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土装番
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二人のアオイ 人間としての矛盾 2

「あああっ!! 肩が、ああっ! 熱くて気持ちいいの……あっ、ああ…………はああんっ!」  局所的に襲ってきた、文字通り焼けるような快感が葵の電子頭脳に走っていく。  先程までの肉体的な快感とは明らかに違うが、たった一度で虜になってしまいそうな程の中毒性が感じられる。  葵は首を仰け反らせ、乳首でも唇でも、性器でも無い場所から感じる奇妙な快感に身体を震わせながら、首を焼かれている左肩とは反対側に反らした。  熱されたはんだごてを当てられた左肩からは、じゅう、と派手に焼く音が鳴り、シリコン製の人工皮膚が溶けて焦げていく。  人間らしい肌の色に、炭のような色が混ざり始めた、血の一滴も流れず穴が空いていく。  その下からは彼女の身体を構成する金属の内部機構が露出し、葵が人間ではない証拠をこれでもかと剥き出しにした。  そんな現実が露わにされていることもまだ自覚せず、葵は肩から発せられる謎の快感に身悶え、気持ちよさそうによがりながら喘ぎ声を上げる。 「どう? 気持ちいい葵? えっちなこともしてないのに、しかも肩がきもちいいなんて初めての体験でしょ?」 「ああっ、あっ、ああぁ…………ぁ…………不思議ね……肩がとっても熱くって、だけど頭の中が、肩が、身体中が気持ちよくて仕方ないの……あんっ!」  全身を巡る性感を分散させるように両脚を擦る葵。  碧の身体と触れ合う悦楽と、未知の感覚によって分泌される人工愛液が、再び貝合わせに淫靡な音を作り出す。  碧ははんだごてを一旦離して床に置くと、穿られた穴に舌を当て、溶けた人工皮膚をぺろっと舐め取った。  人間ならば火傷どころではない温度まで熱せられた人工皮膚を舌に乗せ、熱いなどと欠片も思わず樹脂の味を堪能する。   「あぁ……舌が熱いわ……ふふ、葵の皮膚っておいしい……」     チーズのように糸を引く葵の肩の皮。  当然その味は、焦げた苦味と樹脂の味しか存在せず、舌から検出した成分にも美味しさを司るような物質は存在していない。  愛する葵の人工皮膚というだけで、碧にとっては最高の物なのである。 「ねえ葵、肩が気持ちいいって、どう思う?」 「あっ、あ……は……あんっ……ちょっと……混乱してるけど……あっ、あんっ……とっても……不思議な気分…………こんなとこが性感帯なんて……ぇ……ひあっ!」  つい先程、一度目の絶頂に達した葵に与えられた新しい体験が、余韻に浸っていた人格データに新たな刺激を与え、さらなる発情を煽り立てた。  もっと気持ちよくなりたい、初めての体験に身を溺れさせ、大好きな双子の妹に身体を任せたい。  電子頭脳が快楽信号の処理とその結果に導かれ、身体の損傷も軽微な問題だと放置し、右手で碧の身体を撫でながら、脚を再び碧に絡ませる。 「ねえ、もっとしてよ碧……碧がこんなこと知ってるなんて、私知らなかったわ……さすが私の妹ね。でも、何をしてるの……? 左肩、見てもいいかしら……」 「駄目よ葵、まだ見ちゃだめだから。それをしたらもっと気持ちよくなれるけど、それはまだまだ先なの。首はまだ右側を向いていて?」 「もう、碧ったらいじわるなんだから……わかったわ。碧が言うならそうする……あんっ……あ……あぁ…………」  直接焼かれても痛いとも感じず、陶酔感に満たされている葵には、碧の言うことに従っていれば、このまま気持ちよさをずっと続けていられると感じていた。  大好きな妹がそんなに言うのなら、快楽に身を任せて言う通りにしようと、葵は首を右に向けたまま全身の力を抜いた。  