都合の良い恋人道具 一話先行公開版
Added 2020-07-14 09:09:29 +0000 UTC人間にそっくりな機械人形、アンドロイドが開発され始め、ついには人間と殆ど見分けのつかない程に性能やデザイン技術が向上した、とある未来の時代。 日本の首都、東京では、大手商業施設や富裕層の間でアンドロイドが使用され始めていった。 人間のように話し、動き、感情を表すアンドロイド達は、まるで新たな家族や伴侶を迎え入れる様に使用されることが多かった。 しかし中には、ただの道具として、人間以下の扱いを向ける者も少なからず存在した。 それから時は流れ、高価ながらも専用ショップや家電量販店にて一般販売が始まっていった。 庶民の手には届かないと思われていた矢先、性能を大きく下げた廉価版や、性行為に特化したセクサロイド等も販売されるようになり、少しずつ一般の手に渡る機会も増えるようになっていった。 しかしその一方で、一般に情報が広まらぬまま、人間の機械化テクノロジーが極秘裏に進められていた。 それは生体脳の情報を電子情報に変換し、全身を人工皮膚、金属骨格、電子部品の集合体へと生まれ変わらせる未知なる新技術。 改造手術から、ナノマシンによる置換法など様々な技法が試され、それらは決して公表されることなく蓄積されていった。 そして、それらは裏の世界から表へと少しずつ流れていき、知らぬ間に日常を侵食し始める。 これは、偶然から機械化技術を手にした者と、その毒牙にかけられた女性の出来事である。 * * * 「ねえ麻里佳、この後パンケーキ食べに行かない?」 「いいね行こ行こ! 課題も心配ないし、今日は気楽って感じ!」 「そういうとこ流石麻里佳よね。んじゃ早速しゅっぱーつ!」 とある大学にて、キャンパスから出る直前に気さくに明るく絡み合いながら、外へと向かっていく二人の女性の姿があった。 一人の名前は武内麻里佳。 お気に入りのコーデに身を包み、美しいセミロングの黒髪を靡かせる、いつまでも見ていたくなるような、誰もが心を奪われる美人女性であった。 服の下から現れる曲線的なボディラインに、そこから強調される大きな乳房。同年代の女性の中ではやや身長も高く、まるで別世界の存在のような人だった。 もう一人の名前は城戸美咲。 麻里佳とよく一緒にいる、ふわふわとしたショートのブラウンヘアがよく似合っている、麻里佳に負けず劣らずの美人である。 どこか童顔な要素を含みつつ溢れる魅力。麻里佳よりも少々身長は低めながらも、同様に引き締まった体型と胸の膨らみを持ち合わせていた。 まさしく寄り添い合う高嶺の花とも言える二人は、勉学に友人達との遊興にと楽しく充実した時間を共に過ごし、順風満帆な人生を過ごしていた。 「お待たせしました。三種のベリーソースとふわふわパンケーキです。こちらがチーズムース付きふわふわパンケーキです。ごゆっくりどうぞ」 綺麗でオシャレな内装の店内でお目当てのパンケーキを迎え、早速スイーツに舌鼓を打つ二人。 ふと二人の話題は、先程メニューを運んできた女性店員へと向けられる。 「うわ美味しい…………よくこんな店見つけたね。私知らなかった」 「最近流れてきたの見て、メニュー見たら良さそうだなーって思ったの。大学からも結構近かったしね」 「美咲の嗅覚っていつもすごいわね……そういえば、ここの店員ってもしかしてアンドロイドかな?」 「えっ、そうなの? 確かに言われてみると……すごいテキパキしてるし、動きもとっても綺麗でしっかりしてるけどって感じだよね」 「私も最初は気づかなかった。あんなに人間そっくりになったんだなーって。しかも見た目素敵だし……」 「あたしもそれ思った。めっちゃ美人だったよね。けど麻里佳には負けるかなー」 計算された人造美人よりもさらに綺麗だと褒められ、思わず頬を赤らめて目を逸らす麻里佳。 「ちょっと、それは言いすぎだって……美咲の方こそ綺麗じゃない」 「そ、そうやってまんまカウンター返すの卑怯でしょー! さ、早くパンケーキ食べようよ」 「言われたらすぐ誤魔化すんだからもう。あ、私の奴少し食べる?」 「食べる食べるー! んじゃあたしのも分けたげるね!」 互いの注文したパンケーキの一部を切り取り、ソースやムースを乗せて渡してあげる。 友達としてそれぞれ大好きな麻里佳と美咲。時に勉強を助け合い、そして思いっきり胸の内を解放して遊び合う。 たまに楽しく裸体を晒して乳繰りあったりもして、とにかく親密な仲を築いてきた二人。 これからも、麻里佳と、美咲との楽しい時間は、大学を出た後も続くような気がしていた。 * * * 「セクサロイドか……こういうの俺も欲しいよな。