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不知火落日録

※イラストは小説の途中に挿絵として挿入しております。


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荒々しい海が唸りを上げる夜

虎人の不知火(シラヌイ)が率いる海賊団「不知火水軍」の本拠地たる砂浜は

篝火の炎に照らされ、血と酒の臭いに満ちていた。

波濤の音を背に数十の海人からなる海賊たちが円陣を組み

酒と笑い声で場を沸かせている。


その中央、格子状に組まれた太い柱に、不知火は大の字に磔にされていた。

齢50半ばを過ぎているとは思えぬ傷だらけの逞しい体躯は

隻眼の顔に刻まれた深い傷と相まって、男の凄みを一層引き立てており

篝火の光に照らされた、全身を彩る炎と桜吹雪の刺青が

闇夜に妖しく浮かび上がっていた。


しかし今、その虎の男は敵の手中に落ち

轡をかまされその自由を奪われていた。


「どうだ不知火、縄張りを儂に明け渡した気分はよ?」


低く、野太い声が響く。

不知火の前に立つ鯱人の男は満足げに口吻を歪め不知火を見下ろしていた。


鯱人の名は黒灘(クロナダ)。

西の海を根城とするもう一つの海賊一派「黒灘一家」の頭にして

不知火とは長きにわたって西の海の縄張りを争ってきた仇敵である。

どっしりとした体躯には鋭くうねる白波と紅桜の刺青が刻まれており

額から左頬を走る十字傷が冷徹な眼光を際立たせている。


「長ぇ付き合いだったが、こうなるとあっけねぇもんだ…

 ちんけな義侠心にかられた結果がこのざまよ」


その言葉に、傍らに立つ巨漢の鯨人、鋼渦(ハガネウズ)が哄笑を上げる。

大柄な体に黒灘と同じ紅桜の舞う黒い渦をあしらった刺青と

無数の古傷を刻むこの男は一家の一番槍を名乗り

黒灘を「頭」と呼び心酔する一の乾分だ。


「頭、陸もん風情が義賊気取りで粋がっても所詮はこんなもんよ!」


鋼渦の粗野な声に、周囲の海賊たちが下卑た笑い声を上げる。


「そうだ、そうだ!」


「義賊なんざくそくらえよ!」


周囲がさらなる熱気に包まれる中、黒灘はおもむろに下帯を解く。

ぱっくりと縦に割れた鯱人特有の裂け目が露になった。

その中は、まるで熟れた桃のように淫猥な滑りを帯び

篝火の灯りを受け、てらてらと揺れ光っていた。


「…ようやく念願叶ったんだ…これまでの恨み、

 そう簡単にゃ晴れねぇぜ不知火よぉ!」


興奮を隠せぬ一層凄みを帯びた低い声。

同時に、じゅぐっ…という音とともに黒灘の股間の裂け目がぱっくりと口を開けた。

するとそこからずるり、と

まるで鋭い波しぶきと桜吹雪で彩られた海を割るように

薄紅色の長大な逸物がそそり立った。


「うおおおおおおお!!!」


「すげえ……!」


周囲の喧騒は一気に感嘆の声に変わる。

それまで思い思いに囃し立てていた手下たちが

一斉にその見事な逸物に釘付けになっていた。


「ぐ…!んぐおおお…!!」


不意に、不知火がひときわ大きく吠えた。

見開かれた片方の目には明らかに恐怖の色が見える。


事ここに至るまで

不知火の体はこの場にいる荒くれども全員の慰みものにされていた。

性欲を持て余した海の男どもに代わる代わる犯され

生臭い雄種を大量に注がれ

今や締めることもままならない程に尻孔を拡げられていた。

しかしそれでも、不知火はかろうじて正気を保っていたのだ。


だが、目の前に突き付けられた巨大な肉槍の威容は

不知火の正気を恐怖に塗り替えるに十分すぎる代物だった。

これから自分は何をされるのかなど、考えるまでもない。


そのくぐもった悲鳴に満足げな表情を浮かべ

黒灘はすらりと匕首を引き抜く。

そして、不知火の脚を縛る縄を切るや

その太い脚を鷲掴みにして高々と持ち上げた。

ぶぴゅっ、と他の海賊共が注いだ種汁が音を立てて零れる。


「いい格好だぜぇ不知火…

 さんざん小馬鹿にしてきた魚野郎どもの汁は旨かったか…

 