穿られた左肩の穴からは、内部機構の音が、かちゃ、きゅい、と小さく鳴らされている、  その音が自分の身体から鳴っているなどと、設定によって機械の身体の自覚が無い葵には思考パターンの隙間にも入らない。 「そういう素直に聞いてくれるところも大好きよ葵……もう少しだけここで楽しませてあげるからね……ん…………」  まるで新しく造られた性器を扱うように、歪な形をした肩の穴の周囲をつつ……となぞる碧。  変色した部分と通常の色をした人工皮膚の境目を触れられると、葵の身体にこそばゆさが襲ってくる。  思わせぶりな導入を行った後、碧はその穴に指を挿れ、軽く金属骨格を撫でてあげた。  温められた機体内の温度は骨格部分にも伝わっており、人体の中身とは到底思えない無機質で硬質かつつるつるした感触が、付着した血もなしに伝わってくる 「はあぁぁ……ぁ……あっ……何をして……るの……ぉ……あんっ……けど……ああぁ……あっ…………こそばゆいけどなんだか……くすぐったくて、気持ち良くて……あは……あぁ……ぁ…………」  葵との性行為や、はんだごてを当てられた時のような刺激的な感覚は無いが、じんわりとした不思議な快楽が、ゆったりと葵の電子頭脳に伝わってくる。  今までの参照できる記憶データの中でも初めての夢心地に、全身の力を抜きつつもクリトリスはぴくっ、ぴくっ、と碧の女性器ユニットの下でひくついていた。 「でしょ……何してるかはまだ言えないけど、私達はこうすると気持ちいいんだから……それじゃ今度はこうして……」  本能に任せた激しさとは一旦離れ、落ち着いた雰囲気が二体の間に流れ始める。  肉眼的な二体の身体が、動く度に淫欲の雰囲気を復活させたとしても。  碧は続けて、内部機構に触れていた指を一旦離し、人工皮膚の下にそれを滑り込ませた。  葵の肌色に包まれた肩の下から、くっきりと指の形が浮き出てくる。 「ひあっ……ああ……っ…………くすぐったい…………一体何してるのよ……もう……あっ…………は……あっ…………」  一見すれば、皮を無理矢理剥がされているような行為なのに、事象を視界に捉えられていない葵はまるでいたずらのように認識し、碧の顔を見ずに嬉しそうに微笑みを浮かべた。  碧は血の通っていない人工皮膚の裏側を、膣壁を弄った時のように爪を立てて軽くかりかりと引っ掻いた。 「ああぁぁぁ…………あ、碧ぃ……ぃ…………あっ、あ、あっ…………ぁぁ…………なんだか変な気分……ね…………ひっ……あぁ……あんっ…………ぁ…………ひゃっ!」  肩から与えられる静かな性的刺激が全身に伝わり、再び少しずつ色に満ちた動作を引き起こさせる。  葵の表情は紅潮し、だらしなく口端から人工唾液が垂れていく。  大きな乳房の先端は勃ち上がり、潰れあったままぴくんと小さく揺れ動いている。  その動作が碧の乳首とも優しく擦れるようにぶつかりあい、重ねて性感を与えた。  女性器ユニットは、また別の激しい淫欲を求めるように、規則的なタイミングでぱくぱくと開いては閉じを繰り返し、とろりと人工愛液をこぼしていた。  奇妙な形の前戯が葵の情動を発生させ、また爆発するような快感が欲しいと思考が動かされていく。  それは設定された碧への絶大な好意と結びつき、また碧にぐちゃぐちゃに気持ちよくされたい、乱れて快楽に溺れたいと、淫欲をさらに求める形を作り出していった。 「どう葵、今の気分は」 「あ、あ…………なんだか、さっきとは違う感じで……あっ…………ん…………心地いいの…………身体中が熱くて、ふわふわしてぇ…………ねえ碧ぃ……一緒にまた、絡み合いましょうよ…………胸が熱くて、どきどきして仕方ないのよ……碧ぃ…………」  懇願するような、しかし悩ましげな色気溢れる声で、再度の性交渉を求める葵。  