けどもう少し安くなんねえかなあ」 二人の女子大生が充実した時間を過ごしたその日の夜。 都内のとあるマンションの一室にて、とある男性が携帯端末に写る無数の女体を眺めながら、ぼそりと願望を呟いた。 彼の名前は市原浩次。 彼が見ているのは、セクサロイドを取り扱うアダルトショップの通販ホームページだった。 画面内の情報だけでは、まるで人身売買の闇サイトのような雰囲気も感じられる。 そのうちの一体が稼働するサンプル動画を気まぐれに再生してみると、まるでグラビアのイメージビデオのようなカメラワークで、全裸の女性型アンドロイドが惜しげもなく胸を晒していた。 動作そのものは完全に人間らしく、胸を自ら揉みしだいて喘いでは、画面に向かって自らの陰部を見せつけるように拡げていた。 内側で蠢く膣肉が、まさしく人の形をしたアダルトグッズらしい様相を呈している。 「すげーエロいよなぁ……どっか転がっててくれりゃあいいんだけど、そう都合よくいかねえよなあ。捨てるくらいなら中古で売るだろうし」 ベタにどこかゴミ捨て場や不法投棄されていないかなとも考えるが、常識的に考えてそんなことが起こるとは到底思えない。 しかし性欲は溜まっていくばかり。自分専用の人型オナホールが出来ないかなと考える程に、内なる性欲が燃え上がっていく。 一個だけ女性器ユニット単体を購入しているが、今日はそれを使う気分でもない。 今は女体の感触を全身で感じたい気分なのだ。 「はぁ……気分転換に散歩すっか。帰りに入浴剤でも買っとくか」 こんな気分で自慰しても、スッキリはしても疲れるだけだなと考え、浩次は財布と鍵と携帯端末をを持って、軽く外出していった。 「今は曇りの方がいいな。そこそこ涼しいし」 輝く星も見えない曇りの夜空。道に吹く夜風が、気怠い気分の身体を癒やしてくれる。 ノープランの散歩ながら、ちょっとした晴れやかな気分になり始めていたその時、ふと建物同士の隙間の暗闇から、手招きする黒服黒髪の美女の姿を見かけた。 目線と手の位置からして、明らかに自分の方へと向いている。 「ん、俺か?」 女性は、今立っている場所に似つかわしくない、不気味なくらいに明るく晴れやかな笑顔を見せながら、こくりと肯定の意味で首を縦に振った。 浩次はその不思議な魅力に引き寄せられ、ふらりと足を立ち入れた。 「俺に何か用か? 初対面だろ?」 「はい。私の誘いを受けていただいてありがとうございます」 女性の声は、まるで公共機関のアナウンスのようにいやに丁寧で、どこか人間らしさが欠けている。 これまた場所の雰囲気に合っておらず、一体何者なのか余計怪しくなってきた。 「ここで会話を続けるのはやや気がひけるので、こちらへ移動しましょう。怪しく思われるでしょうが、決して危害を加えるつもりはありませんよ」 自分が怪しいと自覚している言葉に、まあそうだろうなと思いながら、浩次はそのまま女性の後ろをついていった。 まるで百貨店の案内嬢のような綺麗な足取りで、じめじめとした狭い暗がりを歩いていく女性。 そして、途中で右側に曲がり、浩次も同様にそれについていく。 すると、そこには小さな四角形のスペースが存在していた。 相変わらず明かりも何もなく、周囲には小さな木箱がいくつか並んでいるようにも見える。 何かが転がっているようにも見えるが、暗くてよくわからない。 「私の後をついていただきありがとうございます。突然ですが、貴方はセクサロイドが欲しいと思ったりはしませんか?」 その言葉に、一瞬浩次は息を呑んだ。 家でぼそりと呟いた願望を聞かれてしまったのか。そう考えたが、いくらなんでもただの偶然だろう。 浩次は平常心を整えて返答した。 「まあな。けど結構高いし、手が出ないっつうかな」 「やはりそうですよね。中古品といえども、アンドロイドやセクサロイドは未だ気軽に手を出すにはまだまだ至りませんよね。そこで! 私から本物の人間をアンドロイドへと変換できてしまうアイテムを提供したいのです」 都市伝説としてはたまに耳にしたことのある、人間を機械化し、アンドロイドとしての長所をそのまま人間が享受しようという研究がなされているという噂話。 しかしそのどれもが荒唐無稽であり、話のネタにはなるが到底信じられるようなものでは無かった。 それを目の前の女性は本気で言っているのだろうか。 バカバカしくなり始めた所で、女性がその空気を察したのかぐいっと近づいてきた。 「与太話や都市伝説と感じられてしまうのは無理もありません。しかしこれは紛れもない事実であり、貴方はそのテスターとして選ばれたのです。只今から、その実例をお見せしますので少々お待ち下さい」 そう言って女性は、まるで示し合わせたかのように木箱の後ろへと移動し、わずかに姿を現していた何かを掴み引っ張り出した。 