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母が「くすぐり拷問師」になった時の話

中学生になった娘を、くすぐり拷問師を養成するための研修に初めて連れて行った日のこと。 初参加ということもあり、くすぐり拷問についての座学や、くすぐり施設の見学をさせた。娘は興味津々といった目で研修を受け、講師役のくすぐり拷問師にも積極的に質問を行っていた。 私の上司にも娘を紹介しようと思っていたが、残念ながらこの日は急用で時間が合わないようだ。 帰り道、車の中で助手席に座った娘が興奮気味に今日の感想を次々に話してくれる。 「ねぇママ!講師の人みんな優しくて施設も綺麗で楽しかった!私も将来くすぐり拷問師になりたい!」 「そうか…!でもな、実際のくすぐり拷問師の仕事はキラキラしたものではないよ。国家試験に受かるまでの道のりもハードだし、合格した後は厳しい仕事が待ってる。香織はそれでも、くすぐり拷問師になる覚悟はある?」 「あります!…私も、ママみたいな立派なくすぐり拷問師になりたいの!」 「それは…楽しみだね♪」 娘に即答され、思わず照れてしまった。 親目線から見て、くすぐりの才能は申し分ない。 小学1年生の頃から合気道を習わせており、運動神経も良い。 学業の方も優秀。国家試験の実技も筆記もこのまま順調に育ってくれたら難なく受かりそうだ。 「ねぇねぇ、ママがくすぐり拷問師の試験に合格した時の話聞きたい!」 「ん…私が合格した時の話か…」 道路は夕方の渋滞にハマってしまい、まだまだ動きそうにない。昔の苦い記憶を思い出しながら、ゆっくりと娘に語り始める。 「私がくすぐり拷問師になった時、厳密にはまだ国家資格として制定される前だったんだ。」 ……今から約15年前のこと。 「女性が男性をくすぐりで支配する」ことを理念に掲げた政権が誕生したことにより、社会は混迷を極めた。 各地で政府に対するデモや暴動、過激な抗議が活発化する一方、社会を改革するため最初に作られた国家資格が「くすぐり拷問師」であり、次いで処刑や刑罰を行う「くすぐり執行官」、そして約5年前には市民へのくすぐり調教、教育、犯罪者の更正を目的とした「くすぐり調教師」の資格が誕生した。 新政府が発足当初に作られた「くすぐり拷問師」だが、その誕生の陰には美咲という当時25歳の女性の存在があった。 若くして政府の高官として抜擢された美咲は、反政府組織の鎮圧、新たに誕生予定の「くすぐり拷問師」という国家資格の制定準備等の業務に忙殺されていた。 美咲自身もくすぐりの技術に秀でており、やろうと思えばくすぐり拷問等造作も無いことではあったが、それを行う時間の余裕は無い。 「くすぐり拷問師」を名乗ることができる程の技術を持った人材が都合良く来てくれないだろうか。できれば10年以上人をくすぐった経験がある人…。 微かな期待を込めて、政府の公式サイトや求人に「くすぐり拷問師」の募集を行うことにした。 数日後、政府に対して連日のように抗議のメールや手紙、電話が鳴り響く中で、一通のメッセージが美咲の目に留まった。 「幼い頃から沢山の人をくすぐってきた経験がある。自分のくすぐりの技術は拷問でも処刑でも必ず政府の役に立つ筈だから雇い入れて欲しい」という旨の内容であり、もし本当であれば喉から手が出るほど欲しい人材であった。 差出人は「橘香子」という20歳の女性。しかし、もしかすると悪戯の可能性や、反政府組織によるスパイかもしれない_一抹の不安があったが、すぐさま美咲はこの差出人にメッセージを返した。 「明日の13:00、テストを行うので指定した施設に来るように。」 丁度今日、反政府デモを行っていた若い男性を捕まえたところだったが、尋問には頑なに黙秘しているという報告を受けた。そこで、テストとしてこの橘という女性にくすぐり拷問をさせてみることを思い付いたのだ。 _政府にとって役に立つ人間かどうか、くすぐり拷問師に相応しいかどうかを、直々に確かめたい。 もしも使えないなら、捕まえた男共々、私が始末する。 上にはそう報告をして、難なく美咲は承諾を得た。 その翌日、指定した場所に時刻ピッタリに1人の女性が歩いてきた。身長は170cm程はあるだろうか。黒のパンツスーツを着こなした姿は堂々としており、どこかの秘書官を思わせるようだった。 「昨日メッセージを送りました、橘です。」 「お待ちしておりました。本日試験官を勤める美咲と申します。どうぞこちらへ」 護衛も付けず、美咲自ら出迎えて案内する。 施設の無機質な白い廊下をお互い無言で歩いていく。 先に沈黙を破ったのは、橘の方だった。 「どこに向かっているのですか?それに、この施設は何ですか?」 不思議そうに質問してくる彼女に、短く返答をする。 「ここは政府による新しいくすぐり施設です。…最も、今のところまだ使い途が決まってないのですがね…。着きました。こちらの部屋にお入りください。」 カードキーである部屋の扉を解除する。 橘さんが部屋に入ったのを確認し、すぐさま扉をロックする。 「…どういうことでしょうか?」 ガラス張りの窓から冷静な目で自分を閉じ込めた人物に話しかける橘。慌てずに落ち着いているところを見ると、反政府のスパイ等では無さそうだと判断する。もしもここで取り乱すようであれば、捕まえて自らくすぐって拷問にかけるつもりでいた。 「これからあなたにはテストを受けてもらいます。昨日捕まえた政府への抗議活動を行っていた男を、くすぐって全ての情報を白状させてください。例えば名前、組織のアジト、リーダーの居場所、構成員の人数。政府にとって必要だと思う情報を聞き出してくださいね?とりあえず制限時間は1時間以内とします。」 部屋の別扉が開き、施設の職員が台車を押して入ってきた。 「離せよこれ!!こ、こんなの人権侵害だぞ!!」 台車の上には、20代前半と思われる男が全裸でベルトに拘束されている。 …… 職員は部屋の中央に台車を設置し、部屋を後にする。 真っ白な部屋の中に、拘束された男と女性が一人。 窓の外からは政府の関係者や、施設の職員が中を伺っている。 (気味の悪い場所だな。) 橘は内心戸惑いと、微かな疑念を感じていた。 しかし、今は与えられた"テスト"をこなすしかない。 「な、なぁお姉さん助けてくれよ!!頼むから!」 「断る。悪いが、私はくすぐりの仕事を受けに来たのでね。さて…じゃあとりあえず名前から教えてくれるかな?」 台に拘束された男は、何とか脱け出そうとして必死にじたばたと無駄に抵抗していた。 「い、言わねえよ。逃がしてくれたら教えてやる。」 この状況下にも関わらず、よくそんな口を聞けるものだと感心する。…仕方ない。さっさと自白させてしまおうか。 「そうか。素直に言った方が身のためだと思うが…もう一度聞く。答える気は無いのだな?」 「…お前ら政府の人間に話すことなんて何もねぇよ。」 「なるほどな。では、話したくなるまで身体に聞くとしよう」 ニヤっと笑みを浮かべて、指をワキワキさせながらゆっくりと男の方に近づく。 そして、万歳させられて無防備な腋の下を… ガシッ!こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!! 「ひっっ!?ぁぁっぎゃぁぁっはははははははははははははははははははは!!ひゃめっぇぇっぎゃぁぁっやめっ!!ひゃめろぉぉぉぁぁぁっっはははははははははははくしゅぐっだぃぃぃぁぁぁっはははははははは!!!!ひぃぃしぬぅぅぅぁぁぅぁぁっひゃめでぇぇぇぇ腋ひゃめっっはははは!」 腋の下の窪みを、いきなり容赦なく指先でカリカリこちょこちょとくすぐり回し、時折腋の下のツボをもみもみと刺激する。男は一瞬も我慢できず、くすぐり始めた瞬間叫ぶような笑い声を上げて顔をイヤイヤと振っている。 