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機械の侵食 最終話 1/?

 ペリメイズ人が地球にやってきてから約一年後。水面下で活動を継続し続けてきた彼女達の姿は、一度も表に出ることはなかった。  しかし、彼女達の行動は、確実に地球人類の存在を侵食していた。  生身から機械へと存在そのものを変換し、時には素材となった人間をそのままに、またある時には素材の人間の面影が残らないほどに、またある時は性別すら改竄して。  表立って行動することはなく、あくまで影に隠れて同志を増やす。ペリメイズの機械化技術をその身に受ければ、それがどんなに素晴らしいことか必ず理解できる。  純然たる善意を以て、地球を遥かに上回るテクノロジーを与え、快楽信号を中心とした行動原理に従い仲間を増やす。  その影響は、まだ人間であり続けている者にも、社会へのちょっとした違和感を覚える程になり始めていた。 * * *  毎日無数の人々が行き交う天京都の複数ある中心街。その様相は日々移り変わり、決して同じ日はない渾然一体の景色がそこにはある。同じなのは、沢山の人間がいるという一点のみ。  だが、一部の人々は、その中にどこか今までとは違う違和感を覚えていた。     「………………気のせいかなあ」  天京都の主要都市の一つである静谷区、静谷。  特に有名なスポットとして知られるスクランブル交差点の前にある、巨大な商業施設と合体した巨大な駅である静谷駅。  その前にある広場で、取引先の人物と待ち合わせをしていたあるスーツ姿の男性は、ふと街中の光景を不思議に思った。     「明日の予定どう? またあそこに行きたいんだけど。繋がってすぐにはこないんだけど、その後じわじわ来るのがさあ」 「新デザインの品々が豊富に揃っています! 是非お試しください! 一緒になる時とっても便利ですよー! 同時に季節の限定品が今なら割引中です!」 「私ね、昨日のことが忘れられなくて……まだこっそり直してないままなんだ。良かったら、後で見てみる?」  感覚として、妙に視界の中に写る女性が多いような気がする。  それも、目に入る女性達は、誰も彼もが美少女や、美女ばかり。視線が惹かれてそれらばかりに目が行くというわけではなく、どこを見渡しても美しい、またはかわいい女性しか見当たらないのである。  それは同時に、男性の姿が殆ど見えなくなっているということも同居していた。  おそらくワイヤレスイヤホンを着けて話しているであろう女性。宣伝をしている大手アパレルショップのロゴ入りTシャツを着た胸の大きな女性。お互いに見つめ合いながら熱くなってしまいそうな話をしている二人の女性。  ぱっと視界に入りはっきりと意識を傾けた3種類の女性達は、その誰もが美女ばかりで、それぞれにしっかりと個性も持っている。  そこから意識を外して視界を広くし、大雑把2見てみても、男性の比率が少ないように感じた。      「やっぱり、女が妙に多い気がするなぁ……今日来る取引先の人も女性らしいし」  今日そんなことが起きただけで偶然なのかそうでないのか。少しだけ気になったところだが、彼はそれ以上の思考を割くことはなかった。  なぜなら、それだけ美しい女性が多いのならば、ただ眼福で良いこととしか思っていないからである。  どこを見渡しても、多種他所な美女や美少女がいる。そこにいるだけでも素晴らしい空気が吸えているような気持ちになり、むしろ得しているとも考えた。  そんなことを考えているうちに、男性のもとに取引先の人物らしいスーツ姿の女性が現れた。 「お待たせしました。本日はお付き合いいただきありがとうございます」  その女性は、周囲を通り過ぎる他の女性達に負けず劣らずの美貌と、スーツがより魅力的に見える細くしなやかで、豊満なスタイルを持っていた。 「ああいえどうも、こちらこそ」 「では早速移動しましょう。私がご案内します」  そうして、男性はそのスーツ姿の女性と共に去っていった。  このような女性増加の現象は、天京都だけでは留まらない。  主要都市どころか全国、そして世界全域で発生しており、どこを見渡しても必ず美しい、または可愛い女性が見受けられるようになった。  そして、それとは全く関係ないと思われるような方面でも影響が見られるようになっていた。 