前回の流れはこちらから見れます。
太郎が城内に侵入するかどうかの時間帯。
門番にきっちり許可を得た健ちゃんは、堂々と正門から入り、花魁を意識して、しゃなりしゃなりと美しく歩いていきました。さりげなく腰を振るのがミソ、と言わんばかりの華麗な歩き方でした。
さすがに夜だけあって、城内に人影はほとんどなく、たまにどこかから「ごめんなさい、いやこちらこそごめんなさい」とかいう声が聞こえてくる程度です。
(ふふふ…このまま道に迷ったふりでもして、殿様の寝ている部屋を探そう…案外、ボクがやっつけちゃうかも)
そんな時でした。
うらめしい…うらめしいいぃぃぃいい・・・・・・・・・・・・。
顔が引きつります。
声は不気味なほど甲高く、そしてか細いものでしたが、そこから漏れ出る気迫は真逆…声だけで殺せる、と言われても信じてしまうほどの、圧を感じました。
そして声の主は、隠れる気もないのか、暗がりから、ひた…ひた…と音を立てて、まっすぐこちらに向かってきます。それも、真正面から。
「…どなた?」
やばい――。
そんな思いに心臓が早まりますが、健ちゃんは決して表に出さぬよう、あえて笑って聞きました。
その声に反応してか、相手はその正体を、窓の月明りにさらけ出します。
「うらめしい…貧乳女め。憎い…貧乳、憎い…!!!」
「…ひどく失礼でありんすえ」
ていうか普通、逆じゃない?
貧乳が憎いと仰せの彼女は、いっそ全裸の方が恥ずかしくないんじゃないかと言うような吊りパン一丁で現れたのです。
だからこそわかります、おっぱい大きい。すごく、大きいです。
なんならスタイルも良いし、こんな風に憎しみにさえ染まっていなければ、美人なんじゃないか、という風貌。
何が彼女を、こうしてしまったのか――。
「胸の小さい人に、何か恨みでもありんす?」
「うるさい、貧乳ごときが喋るな…あぁ憎い、憎い…!」
もう、お話をする気もないようです。それどころか突如として構え始め、すぅ、と息を吸いました。
「…我が名は殿守護神三人衆が一人、乳女ん(にゅうめん)なり。お主個人に恨みはない。強いて言えば、貴様の胸の小ささを、恨め」
「…それは、どういう――」
返そうとした刹那、乳女んの目がギラリと輝き、凄まじい速度で襲い掛かってきました。
寸でのところでかわした健ちゃん。毎日、猫ちゃんと追いかけっこをしていなければ、今ので即死だったでしょう。
後ろでは、初手をかわされたことなどまるで気にしていない乳女んがすぐに体制を整え、もうこちらを見ています。
「――ッ!」
来る! ――そう思っていました。
が、乳女んは目を見開き、そのまま固まっていました。何だろう、と思っていましたが、答えが出ました。
カツラが取れたのです。
「しまっ――」
もともと長髪なので、女だと言えば信じてくれるかも知れません。が、貧乳を毛嫌いしているので、ここで『実は男だ』と言えばこの場はしのげるかも知れませんが、門番の話と食い違えばどうなることやら。
「なんだ、そのカツラは…? お前、何か隠しているのか――?」
一瞬で冷静さを取り戻した乳女ん。さすが殿を守護する要人です。
健ちゃんは考えました、そして、――。
どう答えたでしょう?(笑)
しょっち@気ままにやってきます
2022-05-08 10:10:13 +0000 UTCしょっち@気ままにやってきます
2022-05-08 10:09:01 +0000 UTC藤原妹紅
2022-05-07 16:30:29 +0000 UTCrikuruhu
2022-05-07 12:16:46 +0000 UTC