最近、妻とマンネリ気味な生活が続いている。
結婚当初は比較的スキンシップも多く仲が良かったと思う。
しかし、段々と同棲生活に慣れていくと共に、仕事の方でも徐々に忙しくなり始めて終電近くに家へ帰ることが多くなった。共働きであり、妻はパートタイムで働いている。
最初は妻も、
「お仕事お疲れ様♪ご飯できてるよ」と優しく迎えてくれたのだが、段々と機嫌が悪くなり始めていった。
金曜日の晩や、休日に妻から夜の営みを求められるも、仕事で疲れているためか体力的にもしんどく、性欲もあまり湧かない時があってやんわりと断り続けていた。
そんな生活が3ヶ月も続くと、今ではお互い会話がほとんど無くなって息がつまるような家庭環境になってしまった。
どうすれば妻との関係をやり直せるのだろう…。
仕事中も、家のことを考えるようになって次第にミスが増え始め、上司から怒られる回数も増えてメンタル的にもかなり落ち込んで帰宅する。
夜遅くに帰ると妻は既に寝室で寝ているようだった。
机の上にはラップをかけられて冷めた料理。
レンジでチンして、1人で食べ進める。
そうして明日の仕事に備えて眠る。
ほとんどこれの繰り返しだ。
そして束の間の休日。
この日は早く起きて、いつも家事を妻に任せっきりだと思っていたから自分から率先して動こうと決めていた。
二人分の朝食を作ろうと思い、トーストと目玉焼きを焼いていると…
「あれ…?おはよう。今日は早いね?何してるの?」
「おはよう七美!その…普段家事任せっきりだったからさ、休日くらいは俺が家事しようと思って…ほら、もうすぐ朝ごはんできるから!」
「ふ~ん…?ありがとう。じゃあお言葉に甘えちゃおうかな~♪」
普段とは違う様子に、一瞬何かを怪しむような眼差しを向けたものの、珍しく笑顔を浮かべてくれた。
「…っとやばっ!パン焼きすぎた!!目玉焼きは…ギリギリセーフか!?」
「……やっぱり心配だから、料理は私が担当するね。」
「はぃ………すみません………」
テーブルの上にはほぼ黒焦げになったパンと火の通りすぎた目玉焼き。妻が淹れてくれたコーヒー。
「いただきます。…うん、見た目はアレだけど、バター塗れば美味しいよ?」
恐る恐る七美の反応を見ていたが、一応美味しそうに食べてくれていた。
「ほんと??…たしかに…!思ったより美味しいかも」
分厚いトーストは表面こそこげているが、カリッとした食感とふわふわの生地が意外と美味しい。
焼きすぎたと思っていたけれど、むしろ丁度良い塩梅だったのかもしれない。
カリカリになったベーコンと目玉焼きも、素材は良いので美味しいと思う。
「そう言えば、休日に2人で朝ごはん食べるのなんて久しぶりだね。あなたいっつも昼過ぎまで寝てるから。」
「ごめんって…ほら、今日は家事とか買い出しとか、何でも手伝うから!」
「今のところ心配の方が勝っちゃうんだけど…まぁ、楽しみにしてるね♪」
また。またほんの少しだけ、懐かしい面影のある笑みを見た。付き合ったばかりの頃のような、何か"イタズラ"を考えているような無邪気な笑み。
その表情を見ると、嬉しさと一緒にゾクゾクするような何かを感じ、つられて自分まで笑ってしまうのだった。
続きのお話