 …よっ!!」


己の恐怖を悟られまいと必死に黒灘を睨みつける不知火だったが

次の瞬間、鈍い音とともに己の中を貫く激痛に絶叫した。


「!!げごおっっ!!!!!」


一切の慣らしも手心もなく突き込まれた黒灘の肉槍は

不知火の腹の中をまっすぐに抉り

未だ根元を残しているにもかかわらず

その逞しい腹筋で割れた腹に巨大な瘤を形づくっていた。


「が…!あ…!…あ…!」


不知火の体は痙攣し、轡越しにくぐもった呻きが漏れる。


「どうだ、不知火。儂の槍の味はよぉ…

 その”小魚”を仕留めるにゃぁ勿体ねぇ代物だと思わねぇかい」


そう言うや不知火の股間に揺れる逸物を残る手で弄ぶ黒灘。

勃起したまま竿の根元とキンタマを縛り上げられたそれは

大抵の男から見ても、小魚呼ばわりされるような代物では

けしてない。だが、この男のバケモノじみた逸物からすれば

殆どのモノは小魚に等しいのだろう。

周囲から下卑た笑いが起こる。


「てめぇのちっぽけな義侠心も”そいつ”と同じよ…

 儂の海で波に飲まれて消えちまいな!」


黒灘の言葉に合わせて、鋼渦も吠えた。


「頭の言う通りだぜ!てめぇの船も、仲間も、全部俺たちのものよォ!」


言うや、自身も下帯を解き投げ捨てる。


「でた!一番槍ぃ!!!」


「やっちまえ鋼渦ー!!!」


黒灘にも負けない程の大歓声が沸き起こる。

途切れそうになる意識を必死につなぎ止めていた不知火だったが

眼前に現れた鋼渦の逸物は

不知火をさらなる絶望へと突き落とした。


それは最早

少なくとも自分たち陸人の基準において

”陰茎”と呼べるような代物ではなかった。

長さこそ黒灘に軍配は上がるものの、それを上回る太さ。

まるで股間に大人の腕が生えているかの如き威容は

鋼渦の巨体をしてその胸元まで届く程に巨大な逸物だった。


「どうしたよ義賊様、怖ぇのか?

 俺の一番槍で突かれんのが怖ぇんだろ!?なぁ!

 俺ぁ嬉しいぜぇ?

