
スキル ぷにぷにする 力-5で攻撃する、無害行動
スライム「ぷにーっ!」
無名異「うぐぁ!!!」(KO)
黒鳥「あ、あれっ!? む、むめいちゃーん!応答しろ―!むめいちゃぁあああん!」
無名異「これは……負けイベ……だな?」
おおゆうしゃよ しんでしまうとはなさけない
GAME OVER
◇蘇生屋さん◇
ネフィ「皆さんこんにちはネベトテフェトのあざとく理想のエジプト美女の具現ネフェルティルティト噛みそうなのでネフィで良いですお久しぶりサマンサターバサ」
無名異「随分と愉快な性格に」
黒鳥「無名異ちゃんごめんね……スライムはLvが1増えるごとにステータスが6増える仕様なんだけど、Lv1のステータスが5/5で……
最初のチュートリアルスライムのレベルを設定し忘れていて……」
ネフィ「典型的なオーバーフローですねー」
無名異「ううっ……ひどい目にあった……」
黒鳥「ごめんね! すぐ直すね! と行きたいところなんだけど、デバッグコンソールを開くためには一旦無名異ちゃんがログアウトしなくちゃいけなくて……」
無名異「そうか……遊び足りないが仕方がないな」
黒鳥「ログアウトシステムがハングアップしちゃってて……」
無名異「そうか……まだまだたくさん遊べるな!」
黒鳥「うぇぇえんやさしさが今は辛いよお!」
ネフィ「がんばって~死んだらまたここに来てくださいね~絶対だよ~約束だよ~」
◇武器防具屋さん◇
ちい「武器は装備しないといみないでちよ!」
黒鳥「とりあえず、大盾をください! たしか、あれは耐久が無限だったはず!」
ちい「まいどでちっ! 防具も装備しないといみないでちよ!」
無名異「結構軽いが大丈夫なのか?」
黒鳥「だいじょうぶ! 破壊不能オブジェクトってやつだから!
んとんと、それでね、最強装備は実はこのお店の裏庭の梅の木の下に埋まっててね……」
無名異「作者がネタバレしていくのか」
黒鳥「何が何でも無名異ちゃんを無事に返さないと……!」
無名異「いや、私は結構この状況を楽しんでいるのであまり気負わなくても」
黒鳥「うう……」
ちい「お困りのようでちねえ! そうでちねえ! そういうときは、この街のしょーにんさまに相談するといいでちよ!
しょーにんさまは、ちいたち商人のなかでいちばーんえらいでちからね! ふんす!」
無名異「おお……重要NPCの存在の示唆だ。テンション上がるな!」
黒鳥「こ、このイベント結構長いやつなんだけど……でも……楽しんでるなら……いっか……!」
◇
◇
◇
◇凶星が落ちたクレーターの中心にそびえ立つ禍々しき魔宝城◇(原文ママ)
無名異「いままで、沢山の冒険をしてきたが……本当にバグと誤字がいっぱいあったが……それはそれで楽しい日々だった。黒鳥殿には感謝してもしきれない」
黒鳥「無名異ちゃん……私も、一番最初に遊んでもらえたのが無名異ちゃんで良かったよ。
ううん、そもそも私ね、無名異ちゃんに助けてもらったから……なにか恩返しができないかなって……それでこのゲームを作ったんだ!」
無名異「黒鳥殿……!」
もょもと「ここが魔王城か。無名異、君のおかげでここまで来られた……恩に着る」
無名異「もょもとさん……!」
ィ゙ゃゾ┛A「この旅路が楽しいものであったと、後世まで語り継ごうじゃないか!」
黒鳥「なんか名前がバグってるけどすごく優しい人……!」
無名異「よし、行くぞみんな!! 魔王を倒して、商店街のみんなに徳川埋蔵金を持ち帰るんだ!」
三人「「「おー!!!」」」
□もょもと Lv48 HP00 力00
どこかの国の王子様らしい。勇者でもあるらしい。
ふしぎなじゅもんを唱えたら仲間になる。なった。
正統派勇者みたいな技を使う。そのステータスは何だ
□ィ゙ゃゾ┛A LV99 HP254 力254
格闘家さん。
いろいろな技を一度だけ使える
『わざましん』技を使う。が、使いすぎるとだめらしい。
私にはわからない。
□魔王 LV9999 HP9999 力9999
商店街の直ぐ側にイ◯ンを建てた。
圧倒的パワーで、指先一つで人間をパァンできる。
あと、経済手腕がすごい。徳川埋蔵金も掘り当てる運がある。
なんだろう、強いはずなのに、スライムよりよわいのが悲しい。
ィ゙ゃゾ┛A「乗り込む前にちょっといいか? 私は今から『わざましん18』を使う」
もょもと「あ、私も乗り込む前に絶海の孤島で入手した『アメフラシのしっぽ』を使う」
黒鳥「え? うん、いいよ……?(そんなアイテム実装したっけな?……わざましんは私内容知らないしまあいいけど……)」
ィ゙ゃゾ┛A は あまごい をつかった!
