【8か月ぶり】一航戦と提督と 第七話 第一章『出立』
Added 2022-06-06 15:00:00 +0000 UTC時間できたので赤城さんシリーズ再開 今回から夏休み篇 まずは2人が提督の地元に帰ることになったいきさつのお話です
【前回までのあらすじ】
いろいろ後ろ指を指されつつも、無事(?)に夏休みに突入した提督と赤城。
2人に待ち受けるものとはいったい…
~夏休み開始から1週間:補習終了後~
キーンコーンカーンコーン…
「よし、今日の講義はここまで。解散!」
夏休み…といっても、学生の本文は勉強。
艦娘の命を預かる提督になるには、覚えることがとにかく多い。
窓から入ってくる風を受けながら勉学にいそしむのが士官候補生。
夏場でも変わらず実技に追われるのが艦娘候補生。
「ふう…」
前期分の夏期講習が終わったことに体を伸ばす。
成績優秀者とうこともあり、夏期講習の参加日数は最低限で許されている。
※成績不振者に対しては成績度合いで日程が加重される
(買い物して帰るか…)
ガラガラ…
「失礼…お、いたいた。ちょっと来てもらえるかい?」
「え?あ、はい」
帰ろうとしたその時、教頭先生が教室に入ってきた。
どうやら自分を探していたらしく、そのままついてくるように言われる。
「どうしたんですか?」
「ああ、たいした用事じゃないよ。君に電話だよ」
「なるほど…どちらからですか?」
「きみのおばあさんからだね。許可は下ろすから職員室の電話を使ってくれ」
「ありがとうございます」
この時代は電話すらも高級品であり、提督のような下宿者の宅には電話がないのが普通なのだ。
そういう生徒の場合、職員が取り次ぐのがこの学校のきまりなのだ。
ジーッ、ジーッ…
ガチャ…
「はいもしもし、ヤチヨです」
「あ、ヤチヨばあ?僕だよ」
「ああボウヤか、いきなりすまんねえ」
ダイヤルを回し、ヤチヨばあの家に電話をかける。
ほどなくして、ヤチヨばあが電話に出た。
「いいよいいよ。で、何だった?」
「夏休みじゃけんど、今年はいつぐらいに戻ってくるかえ?」
「ああ、そのことか…そうだね、明日から20日まで休みだから明後日ぐらいに戻るよ」
「おおそうかえ、ときに…」
「ん?」
「赤城さんとはうまくやっとるかえ?」
「あ、ああ…一応。」
「なんや、そうかえ?せっかく帰ってくるから赤城さんも誘ってみたらどうかえ?」
「え、いいの?」
「なんも気にすることあれせんよ。むしろ2人で来てくれたほうがみんなも喜ぶえ」
「…まあ、赤城さんがいいって言うなら…」
「そうかえそうかえ!ほいじゃ、いつでも帰ってきんさいよ」
「うん、ありがとう。それじゃ切るよ」
「はいはい、それじゃあねえ」
ガチャ…
「ふぅ……」
「誰からの電話だい?」
「あ、校長先生…」
電話を終え一息つくと、後ろから校長先生に声をかけられる。
「その様子だと、君のおばあさんかな?」
「はい、そうです」
「おおかた『赤城くんを連れてうちに戻ってこい』ってとこだろう?」
「…まあ…」
「ははは、早く孫の顔が見たいんだろう。人の親というのはそういうものだ」
「…そういうものですか…」
「…それにな、このことは声を大にして言えないが、実は『提督と艦娘の結婚は奨励されている』んだ」
「えっ…?」
艦娘適性を持つ女性は、全世界の女性の中で0.1%にも満たないとされているほど貴重な人材なのだ。
この時代では研究が進んでいないのだが、後年に『艦娘適性を持つ女性は高確率で艦娘適性を備える女の子を産める』という研究結果が出ることになる。
とまあ、こういうカルトじみた説にすがるほど艦娘の不足が著しいのがこの時代の実情なのだ。
「どうして君と赤城くんの交際を容認しているかも、そのうちわかるようになる」
「そ、そうですか…」
「おっと、長話になってしまったね。おばあさんに元気なところを見せてあげなさい」
「はい!」
カツ、カツ、カツ…
「はあ…」
(人の気も知らないで…)
赤城さんを誘うのは僕なんだぞと思いながら、校長先生を見送りながらため息をつく提督なのであった。
~お昼:喫茶店~
「いいですよ?」
「え?」
その後、赤城と合流し、喫茶店で涼むついでに軽食を取る。
そこで帰省の話を持ち掛けると、二つ返事であっさりと承諾されてしまった。
「いえ、別に提督の家には1回行ったこともありますし、家族とはよく会っていますし」
「それはそうだけど…1週間ぐらいいるつもりだし、荷物とか…ほら、ね?」
「それなら大き目のカバンがありますし、提督と一緒なら家族も許してくれると思いますよ?」
「そ、そっかあ…」
あまりにもあっさりOKを出されたことに困惑する。いいのかそれで。
ともかく、明後日の昼の電車で2人でヤチヨばあの家に1週間お世話になることになったのだった。
「…~~~~~~~~!!!!」
(わわわ、わたし、て、ていとくと、いっしゅうかん、おなじふとんで…!!!)