彼女が目の前まで運んできたのは、目をつむり眠っているようにも見える一人の若い女性だった。 「彼女は現在、私達のあるテクノロジーによって深い眠りについております。彼女は間違いなく人間ですので、どうぞ間近でご確認ください」 なんだかまずい世界に一歩踏み出しているような気分になる浩次。 言われた通りに、眠っている女性の側まで近づき、恐る恐る触れてみると、柔らかな肌の感触と小さな寝息が肌に伝わってきた。 可愛らしい容姿も相まって、胸の鼓動が高鳴ってくる。 「確かに人間だけど……それがどうしたんだよ」 「彼女の名前は友梨佳と言います。彼女はこれまで、男女問わず様々な人物を騙し、金品を強奪しては居場所を変え、遊興や薬物に手を出してきました。私達はそんな彼女はテスト材料に相応しいと認定し、身柄を確保し昏睡状態に至らしめたというわけです」 まるで当然のように物騒なことを言ってのける女性。 その手元には、病院やドキュメンタリーで見るようなそれとはやや形状の違う、注射器らしき道具があった。 「では、これから彼女を目覚めさせ、この人体変換器を使用して機械の身体へと作り変えます。なお、この商品の名称は未定なので、人体変換器のまま呼称しております」 重要なのかもわからない説明を加えた後、女性の目の奥が二度点滅した。 すると、友梨佳はゆっくりと気怠そうに目を覚まし、身体を起き上がらせた。 「うう…………う、あれ…………ここどこなの……? あたしは確か、なんか気持ち悪い女に絡まれて、それで……」 「おはようございます、友梨佳様。それではこれから変換作業へと移行しますので、暫しお待ち下さい」 ようやく意識がはっきりし始めたその時、ぐっと人間以上の力で腕が握られた。 意識は瞬時に覚醒し、そのいやに丁寧な声がした方へ視線を向けると、突如自分に絡んできた女性の姿が目に入った。 「な、なんだよてめぇ!? あたしに何しようってんだよコラ!!」 「本来は血管に向けて注射するのが最も効率が良いのですが、原則的にはどの位置から注射していただいても構いません。注射箇所から最も近い血管へと移動し、自動で変換作業を実行致します」 必死に暴れる友梨佳を物ともせず、淡々と浩次に向けて商品説明を行う女性。 固定した腕に人体変換器をくっつけると、本体が接着場所を検知して固定。即座に注射準備が整えられた。 そして、一切の容赦なしに注射針が差し込まれ、体内へナノマシンが注ぎ込まれていった。 「痛っ! なんだこれ!? あんた何あたしに打とうとしてんだよ!? ヤクの類いじゃねえよな!? 下手なヤクなんか打ちやがったら、あたしの仲間を呼んで…………」 一瞬の痛みに怯みながらも反抗の意思を崩さず、睨みつけながらひたすら喚き散らす友梨佳。 自身のバックの存在をチラつかせて脅そうとしたその時、友梨佳の表情は魂が抜けたように消え失せ、大声もしゅんと静かになった。 注射を終えた人体変換器を取り外した後も、右腕は浮いたまま動かない。 まるで時間が止まったように硬直したと思った直後、友梨佳の身体がびくっ、ぴくっ、と小さく不規則な痙攣を発生させた。 「あ、あ、ああ……あたし、い、いった、い何を考えて、て……あたしは、あたしは、変換開始されています…………あたしいま、なにをい、ったの?? いや、いや……」 人間が喋るに言葉にしては、いささか不自然な切れ目が生まれている彼女の言動。 誰も手を出していないのに、怯える姿が二人の視界に写る。 そして、友梨佳は感情が乗せられていないような、恐怖が詰まった声が入り混じったような、その両方がぐちゃぐちゃになったような呻き声を上げながら、かくかくと痙攣を起こし始めた。 「これ……本当に大丈夫なのか?」 「はい。変化時に発生する異変や、進行上には個人差がありますが、基本的にはその後の状態への問題はありません」 涙を流し、唾液すらこぼしながら震えている姿にも笑顔で答えてみせる女性。 やや引き気味にその光景を眺めていると、友梨佳の痙攣は次第に収まり、声もだんだん落ち着きを取り戻した。 人間的な振動からまるで電化製品のような振動へと変わり、落ち着きを取り戻すと同時に友梨佳はゆっくりと立ち上がった。 そして、先程までの彼女からは考えられないくらいに丁寧かつ綺麗な動作で二人の方を向く。 彼女の表情には感情が感じられず、まるで画面越しに見る造られたばかりのアンドロイドのようだった。 「生体脳の変換作業、及び表皮、四肢、心臓部の変換作業が終了しました。全身の変換作業終了まで、残り2分14秒を予定しております。もうしばらくお待ち下さい」 まるで公共機関のシステムメッセージのような丁寧なメッセージ。 