ハードなくすぐり責めは昔から得意であり、昔学校中の男子を片っ端から気絶するまでくすぐってきた過去がある。 ちょっと小手調べに腋の下をこちょこちょしているだけで、情けなく笑い狂っている男の姿を見て、内心少し安堵していた。この様子であれば、1時間かからずとも全て白状するのも時間の問題だろう。 平常心を取り戻し、じっくりと尋問を始めていく。 「止めて欲しいか?ならば名前から答えろ」 「ひゃはっひぃぃぎゃぁぁっはははははわ、わかった言いますからぁぁぁぁっははははははははい、くしゅぐりひゃめでぇぇぇっはははははははははははははは!!」 男が素直になったのを見て、一旦くすぐっていた手を止める。しかし、腋の下にピタッと指先をくっつけ、いつでもくすぐりを再開できるようにしてプレッシャーをかける。 「ほら、早く答えろ。じゃないと……」 「ひっ……!言う!!言いますから……!だいすけ…やまだだいすけです…」 もしかすると、男が偽名を使っている可能性を考慮して、添えていた指を再びバラバラに動かしてこちょこちょする。 「本当だな?嘘だったら…どうなるか分かるよね?」 「ひぃぃひゃめっぎゃぁっはははははははは!!ほ、本当ですからぁぁぁぁっはははははははははい、言ったからもうこちょこちょひゃめてぇぇぇっははははははははは」 チラリと窓の外を見ると、"試験官"はメモを取っていた。 恐らく、これがテストであれば尋問のやり取りも全て聞かれているのだろう。ならば、時間ぎりぎりまでくすぐりの手を弛める必要は無いのではないかと考え始めた。 私は男の首筋や腋の下、脇腹をこちょこちょとくすぐり続けたまま、次の質問を行う。 「名前は分かった。年齢は?」 「ぎゃぁっひゃははは!!じゅ、18ですぅぅぁぁぁっははははははははははははもうくしゅぐりひゃめてってばぁぁ!」 まだ自分の立場が分かっていないような言葉遣いの男にムッとしてしまう。顔を見るとうっすら目に涙が浮かび、口の端からは涎が垂れ落ちている。これがテストで無ければ、「18歳にもなって、全裸にされて女性にこちょこちょとくすぐられて泣かされるのはどんな気持ちか」聞いてみたかったところだ。 気を引き絞めて、本題の質問へと入る。 「では、反政府組織のアジトはどこだ?答えろ。」 「ひぃぃぃっそ、それはぁぁぁぁっひゃぁぁっっっぁっはははははははははははははははははは!!か、勘弁してぇぇぇぇお願いだからぁぁぁぁっはははははははははは!!」 急に反政府の質問をした途端、男の顔に陰りが見えたような気がした。これは拷問のやり甲斐がありそうだと、一段とやる気が出てきて思わずニヤリとしてしまう。 「言わないか…。なら仕方ないな。言いたくなるまで死ぬほどくすぐってあげる。」 「ひぎっ!?ぁぁっぎゃぁぁっんぁぁぁぁぁぉっ!!!ぁっぐひゃぁぁぁぁっははははははははははははははははは!!ぁぁぁっぎぁぃぃんぁぁぁぁっひぃぃぃぁぁっははははははははひはははははびゃめでっぇぇぇぇっはははははははひい、息がぁぁぁぁっっでぎなぃがらぁぁぁっ!!」 脇腹のツボを両側から親指と人差し指で一気にぐにぐにと刺激する。その瞬間、まるで電流が走ったかのように男の身体がビクン!!と反応し狂ったように笑い始める。 あぁ、懐かしい感覚。 私が本気でくすぐると、みんなすぐに狂ったように笑って、数秒で白眼を剥いて失神してしまう。 男の顔を見ると、ひきつったような呼吸を繰り返し始め、涙や鼻水、涎でぐしゃぐしゃになっていた。 もうすぐ意識が堕ちるな。 男がだらりと白眼を剥いてまさに失神する寸前で、ピタッとくすぐっていた指を止める。失神させてもいいが、万が一そのまま意識が戻らないとなれば大問題になりそうだと考えセーブする。 「ぁがっ………ぎっ………ぁっ…………はぁっ…はぁっ…げほっ…ごほっ…ぁぅ…げほっ…ぜぇっ…はぁ…はぁぁ…!ひっ…ひひっ…も、もう…やめ………っ!!」 苦しそうに必死に酸素を求めるように呼吸している。 