もょもと は アメフラシのしっぽ をつかった!
激しい雨が降り注いだ……
無名異「しかし、今までの冒険は大変だけど楽しかったな……
海底都市ヤマタイワールドは一度入ったらでられない罠の部屋だらけで、結果水中で窒息死して蘇生屋とシャトルランを繰り返したり……」
黒鳥「ちゃんと脱出できるように設定してたはずなんだけどなぁ……ごめんね……」
無名異「最強装備が埋まっている梅の木の下を掘り返したら、死体がでてきたり……」
黒鳥「桜の木の下に設置してたはずなんだけどなぁ……ごめんね……」
無名異「教会に行ったら教祖本人が居てあまりの眩しさに改宗しそうになったり……」
黒鳥「本物のカリスマよりもだいぶ威光レベル下げたはずなんだけどなぁ……ごめんね……」
無名異「だが、楽しかった。私はきっとこの冒険を一生忘れないと思う!」
黒鳥「なんかほんとにごめんね!? 楽しさはそのままにもうちょっと正常な面白さを提供したかった!」
無名異「今となってはいい思い出の一つだ、気にしないでほしい……
もょもとさん、バグの人、そろそろ行こうか。思い出語りも終わったし悔いはない。
勇者を倒して私はいま伝説になっ」
もょもと「ちょっとまってくださいね。3、2,1……よしオッケー。これで安全なはず。
えーと、今完全に魔王城は水底に沈みました。いまから10分待ってから突撃しましょう」
ィ゙ゃゾ┛A「事前に無名異殿に調べてもらった魔王のステータスからして、魔王にはおそらく水耐性および窒息耐性は無いはずだ」
無名異「……え?」
黒鳥「あっ……」
◇
水中に浮かぶ魔王さん「 」(死因:窒息によるHP割合スリップダメージ)
無名異「ま、まおーーーーーっ!」
黒鳥「魔王城のどこかにある鍵を4つ揃えないと魔王の間の扉が絶対に開かないセキュリティ意識の高さが仇に!!」
こうして、勇者無名異の活躍により商店街を脅かす魔王は無事倒されたのであった…!
E N D
◇
だが、勇者無名異の戦いはまだ終わらない――――!!!
無名異「やはり奴はログアウトを阻害するわるい魔王ではなかったらしい。
窒息で死ぬ骨のないやつだから当然だ……さあ次の魔王を倒しに行こう!」
ちい「聞くところによるとぉ~海底都市ヤマタイワールドで海魔王が復活したらしいでちよぉ~」
黒鳥「ぐぬぬ、おかしいなあ魔王っていうかラスボスと設定しておいたのは魔王城の魔王だけのはずなのに……!」
紫鸞「今日のクエストはこのお小遣いで美味しいものを食べてくること! ぞい!」
珠烏「無名異ちゃん、今日は休んだほうがいいよ~!」
乱々「ヒッヒッヒ、たまには私の画廊に遊びにこないかい? 楽しいよ~」
ひかり子「アウトドア……眩しい……私はおうちかえるおうちここだった……」
無名異「いや、悪を倒すことが私の使命なんだ! いくぞ黒鳥殿!」
黒鳥「まあ、無名異ちゃんが楽しそうならいっか! 今日も冒険に出発だ―!」
このバグだらけの世界の楽しさを、彼女だけが知っている。
願わくば、この幸せがいつまでも、どこまでも続きますように……
◇おしまい◇
どんなに探しても、見つけられなかった。
居るはずがなかった。
この世界の片隅まで、探したのに。
けれどここは、烏墨黒鳥が考えた幸福な世界だ。
辛くて苦しい思い出なんて、いらないよね?
×××なんて、いらないよね?
ねえ……××なんて忘れて、ずっと私と遊ぼうよ!
◇つづく(次こそ最終回)◇