 なんたって不知火水軍の頭をヤれんだからよぉ!!!!」


じっくりと己の逸物を見せつけ

焦らしに焦らして不知火の顔色を楽しんだのち

鋼渦は既に黒灘の肉槍で埋め尽くされた不知火の尻孔に

止めの一撃を見舞った。


「!!!ごあああああぁあああ!!!!!!」


さらなる絶叫と呻きが夜の砂浜に響き渡る。

鋼渦の肉槍は不知火の腹の中で黒灘の肉槍と交差し

反対側の腹にさらに大きな瘤をつくっていた。

焼けた炭でも入れられたような熱さが

腹の中に広がっていく。

それは己の命を繋ぐための何かが

今の一撃で完全に潰された事を悟るに、十分だった。


しかしそこまでされてもなお、不知火の体は

事切れるどころか気絶する事さえもなく

悶え苦しみながらも、ただひたすらに耐え続けていた。

ここにきて不知火は生まれてはじめて

己が身の頑強さを呪ったのである。


「さすがだぜぇ!お頭ぁ!」


「いいぞぉ!鋼渦ー!」


周囲の海賊たちは手を叩き

思い思いの罵詈雑言を囃し立て

酒瓶を掲げては乱痴気騒ぎに拍車をかける。

それはまるで、不知火という極上の獲物を食い荒す二頭の海獣と

そこに群がり、おこぼれという名の晩餐を享受する

魚の群れのようだった。


その時、不意に円陣の端から鮫人の下っ端海賊が

大きな太鼓を砂浜に引きずり出してきた。


「おう!いっちょ盛り上げてやろうぜ!」


何の遠慮も感じられないその野太く、威勢のいい声は

おそらくは周りの下っ端仲間に向けたものだったのであろう。

だが丁度、全員の声が途切れた瞬間にあたってしまったらしい。

その不躾な発言は、中央の二人にも聞かれる事になってしまった。

水を差された形になった黒灘と鋼渦は、不知火を責める手を止め

互いにその手下を睨みつける。

周囲にどよめきが広がった。


件の男はそれに気づき、はっと顔を青くする。

しかし、すぐさま中央の二人に深々と一礼すると

撥を片手に諸肌脱ぎになった。

全員が固唾をのんで見守る中、その鮫人の男は

すぅ…と息を吸うや


「そい!」


ドン、ドン、ドン――


太鼓を力強く打ち鳴らし始めた。


ドン、ドン、ドン、ドン――


低く、力強い音色が響き、砂浜を震わせる。

その音頭に、意図を察した黒灘と鋼渦が目を合わせ、にやりと笑う。


「ほう…なかなか粋なことするじゃねぇか!」


言うなり、黒灘は股を大きく開くとぐっと腰を引き

不知火を貫いていた肉槍を引き抜いた。

鋼渦もそれに倣う。

ずるり、と血の混じった雄汁にまみれた2振りの逸物が

雁首寸前まで引き抜かれ露になる。

そして再び、太鼓の響きに合わせて

先ずは黒灘が、勢いをつけて不知火を貫いた。


「おいしょぉ!!」


「うごぉぉぉぉっ!!!!!!!!」


不知火の身体が跳ねる。


「おら、喚けよ義賊様よぉ!」


間髪入れず鋼渦も続く。


「おごああああああっ!!!!!!!!」


ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン――


太鼓の音が徐々に速さを増していく。


黒灘と鋼渦の腰も太鼓の音頭に乗り

互いの肉槍で交互に不知火を抉り、穿つ。

ドチュッ、ドチュッと鈍い音が響くたび

不知火の体は揺れ、轡越しに押し殺した悲鳴が漏れた。


「さすがお頭!容赦ねぇぜ!」


「鋼渦!もっとやっちまえ!」


やがて、海賊たちの叫びは合いの手に変わる。


「それ それ それ それ!」


「よいしょ よいしょ よいしょ よいしょぉ!」


篝火が爆ぜ、炎が一層高く燃え上がり、砂浜はまるで戦場の如く熱を帯びた。

太鼓の音はさらに加速していき、ドンドンドンドンと畳み掛けるように響く。

黒灘と鋼渦の動きもその速さを増し、二人は互いに滝のような汗を迸らせながら

不知火を滅多突きにしていった。


「おらっ不知火!まだ息してやがるか!」


鋼渦の叫びにも、もはや突き上げに合わせて跳ねるだけになった

不知火の轡に縛られた口からは、声にならぬ呻きと

血の混じった泡しか出てこなかった。


そしていよいよ太鼓の音が一際高ぶり、幕引きへと突き進んでいくと

海賊たちは一斉に声を上げ


「やれ!やれ!」


「仕留めちまえ!」


と場を煽りだした。


太鼓を叩く鮫人が機を見計らう。

そして、大きく息を吸いこむと

音頭に溜めを作った。


――ドン、ドン、ドン、ドン、ドドン!


その瞬間、黒灘と鋼渦が同時に腰を引く。

周囲の喧騒が消え、潮騒と篝火の爆ぜる音だけが響いていた。

篝火の光が汗にまみれた二人を照らしだす。

白波と黒渦に彩られ、上下する背中からは

太く荒い呼吸とともに白い湯気が立ち昇っていた。

そして

その下にそそり立つ血汗と種汁に濡れた二対の憎悪と肉欲の塊。

それは熱を帯び、獲物に止めを刺すその瞬間を

今か今かと待ちわびていた。


「終わりじゃぁ、不知火」


「陸もんが頭に逆らうからだ」


二人の低い声が冷たく響く。


「ぃよっ!!」


ドーン!!!!!!


最期の掛け声とともに

太鼓が一際大きな音を轟かせる。


その轟音を合図に二人の身体が大きく跳ね上がり

不知火を貫いた


ゴシャッ!


生き物が発した音とは思えない炸裂音が砂浜を震わせた。

二振りの肉槍が不知火の腹を同時に圧し上げ巨大な瘤を作る。

二人の海獣の咆哮が砂浜に轟いた。


「ぐぅおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」

「うがあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


二人は不知火を押さえ込み、その股座に互いの腰を圧しつける

深々と突き刺さった槍の先端が、不知火の心臓を下から突き潰し

少しずつ弱くなっていく鼓動を全身で感じながら

二人は同時に果てた。

大量の精が不知火の上下の口からとめどなく溢れだす。

圧し上げられた肺は、不知火の中に残った息を

くぐもった悲鳴に変えて吐き出させると

不知火が激しく痙攣した。

次の瞬間、その体は一瞬硬直し

そのままがっくりと首を垂れ


そしてぴくりとも動かなくなった。


「うおおおお!やったぜぇ!!!」


海賊たちの歓声が爆発する。


「さすがお頭ぁぁ!!」


「いよっ!鋼渦っ!一家の一番槍ぃ!」


狂騒と共に再び酒瓶が掲げられる。

篝火が大きく爆ぜ、砂浜は勝利と

そして

不知火という生贄がもたらした熱狂に包まれていた。




黒灘は未だおさまらぬ剛直を名残惜しそうに引き抜くと

満足げな笑みを浮かべ、すでに事切れたであろう不知火に近づき

その耳元にぼそりと囁きかけた。


「思い知ったか不知火…だがな、まだよ…

 まだ終わらせねぇ……まだ、逝かせねぇぞ…」


そうしておもむろに、そのうなだれた顔の傷に舌を這わせ

鼻先を擦り付ける。


(…ちくしょうめ)


その恍惚とした黒灘の貌を見た鋼渦は

己が付き従う者の執念と憎悪に、ぞくりと身を震わせると同時に

その矛先にいる虎の男に対する嫉妬と怒りが

さらに増していくのを感じずにはいられなかった。



夜の波濤は

ただ繰り返し

そのすべてを飲み込んでいく。

これは、とある国の

誰にも知られず

誰にも語られなかった

とある男の最期の話。


『不知火落日録』了

不知火落日録 不知火落日録 不知火落日録

Comments

Nice!

Dariex


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