すっかり男の全身は汗だくになり、ピクピクと痙攣している。でも、こんなのまだまだ序の口だ。 「そんな簡単に失神させてあげないよ?ほら、こ~ちょこちょこちょこちょ~♪」 「ひっひぃぃひゃはっははははははははひははははは!!も、もうひゃめでぇぇっぁぁぁっはははははやらぁぁぁぁゅぐっだぃからぁぁぁぁぁっゆるじでぇぇぇぇっはははははははははははははははお、お願いじますぅぅぅ!!」 まだまだ。たっぷりとくすぐりの恐怖を身体の芯にまで刻み込んであげないと。 太ももや鼠径部をさわさわと焦らすようにくすぐり、不意打ちでもみもみと責め立てる。 遊ぶように膝やふくらはぎもすーっと撫で上げ、私の指先は足の裏へと到達する。片手で右足の指先を反らせるようにして掴み、もう片方の手で足の裏を爪でガリガリと乱暴に引っ掻くようにくすぐったり、爪先でこちょこちょと素早くくすぐる。 「こちょこちょこちょこちょ~♪」 「ぎゃひぃぃぃぁっははっははははははははははははははははははははははは!!ひゃぁぁぁっぎゃぁぁっひゃめでぇぇぇぇじぬぅぅぅぁぁぁぁぅははははははははははははあ、頭おかじくなるぅぅぅぁぁぁぁもうひゃだぁぁぁぁぁっ!!」 最初の生意気な態度はどこに行ったのだろう。 すっかりとくすぐりに脅えたような笑い声を上げる男。 私は懇願する声にもわざと聞こえないフリをして、楽しそうに「こちょこちょ」と歌いながら左足の裏も同様にくすぐっていく。 人通り全身をくすぐってみた結果、どうやら上半身の方が弱いようだ。足の裏へのくすぐりを切り上げ、再び腋の下へと指をセットする。 「がはっ…ひひっ…やっ…やめっ……お願いじますお願いします!!!な、何でも話しますからぁぁぁやだやだぁぁくすぐりだけはひゃめてぇぇぇ!!!」 そろそろ男の精神が限界に近づいているところだろうか。 もう少しくすぐっておくべきか、それともここで尋問に入るか…。窓の外にいる試験官の方に顔を向ける。すると、指を3つ立ててニッコリと微笑んでいた。 3…残り30分という意味だろうか。 ならば、もうあと15分はくすぐっても問題なさそうだ。 「何でも話す…ね。とりあえず、一度死の淵まで行ってみよっか♪そこから戻ってこれたら話を聞いてあげる。」 さわ…さわと男の腋の下を人差し指で撫であげる。 「ひっっ!?ひゃっ!?…や、やだぁ…お、お願いしますも、もう許して…やっ…ぁっ…ぁぁぁぁぎゃぁぁぁぁぁぁっっっぁひゃぁぁぁっひぎゃぁぁっぅぅぁぁぁぁぁぁぁっははははははははははははははははははははははは!ぁぁぁぁっひゃぁぁっがはっぁぁっぅぁぁぁぁっひゃぎゃぁぁぁぁぁへへへぎゃははははははははははははははははははは!!」 腋の下の窪みを思いっきり容赦なくカリカリとくすぐり、腋から脇腹にかけて身体の側面を素早くこちょこちょと往復する。その瞬間、耳をつんざくような叫び声で狂ったように笑い始める男。よっぽどくすぐりが効いているという証拠だ。 脇腹を左右から指でもみもみとくすぐりマッサージ。 お腹やおへその周りも指の腹でさわさわこしょこしょとくすぐると、横隔膜や腹筋がピクピクと痙攣している。 どんなに泣いても喚いても暴れても、四肢を拘束しているベルトは頑丈であり逃げられることはない。 これまで培ってきたくすぐりの技術を全てこの男にぶつけるようなつもりで、容赦なく徹底的にくすぐり尽くしていく。 可哀想だとか楽しいと思う気持ちすら感じず、純粋に相手をくすぐるという行為に没頭し、取りつかれたように淡々と、無情に責める姿は、試験官の目にどのように写っているのだろうか。 どれくらいくすぐったのか定かではないが、ふと気付いた時には男はすでに虫の息だった。 「ひぃっ…ひぃっ…ひっ…ぁがっ……ひっ……」 慌てて試験官の方を見ると、指を1本見せていた。 つーっと、橘の背中に冷や汗が流れる。 (まずい…もう時間が無い) 過呼吸になっている男を、優しく看病する。 