友梨佳の注射前の振る舞いを見ていると、そんな行儀良い仕草が出来るとは到底思えない。 本当に変わってしまったのかと思った所で、女性がそれを察したかのように肩を叩き、左手をマネキンのように立つ友梨佳に向ける。 「どうぞ、間近でご確認ください。変換作業中なので、体内に生体部分はまだ残されていますが、現在の彼女はアンドロイドと全く遜色ありません。外皮や眼球、歯、眼、唇、頭髪に至るまで全て生まれ変わっております」 あまりにも出来すぎたやり取りに、勧誘の仕込みなのではと思えてくる だが、友梨佳の身体は先程直に確認したし、間違いなく生きた人間のそれだった。 浩次はこれまた言われた通りに近づき、改めて彼女の身体を確認した。 生物だった頃の分泌液の痕残る、友梨佳の顔には、わずかに存在していたシミや産毛の類は一切なくなっており、肌や唇の感触も、人らしいそれっぽさを残しながらも樹脂的な肌触りが生まれていた。 唇を開いて歯を剥き出しにすると、まるで造られたばかりのように真っ白な歯へと生まれ変わっており、生物的なニオイは消え失せていた。 眼球は触れると柔らかさは一切失われており、瞳の奥には忙しなく動作するレンズが、目の前の男を捉えようと収縮を繰り返している。 人間ならば眼球を触れられれば、痛いや染みるといったリアクションは起こすはずだが、そんな反射的な反応すら起こさない。 浩次が指を離すと、彼女の眼球には指紋が残った。 「どうですか? 見事に機械化なされてるでしょう?」 「マジかよ……こんなの夢としか思えねえ」 「こちらの人体変換器を、貴方様にオススメの人物データを乗せて、格安で提供させた頂きます。欲しがっていたセクサロイドを、それまでに培われた人生経験と天然の女体の素材と共に、どうぞお楽しみください」 眼の前で起こった実演に度肝を抜かれた浩次は、人体変換器入りの布袋をそのまま手渡された。 思わず放心状態になってしまったが、提示された金額を流されるままにとりあえず芝ラウ。 展開の目まぐるしさに少々戸惑いながらもそれを受け取った後、女性は丁寧に頭を下げた。 「操作方法は、変換成功した機体が説明してくれますが、もしお困りの場合は、直接私にメッセージをお送りいただいても構いません。私の名前はアミラと申します。これからもよろしくお願いします」 「あ、ああ……よろしくお願いします」 やや強引に話を進められながらも、浩次はとりあえず同じように頭を下げ、そのまま去っていった。 手元の携帯端末に眼をやると、いつの間に送信されていたのか、アミラと名乗った女性の連絡先と説明書と称したファイルがダウンロードされていた。 一瞬後方を向くと、仮面のようなアミラの笑顔がじっとこちらを見続けている。 今は何も言わずに去っていこうと、浩次は結局帰路についていった。 彼の姿が見えなくなった所で、アミラはずっと展示品のように動かず待機している友梨佳に近づく。 「さあ友梨佳さん。機械化自体はもう完了しているみたいですね。これから私共のアシスタントとして稼働してもらいますから、よろしくお願いしますね」 「かしこまりました、アミラ様。どうぞ、私をご自由に使用してください」 「基本人格をデフォルトとして設定したとはいえ、やはり元人間らしさはこれだと抜け落ちますね。一旦帰投した後で、設定を加えましょう」 アミラはねっとりとした手付きで友梨佳の頬を撫でながら、道具を吟味するように彼女の腕を覗く。 「注射後もしっかり消えてますね。デザインとしてはこの方がいいですけど……その辺りの運用は後で考えましょう」 まるで買ったばかりの玩具に向けるような感想を元人間にぶつけるアミラ。 友梨佳はそれに対して一切の抵抗も嫌悪感も向けることなく、ずっと無表情でその瞳のカメラに主人を捉え続けていた。 * * * 「もうこんな時間かぁ。美咲とのカラオケ楽しみすぎちゃったな」 ある日の人通りすら少なくなり始めた都内の夜。 麻里佳は美咲と二人きりのカラオケを思う存分楽しんだ後、電車を乗り継ぎ自宅へと向かっていった。 好きな曲を二人で歌い、他愛ない話で盛り上がりながら、存分に二人だけの空間を楽しむ、激しいながらも華やかで気持ちいい時間。 外に出ればなんだか魔法が解けたような気分。しかしどこかスッキリしている。 電車を降りて改札を通り抜け、麻里佳は一人で自宅のマンションへ歩いていく。 「明日は講義ないし、どうしよっかな。美咲はバイトあるって言ってたから、ちょっと寂しいなぁ。どこかに行って色々見て回ろっかな。それから自習って感じで……」 周囲に誰もいない一人の時間は、思考を口に出しても何も恥ずかしくない。 