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二人のアオイ 液体に寄生された金属人形 5

「MA01がが、がに、よるより、よりままま、右腕部のの動作がせせ正常に正常に稼働稼どどど働?? 左脚部かからの、からの信号がが、が左腕部から発信されさされあんっ、あんっ、ましたます。MA01ははなに、をを、何をしししし……」    本来は決してありえない歪な姿で、壊れかけの電子頭脳が混乱を起こす碧。  四肢はどれもまともに動かすことができず、無理に動作させようとすれば、肩や股間の関節部から鈍い悲鳴の音が上がる。  そこに覆われた人工皮膚は内側の挙動に歪み、非人間らしさをより強調させていた。  碧には対応ファイルやパッチがインストールされたわけでもない為、四肢が一体化した状態など想定されうるはずもない。  左脚を動かそうとすれば、他のパーツの動作と信号を検知し、それ以外の部位も同様なことが起こる。  思考能力に何の障壁も無い平常時ならば、原因や状況確認を行い、解答を導き出すことが出来たかもしれないが、今の碧の電子頭脳はショート寸前まで負荷がかかっており、パフォーマンスは低下していた。  自分の姿を視界に収めることもできず、エラーや誤作動を起こし、四肢を動かそうとして右に左に身体を揺らせば、全身も一緒についてきた。  硬さを維持したまま揺れる乳首は、未だ残存した乳液を快楽のままに噴き出している。  しかし、とうとう中身が尽きてしまったのか、乳房内に備わったポンプからは微量の白いしずくと空気ばかりが吐き出され始め、いかにも母乳らしい様相は失われてしまった。  エラーと誤作動が何重にも折り重なり、既に稼働当初の落ち着いた雰囲気はどこにも残っていない。  ひたすらに無意味な痙攣を続けているうちに、MA01は最後まで入り尽くしていなかった頭部へと侵入し始めた。  喉から通り、構造の隙間を流体の利点を活かしてくぐり抜け、あっさりと人工皮膚の下を埋め尽くしていった。 「頭部ゆゆユニットユニットととおおお?? MA01はMA01私の私の私私しし、あ、あ、あは、侵食しししま、確認です確認ででで、読み込みエラー、こんなにこここ、こんな正確に信号が信号の認識をを、葵すすきなのすきよ、あ、あ、あ、ああ8%94」  オリジナルと同じように液体金属に頭部が染められ、メモリ内に無数の不具合が発生する。  それら全てが快楽信号へと変換され、全身にほとばしる。  本来ならば両腕両足をばたつかせるような動作をしている所、それらを溶接したように全てくっつけられている為、まるで芋虫のように転がり痙攣することしか出来なかった。  無茶苦茶な声を出しながら、がくんがくんと暴れる碧。  このままの状態でもいずれ破損し、機能停止まで持ち込まれていくだろう。  しかしMA01は、碧が設定上心から愛している葵と、従うべき相手である碧への奉仕的思考により、さらなる楽しみを持ち込んだ。   「これより、碧様と水樹葵の頭部の合体を行います」  そう言いながらMA01は、女性器ユニットに挿入されていた舌を抜いた葵の頭部を、ゆっくりと首の穴から溢れる液体金属を足にして碧の女体を登っていった。  寄生生物が原生生物を乗っ取ったかのような姿で、まともな動作も行われていない、すっかり機械として狂ってしまった葵の頭部を動かしていく。  両眼はそれぞれ別の方向を向いており、不安定な液体金属の支えによってふらふらと揺れる度、無気力に美しい黒髪がゆらめく。  その間にも、開放された後頭部からは絶え間なく電子頭脳がスパークを起こしており、今にも鉄くずと貸してしまいそうであった。   「合体ってどどどういうこ、エラー、あんっ! 私には私にはににに、そんな機能そのようなありませ仕様仕様仕様」  碧の言う通り、それぞれの機体は完全に同一な為に完全な互換性こそ存在する。だが、合体機能のような、ニ体でさらに大きな一体を創り出す物は実装されていない。  しかし、MA01はそれを実現させる能力がある。  後頭部から煙を上げながら、股間、腹部、胸へとへばりつきつつ上っていく葵の頭部。  首元まで到達すると、MA01は葵の舌を再び突き出し、だらしなく開かれた口へと無気力に挿れられた。   「葵いいいうう、ききキスを行いなっててて、きもちいいいががが、感触を感触をを、あ、あ、舌同士の接触が接触という定義ににに、好き好き好き好き、葵があああ、熱い熱い熱い筐体おお温度温度の基準値何が何がが、エラー」  互いの身体に完全な侵食を果たしたMA01が、舌を動かして絡み合わせ、ディープキスを行う。  葵と碧、両者の眼球の周囲には、人工涙液の潤いの代わりに、スライムの如く液体金属の挙動がわずかに見え隠れしていた。  