「大丈夫か?喋れるか?」 「ひっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…や…も、もうくすぐりは嫌だ……」 良かった。まだ完全には"壊れてない"。 「くすぐりは嫌か?では私の質問に素直に答えろ。アジトの場所はどこだ?」 男は観念したように、震えた声で自供を始める。 「ば、場所は…B地区の3丁目にあるアパートの2階…」 その後も尋問を続け、男の口からリーダーの名前、構成員の人数等、反政府組織の情報を何とか聞き出すことができた。 タイムリミットがきたのだろう。 扉から美咲さんや、施設の職員が複数入ってくる。 カツカツと音を立てて男の傍まで歩いてくる試験官。 そして、震える男の脇腹に指を添えて… 「今しがた自供したことに、嘘や偽りは無いと誓えるか?」 「ひっ!?ち、誓います!!ほ、本当ですからぁぁ!」 じっと男に顔を近づけて、目を見つめている。 嘘をついているのかどうか見極めるように…。 15秒ほどその状態が続き、美咲さんはようやく口を開いた。 「そうか。分かった。じゃあ、一度笑い死にしよっか?」 次の瞬間、セットしていた指を容赦なくもみもみこちょこちょと激しく動かし、くすぐっていく美咲さん。 「ひっぁぁっぎゃぁぁっぁがぁっっぅぁぁぁっがひゃぁぁぎゃひっぁっ…っっぁぁがっ…ぁぁっ………ぁっ……ぁ…………」 男は大きくビクンと身体を痙攣させ、だらりと白眼を剥いて失神してしまった……。 私はその様子を、動けず黙って見ていることしかできなかった……。 失神した男を乗せた台車を、職員がどこかに運んでいく。 部屋には私と美咲さんの二人きりになる。 「ふぅ。さてと、これでようやくゆっくりと話せるね。とりあえず試験お疲れ様。まぁくすぐり拷問師として100点満点の合格…とはいかないが、まずまずかな。及第点と言ったところか。」 これまでの毅然とした態度からがらりと変わり、フランクな口調になる美咲さん。 私は喋るのを思い出したかのように、さっきの光景について質問する。 「あ、あの…な、何でさっき…失神させたんですか…?」 「ん?何でだと思う?」 質問に質問で返され、思わずムッとしてしまうが、美咲さんの目は真剣そのものだった。 冷静に頭を働かせてみる。…答えは、一つしかなかった。 「あの男が…最後に嘘をついていたから…。」 私の答えを聞いて、またにこっと微笑む。 どうやら正解だったようだ。 「その通り。よく分かったね。でも、惜しいな。最後だけじゃない。あの男はな、私と賭けをしていたんだよ。つまり、"最初から最後まで"嘘を貫いたというわけさ。」 「最初から…最後まで……?」 頭が混乱する。つまり、今まで私が自白させてきた証言は全て、"嘘"だったというのだろうか。 「そう、ぜ~んぶ嘘の供述を君は聞き出していたんだ。あ、でもあの男を昨日捕まえたのは本当。ただし、反政府組織に属している人間ではなく、ただくすぐられること自体に抵抗があってデモに参加していた民間人だ。そこで、私は彼に取り引きをしたんだ。"明日、名前や、架空の組織に属しているという嘘の設定を最後まで貫き通すことができたら、解放してあげる条件"でね。」 「何で…そんなことを……?」 反政府組織とは無関係な一般人をくすぐって、嘘の情報を聞き出す試験に、何の意味があるのだろうか。 「まぁ落ち着きなよ。くすぐり拷問師に必要なのは冷静さだ。」 思わず、反抗的な目をしてしまったのだろう。 表情を見破られ、宥められてしまう。 …まだ試験は続いているのだろう。私は落ち着きを取り戻した。 「…いいね。話の続きだけど、最後に私があの男に『嘘や偽りが無いと誓えるか』と聞いた。あの場面で男がくすぐりの脅しに屈して、『すみません全て嘘でした!』と認めれば、君を"くすぐり拷問師"として文句無しで合格にするつもりだった。なぜなら、拷問の目的はあくまでも正しい情報を聞き出すことだからだ。