本音を言えば碧も、肉体的なセックスをまた感情の挙動のままにしてみたいという思考がないと言えば嘘となる。  だがこれは、さらなる快楽信号と、機械同士でしかできない最高の愛情行為に必要な前戯。  何より自身に与えられた外部からの命令は絶対となる。碧は葵の魅惑的な甘え声を全て聞き取りながら、人工皮膚下の刺激を強めた後で一旦指を抜き取った。 「私もそうしたいわね……でもまだよ。もう少しで、葵が感じたこともないような気持ちいいことをしてあげるから……だから、まだ右を向いててね」 「そんなこと言わないでほしいわ……身体中が疼いて、頭の中がいっぱいになって我慢できないのよ……」  現在の兆候としては上々の状態となっている。  性欲値が上昇すればする程、機械的な快楽が発生した際の乱れようはより魅力的な物となる。   今度は、碧は一度持ち出したライターを手に取り、葵の左手を首の横まで持っていく。  葵は、大好きな双子の妹が自分の腕を握って持ち上げているだけでも、人格データに好感反応を示すようになった。  人工皮膚同士が新たに触れ合う感触が、常に重なり合っている身体同士の恒常的なそれと合わさり、電子頭脳の処理を熱くする。 「私も葵とシたいけど、これからもっともっと、壊れちゃうくらいの気持ちいいのが待ってるんだから、もう少しだけ待っててね……ふふっ」  碧は情欲に染まった妖しげな笑みを浮かべながら、ライターに火を灯す。  そして、左手で陶器のような腕を固定し、手首部分を直接炙り始めた。 「あぁ……今度は……あっ、んん……ん! あぁっ!……手首が……あっ、ああっ! 気持ちよくなって……ああっ! あんっ! はああっ!」  ライターの炎に触れ、細くしなやかな手首の人工皮膚が徐々に溶け始めていく。  痛みを一切感じず、それら全てを快楽信号として処理する葵には、視界に写らないその行為は、肩に当てられたはんだごてと同様に性器への愛撫のようにしか感じなかった。  火が触れる場所から美しい肌が形を歪め、手首の内部機構が姿を表す。  しかし今度は、皮膚が焼けても火炙りを辞めず、晒された関節部と電子部品を続けて熱し続けた。 「手首が熱くて、あ、あっ、はああっ……ん……手が溶けちゃうみたい……あっ、あんっ……あ、あ、ああ……っっ! ひああああっ!!」  温感こそ彼女は感じているが、それは痛みには直結せず、あくまでセンサーによって算出された温度数値としてのみ認識される。  そこから本来発されるはずの痛みは、全て快楽信号として変換され、焼かれてもたたま佳がり喘ぎの源泉となった。  葵の手首は、360度全て人工皮膚が溶け、変色しながら大きく機構を露出した。  金属骨格がどんどん熱され、かたかたと動作に不具合が発生し始めながら、駆動音は少しずつ激しくなっていく。  そして、一旦ライターの火を切り、床に置くと、碧は手首の溶けた皮膚を右手でまとめて掬い取り、口の中へと含んで人工唾液と一緒に飲み込んだ。  熱された金属骨格に碧の指が触れた瞬間、じゅうっ、と焼ける音が鳴る。  葵と同様、人間であれば瞬間的に仰け反ってしまうような火傷も、彼女には葵からもたらされた刺激のように認識し、恍惚の表情を浮かべた。 「ああ……こっちもおいしい……味なんて樹脂の味しかしないけど、葵の皮膚だってだけで幸せに感じる理由には充分だわ……」  粗熱の残る金属の手首に触れて、自身のそれも若干溶け混ざった葵の人工皮膚をまた味わう碧。  体内に備わった微小の摂食タンクに、決して人間が食するものではないものが溜まっていく。  ふと碧は自身の右手を覗くと、人差し指からは葵のそれと全く同じ構造の金属骨格が顔を覗かせていた。  コピーから造られたために人工物としての純度が高く、自覚のある碧は、そんな自分の血の通っていない姿を見て、不思議とちょっと嬉しそうに微笑んだ。  