美咲のいない時間をどう過ごそうかと考えながら歩いているうちに、麻里佳の足はやや街灯の間隔が大きく、建物も少ない場所へと入っていく。 不安の残る道だが、その区間自体は短い為に気にしたことはない。 「そういえば、美咲アレ面白いって言ってたなあ。帰ったらそれ見て……きゃあっ!?」 この日も危険を考えること無く、歩いていたその時、暗がりの中から何者かに腕を掴まれ、強引に腕を引っ張り込まれた。 突然の事態に頭が混乱している。しかし、その連れ込まれた先に見知らぬ男が、何かを握っていた姿をぼんやりと目にした瞬間、麻里佳は力を振り絞って腕を振りほどこうとした。 「動くんじゃねえ!」 「いやっ! 離して……んんん!! あうっ!」 男の力は強く、一度拘束が揺らいだものの、すぐに建て直された。 そして、再度身体を引っ張られ、口を抑えられた直後、首元に見たこともない注射のような何かを押し付けられた。 針に刺されたような痛みが走り、思わず声を上げる麻里佳。 だがその隙になんとか踏ん張り、男を押しのけることに成功した。 注射と一緒に麻里佳から離れる男。その中身は半分程注入し終わっていた。 「全部入れる前に離れられちまった……チッ」 「貴方一体誰!? いきなり襲いかかって、信じらんない!!」 当然ながら印象は最悪。見ず知らずの者が襲いかかってくるなど通り魔以外の何者でもない。 麻里佳は嫌悪感を剥き出しにした剣幕で罵倒しながら、バッグから携帯端末を取り出した。 「警察呼ぶから、あんたみたいな犯罪者、とっとと刑務所に入ってよね。ったくもう、せっかくの美咲との時間が台無しじゃない……」 「そうはさせるか……いってぇ!」 なんとか通報を辞めさせようと立ち上がったが、麻里佳に爪先で脛を蹴られ、尻もちをつきつつ悶絶する浩次。 万事休すかと思われたその時、麻里佳の表情に大きな焦りが現れ始めた。 「え、なんで……なんでタップできないのよ……?」 麻里佳が通報しようと指を動かすが、なぜか彼女の右手は、画面の上でぴたっと止まって動かなかった。 それはどうやら自分でも予想外らしく、戸惑いの表情が隠せずにいた。 一体どういうことなのか。と考えた直後、浩次は注入したナノマシンが作用しているのではと考えた。 もしそうであれば、既に彼女の脳内では機械化が進行している。未だ普通に動けているのは、満量分の注射が出来ていなかったからだ。 浩次は再び立ち上がり近づいていくと、麻里佳は侮蔑の瞳で睨みつけた。 「来ないでよ変態! そこから近づいたら、大声で助けを呼ぶから!」 「やれるもんならやってみればいいだろ」 「だったら………………あれ……?」 麻里佳は誰か助けて、襲われそうなんです。と、建物の隙間も超えて聞こえさせるくらいの気持ちで、腹から声を出して叫んだ。つもりだった。 しかし実際には、彼女の口からはかすれ声一つすらあげられていない。 ただ口を、言葉通りにぱくぱく動かしているだけで、まるで音声を切られた人形のよう。 そんなことに戸惑っているうちに目の前まで近づかれ、逃げようとするも、今度は手足も動かなくなっていた。 「どうして、手も足も動かない……! いや、来ないでよ! 近づかないで!!」 「やっぱりか。もう機械化が進行してるんだな。それで、俺に抵抗できないようにって組み替えられてる感じか。んじゃあ遠慮なく」 「触らないでよ! 力が入らな………ああっ……」 もう一度人体の急所を狙って攻撃しようとするが、なぜか手足も動かない。せめて近づけられる両腕を弾こうとしても、抵抗すらできない。 まるで催眠術でもかけられたかのように身体の自由が突然効かなくなってしまった。 恐怖の感情が彼女を埋め尽くしながらも、されるがままに身体を明け渡す麻里佳。 そして、人体変換器に残ったナノマシンを全て注入し、準備が整った。 直後、力が抜けたように麻里佳は仰向けに倒れ、瞳に宿った光が消え失せる。 「いや、あ、身体が動かな……頭の中がぐるぐるして、な、何したのよ…………」 自分の意思では全身を動かせず、脳内には意味不明な記号や数字の羅列、自分の頭の中なのに自分ではないような思考が入り乱れる。 「何が起き、おきて、おきて、私は、私は任意の所有者に、所有者?? 何を言ってててて」 現在人間を対象とした加害行為は禁止されています。何を考えているの? これは何?? 私も人間じゃない人間を対象にってどういうことですか? 回答を要求。現在の頭部変換率は79%。変換率?? 理解できない。該当するデータがありません。私は何を考え、これじゃ私機械みたいに機械みたいに、私は機械となって、機械になるってどういうこと? 脳内情報の電磁情報化に伴い、人格データの作成を実行。