嘘の情報など微塵の価値も無い。あの男は最後まで嘘をついた。つまり、"君は1時間の拷問であの男を完全に屈服させられなかった"ということだ。まぁ、制限時間内に情報を聞き出せたことは評価する。だが、最後くすぐることに時間をかけすぎて聞き出した情報の信憑性を確認することが抜けていたがな。…ここまでで何か質問は?」 美咲さんの言葉が、すーっと頭の中に入ってくる。 理路整然とした話に、自分が先ほど熱くなりかけたことに恥ずかしさを覚える。 「先ほどは熱くなってしまい申し訳ございませんでした。どうすれば、美咲さんの仰るような情報の信憑性を確認することができるでしょうか?」 「それは君もやって見せたように、相手の目を見て尋問することだ。いや、まずそれ以前に、"嘘をつけない身体に調教する"ことも、くすぐり拷問師の大事な仕事だ。もしも嘘をついたらどうなるのか…骨身の髄にまで分からせる。限界まで拷問して、精神的に追い詰められた時にも、咄嗟に嘘をつける人はそういないんだよ。」 私はくすぐり拷問の奥深さや、難しさについて思い知らされるような気持ちだった。 美咲さんは私の目を見て確かめるように、言葉を続ける。 「さて…ここまで説明してくすぐり拷問師がどのような仕事をするのか、理解できただろう。生半可な気持ちでは勤まらないし、恐らく体力的にもハードな仕事になる。…橘香子。」 「は、はい!!」 不意に名前を呼ばれ、反射的に背筋を伸ばして叫ぶように返事をしてしまう程、美咲さんの目は真剣で、言葉には力があった。 「これから私はくすぐり拷問師の国家資格制定に向けて準備を進める。君は私の下で働いてもらいたい。くすぐりの技術や、拷問の術に関しても時間を作ってみっちりと教えて込んでやる。ゆくゆくは、くすぐり拷問師の国家資格取得第一号となり、活躍してくれることを期待してのことだ。それを踏まえた上で問うが、…君はこれから、私のために、国のためにくすぐり拷問師として死ぬ気で尽くしていく覚悟はあるか?」 ゴクリと唾を飲み込み、ふぅ…と深呼吸をする。 ここに来た時点で、私に迷いなど無かった。 既に、覚悟は決めている。 「私は!!必ず立派なくすぐり拷問師となり、美咲さんのため、国のために職務を全うすることを誓います!!どうか…これからご指導の程よろしくお願いします!!」 深々と、頭を下げて返事を待つ。 カツカツと、美咲さんが私の方に近づいてくる足音が鳴り響く。 「いい答えだ。では早速…くすぐり拷問師として"指導"してあげる」 耳元で美咲さんの吐息と声を聞いた次の瞬間、ふわりと身体が宙を舞う感覚の後、背中から地面に打ち落とされた鈍い痛みが襲う。 「がはっ…!?ぐっ…ぅぁ…な、何を…!?」 美咲さんはお腹の上に馬乗りになり、両手首を掴んで頭の上で押さえつけながら私の顔を見下ろしている。 「いいか?くすぐり拷問師には体術も必要だ。拷問を行う相手が抵抗したり暴れた際には制圧し取り押さえるレベルでいい。…もしも逃がしたら、厳しい処分は覚悟しておくように」 ぐっと一段と力を入れて、手首や肘を押さえつけられる。 私は何とか逃げ出そうともがいてみるが、美咲さんはビクリともしなかった。 「こら、暴れるなよ。そんなにお仕置きされたいのか?」 美咲さんに脅され、抵抗する力が抜ける。 私が大人しくなったのを確認すると、職員に指示を出して両手を万歳した状態で上に乗られて押さえつけられ、両足も揃えた状態で職員の女性に膝の上に馬乗りされて人力拘束されてしまった。 あまりにも唐突な出来事に、思わず声を震わせて抗議してしまう。 「な…なんで急にこんなこと…!!」 「何?文句でもある?」 ピタッとシャツの上から腋の下に指を添えられ、黙らされる。 「ひゃっ…!?い…いえ…ございません…」 「橘。私がさっき教えたこと覚えているか?人はな、"追い詰められた時にこそ本音が出る"んだよ。