その一方で、葵の左腕は、与えられた高熱によってがたがたと、特に熱された駆動部の手首から上はびくんびくんと、不具合を起こした玩具のように震えていた。  そんな視界に入らない状態を、葵はずっと右側に視線を傾けたまま、ただの甘美な出来事として電子頭脳が認識していた。 「ねえ葵、今はどんな気分? 手首が気持ちいいなんて、今までにない経験でしょ?」 「あああ……あっ! あっ、あっ、ああんっ! あそこや胸みたいに感じられるなんて、知らなかったわ……あうっ……うまく動かせなくて、ずっと震えてるけど……ぉ……ずっとこうしていたいくらい……ひああっ!」  その言葉がどれだけ本心から発信されているか、触れ合った女性器ユニットの動作で感じ取れる。  ぱくぱくと脳内処理される快感に合わせて、膣壁や入口をぱくぱくと開いて閉じてを繰り返しながら、愛液の糸を淫らに引く。  時折、立ち上がった同じ形同士のクリトリスがぶつかり、擦れ合うが、人間らしい性感帯を刺激されたときよりも、より鋭く激しい快楽信号が左腕から発信されている。  本来それは、重大な損傷かつ無数のエラーが発される状態だが、それらは快楽信号として処理される上、視覚情報を得ていない彼女には、自身の記憶に無い未知の性行為が行われていると結論付けられている。  不可解だが、気持ちいいし碧と絡んでいるのが愉快だと、深くは考えることはなかった。  少しずつ認識のズレを積み上げていく葵を見て、碧はそろそろいいかなとタイミングを確認する。  そして、葵の女体から離れて起き上がると、真横側にすわりこんだ。 「そっか。でも不思議よね……胸やあそこみたいな性感帯じゃないのに感じるなんて。ねえ葵、自分の左腕、見てみるといいわ」 「あっ、あっ、あ、ああ…………あはっ、わかったわ、碧…………私の左腕、ずっと何されてたのかし…………ら…………??」  碧は満を持して葵の視点移動を許可し、人工皮膚を焼かれ溶かされた左腕を認識するよう誘導した、  その思惑通り、彼女のレンズには、皮膚の下の冷たい中身が露出した自分の腕が写り込む。  直後、葵の表情は蕩けた雰囲気からすっと感情が消え、理解が追いつかない無表情に移り変わった。  目の前にあるのは間違いなく自分の左腕。動作感覚との整合性からそれは確実。  だが、自己認識と目に入った現実の噛み合わない矛盾が電子頭脳内を覆い尽くし、葵はぶつぶつと独り言をつぶやき始めた。 「これは、私の腕? 左腕? 私の腕から機械が? あんっ……どういうことかしら? 私は人間なのに、私は産まれたときからちゃんと人間なのよ? 義手を着けたことも無いし腕を失ったこともないのよ? だけどこれは何? 私の皮膚が溶けて、溶けて機械が出てきてる? あら、血が出ていないわ。皮膚が焼けてるのに痛くない……? 気持ちよくて、腕が気持ちいい? どういうことなの? 一体何が起きてるの?」  自身に施された設定と、現状への矛盾がいくつもぶつかり、口をぱくぱくと動かしながら己に発生した奇妙な点を声として垂れ流す葵。  その途中でも快感の声を漏らし、ぴくぴくと身体は小さく揺れているが、先程までの人間らしい細かな動きはすっかり鳴りを潜めてしまった。  眼球は左腕一点を見つめ、少しも動こうとしない。  なんとか理解し矛盾を解決しようと試みるも、そうすればする程電子頭脳には負荷がかかっていく。  今の葵が人間ではなく機械であるが故、プログラムされた設定から逸脱することが出来ない。  それが少しずつ彼女を狂わせ、エラーによる快感の呼び水となり始めるのであった。 「どうしたの葵? 