前回までの流れはこちらから見れます。
「た、大変失礼しました…ボクは、旅の僧侶をしております、リオと言うものです」
リオと名乗ったその少年は、何か、あの、全体的に青いというか、空色というか、そんな感じの色でした。
見ているだけで癒されそうなブルーカラーのリオ君は、あろうことかそのまま両手を折り畳み、膝立ちして精いっぱいの謝罪をしてくれました。
もうなんか、普通にこちらが悪ものです。
「いやその、ごめんニャ…普通窓から入ってきたら、ビックリするニャ…」
申し訳なさで胸がいっぱいになりつつ、ひとまず返事。そして、彼は悩みます。
(ちょっと待つニャ…これ名乗らないといけないヤツニャ…! どうするニャ、僕一応殿様の命狙ってるニャ!?)
自ら名乗り出る暗殺など、言っちゃなんですがアホです。
口の堅い近藤さんならともかく、彼はどういう存在なのか全くわかりません。
「いえ、窓も開け閉めが出来る以上は出入りも出来る…今、そう学びました…!」
やば、メッチャ素直な子です。
もう多分、普通に「あ、彼は窓から入ってきた猫乃進という方ですよ」なんて、悪気もなく純粋に答えてしまいそうです。
しかし、ウソもいけません。『黙ってて欲しいニャ』というのも、怪しいものです。
さて、どうするか?
「ぼ、僕は…えっと、その……」
もじもじしていると、リオ君は気が付いたように『あ』と小さく声を出しました。
「まさか、あなたは懺悔をご希望の方…? それなら名を名乗ることも、本来であれば顔を出すこともはばかられるはず。重ねて申し訳ありません、そちらの名乗りは結構です」
相手が僧侶であることに、これほど救われたことはありません。
猫ちゃんはホッと一息ついて、『それじゃぁ』と立ち去ろうとした、その時です。
「――迷える子羊よ。本日はどのような懺悔ですか? 神の前には皆平等、神の前には全てが光の下と知りなさい。神は全てを見聞きし、全てをお許しになるでしょう」
懺悔が始まりました。
しかもその声には、ちょっと逆らえない何かすごい力のようなものを感じます。気が付かないうちに呼吸を忘れ、すぅっと力が抜けていきました。
「……実は神様、僕、殿様のことをやっつけようと思っているニャ…」
「なるほど…悪政に耐えかねての反乱ですか?」
「そうニャ。もうみんな、まともな生活が出来ていないニャ……」
「そうでしたか……しかし、争いから生まれるものはさらなる争い。考え方を変えてみてはいかがでしょう? たとえば――」
そんな懺悔が終わるころには、猫ちゃんは完全に心が晴れやかになってしまっていました。
「ニャ…気持ちいいニャぁ……」
「お役に立てて何よりです」
それでは、と踵を返してトコトコ歩き去るリオ君の背を見ながら、猫ちゃんは考えました。
「あぁ、このまま帰れたらどんニャにいいだろう……」
いっそ、止めてしまおうか――。多分誰も責めやしない、他の2人に任せて、自分は命を奪うなどという愚かな行為などせずに、ただ生きていければいいのかも。
そう思った時、猫ちゃんの脳裏に、あるものが浮かびました。
「でも…ここで僕がいなくなったら、逃げたら、僕は一生僕を許せニャいニャ! 愚かな行為でも何でもいい、それなら僕が背負うニャ! 他の2人より先に、僕が泥をかぶるニャ!!」
突然決意を新たに、侵入を開始しました。
…後で聞いた話によると、その日リオなどという僧侶はお城に存在せず、旅の者を泊めたという記録も残っていなかったそうです。
これは一時の時空のゆがみが起こした、或いは一つの奇跡の出会い、だったのかも知れませんね。
それはそうと、果たして猫ちゃんの心に浮かんだのは何だったでしょう?!(笑)
今回ちょっと長くてごめんなさい!!!
しょっち@気ままにやってきます
2022-04-27 12:44:41 +0000 UTC藤原妹紅
2022-04-27 10:02:52 +0000 UTC