キスの動作こそとても情熱的なのに、二体の表情に自律的な生気は感じられない。  誤作動から時折頬や目蓋がガクつき、真っ直ぐ愛する相手の顔も見られず唐突にあらぬ方向を向いたり、白目を剥いたりする。  葵の口からは相変わらずの微小な電子音が、碧の口からはかろうじて現状を認識しているような壊れた愛の音声が、口の動作を無視して発される。  まるで宇宙生命体の人形遊びのような、性行為とは思えない奇怪な光景。  動作の主導権は全て液体金属に握られ、自分達はただ女性の形をした演算装置にしか過ぎない。  それでも幸せそうに壊れる姿を見せる二体のスレイブドール。  唇同士が一旦離されると、葵の頭部は金属が曲がる異音と共に床へと転がった。  先程までの愛欲と肉欲に満ちたディープキスから一転、何もない白い床にキスをすることになったが、葵には何の反応も出来ない。  ずるずると、異音と共に動いていく葵の頭部。  そして、碧の後頭部に自身の開かれた後頭部が向けられる形になると、碧の頭部に変化が表れた。 「あ、あええ、頭部ハッチににに、あはは、警告、頭部ハッチへのきき強制的に強制的にななな、エラー、こここんなにこんなにをししましましまし、私が私が葵と葵と、何が発生発生発生ししますしますですなのね? エラー、エラららら、破損ししてし、していま、開放されれれました」  システムからの介入ではなく、MA01が内側から強引に碧の後頭部ハッチをこじ開けようとしていた。  ロックを無理矢理捻じ曲げられ、その衝撃とダメージが快楽信号として変換され、乳首から噴き出す熱い空気が強くなった。  直後、葵ほどでは無いにしても無数のエラーと快楽信号によって過負荷がかかり、火傷しそうな程に熱くなった電子頭脳が、力技空気に晒された。  貝合せの直前のように向き合う、それぞれの電子頭脳。  うっすらとそれぞれの構造の隙間からは、奥深くまで浸潤した液体金属の挙動が見え隠れした。  そして、葵の頭部側からゆっくりと近づき、かちん、と金属同士が衝突する音が鳴った。  それぞれの電子頭脳同士が、物理的に熱いキスを実行した。 「8%4*(@!!? 頭部ゆニにに、あ、あ、きもちい重大なななな、エらー、損傷が損傷がが%93*%⬛、不明な、ふめイなしし信号を信号を、操作が行われれれれレレ私が私ののの不明でsu詳細ふめイなそそ操作が操作が実行しテいます、葵葵と葵とととと▶●$?$」  高熱を帯びた金属の塊同士がくっつき、オナホールのような身体がびくん、がくん、と非生物的な痙攣を起こす。  碧の声にはさらにノイズが含まれ始めるが、その内容からは今までに体験したことのない事態が発生していることが見受けられた。  直後、くっつきあった電子頭脳同士から液体金属が滲み出し、互いの中枢を強引に接続。  すると、葵の頭部が徐々に、沈むように碧に接近し始めていた。  MA01によって、内部データを保持したまま分解と構築が繰り返され、それぞれの電子頭脳が溶け合い一つになっていく。  まるで双頭のシルエットのような形になり、もはや彼女達の姿は、女性を象った異形のよう。  そして、開放されたハッチの跡形も無くなる程に一体化した瞬間、碧の痙攣は酷く激しくなり始めた。 「⬛=%8wjd@%!!!?? 私私はは、当kk機体でで、碧は葵と、葵私私だから、だだだ、人間人間ととという登録じじ情報情報エラrrrr、ただしイ情報を情報ををを、葵は碧碧葵私私どちららら? ストれれれージ内にに、に、機械でなくくく情報の一致ですですすす、%83&%?? 私が私が碧です葵私オリじナルををを葵すすす好きが好感度どどddコピーですしししし、私は私は私は私は」  葵と碧、オリジナルとコピーが一体化したことで、自認識が重大な不具合を起こし、言動や思考までもがジャンク同然となってしまった。  葵なのに、碧なのに、オリジナルなのに、コピーなのに。  碧のコピーであるという自認識にオリジナルであるという認識と記憶データが混ざり合い、葵の無自覚なオリジナルという認識と人間であるという認識、碧の機械としての認識がぐちゃぐちゃに混ぜられ、バッティングを起こした。  くっつきあった電子頭脳はより激しいショートを起こし、内部で絶え間なく火花を散らしていく。   「エrrr私私は、あ、あ、あききき気持ちいいかから、ので「正常な処理を処理を葵から碧をを実行で「私私てて定義されささされ、記憶デーた内に人間ととssてとして不明な不明な私はななな`*」@4⬛なにを、なににになに?? 葵だから碧だから碧私は私愛しててて大好き*38$」機体機体機体再起動じじssしてくくださいくだ`3*5■⬛」    同じ音声データから形作られた声が、それぞれのスピーカーからランダムに、ぐちゃぐちゃに鳴らされる。  