反抗したお仕置きも兼ねて、一度意識ぶっ飛ぶまでくすぐられる経験をさせてあげる。反省の声はその後聞いてやるよ。ほら、こちょこちょこちょ~」 「ひっ……やっ、っっぁっひゃぁぁぁぁっぁっはははははははははははははは!だめっっひゃめっっぁぁぁっはははははははははははははははははははははははは!!!」 両腕を万歳させられたまま、腋の下を美咲さんに容赦なくこちょこちょとくすぐられる。これまで自分は人をくすぐる側の人間であり、あまりくすぐられた経験は無かったが恐らくくすぐりには強い方だと思っていた。だけど、シャツの上から軽くこちょこちょとされただけでも我慢なんて一瞬も出来ずに笑い声をあげてしまうほど、美咲さんのくすぐりは強烈だった。 「どうだ~?くすぐられる気分は?楽しいか?」 「ひゃらぁぁぁぁっぅっははははははい、いひゃぁぁぁもうひゃめでぇぇぇぇっぁぁぁっははははははははくしゅぐっだぃぃぃぃっはははははははははごめんなさぃぃぃゆるじてくださぃぃぃぁぁっははははははははははは!!」 「嫌がってくれて良かったよ。楽しまれては拷問の意味が無いからな。ほら、シャツを脱がしてあげる。」 「ひゃぁっ…はぁっ…ひっ…やっ……やめっ……」 ゆっくりと、まるで処刑のカウントダウンをするかのように私のシャツのボタンを開けていく美咲さん。 ほんの少しの時間くすぐられただけですっかりと息が上がり、脂汗が肢体を濡らす。 しっかりと手足は職員に握られて押さえつけられ、物理的にも、精神的にも逃げるのは不可能だった。 くすぐり拷問師に志願したことを軽く後悔しかけるが、私にはまだ絶対に諦めないという強い信念があった。 だけど、無情にもシャツは脱がされていき、上半身には下着が露になる。 「さてと、これから躾も兼ねてくすぐり拷問の手本を見せてあげる。覚悟はいいか?」 私は無言でぎゅっと目を閉じて、これから来るであろう刺激に備える。…しかし、数十秒経っても、くすぐったい刺激は来ない。我慢できず、うっすらと目を開けた瞬間… 「こちょこちょこちょこちょこちょこちょ~」 「ひぐっ!?ぁぁっぎゃぁぁぁっぅぅぁぁぁっははははははははははははは!!ひゃだぁっぅぁぁぁぁっはははははははははははははははひひはゃめてぇぇぇぇぇぁぁぁぁっはははぎゃぁぁぅぅぅしぬぅぅぅぁぁぁぁぁぁっはははははははひははひはははははははははははははははははは!!」 意識を弛めて油断した瞬間に、無防備な脇腹を思いっきりもみもみとくすぐられ、一気に呼吸困難になるレベルで笑わされる。くすぐったいツボに指の力を入れてぐりぐりとされているのに、痛みは感じず暴力的なくすぐったさのみ襲いかかり、身体が悲鳴を上げる。目から涙が溢れ、笑い狂いながら必死に抵抗しようと手足に力を入れるも、身体はビクリとも動かせない…!! 「こらこら、そんな大袈裟に"死ぬ"なんて言葉を使うものじゃないよ。まぁもしかしたら、私のくすぐりは死ぬよりも辛いものかもしれないけどな。ほら、そろそろ意識が飛びそうか?」 首筋、腋の下、脇腹、お腹…高速で身体の上を這い回る美咲さんの指に頭がついていけず段々真っ白になっていく… まともに息を吸えず、過呼吸になる… 「ひゃがっ…ぁっ…ひゃぁぁっ……あがっ…はぁっひゃぁっ…ぁぁっ…………」 頭の中がすーっと何も考えられなくなり、意識が遠のいていく……。しかし、無情にも完全に堕ちかけた瞬間、身体中を強烈なくすぐったさが駆け巡り、まるで電流を流されたかのようにビクビクと痙攣して意識が強制的に呼び戻される。 「ひっひっひひゃぁぁぁぁぁぅぁぁぁっ!?ぁがっひゃぁぁぁぁっぅぅぁぁぁぁぁぁっひひひひひひひぁぁぁひぎゃぁぃぁぁぁぁっぅはははははははははははははははははは!」 「おはよう。どう?強制的にくすぐりで意識を戻される気分は?もうパニックになって私の言葉は届いてないかな?」 