「ヘイ、サリア。今の家の状態はどうなってる?」 「はい。現在は誰もおらず、猫のシュウがカゴから抜け出して家中を駆け回っていますね。テーブルの下で床とじゃれついています」  この一年の間に、世界的ビッグテック企業であるセンティリオンは、様々な革新的サービスと既存サービスの大幅強化を謳い、突拍子もない夢物語だと称されたそれらをいとも簡単に実現してみせた。  まず、クラウドサービスのユーザーごとの使用容量が大幅に増加し、現状の高価なデスクトップPCのストレージを余裕で超えるような使用量を実現してみせた。  他にも、既存のアシスタントAIが、本当に人間相手に喋っているかのように柔軟かつリアルタイムの反応にも対応するようになり、登録したカメラを通して指定した場所の状況を教えてくれたりとは、まるで本物の人が入っているかのような革新ぶりを見せた。  さらには、音声だけでなく画面内での女性型グラフィックが追加され、好きな容姿を自由に設定できるようになった。  まさに、理想かつ自分だけの美女アシスタントと直接対話できるアプリに進化したのだった。  その他様々なソフトウェアが飛躍的な進化を遂げ、まさに一強とも言える状態になったセンティリオン社。  協力企業にはナインズグループや航空会社のスカイパルなど、各方面の企業とパートナーシップを締結し、より世界全体に無限の喜びと確固たる利便を提供できるようにと、非常に友好的な形で繋がるようになった。  その際に表に立った社長は全員が女性で、しかも映像や写真にとても映えるような美貌と体型。  そして彼女達の目標へ突き進むが如く、数々の技術革新が進められ、とてつもないスピードで全世界に届けられるようになったのだった。  だが、こうして表立った者の中に、生身の人間は一人として存在しない。  街中に溢れ始めた美しい女性達も、世界の速度を早めた女性社長達も、さらには各所で活躍し始めた美女達も、全員が機械化した存在である。  センティリオン社のサーバーを介して通じ合い、より濃密に繋がり合うようになった彼女達。人間社会にずっと潜み続け、常に生身の人間だと偽り、自分達の存在を隠しながら稼働を続けてきた。  それは、機械化した者全員がそれぞれの思考や行動原理を共有し、世界規模での一致団結を図っていたということでもある。  と同時に、ペリメイズ人と地球上の機械化人の持つ、本能とも言える根本の行動原理は「快楽信号の追求」と「同じ機械への同化」の二つ。  表向きは、これまでと同じ普通の一般市民のように振る舞っていても、影ではそれに従い、ひたすら快楽信号を求めて刹那的な行動を実行するようになっていた。    その一例として、ある新規開店のカフェでの一幕。  女性スタッフだけのカフェで、制服も胸元が開いていたりと性欲を煽り立てるような施しがされており、下手すれば間違いが起きてしまいそうな見た目となっている。  そのスタッフ全員は、オーナーも含めて機械化した元人間であり、生身の人間は誰ひとりとしていない。 「いらっしゃいませ! お二人様ですか?」 「ああ、頼むよ。いつ見ても可愛いねえ。美人ばっかりだから滾っちゃうよ」 「ありがとうございます! そう言っていただけると嬉しいです!」  そんなこのカフェは、当然男性客からの人気が根付き、セクハラを突然ぶっ込んでくるような、勘違いした面倒な客もやってきていた。  だが、その性感を常に求めている彼女達は、どんなに面倒な絡み方でも見事に対応し、嫌がるような素振りも見せずに受け入れてみせた。  まだ残っている男性からの人気もさることながら、女性同士のカップルからの人気も確保されている。  この時も、ある二人の女性がくっつき合いながら来店してきた。    「いらっしゃいませ! 二名様ですか?」 「はい。街中の看板を見まして」  カップルの片方がその言葉を耳にした瞬間、スタッフの表情が一瞬硬直し、瞳の奥の絞りが拡縮を繰り返していた。  それに連動するように、カップル二人も無表情になるが、すぐに何もなかったかのように、それぞれ元の接客スマイルとお互い愛し合っているとわかる幸せそうな表情に戻った。 「かしこまりました。では、地下一階の席へ移動してください。お二人共ごゆっくり!」  