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【試し読み】お月見団子の罠

9月は中秋の名月がある。

この村でも、毎年この時期になると月見団子を作ってお供えをする風習がある。


村から少し外れた山の麓にある神社でも、神様にお供えをするために巫女達が月見団子の用意をしていた。


「ねぇ、最近村で流行ってる噂知ってる?」


「噂って?どんなやつ~?」


「ほら、まだ赤子だった頃に両親を亡くして、今はもう9歳になる男の子いるでしょう?え~っと名前は…」


「あ~、確か庄次郎君だっけ」


「そうそう。その子が最近街中で食べ物を民家から盗んでいるって話が出ていて…もしかしたら今日の夜神社にも盗みに入るんじゃないかって神主様も言っていたわ」


「ん~…お腹を空かせているなら放っとけないけれど、確かに盗みは良くないものね…あっ、いいこと思い付いた♪ちょっと耳貸して」


「……本当にやるの?」


「うん♪悪い子は少し懲らしめてあげないとね」


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9月の中程にもなると日が暮れるのも早い。

生きるために、夜皆が寝静まった時に盗みを行うのが日課だった。そうしなければ生きていけないのだから仕方がない。


今日も日が暮れてからこっそりと外を徘徊すると、軒先に月見団子をお供えしている家が多い。


いつもより眩い月明かりの下、堂々と団子をくすねては路地裏に隠れて食べ歩いていく。


しかし、団子だけでは腹が膨れない。

もっと何か食べる物は無いのだろうか…


そう思いながらふと遠くに視線をやると、月の光に照らされた神社までの石段が目に入った。


そうだ…!きっと神社ならば豪勢なお供えがあるに違いない。まるで忍のような足取りで、夜道を音を立てずに走っていく。


秋の虫が鳴り響く涼しげな林に囲まれた石段をこっそりと見つからないように背を低くして上っていく。


最後まで上りきると、鳥居の奥に小さな拝殿があった。


当然この時間帯に参拝客などいない。

思った通り、美味しそうなお月見団子が山のようにお供えされているのを見つけた。


これだけあるのだから、少しくらい食べてもバチは当たらないだろう。ひとつ掴んで口に入れて味を噛み締めていると…


「やっぱり来たわね!」


「神社のお供えに手を付けるなんて許せない!」


「っ!?いつの間に…!」


ハッと後ろを振り返ると巫女が2人立っており、ゆっくりと自分に近付いてくる…!


急いで逃げようとするも、足が絡まって転げてしまい巫女達にうつ伏せの状態で取り押さえられてしまった。


「いててて!は、離せよ!暴力女め!!」


「こらっ!大人しくしなさい!」

「暴れたらもっと痛くするからね?」


手首の関節を極められると全く抵抗できず、大人しく従うことしかできなかった。


続きのお話

お月見団子の罠



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