…その日の夜、提督の言葉の意味をようやく理解した赤城が一人自室のベッドで見悶えていたのは内緒である。
そして次の日、なぜか学校の人間全員がこのことを知っていた。なんで?
とまあ、冷やかされつつも手際よく準備を進め、前日の夜にはすでに準備を終わらせる。
「………」
(ねむれない…)
…が、やはり彼女も年頃の乙女である。
異性との寝泊まりを前に、緊張のあまり睡魔がやってこない。
ごそ、ごそ…
(お茶でも飲んで落ち着けば眠れるかしら…)
とりあえず睡眠をとらないとまずい。
なんとか睡眠をとるべく、お茶をコップ数杯飲んでベッドで横になる。
タッタッタッタ…
「出ちゃう、出ちゃう…!」
…そうして、どれくらい時間が経っただろうか。
気が付くと、今にもおしっこが出そうな状態で、いつの間にか人のいない学校に放り出されていた。
「うぅぅもっちゃうもっちゃうもっちゃう…!!」
誰もいないのをいいことに、両手でアソコをぎゅうぎゅう抑えながら廊下を駆ける。
「あっ!?」
しかし途中で、尿意の爆発で歩みが止まってしまう。
もじもじ…ふりふり…
「おしっこ…おしっこぉ…!!」
お尻を振りながら、極限まで高まった尿意に身悶える。
「だめっ、もれるっ、おしっこでるっ…!!!」
しかし、苦闘むなしく、全身が大きく震え、身体が『おしっこを出す』態勢に入ってしまう。
「も、で―」
「!」
決壊1秒前。
そんな赤城の前に現れた次の景色は、見慣れた天井だった。
(ゆ、夢…?じゃあ、私、おしっ…!?)
ぶしょわわわわ…
慌てて起き上がると同時に、股間から熱い感触が広がる。
「だめっ、でるっ!おしっこでるぅぅぅぅぅ!!!」
どたどたどたどたどた…!!!
ぶじゅじゅじゅじゅじゅじゅ…!!!
おしっこをまき散らしながら、大慌てでトイレに向かう。
ばんっ、がさがさ…
「おしっこおしっこおしっこおしっこおしっこおしっこ、おしっこおしっこおしっこおしっこ…!!!」
ぶじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょじょ…!!!
『おしっこ』を連呼しながら、漏れ出るおしっこに構わずトイレに飛び込む。
ぐいっ!!!
「んうぅぅぅぅぅぅう…!!!!」
勢いそのままに、寝間着と下着を引きはがし、和式便器にしゃがみ込む。
じゅごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
刹那、赤城のアソコから、朝一番の濃ゆいおしっこがほとばしる。
じょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ…!!!
「はぁ…はぁ……やっちゃった……!!」
寝間着も下着も、ベッドも、廊下も、何もかもがおしっこまみれ。
疑いようもない『おもらし』である。
(また…漏らしちゃった…)
…このころの赤城は『トイレが極めて近く、平時に我慢できなくなることもしばしばある』ほどの頻尿なのだが、それよりも深刻なのは『水分を採ってから寝ると高確率でおねしょしてしまう』ことなのだ。
いくら緊張していたとはいえ、自分の体質のことを失念するのは彼女らしくないともいえる。
「はあ……」
~同時刻:提督宅~
ジリリリリリリ…カチッ!
「ふわぁぁぁ…」
…こちらは赤城とは対照的にしっかりと眠れたようであり、いつものように朝ご飯の準備をする。なお、出発は昼である。
(…赤城さん、あの様子だと緊張して寝る前に水を飲んだりしちゃうかもしれない※から集合時間に余裕を持ったけど…大丈夫かな…)
※第四話にて、赤城はヤチヨばあ宅でおねしょをしでかした際も前日の就寝前に(提督が勧めたのもあったのだが)麦茶を飲んでおり、赤城の頻尿体質についてはある程度知っている
…現在進行形で赤城が敗戦処理をしていることなどつゆ知らず、のんびりと朝食の準備をする提督なのであった。
―そして、昼前。
「ごめんなさい、お待たせして…」
「いいよいいよ、電車が来るまで時間があるし、そこの喫茶店でお茶でもしようか」
「は、はい…」
「ん?大丈夫?」
「い、いえ!大丈夫です!」
(…大丈夫じゃなかったな…)
あからさまに動揺してしまったことで、ほどなくして『今朝もおねしょをしたこと』がばれてしまうのだが、それは10分後のお話である。
~喫茶店にて~
「夏祭り?」
「うん、実家の近くに神社があってね、そこで毎年祭りをやってるんだよ。行かない?」
「面白そうですね!ぜひ!」
「ありがとう。ヤチヨばあたちも喜ぶよ」
「おばあさんたちがお店を出してるんですね」
「うん、商店街のみんなが総力を挙げてやってるから」
地元トークに花を咲かせていると、アナウンスが喫茶店内に響く。
『次に1番線に到着します列車は、13時10分発、○○行き急行です』
「あ、電車…」
「…いけない、もうこんな時間!急がないと乗り遅れる…!」
これを乗り遅れると、次に来る電車は2時間後だ。
大慌てで荷物を持ち上げ、会計を済ませてホームへと走るのであった。