明らかに人間相手の接客時よりも嬉しそうな笑みと声を出しながら、スタッフは二人を店内の地下へ進むように案内した。  カップルは両方共、まるで宝物を見つけたかのように顔を見合わせ、思わずキスをしそうな程に近づいた。  だが、ここは我慢と言い聞かせるように寸止めし、スタッフの案内に従って地下の階段へ向かっていった。  最低限の明かりのみだが、眼球ユニットに搭載されている赤外線センサーによって一切足を踏み外すことのないカップル。  そして、階段を降りた先に現れたのは、無機質な雰囲気を強く感じさせる厚手の防音扉。ドアノブの箇所には、タッチ式の鍵らしきパネルが備えられている。  二人はそれにタッチすると、鍵の解錠音が鳴ったのを聞き取った。  カップルらしく、一緒に力を入れて扉を押し込んで開ける。その先に現れたのは、白を基調にした、ファミリーレストランのようなソファ付きテーブル席が無数に設置された空間だった。  それから入ってきたばかりの二人を迎えたのは、下着すら身に着けていない、白い光を弾くような綺麗な人工皮膚を惜しげもなく晒している、機械化した全裸姿の女性だった。 「いらっしゃいませ。当店のご利用は初めてですよね? 本日は当店のシークレットサービスをご利用いただき誠にありがとうございます」  ビシッとしたスーツを身に着けて言うような、礼節丁寧な喋りを、裸で行うというなんとも不思議な気持ちになる光景。  だが、すぐにそのお固い雰囲気は解けた。 「こちらの部屋にやってきたということは、ここの目的はもうご存知ですよね?」  新しい女性スタッフがこぼす妖しい笑みに、二人はちょっとだけ警戒心を抱き、同時にこれから起こることへの期待を高まらせる。  と、その時、奥のテーブル席の方から、誰かが達したような声が聞こえてきた。 「ああああ■@1あああああ01#%あっっ!!!」  色気と解放感に満ちた声に混ざる、スピーカーが破損したようなノイズ。  これが聞こえた瞬間、二人は期待した通りの場所にやってきたと、お互いにバッテリーを熱くした。 「どうやらあちらのお客様は、喉元が破損しているようですね。でもご安心ください。この場所は表でまだ堂々と快楽信号に溺れられない分、全てを解放できますから。その為に、これだけ防音設備に力を入れて、秘匿性を高めていますので」      笑顔を保ち、平然とした態度を取り続けているが、あられもない全裸姿でいる彼女の身体は、正直に人格データからの数値変動を反映していた。  控えめだった両乳首が小さく震えながら固くなり、股間から人工愛液がじんわりと滲み出し、外性器部分にぬらめきを生み出している。  今にも気持ちよくなりたいという密かな人格データの反応が、よりこの施設への信頼を強くしていた。 「では、お二人の席はこちらになります。ついてきてください」  未だ服は来たままだが、今すぐにでも身につけている衣服を脱ぎ去ってしまいたい。むしろ、その下の人工皮膚まで引き破ってしまいたい。  そんな思考を、共有しているように同時に思いながら、二人は女性スタッフの後をついていった。  途中、二人の視線は他の同族がいるかもしれないテーブルに視線が移る。 「あハ、ああ、き、きき、快楽信号が、あ、あはっ、破損が、し、修復さ、されるま、ままえ前に、あんっ、きもちいいの……あっ……」  まず最初に目に入ったのは、ソファ席の上に寝転んだ状態で恍惚に染まった顔を晒しながら、捻れた首を単調に揺らしている女性の姿。  右腕と右脚は席から飛び出しぶら下がっており、振り子のように揺れては、止まりそうになった瞬間にまたもや痙攣を起こして揺れ直す。  席は人工愛液の跡で濡れているが、絶えずスプレーのように噴き出し続けており、乾く間も与えられていなかった。    「■'#$…………1%%…………010@$#*…………@2…………」      次に目にしたのは、同じくソファ席に座っているが、今度はきちんと席に背中を預けて座っている女性。  しかし、背中が大きく後方へ仰け反っている上に、彼女の頭部は口から上が吹き飛んでしまっていた。  その断面からは、おそらく涙液になるはずだった人工体液が、水鉄砲のように噴き出している。  爆発か何かが生じたのか、周囲には綺麗な人工毛髪と、おそらく彼女のものだったであろう無数の金属部品と焦げた眼球、一部溶けた人工皮膚が散らばっていた。  