何かおかしいことでもあった? あんなに気持ちよくなってたのに、急に落ち着いちゃって」  碧に投げられた言葉を耳に入れ、それまでの人間らしかった彼女と正反対の緩慢な動作で、ゆっくりと碧の方を向く。 「あ、碧、い? 私の左腕はどうなってるの? あっ……どうして私の腕から機械が剥き出しになってるの? 私は人間でしょ? 人間なのに、皮膚が溶けてて、焦げてる跡があって、気持ちいいのに、火傷もしてなくて、熱くなくて、ちっとも痛くなくて、気持ちいいわ? 答えて碧? 私は人間なのにどういうことなの?」  碧のプラン通り、人間の自認識に綻びが生まれ始め、言動に明らかな異常が発生し始めた。  よく観察すると葵の眼球は、戸惑いや恐怖の感情からではない、誤作動として小刻みに震え始めていた。  最初から矛盾だらけな稚拙な設定を施されている今回の状態。ちょっと怪しい部分を突けばこうなってしまう。  碧は悪戯心を働かせ、ちょっとした意地悪な言葉をぶつける。 「ふふ、葵は自分が人間だと思ってるのよね?」 「ええそうよ、私は人間でしょ? 人間に決まってるじゃない。 だって人間なのよ?」 「それじゃあ、どうして自分が人間だと思う?」  それまで間を置かず、すぐに返答できていた葵が、少しだけ大きくなった機械音を頭部から鳴らし、思考時間確保の為に黙ってからようやく答える。 「私は人間だから、私にはずっと幼少期からの記憶が存在するのよ? 家族構成や学校での交友関係も言えるわ。戸籍情報だって、私は提示可能よ? これが私が人間である証明よ?」  言動の雰囲気こそ葵のそれだが、報告的な固すぎる内容が、人間らしさの欠けた言動を印象づけている。  彼女のシステムは人格エミュレートが完璧に行えているように認識しているが、「人間」としてその出力は不自然極まりない。  現在彼女の人格データや処理系統に負荷がかかり、混乱に陥っている状態が目に見えている。 「そっか、そう答えるわよね……人間としての根拠として引き出すならそれらが妥当よね…‥自分の言動のおかしさにも気づかないでね……」  元は間違いなく人間だった、人間のふりをする機械人形の憐れな姿。  自分のオリジナルが、言い訳のしようもなく左腕から機械を晒しているのに、組み込まれた設定とバッティングを起こして事実誤認を発生させている。  喋れば喋るほどそのボロはいくつも溢れ出し、いっぱい人間としておかしいことを言ったのに、まだ自分を人間だと言おうとする。  そんなプログラム通りに従うオリジナルが可愛くてかわいくて、挙動やシステム動作の一つ一つまでが愛おしくて仕方がない。  思わず人工愛液が、とろっと雫を作り出してしまう。 「あ、あ、碧? どこがおかしいの? 私が言ったことは何もおかしくないのに、おかしくないわ?」  エラーが積み重なり、電子頭脳がダメージを受ける損傷でも起こしたのか、それとも設定通りの言動を稚拙でも実行しようとしているのか。  その機械的な健気さが、さらに碧の倒錯した愛情と加虐心をそそり立てる。   「そこまで言うなら……今からたくさん、葵が機械だって、人間なのはおかしいって証拠を提示してあげるわ。そうする程たくさん快楽信号が発生するから、楽しみにしててね『お姉ちゃん』」      今すぐにでも無数の矛盾点を指摘してあげたいが、それはこの先の快楽への呼び水としてとっておくことにする碧。  皮肉いっぱいに葵を姉と呼び、碧は左肩の人工皮膚の穴に指を滑り込ませ、擦るようにシながら摘む。  人工皮膚への触感でぴくん、ぴくんと気持ちよくなっている葵の姿を楽しみ、己のバッテリーを熱くする。  そして、摘んだ皮膚を思いっきり引っ剥がし、葵の無機質で血の通っていない、腕の形をした機械の集合体を目の前で曝け出させた。


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