使用者に配慮し、人格データのコピーを作成。個人情報を元に、名称を武内麻里佳02と設定。わたしの思考が不自然になっています?? 不明不明不明不明不明、予期された不具合を確認。デバッグを施し再調整を行います。武内麻里佳01の最適化及び自己認識の適用を実行。武内麻里佳01の自己認識を人間として設定。内臓部の分解、並びに再構成を開始。骨格の変換率56%。デフォルトの人格設定を基本人格に設定。最適化終了。人格エミュレートは正常に実行可能です。変換終了まで、残り2分12秒。 「あの時もそうだったけど、マジで大丈夫なのか不安になるなこれ……」 鮮明かつ複雑な、0と1の思考が脳内に入り乱れている最中、麻里佳の身体は目を見開き、口をぽかんを開いた状態で、かくんかくんと全身を規則的に痙攣させる。 上半身、肩、腕、腹部、下半身、足と、順番に魂が抜けたように弛緩を始めた後、ゆっくりとピンと張った状態が取り戻される。 それと同時に、彼女のさらされた肌や瞳の材質が変化し、人間らしさを保ったままに美しい機械人形らしさが付加されていった。 そして、麻里佳の口が閉じられると、視線は空の方向を向いたまま、小さい音量で言葉を発し始める。 「武内麻里佳の変換作業が終了しました。これより、アプリのインストール及び、アプリ登録の為のコード発行を行います。携帯端末の無線接続をONにし、自動送信されるアプリを受信してください」 先ほどまで心の底からの嫌悪と侮蔑を示していた女性とは思えないような、同じ声で発される淡々としたアナウンス。 誰に向けているのかもわからないが、おそらくは変換器使用者に向けたものであろうメッセージを受けて、浩次はその通りに携帯端末を操作し、アプリをダウンロード。 登録コード入力の項目を起動し、入力準備を整えた。 「登録コードをお伝えします。登録コード:G@D25T93F。もう一度お聞きしたい場合は、入力画面にある登録コード再生をタップしてください」 「口頭説明じゃ面倒だな……」 浩次はニ回登録コードを喋らせ、麻里佳は命令通りに同じ言葉を二度発し、ようやく入力信号を受信した。 「登録コードの入力を確認しました。これにより、登録名、武内麻里佳の所有者は貴方となります。再起動後、基本人格をデフォルトとして稼働しますので、それ以降の設定は貴方自身の手でお願い致します。現在所有者名が登録されていない為、所有者への呼称は『マスター』となります。携帯端末に登録された情報を元に、所有者情報を入力しますか?」 「ああ、それで頼む」 「かしこまりました。所有者情報を登録。所有者の名前は『市原 浩次』でよろしいですか?」 つらつらと丁寧かつ明瞭に喋りつつける麻里佳だが、彼女はずっと仰向けの姿勢を崩さず、瞬き一つすらしていない。 浩次はぶつけられる初期設定に一つ一つ付き合い、ようやくそれを終了した。 「初期設定を終了しました。それでは再起動を行います。かつて人間だったロボット、武内麻里佳を自由にご使用ください」 従属的な台詞をこぼした後、麻里佳の瞳はライトの光が消えたように輝きを失った。 それから十秒ほど経過したところで、再び光が取り戻されていく。 とても静かな場所でようやく聞こえるかというくらいの、微小な機械音を身体から鳴らし、二回ほど瞬きをすると、麻里佳は反動も無くゆっくりと上半身を起き上がらせ立ち上がった。 背中や尻についた土埃を軽く払い、虚ろな瞳を浩次に向けると、とてと丁寧な挙動で一礼を向けた。 「再起動が完了しました。改めて、はじめまして浩次様。私の名称は武内麻里佳です。現在基本人格で起動していますので、本来の人格を楽しみたい場合は、アプリから人格データを選択し、人格エミュレートを起動してください」 あくまで自身を製品、所有者に使われる道具として定義し、丁寧に仕様を説明する。 こんな美人で扇情的な体型の女子大生が、簡単に自分だけの機械人形になってしまうとは。 今すぐにでも使ってみたいが、自分の家までは少々移動する必要がある。 「よし、それじゃあお前の家まで案内してもらおうか、麻里佳」 「かしこまりました、浩次様。記憶データからの情報を元に、私の自宅へ案内します。鍵は私が所持していますのでご安心ください」 つい先程まで、襲われる、助けて、変態と言うまでに罵倒し、拒絶した相手を自宅に連れて行くことに、なんら抵抗も抱いていない。 それどころか、彼女の電子頭脳はそれが当然のことだと思考している。 麻里佳は命令通りに移動を開始し、夜風を瞬きの無い無機物の眼球に浴びながら、無表情を保ち続けた。 その後ろで浩次は、一体どんなことをしようかと、まだどこか吹っ切れていない、戸惑いが残っている感情のままにこの先の妄想を進めていた。 * * * 初めて自宅に男性を招き入れた麻里佳。 彼女の自宅はきっちりと整理整頓されており、さっぱりとした綺麗な見た目をしつつも、所々に可愛らしいクッションやぬいぐるみのようなワンポイントが施された、本人の魅力が映し出されたような部屋だった。 浩次は家主よりも真っ先にベッドの上に座り込み、足を休めた。 そんな所有者の姿を、麻里佳は文句一つ言わずじっとそのレンズに姿を写し出す。 「記憶データから参照された情報から、私の自宅の構成を紹介し」 「そういうのはいいからさ、お前ってセックスはできるよな? 女一人を材料に使ったんだし」 「はい、可能です。私に使用された人体変換器は、セクサロイド仕様に改造するようにプログラムされていますので、私の機能は充実した性行為を保証します」 浩次は、自宅に招き入れた主人への説明をしようとするロボットの言葉を遮り、今まで溜まっていた性欲を早く吐き出したいとばかりに急かした。 麻里佳はそれを全面的に受け入れ、自らの仕様を説明しながら、身につけていた衣服を全て脱ぎ始めた。 下着まで取り去ると、そこには人間の頃から素晴らしい色気と造形美を放っていた女体が姿を現した。 首から下の毛は、アンダーヘアを含めて全て排除されており、樹脂製となった皮膚の肌触りを完璧に味わえるようになっていた。 麻里佳はベッドの上に移動し、再び仰向けの姿勢となり、所有者を受け入れる体勢を整えた。 「どうぞ、浩次様。私の女性器ユニットはいつでも男性器を受け入れることが出来ます。挿入前に微量の人工愛液を分泌しますので、快適な行為を存分に体験可能です」 その姿からは、どこにも先程の抵抗の意思が感じられない。麻里佳はそんな自身を襲ってきた男に身体を開放しようとしているが、彼女の電子頭脳は、それを所有者であるなら当然のこととして受け止めていた。 浩次は興奮のままに衣服を脱ぎ、強く勃ち上がった一物を晒す。 人工的な温かさを感じる身体に自身を寄せると、間近でしかほぼ知覚することのできない、うっすらとした継ぎ目が確認できた。 その線は、首、腕、鳩尾、両脚付け根、そして割れ目の周囲に見受けられる。 それはつまり、その部位は着脱可能ということなのだ。 このセクサロイドを使った遊びがいくつも浮かび上がるが、まずはこいつの具合を確かめたいと、浩次は濡らされた膣部に男性器を挿入し、生まれ変わった膣肉の感触を味わい始めた。 「なんかぬるいけど、こんなに柔らけえんだな……うっ…………こいつ、いきなり締め付けてきて…………うっ…………」 「申し訳ありません、浩次様。現在私の膣内は体温調節を実行しており、まだ人間時代の膣内温度が再現されたわけではありません。しかし、女性器ユニットの稼働は問題なく可能ですので、どうぞ、私の膣内の感触をお楽しみください。人間時の構造や感触をほぼそのままに、セクサロイド仕様による機能の拡張を行っております」 元人間なのに、それよりも低い膣内温度。それでいて偽物になった肉は肉棒に淫靡に絡みつき、性感帯を刺激していく。 処女なのに電子頭脳内に組み込まれたテクニックによって、まるで男性の気持ちよさを理解しているかのように肉壷を動かしていく。 その動作は人間ができるものではなく、非人間的な快楽が生まれていた。 「現在人工愛液を排出中です。浩次様の男性器から与えられる刺激によって快楽信号が発生し、それを処理することによって、肉体的反応が発生しています。私の人工愛液は、人間の体液とは違い無味無臭ですが、性行為に用いるローションとしては極上の品質が保証されておりますので、どうぞお楽しみください」 男性器と女性器ユニットが、前後し擦れ合う度に、少しずつ人工愛液が分泌され、絡み合っていく。 愛液と空気が混ざり、生殖器同士が動くことで、ぐちゅ、ずちゅ、と淫猥な音が部屋の中に響く。 過去にそのような音は麻里佳の部屋で鳴らされたこと一度として無かった。 浩次が荒い声を出している一方で、麻里佳は電子頭脳内で連続して快楽信号を受信しながら、自身の性的仕様を無表情で淡々と説明し続ける。 「尚、私の女性器ユニットが気に入らない、または別の感触を楽しみたい場合は、アプリ側の操作によって取り外すことが可能です。私に対応した女性器ユニットを装着すれば、それを私のものとして操作可能です。また、一度接続された女性器ユニットとは無線接続されておりますので、電動オナホールのように使用することも可能です。浩次様のアイデアで、私の身体をご自由に使用してください」 未来で愛する誰かに捧げるはずだった自分の大切な器官を、初対面の男に玩具として自らの口から説明する麻里佳。 