電子頭脳を失った身体は、中枢部が失われたにも関わらず、乳首を固くしながら痙攣を続けており、蛇口を締め忘れたように乳液と人工愛液が放出され続けていた。  ぽかんと開いた口から、もはや元の音もわからない電子音を鳴らし続ける金属と樹脂の塊となった女体は、その挙動からもとても淫靡に感じられた。  多種多様な壊れようで、そのどれもが非常に気持ちよさそうに悶え喘いでいる。そんな光景を羨ましそうに見ていると、スタッフの進行方向上にあるテーブル席から、金属質かつどさっとした落下音が聞こえてきた。  同時に、一人の女性の頭が通路上に顔を出した。どうやら、何かしらのプレイ中に破損してしまい、途中で席から転げ落ちてしまったらしい。  その女性の顔も例に漏れず、快楽信号に染まって蕩けていたが、身体の部分はまだ椅子に隠れて見えていない。  しかしスタッフは、そんな女性客を気にとめる様子はない。それどころか、彼女は案内の為にその方向を向いたまま、倒れた女性の首をわざと踏みつけ、にじりながら一歩を踏み出した。  ぶち、と人工皮膚が裂けて内部機構とスピーカーがわずかに露出し、首があらぬ方向へ曲がるが、踏まれた女性は見えない椅子の向こうで床に身体を打ち付けながら気持ちよさそうに暴れていた。 「あが、がが、そう、よ、ここここここここ……」  音飛びしたような音声を、喉の裂け目から発しながら震える女性。  ようやく身体が見える角度に入ると、女性は自らの両胸を谷間から左右に裂いてバッテリーを露出しながら、下腹部にも自らの手で穴を空けて子宮ユニットを晒していた。  床は両乳房から噴き出した乳液で濡れており、まるで子供が牛乳をこぼした跡のようになっていた。   「思ったよりすごそうだよねここ……」 「うん、うちら他の人に比べたらまだ機械化したばっかだしこういうの初めてだからさ、ちょっとびっくりするけど、どこもこういう感じなのかな?」  二人は予想以上に、どこか淡々としていながらも、とても淫らな空気に包まれた空間にたじろいでいた。  が、それ以上に、今この空間では異質な、衣服を身につけている状態でも、その下では既に密かに人工愛液がじわりと分泌され興奮している。  それを共有するかのように、歩きながらぎゅっと手を握り、お互いの人工皮膚の心地よい感触を確かめあった。 「こちらの席をご使用ください」         二人は案内された席に座り、ファミレスに来た時と似た感触を背中や尻に感じながら一旦気持ちを落ち着けようとした。  だが、感情値が上昇してどうしても落ち着かない。お互い、これから何をされるんだろう、何が待っているんだろうと、予測への演算が止まらない。  そんな心地よい緊張を抱いていると、ここまで案内してくれたスタッフが、二人の前でにっこりと微笑んだ。 「お待たせしました。本日は当店にお越しくださり誠にありがとうございます。突然ですが、お二人はどのように壊してほしい、破損させてほしい、などといったご要望はありますか?」 「えっと、私はないかな」 「うちも。偶然見つけて入ったし、どういうことしてもらえるかとか、まだあんまりわかんないし。あ、でもちょっと色々シてもらったら二人で楽しませてほしいかも」 「かしこまりました。では、途中まではこちらのお任せで実行させていただきます。ではまず、下準備として衣服を脱いでください。衣類は全てこちらで責任を持って管理させてもらいます」          スタッフは二人の脱いだ衣服を両手に持ち、別のスタッフに手渡し保管してもらう。  豊満で流線型な、それでいてそれぞれの個性がある美しい体型を晒した二人を見て、スタッフは絞りを何度も拡縮させて、電子頭脳内に彼女達の姿を映像と画像の両方で保存しながら興奮していた。 「それでは、これからサービスを開始させていただきます」  スタッフは、人差し指をそれぞれの谷間に突き立てる。  直後、彼女の人差し指が左右に割れて変形し、アイスピックのようは鋭利な金属が姿を現した。  そして間髪入れず、それを思いっきり両者の人工皮膚の谷間に突き刺し、両乳房の間をぐりぐりと穿るように貫き始めた。  


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