オリジナルとコピーといえどもそれは既に別個体。  そんな別個体の思考が混ざりあったとなれば、自身の定義や自意識、人格は崩壊するも当然。  整合性のない内容や新しく生まれた矛盾が膨大なエラーを生み出し、一つになった碧と葵の内側を破壊していった。  達磨状態のまま、誤作動が発生する度に碧はごろごろと転がり、胸が潰れ、溢れた乳液が身体に塗りたくられた。  飛び出したような状態の葵の頭部は、転がる度に床と容赦なくぶつかっては擦り付けられ、鼻が潰れて人工皮膚が破れ、眼球部にヒビが入ってしまった。  オリジナルの顔からは、内側の金属骨格が露わになり、電子頭脳が発する煙が漏れ出していた。  そして、一体化した中枢部への快楽信号と過負荷はついに許容量を超え、まるで小規模の爆発が引き起こされたかのようなスパークが、内部で弾け飛んだ。  瞬間、碧の身体は跳ね上がり、着地の衝撃で葵の頭部は潰れる。  柔らかな胸が激しく扇情的に揺れ、ぽろぽろと床に金属部品がこぼれ落ち、碧はノイズだらけの悲鳴を上げた。 「46ry⬛t!!? ypきもちい?:?rwr⬛!! ⬛w/.7pああlsigあd⬛/碧92t!!!」  乱雑な言葉群から、もはやただの電子機器の音に成り果てた碧と葵の声。  今にも果ててしまいそうな程に、緩慢になり始めた、全身の不規則な痙攣。  碧の表情は、目を見開きだらしなく口が開かれた状態で止まっており、そこに感情も何も存在しない。  ただ膨大なエラーと快楽信号を処理する女性型。それが現在の葵と碧だった。 「碧様からの意思疎通は現状では不可能と判断しました。碧様から与えられた命令を実行します」  二体の頭部の中から聞こえてくる、MA01の自律的な声。  碧はもうそれに反応することもない。  直後、くっついた頭部の内側で、メキメキと金属が潰れる異音が鳴った。  それは、MA01が電子頭脳を内側から潰れるように壊した音だった。  全てを司る最も重要な機構が壊れてしまっては、もはやガラクタも同然。  機械的な悲鳴をあげる暇すらも無く、碧の動作は徐々に小さくなっていった。 「_&$*…………#(94……………………958…………………………」  異形と化した碧は、ゆっくりと小さく、喘ぎ声にも感じる電子音を鳴らす。  そして、完全に機能が停止すると、眼や鼻、口から煙を噴き上げ、かくんと糸が切れた人形のようになった。  同時に、無線によって繋がっていた葵の綺麗な身体も、中枢部が停止したことによって動かなくなった。  歪に改造された碧の身体と比べ、股間と首の断面以外は人間らしい見た目を残していた。  直後、碧の股間や口、乳房から、液体金属が宿主を失ったスライムのように這い出てくる。  それらが全て一箇所に集まり、水溜りになると、ぴたりと動かなくなった。 「水樹碧様の機能停止を確認しました。次の命令が与えられるまで待機します」  命令と行動原理を失ったMA01は、壊れた女体の側で外部から手が下されるまでの時を待つことにした。  時間が経てば、ただの人形と化した二体とMA01は回収されるだろう。  その間、何もない真っ白な室内では、電子頭脳内部が未だ弾ける音が鳴り止まなかった。 * * *  残骸とMA01が回収され、新しい機体に全てのバックアップデータが移植された葵と碧。  真っ白な部屋で二体は新たな体験を身に刻んでいた。 「寄生される感覚ってああいうものなのね……私、創作の中でしか感じられないと思ってたもの」 「碧ったらすぐそうやって快感に身を委ねてるんだから」 「今だってそうよ。ほら、私の中に……ああんっ!」  そう言った直後、碧の口、女性器ユニット、乳頭から、人体からは出ることのない銀色の液体が顔を出した。  MA01本人である。 「私のテストは成功に終わったという結論が下されました。可能であれば、また別の機会にもテストが行われるとのことです」 「ほら、こんなことが起こっても……身体中が気持ちよくて……あっ……」 「いいわね。今度は私も、ちゃんと私だって自覚があるまま気持ちよくなりたいわ……」 「あはっ……いいと思う……私、今でも、今こんなに……ああんっ!」 「二体のより詳細なデータを取得できたので、お望み通りのことを行えます。その時をお待ち下さい」  意思疎通が可能な新しいアイテムが開発され、二体への実験はより大きく選択肢が広がるようになった。  破滅的な快楽に溺れさせられ、人間の形すら崩れる程に壊され、それを享楽として受け入れる二体のスレイブドールは、これからもまた、娯楽と実験の為に壊され直されていくことだろう。


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