女子大生のままで固定された膣が、所有者と登録された男を気持ちよくするためだけに蠢きうねっていく。 「私のパーソナリティは、手元のアプリからご自由に変更可能です。自由に思い描かれた使用法を適用し、快適に私を使用してください」 声の調子を殆ど変えないまま、女性器ユニットを動作させる麻里佳。 浩次はそんな彼女の身体の気持ちよさに存分に溺れ、時折腰を振っては、大きな二つの乳房を揉みしだき、柔らかな感触を手に強く感じている。 時折キスを交わしては、舌を絡めて無味無臭の体液の味を感じ取り、気分を跳ね上げる。 元人間の具合はこんなにも最高なのか。元々人間同士のセックスが気持ちいいものなら、それを殆ど保持したままセクサロイドになったのだから気持ちよくないわけがない。 浩次の気分はさらに上昇していき、もう間もなく射精の前段階に入っていった。 「男性器の状態変化を検知しました。私の女性器は全て無機物として変換された為、妊娠のご心配はありません」 セクサロイド仕様なだけあって、膣肉内のセンサーで敏感に対象の状態を感じ取り、性行為の段階を進めていく麻里佳。 放出される精液を受け止める為に子宮口が開放され、子を産む機能を失った子宮ユニットが、ピンク色の内壁を晒しながら待ち構える。 「私は子宮こそ備わっていますが、妊娠することはなく、体液補充のアクセサリーとして実装されています。私、武内麻里佳の子宮をそのまま変換している為、まるで人間のような感触を楽しむことも可能です。どうぞ、存分に注ぎ込んでください」 基本人格が、自身を人間ではなく元人間だと扱い、道具らしく振る舞う。 内壁はラストスパートを進める為、女性器ユニットの動作をさらに優しくかつ包み込むように動かして、射精を煽っていく。 「うっ! ああっ…………ぐっ……は……ぁ……っ…………お前の膣内に、全部出してやるからな…………受け止めろよ……! ううっ…………」 「かしこまりました」 浩次は自分の記憶にもないような声を上げ、未体験の気持ちよさを感じながら絶頂に達し、どくどくとその肉壷に白濁液を注いでいった。 麻里佳の生殖器はそれを検知し、内壁に付着したそれを人工愛液と一緒にそれを奥へ奥へと移動させていく。 精液は開かれた子宮口から直接撃ち込まれ、瞬く間にピンク色の子袋は満たされていった。 本来はそのような用途では決してない大切な器官が、ただの性玩具として消費されていく。 しかし麻里佳は、それを当然のこととして認識し、無表情のまま小さくぷるぷると震えていた。 「遺伝子情報を取得しました。浩次様の個人情報として登録します。ありがとうございます浩次様。基本人格の為、快楽信号に基づく反応は反映されませんが、快感を覚える基準値に達していました。とても気持ちよかったです」 淡々と気持ちよかったという報告を所有者に伝える麻里佳。 人間的でない、非常に機械的な報告を耳にする浩次は、その女体の気持ちよさに浸った状態で殆ど耳に入っていなかったが、気持ちよかったという部分ははっきりと認識した。 ぐったりと柔らかな女体に沈み込む中で、ふと抱いた疑問を口にする。 「はぁ……はぁ…………なあ麻里佳……お前、俺が射精した奴はどうすんだ……?」 「はい。子宮ユニット含め、女性器ユニットは私自身の手で洗浄致します。ご希望であれば、所有者の手による洗浄も可能ですが、デフォルト設定では私自身が行います」 飛び散った汗が眼球に付着していても拭うことすらせず、眼を開いたまま無感情に説明している。 面倒事は全て自分でやってくれる上に、何もかもが自分の思い通りで従順に命令に從ってくれるセクサロイドとは、なんとあまりにも都合の良い存在か。 これが先程まで、あんなに抵抗し通報までしようとしていた、怒りの形相の女子大生と同一とはとても思えない。 あんなに敵対感情を剥き出しにしていた娘が、今では人間の下につくセクサロイド。 性行為用アンドロイドが欲しいとは思っていたが、まさかこんな最高な形で手に入れられるとは夢にも思ってなかった。 浩次はしばらくの間、麻里佳の身体に沈み込んだまま、リラックスして女体の感触を楽しんだ。 「麻里佳、俺はもう少しこうしたら、シャワー浴びるから、お前はそこで待機しとけよ」 「かしこまりました、浩次様。身体の洗浄はご一緒に行いますか」 「そんなことまでしてくれんのか……いや、今回はいい」 「かしこまりました」 セクサロイドどころか、自分専用の都合のいい、良すぎる女が手に入ったのではないか。 まだ完全な実感こそ湧いていないが、浩次は今この時を存分に堪能し、人工皮膚と乳房の柔らかな感触を脳に刻み込んでいった。 こうして、一人の男と機械化した女性の生活が幕を開けたのであった。