くすぐられてまともに話すことも許されず、生まれて初めて死ぬほどくすぐったい感覚と、くすぐり拷問の恐怖を身を持って身体に刻み込まれていく… その後も淡々とくすぐられ続け、再び意識を失いそうになったところで、ようやく美咲さんはくすぐっていた指を止める。 「……ぁぁっ…ぁぅ…はぁ……はぁ…げほっごほっ…ぁっ…はあ…はぁ……ひっ…………」 手足を押さえつけていた職員が離れても、指1本動かせる体力も残っていなかった。意識はまだ朦朧として、必死に呼吸を整える。 「おい、タオルと水持ってきて。…ありがとう。」 美咲さんは職員からタオルを受け取り、涙や涎でぐしゃぐしゃになった私の顔や、汗でびしゃびしゃになった身体を拭いてくれた。 15分後、ようやく呼吸も落ち着き、少し喋ることができる程度に回復した。 これでようやく終わり…そう油断した私に向けて、ゆっくりと指先を腋の下にセットする美咲さん。 「ひいっっ!?…も、もう許してくださぃ…お願いしますお願いします!!」 「落ち着け。大丈夫、素直に答えたら何もしないから。私に死ぬほどくすぐられる前に君は、これからくすぐり拷問師として尽力したいと言ってくれたが、その言葉に嘘偽りは無いか?」 私の目の前に、美咲さんの綺麗な目が近づく。 その瞬間、さっき美咲さんに教えてもらったくすぐり拷問のイロハを、身体で理解した。 そして、 (この人には一生賭けても勝てない)という、畏敬と尊敬の念を分からせられる。 「嘘偽りはないと誓います…!」 「…よろしい。今の言葉、絶対忘れるなよ?それと、もし今後、私に嘘をついたり、悪事を企てたり、裏切るようなことがあれば…その時は私が責任を持って君をくすぐり殺す。分かったな?」 「はぃ……!!」 美咲さんの目は本気だ…。 この人なら本当に人をくすぐりで殺しかねない… くすぐり拷問師としてそう"思わせる"ような威厳を持ちなさいと、大分後になってから教えてもらった。 私の返事を聞いた美咲さんは、放っていた殺気を消して、優しい笑顔にもどる。ぎゅーっと、優しく私の頭を抱きかかえ、「よく頑張ったね」とまるで子供をあやすようにして落ち着かせる。 ……… 「…というような感じだったな、私の試験の時は。いきなり美咲さんに死ぬほどくすぐられて、技術や格の違いを身体に教え込まれて、上下関係を分からせられるとは思ってもみなかったけど。…私のその経験があったから、今でもくすぐり拷問師の伝統として新人は押さえつけられて先輩達に徹底的にくすぐられる洗礼が残っているんだ。」 車内で思わず時間を忘れるくらい喋っていたらしい。 娘の方を見ると、静かに、真剣な表情で聞き入っていた。 「すごい…ママでも叶わない美咲さんっていう人はめちゃくちゃ凄いんだね…!!それで、ママはその後無事にくすぐり拷問師になれたの?」 「その後か。それから、私は美咲さんの下で一緒になってくすぐり拷問師の国家資格を作る傍ら、捕まえた反政府組織の人間を何人も自白させる仕事に勤しんだ。その功績もあって、くすぐり拷問師の資格が出来た時に、美咲さんは私を第一号の資格取得者として認めてくれたんだ。今でこそ出世して部下も何人もいる立場になったが、美咲さんに毎日死ぬほど鍛えられたおかげなんだよ。」 散々美咲さんにくすぐられ、くすぐり拷問師の術を心身共に叩き込まれ、鬼のような厳しさと優しさで接してくれた過去に懐かしさを覚える。 私のくすぐり方のスタイルも、部下や子供への躾も、ふと思えば美咲さんと同じようになっていたのだと気づいた。 隣にいる娘も、将来は立派なくすぐり拷問師になっているのかもしれない。 だけど、まだ"大人の遊び"を知らない内に、たまには優しい優しい"子供の遊び"をしてあげるのも愛情だろうか。 …などと思案しながら、疲れて寝てしまった娘を横目にようやく流れ始めた車の渋滞を抜け、家への路を楽しんだ。

母が「くすぐり拷問師」になった時の話

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